QB「羽川翼。僕と契約して魔法少女になってよ」
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 16:42:54.30 ID:cvqqySIz0
001
怪異に遭うと怪異に曳かれる。あの軽薄なアロハの中年―忍野メメがそう言っていたけれど、しかし今回の話は怪異譚という呼称がしっくりくるのかはいささか疑問である。なにしろ、あの怪異譚蒐集のオーソリティであるところの忍野メメが、収拾できなかった話なのだ。
怪異に遭うと怪異に曳かれる。あの軽薄なアロハの中年―忍野メメがそう言っていたけれど、しかし今回の話は怪異譚という呼称がしっくりくるのかはいささか疑問である。なにしろ、あの怪異譚蒐集のオーソリティであるところの忍野メメが、収拾できなかった話なのだ。
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 16:53:41.92 ID:cvqqySIz0
いつだったか、僕の可愛い後輩、忍野扇がこんなことを言ってきたことがある。
「阿良々木先輩。怖い話はお好きですか?」
「ん?まあ、嫌いってほどじゃないけれど。わざわざ聞きたい気もしないな」
「好きですか、それはよかった」
「お前は何を聞いてたんだよ」
「では、怖い話が好きな阿良々木先輩にもう一つ質問をしましょう」
「人の話を聞けよ!」
「まあまあ。そう些細なことを言っていると女の子にモテませんよ?」
「つーか、お前に関してはあんまり女の子って感じがしないんだよな……」
「あら、ひどい。僕はれっきとした女の子ですよ?」
「僕って言ってるけどな」
「これは失礼。この時空列では私でしたね。いやはや、どうも慣れなくって困る。いや、こっちの話ですよ。ところで先輩、質問なのですが」
あくまでこいつは怖い話の話を話したいらしい。
「阿良々木先輩。怖い話はお好きですか?」
「ん?まあ、嫌いってほどじゃないけれど。わざわざ聞きたい気もしないな」
「好きですか、それはよかった」
「お前は何を聞いてたんだよ」
「では、怖い話が好きな阿良々木先輩にもう一つ質問をしましょう」
「人の話を聞けよ!」
「まあまあ。そう些細なことを言っていると女の子にモテませんよ?」
「つーか、お前に関してはあんまり女の子って感じがしないんだよな……」
「あら、ひどい。僕はれっきとした女の子ですよ?」
「僕って言ってるけどな」
「これは失礼。この時空列では私でしたね。いやはや、どうも慣れなくって困る。いや、こっちの話ですよ。ところで先輩、質問なのですが」
あくまでこいつは怖い話の話を話したいらしい。
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 16:56:13.66 ID:cvqqySIz0
「ああ、分かったよ扇ちゃん。怖い話の質問だろ?言ってみろよ」
「……その前にひとつ。阿良々木先輩、ちょっと本気で怖い話が嫌いだったりします?」
扇ちゃんがからかうような視線を向けてくる。
「なんでだよ」
「いえ、先輩が私の話を妙に避けているような気がしましたので」
「ぼ、僕は怖くなんかないぞ!どんな話だってどんと来いだ!よし来い扇ちゃん!今お前の持ってる最高の怖い話をしてみろよ!」
「……。自殺現場。白目を剥いて、苦痛に恨みに歪んだ顔面。首吊り。死後硬直した体、身の毛のよだつ死臭」
「それは怖えよ!」
「……その前にひとつ。阿良々木先輩、ちょっと本気で怖い話が嫌いだったりします?」
扇ちゃんがからかうような視線を向けてくる。
「なんでだよ」
「いえ、先輩が私の話を妙に避けているような気がしましたので」
「ぼ、僕は怖くなんかないぞ!どんな話だってどんと来いだ!よし来い扇ちゃん!今お前の持ってる最高の怖い話をしてみろよ!」
「……。自殺現場。白目を剥いて、苦痛に恨みに歪んだ顔面。首吊り。死後硬直した体、身の毛のよだつ死臭」
「それは怖えよ!」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 16:57:33.12 ID:cvqqySIz0
予想外のジャンルの怖い話だった。
「いや、でも私が言いたかったのはまさにそういう話なんですよ、ビビり木先輩」
「ナチュラルに人の名前を怖い話が苦手な風に改変するな、僕の名前は阿良々木だ、そして八九寺のネタをパクるな」
「失礼、噛みました」
「……ううん、なんか違うな。やっぱこの流れは八九寺じゃないと」
「そうですか。そう言われると悔しいですが、それはそれとして話の腰を折らないでください阿良々木先輩。本当に阿良々木先輩は口が減らないですね」
「なんか納得がいかないけれど、まあいいや。それで、なんだ、結局何が言いたいんだ扇ちゃんは」
「ふふふ……それはですね」
その時、忍野扇はいたずらっぽい笑みを浮かべて言ったのだ。
「概念は、実在し得ないんですよ」
「いや、でも私が言いたかったのはまさにそういう話なんですよ、ビビり木先輩」
「ナチュラルに人の名前を怖い話が苦手な風に改変するな、僕の名前は阿良々木だ、そして八九寺のネタをパクるな」
「失礼、噛みました」
「……ううん、なんか違うな。やっぱこの流れは八九寺じゃないと」
「そうですか。そう言われると悔しいですが、それはそれとして話の腰を折らないでください阿良々木先輩。本当に阿良々木先輩は口が減らないですね」
「なんか納得がいかないけれど、まあいいや。それで、なんだ、結局何が言いたいんだ扇ちゃんは」
「ふふふ……それはですね」
その時、忍野扇はいたずらっぽい笑みを浮かべて言ったのだ。
「概念は、実在し得ないんですよ」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 17:00:07.25 ID:cvqqySIz0
「なんだ、それは」
「いえね、怖い話と聞いて阿良々木先輩が想像していらした幽霊話は、自分を投影させる恐怖ですよね。自分が本当に幽霊に会ってしまったら、って」
うん。そうだ。もっとも、僕はすでに幽霊には会っているのだけれど。
「それに対してさっき私のした怖い話は、聞いただけで拒絶してしまうような、その概念自体が怖い話なんです」
「……ほう」
「怪異にはその存在自体を信じさせる目的がある。したがって実在し得る。けれども、初めから信じさせようという目的のないものは、実在し得ないんです」
「そして扇ちゃんは、それを概念と言い表したんだな」
「はい、そういうことになります」
「いえね、怖い話と聞いて阿良々木先輩が想像していらした幽霊話は、自分を投影させる恐怖ですよね。自分が本当に幽霊に会ってしまったら、って」
うん。そうだ。もっとも、僕はすでに幽霊には会っているのだけれど。
「それに対してさっき私のした怖い話は、聞いただけで拒絶してしまうような、その概念自体が怖い話なんです」
「……ほう」
「怪異にはその存在自体を信じさせる目的がある。したがって実在し得る。けれども、初めから信じさせようという目的のないものは、実在し得ないんです」
「そして扇ちゃんは、それを概念と言い表したんだな」
「はい、そういうことになります」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 17:01:16.15 ID:cvqqySIz0
「……。……で、忍野扇ちゃんよ」
「はい?」
「結局それで、何が言いたいんだ?」
「え?ええっ?それは、ですね……」
そう言ってこの忍野メメの姪を自称する少女は、少し戸惑う。
「いや……いきなり言われても困るというか。その、これといって特に……」
「ないんかい!!」
しかし、その後僕はどうしようもなく知らされることとなる。忍野扇の言う“概念”に遭遇することが、いかに厄介なのかということを。実在し得ないものが実在することが、いかに厄介なのかということを。
それこそが、『実在し得るもの』のオーソリティである忍野メメが、収拾できなかった話なのだった。
怪異に遭うと怪異に曳かれる。いや、さしずめ今回は、シャフトに遭ってシャフトに曳かれたといったところだろうか。
「はい?」
「結局それで、何が言いたいんだ?」
「え?ええっ?それは、ですね……」
そう言ってこの忍野メメの姪を自称する少女は、少し戸惑う。
「いや……いきなり言われても困るというか。その、これといって特に……」
「ないんかい!!」
しかし、その後僕はどうしようもなく知らされることとなる。忍野扇の言う“概念”に遭遇することが、いかに厄介なのかということを。実在し得ないものが実在することが、いかに厄介なのかということを。
それこそが、『実在し得るもの』のオーソリティである忍野メメが、収拾できなかった話なのだった。
怪異に遭うと怪異に曳かれる。いや、さしずめ今回は、シャフトに遭ってシャフトに曳かれたといったところだろうか。
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 17:03:39.28 ID:cvqqySIz0
002
「羽川翼。僕と契約して魔法少女になってよ」
昼下がり。図書館での勉強を終えて帰ろうとする僕と、羽川翼のもとに、その生物は現れたのだった。
「……ね。阿良々木くん。これ、怪異、なのかな」
「怪異?なんだいそれは。僕はキュゥべえ。魔法少女をサポートする存在だよ」
羽川翼が、硬直している。神に愛された委員長であるところの羽川翼が、あの羽川翼が、意味が分からないといった風に硬直している。
「羽川翼。僕と契約して魔法少女になってよ」
キュゥべえと名乗ったものが繰り返した。というか、僕は知っている。こいつは、こいつは……。
「嘘だろ……キュゥべえ、じゃねえか」
「ん?阿良々木くん、阿良々木くんはこの子がなんなのか知ってるの?」
羽川が首を傾げる。……可愛い。いや、それはともかくとして、これは、どういうことだろう。
「羽川翼。僕と契約して魔法少女になってよ」
昼下がり。図書館での勉強を終えて帰ろうとする僕と、羽川翼のもとに、その生物は現れたのだった。
「……ね。阿良々木くん。これ、怪異、なのかな」
「怪異?なんだいそれは。僕はキュゥべえ。魔法少女をサポートする存在だよ」
羽川翼が、硬直している。神に愛された委員長であるところの羽川翼が、あの羽川翼が、意味が分からないといった風に硬直している。
「羽川翼。僕と契約して魔法少女になってよ」
キュゥべえと名乗ったものが繰り返した。というか、僕は知っている。こいつは、こいつは……。
「嘘だろ……キュゥべえ、じゃねえか」
「ん?阿良々木くん、阿良々木くんはこの子がなんなのか知ってるの?」
羽川が首を傾げる。……可愛い。いや、それはともかくとして、これは、どういうことだろう。
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 17:06:08.97 ID:cvqqySIz0
「おかしいね。僕は君のことを知らないよ?」
きゅ……キュゥべえが話しかけてきた!え?なに?マジで!?
「え、えええ、キュゥべえさんですよね!?さ、サイン貰っていいっすか!?」
「な、何なんだい君は?サイン?え?」
「どうしたの阿良々木くん?この子、有名人なの?」
駄目だ。それぞれにまとまりがなすぎる。収めるまでにしばらくかかった。
「うん。じゃあ、改めまして、羽川翼です。私立直江津高校に在学しています」
「僕はキュゥべえ。魔法少女になってくれる人を探してるんだ」
「……阿良々木暦。まあ、なんというか、高校生です」
…………。………………。……。
気まずすぎるわっ!
きゅ……キュゥべえが話しかけてきた!え?なに?マジで!?
「え、えええ、キュゥべえさんですよね!?さ、サイン貰っていいっすか!?」
「な、何なんだい君は?サイン?え?」
「どうしたの阿良々木くん?この子、有名人なの?」
駄目だ。それぞれにまとまりがなすぎる。収めるまでにしばらくかかった。
「うん。じゃあ、改めまして、羽川翼です。私立直江津高校に在学しています」
「僕はキュゥべえ。魔法少女になってくれる人を探してるんだ」
「……阿良々木暦。まあ、なんというか、高校生です」
…………。………………。……。
気まずすぎるわっ!
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 17:08:07.12 ID:cvqqySIz0
「で、キュゥべえさんは、私に用なのかな?」
羽川が話を進めようとする。いや、このままいくとマズいんじゃないだろうか。このキュゥべえが僕の知ってるあいつだとすれば、この流れは……。
「そうなんだ、羽川翼。僕と契約して、魔法少女になってよ」
本日三度目である。こうも連発されると、ありがたみに欠ける気もするが。……呑気なことを言っている場合ではない。止めに入らなくては。
「あ、いや。インキュベーター!今日のところはひとまず帰ってくれないかな!契約のこととかは僕から色々説明しておくから!」
「ぃ、インキュって。これは驚いたね。君は一体何者なんだい?阿良々木暦」
「なんでもないっす!マジで!」
羽川が話を進めようとする。いや、このままいくとマズいんじゃないだろうか。このキュゥべえが僕の知ってるあいつだとすれば、この流れは……。
「そうなんだ、羽川翼。僕と契約して、魔法少女になってよ」
本日三度目である。こうも連発されると、ありがたみに欠ける気もするが。……呑気なことを言っている場合ではない。止めに入らなくては。
「あ、いや。インキュベーター!今日のところはひとまず帰ってくれないかな!契約のこととかは僕から色々説明しておくから!」
「ぃ、インキュって。これは驚いたね。君は一体何者なんだい?阿良々木暦」
「なんでもないっす!マジで!」
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 17:11:12.12 ID:cvqqySIz0
「まあいいや。じゃあまた会いに来るから、考えておいてくれないかな」
そう言ってキュゥべえは石垣の奥へと消えて行った。
「ねえ、阿良々木くん」
しばしの沈黙の後、羽川がゆっくりと口を開く。
「さっき阿良々木くんは、インキュベーターって言ったよね。Incubator. あの子は、何を孵化させるの?」
「……絶望、だ」
「ふうん……。じゃああの可愛らしい容貌はカムフラージュってところなのかな」
「……お前はなんでも知ってるなあ」
「なんでもは知らないわよ。知ってることだけ」
このようにして。キュゥべえとの融解はひとまず終わったのだった。
そう言ってキュゥべえは石垣の奥へと消えて行った。
「ねえ、阿良々木くん」
しばしの沈黙の後、羽川がゆっくりと口を開く。
「さっき阿良々木くんは、インキュベーターって言ったよね。Incubator. あの子は、何を孵化させるの?」
「……絶望、だ」
「ふうん……。じゃああの可愛らしい容貌はカムフラージュってところなのかな」
「……お前はなんでも知ってるなあ」
「なんでもは知らないわよ。知ってることだけ」
このようにして。キュゥべえとの融解はひとまず終わったのだった。
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 17:15:39.22 ID:cvqqySIz0
003
舞台は変わって、戦場ヶ原のアパート。あの後、急遽進路を変更して、僕と羽川は民倉荘へと向かった。羽川に状況を説明しなければならないし、なんとなくだが、でっかい方の妹―阿良々木火憐をこのことに巻き込んではいけない気がしたのだ。
「いきなり訪ねてきて何事かと思ったら、くだらない女児向けアニメのことを知っているか、だなんて、あきれたものね阿良々木くん。さすが人間の屑に等しき―いや、それ以下の存在だわ」
「僕のことを悪く言うのはかまわないけれど、『魔法少女まどか☆マギカ』のことを悪く言うのはいただけないな戦場ヶ原」
「ちなみに私は佐倉杏子が一番好きよ」
「ちゃっかり知ってんじゃねえか!」
僕は志筑仁美が好きだったりする。
「……。……」
「あ、いや、勿論暁美ほむらが一番好きです!」
「……そう」
舞台は変わって、戦場ヶ原のアパート。あの後、急遽進路を変更して、僕と羽川は民倉荘へと向かった。羽川に状況を説明しなければならないし、なんとなくだが、でっかい方の妹―阿良々木火憐をこのことに巻き込んではいけない気がしたのだ。
「いきなり訪ねてきて何事かと思ったら、くだらない女児向けアニメのことを知っているか、だなんて、あきれたものね阿良々木くん。さすが人間の屑に等しき―いや、それ以下の存在だわ」
「僕のことを悪く言うのはかまわないけれど、『魔法少女まどか☆マギカ』のことを悪く言うのはいただけないな戦場ヶ原」
「ちなみに私は佐倉杏子が一番好きよ」
「ちゃっかり知ってんじゃねえか!」
僕は志筑仁美が好きだったりする。
「……。……」
「あ、いや、勿論暁美ほむらが一番好きです!」
「……そう」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 17:20:10.06 ID:cvqqySIz0
「ねえ、聞いて、戦場ヶ原さん。今日、勉強を終えて図書館から帰っていたら、キュゥべえっていう子がいきなり現われたの」
「キュゥ……べえ?」
戦場ヶ原がシャフ度としか表現できないしなりを作って訊き返す。
「そうなんだよ、戦場ヶ原。キュゥべえが、羽川に契約をもちかけたんだ」
「……それは良くないわね」
さすがの戦場ヶ原も混乱しているようだ。そこへ羽川が先を促す。
「……で、私としてはそれがどうして魔法少女のアニメに繋がるのかを知りたいんだけど」
「キュゥ……べえ?」
戦場ヶ原がシャフ度としか表現できないしなりを作って訊き返す。
「そうなんだよ、戦場ヶ原。キュゥべえが、羽川に契約をもちかけたんだ」
「……それは良くないわね」
さすがの戦場ヶ原も混乱しているようだ。そこへ羽川が先を促す。
「……で、私としてはそれがどうして魔法少女のアニメに繋がるのかを知りたいんだけど」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 17:24:14.32 ID:cvqqySIz0
004
秘技、章変えリセット。
まあ、今回はそんなことをする必要もなかったのだが、少しばかり説明部分を省略させてもらった。『魔法少女まどか☆マギカ』の世界観を文字に落として説明するのは、非常に難しい作業だったりするのだ。
「インキュベーターが羽川さm……羽川さんを狙うのも無理ないわね。なにしろあなたは、感情だけで複数の怪異を創り出してしまうのだから」
確かに。魔女化する際に生み出されるエネルギーも相当のものだろう。
「でも、人気アニメのキャラクターが実際に私たちの前に出てくるなんて」
秘技、章変えリセット。
まあ、今回はそんなことをする必要もなかったのだが、少しばかり説明部分を省略させてもらった。『魔法少女まどか☆マギカ』の世界観を文字に落として説明するのは、非常に難しい作業だったりするのだ。
「インキュベーターが羽川さm……羽川さんを狙うのも無理ないわね。なにしろあなたは、感情だけで複数の怪異を創り出してしまうのだから」
確かに。魔女化する際に生み出されるエネルギーも相当のものだろう。
「でも、人気アニメのキャラクターが実際に私たちの前に出てくるなんて」
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 17:26:56.79 ID:cvqqySIz0
「早期決着が望ましいわね」
戦場ヶ原が言う。
「阿良々木くんの妹達―火憐さんと月火さんは契約の標的になりうるし、神原のエロが魔女化されるときに生み出すエネルギーなんて、考えたくもないわ」
神原はやっぱエロい魔女になるのか。あ、それ、なんか良いかも。
「インキュベーターは、羽川様を契約させるためにまず周りから攻めてくるでしょうね」
……さりげなく羽川様と言ったのは見逃してあげるとして。
火憐、月火、神原、それに、千石。
うわあ。千石が魔女化してる所見たくねえ。絶対強いぞそれ。
確かに、出来るだけ早く解決しないと、大変なことになるな。
戦場ヶ原が言う。
「阿良々木くんの妹達―火憐さんと月火さんは契約の標的になりうるし、神原のエロが魔女化されるときに生み出すエネルギーなんて、考えたくもないわ」
神原はやっぱエロい魔女になるのか。あ、それ、なんか良いかも。
「インキュベーターは、羽川様を契約させるためにまず周りから攻めてくるでしょうね」
……さりげなく羽川様と言ったのは見逃してあげるとして。
火憐、月火、神原、それに、千石。
うわあ。千石が魔女化してる所見たくねえ。絶対強いぞそれ。
確かに、出来るだけ早く解決しないと、大変なことになるな。
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 17:32:49.06 ID:cvqqySIz0
と、その時。羽川翼の携帯電話が鳴った。着信音は天たまから配信されている音源のようだ。
「ん。ごめんね、二人とも。……お待たせしました、羽川翼です。あ、お久しぶりです。はい。ええ、居ますよ。……はい。了解しました、少々お待ち下さい」
うーん、羽川の通話姿はやっぱかわいいなあ。電話の向こうの相手には羽川の姿が見えるはずもないのに、姿勢を正して敬意を払う姿。麗しく動く瑞々しい唇。
「阿良々木くん?」
「……あ、え?はい?」
「忍野さんから。阿良々木くんに代わってほしいって」
こんな時に電話をよこすなんて。
本当に見透かしたような野郎だ。
「ん。ごめんね、二人とも。……お待たせしました、羽川翼です。あ、お久しぶりです。はい。ええ、居ますよ。……はい。了解しました、少々お待ち下さい」
うーん、羽川の通話姿はやっぱかわいいなあ。電話の向こうの相手には羽川の姿が見えるはずもないのに、姿勢を正して敬意を払う姿。麗しく動く瑞々しい唇。
「阿良々木くん?」
「……あ、え?はい?」
「忍野さんから。阿良々木くんに代わってほしいって」
こんな時に電話をよこすなんて。
本当に見透かしたような野郎だ。
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 17:36:40.19 ID:cvqqySIz0
「……なんだよ」
『おやおや、なんだよとは御挨拶だねえ阿良々木くん。久しぶりの会話だってのに』
「まずは、なんでお前が羽川の携帯電話の番号を知っているのか教えろ」
『なあに、ちょっと僕の知り合いになんでも知っている人が居てね。ああ、世の中の森羅万象、端から端まですべからく。もっとも、阿良々木くんに関しては端から端というより恥から恥だけどね。はっはーん』
「ナチュラルに暴言を吐くな。つーかそれなら僕の携帯電話にかけて来いよ!」
『いやなに、君が常に携帯電話に気をかけるような性格とも思えなかったからねえ。それに、君はいつもあの委員長ちゃんといちゃいちゃしているから、そっちにかけた方が早いかと思って』
「いちゃいちゃしてねえよ」
『でも、現に委員長ちゃんにかけたら、ちゃんと君に繋がったじゃあないか』
……。
『おやおや、なんだよとは御挨拶だねえ阿良々木くん。久しぶりの会話だってのに』
「まずは、なんでお前が羽川の携帯電話の番号を知っているのか教えろ」
『なあに、ちょっと僕の知り合いになんでも知っている人が居てね。ああ、世の中の森羅万象、端から端まですべからく。もっとも、阿良々木くんに関しては端から端というより恥から恥だけどね。はっはーん』
「ナチュラルに暴言を吐くな。つーかそれなら僕の携帯電話にかけて来いよ!」
『いやなに、君が常に携帯電話に気をかけるような性格とも思えなかったからねえ。それに、君はいつもあの委員長ちゃんといちゃいちゃしているから、そっちにかけた方が早いかと思って』
「いちゃいちゃしてねえよ」
『でも、現に委員長ちゃんにかけたら、ちゃんと君に繋がったじゃあないか』
……。
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 17:39:32.92 ID:cvqqySIz0
「そ、それで忍野。僕もちょうどお前に聞きたいことがあったんだ」
『電話をかけたのは僕なんだけどね。阿良々木くんは本当に元気がいいねえ。なにか良いことでもあったのかい?』
「いいから黙って僕の話を聞―」
『インキュベーター。カトウ科エミリ属の恒温動物』
「……相変わらずだな、お前は」
『ちょっと事態が急を要するもんでね』
「……」
『ところで阿良々木くん。いつになったら“カトウ科エミリ属”につっこみを入れてくれるのかな』
「あえてスルーしてんだよ馬鹿野郎!」
『電話をかけたのは僕なんだけどね。阿良々木くんは本当に元気がいいねえ。なにか良いことでもあったのかい?』
「いいから黙って僕の話を聞―」
『インキュベーター。カトウ科エミリ属の恒温動物』
「……相変わらずだな、お前は」
『ちょっと事態が急を要するもんでね』
「……」
『ところで阿良々木くん。いつになったら“カトウ科エミリ属”につっこみを入れてくれるのかな』
「あえてスルーしてんだよ馬鹿野郎!」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 17:41:52.63 ID:cvqqySIz0
『インキュベーターの主食はエネルギーだ。エントロピーだの宇宙の存続だのと言ってはいるが、彼らだってエネルギーを消費しているからね』
エネルギーを……消費?
「……そうか。忍のエナジードレインがあれば、そいつを―」
『おやおや、それは大きな誤解だよ阿良々木くん。怪異殺しがあれを喰らえるはずかない。だって、あれは怪異じゃないのだから』
「え……?」
『分かってないなあ阿良々木くんは。いいかい、怪異は信じさせるために存在するんだ。信じるために存在するんだ。君は、まさか二次元と現実の区別もつかないようなイタい子だったのかい?』
エネルギーを……消費?
「……そうか。忍のエナジードレインがあれば、そいつを―」
『おやおや、それは大きな誤解だよ阿良々木くん。怪異殺しがあれを喰らえるはずかない。だって、あれは怪異じゃないのだから』
「え……?」
『分かってないなあ阿良々木くんは。いいかい、怪異は信じさせるために存在するんだ。信じるために存在するんだ。君は、まさか二次元と現実の区別もつかないようなイタい子だったのかい?』
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 17:46:34.69 ID:cvqqySIz0
『キュゥべえは、魔法少女まどか☆マギカという創作に登場するキャラクターだ。存在し得ないんだよ。あれは虚淵玄の頭の中で創られた。長い歴史の中で人々の畏れを集めてきた怪異とは、決定的に違う』
「でも、でも。現にキュゥべえは羽川の前に現われた」
『さあさあ、そこが問題なんだよね。キュゥべえは現われた。それで、僕達にどういう対処ができるか。インキュベーターは不死身だけど怪異じゃない。惜しくも影縫くんの専門外だ。そして、勿論僕もね』
「……」
『すまないね。結論を言うと僕はこの件を収拾できない。怪異譚なら蒐集できるんだけどね』
「……お前は羽川の電話代を使って僕にいやがらせの電話をしているのか?」
『まあそう殺気立つなよ。元気いいねえ、なにか良いことでもあったのかい?』
「でも、でも。現にキュゥべえは羽川の前に現われた」
『さあさあ、そこが問題なんだよね。キュゥべえは現われた。それで、僕達にどういう対処ができるか。インキュベーターは不死身だけど怪異じゃない。惜しくも影縫くんの専門外だ。そして、勿論僕もね』
「……」
『すまないね。結論を言うと僕はこの件を収拾できない。怪異譚なら蒐集できるんだけどね』
「……お前は羽川の電話代を使って僕にいやがらせの電話をしているのか?」
『まあそう殺気立つなよ。元気いいねえ、なにか良いことでもあったのかい?』
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 17:49:23.07 ID:cvqqySIz0
『委員長ちゃんみたいな強力な魔女が生まれてはバランサーとしては大きな危機だからね。僕も一応秘密兵器を用意したさ』
「手が、あるんだな」
『まあ、そんなところ。今そっちにその秘密兵器を向かわせてる。もうすぐ着くと思うから、温かく迎えてやってくれよ』
「ああ。分かった」
『あと、それから。君たちの部屋の窓に、もうひとつ来客だよ』
窓を見ると。そこに白い影がひとつ。
「ねえ、阿良々木くん。あれ……」
「ああ」
「……答えは、まとまったかい?羽川翼」
インキュベーターが、座り込んでいた。
「手が、あるんだな」
『まあ、そんなところ。今そっちにその秘密兵器を向かわせてる。もうすぐ着くと思うから、温かく迎えてやってくれよ』
「ああ。分かった」
『あと、それから。君たちの部屋の窓に、もうひとつ来客だよ』
窓を見ると。そこに白い影がひとつ。
「ねえ、阿良々木くん。あれ……」
「ああ」
「……答えは、まとまったかい?羽川翼」
インキュベーターが、座り込んでいた。
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 17:51:15.21 ID:cvqqySIz0
005
部屋にはキュゥべえと羽川と、戦場ヶ原と、僕。黄金の西日が眩しい。
「……安心しろ。忍野がこっちに助けをよこしている」
僕はキュゥべえに気付かれないように戦場ヶ原と羽川に囁く。
「少しの間、時間稼ぎを」
その時、インキュベーターがまず戦場ヶ原に目を付けた。
「おや?こちらは初めて見る顔だね。それに、すごく素質があるように見える」
「インキュベーター」
それに応じて戦場ヶ原が話しかける。
「その声は、暁美ほむら……?」
「今は違うわ」
「じゃあ坪内地丹?」
「もっと違うわよ!」
戦場ヶ原があんなに叫んでるの初めて見た。……じゃなくて。
「キュゥべえ。こいつは戦場ヶ原ひたぎっていう僕と羽川の友達だ。役の幅が広いので、シャフトではもっぱら便利屋扱いだ」
「余計な説明がついたね。……で、君は何者なんだい?阿良々木暦」
「え、ええと、僕はその、あれだ―」
「アジアナンバーワン声優よ」
「違えよ!」
部屋にはキュゥべえと羽川と、戦場ヶ原と、僕。黄金の西日が眩しい。
「……安心しろ。忍野がこっちに助けをよこしている」
僕はキュゥべえに気付かれないように戦場ヶ原と羽川に囁く。
「少しの間、時間稼ぎを」
その時、インキュベーターがまず戦場ヶ原に目を付けた。
「おや?こちらは初めて見る顔だね。それに、すごく素質があるように見える」
「インキュベーター」
それに応じて戦場ヶ原が話しかける。
「その声は、暁美ほむら……?」
「今は違うわ」
「じゃあ坪内地丹?」
「もっと違うわよ!」
戦場ヶ原があんなに叫んでるの初めて見た。……じゃなくて。
「キュゥべえ。こいつは戦場ヶ原ひたぎっていう僕と羽川の友達だ。役の幅が広いので、シャフトではもっぱら便利屋扱いだ」
「余計な説明がついたね。……で、君は何者なんだい?阿良々木暦」
「え、ええと、僕はその、あれだ―」
「アジアナンバーワン声優よ」
「違えよ!」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 17:54:23.71 ID:cvqqySIz0
「あの、すみません」
羽川が口を開く。
「契約のお話、阿良々木くんから聞かせていただきました。キュゥべえさんの正体も、その、信じ難いですけど、聞かせていただきました。申し訳ありませんが、私には、人間を辞めてまで叶えたい願いはありませんので、どうかお引き取り願えないでしょうか」
「僕にはそうは見えないけどなあ。君は現状に満足していないところが多いはずだよ、羽川翼」
いいかい、とインキュベーターが続ける。
「どんな願いでも、だよ。僕に叶えられない願いはない」
羽川が、珍しく俯いた。
羽川が口を開く。
「契約のお話、阿良々木くんから聞かせていただきました。キュゥべえさんの正体も、その、信じ難いですけど、聞かせていただきました。申し訳ありませんが、私には、人間を辞めてまで叶えたい願いはありませんので、どうかお引き取り願えないでしょうか」
「僕にはそうは見えないけどなあ。君は現状に満足していないところが多いはずだよ、羽川翼」
いいかい、とインキュベーターが続ける。
「どんな願いでも、だよ。僕に叶えられない願いはない」
羽川が、珍しく俯いた。
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 17:57:31.13 ID:cvqqySIz0
「まあいいや、この街にはまだまだ才能のある少女が多くいる。僕はしばらくこの街に留まるから、気が変わったらいつでも言ってよ」
「何を言っているのかしら、インキュベーター」
ここで、戦場ヶ原が鋭く反論した。
「私達はあなたの正体を知っているのよ。この街に留まることを、私たちが見過ごすはずがないでしょ」
「……ふう。どうやら君たちは予想以上に厄介な存在のようだね。戦場ヶ原ひたぎ、君だって特に優秀な魔法少女になる才能があるというのに」
「魔女になる才能、でしょ」
そうだ。戦場ヶ原だって、思いを捨てて蟹を形作ったことがある。あの感情がエネルギーになると思うと、相当なものだろう。
「何を言っているのかしら、インキュベーター」
ここで、戦場ヶ原が鋭く反論した。
「私達はあなたの正体を知っているのよ。この街に留まることを、私たちが見過ごすはずがないでしょ」
「……ふう。どうやら君たちは予想以上に厄介な存在のようだね。戦場ヶ原ひたぎ、君だって特に優秀な魔法少女になる才能があるというのに」
「魔女になる才能、でしょ」
そうだ。戦場ヶ原だって、思いを捨てて蟹を形作ったことがある。あの感情がエネルギーになると思うと、相当なものだろう。
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 18:00:11.88 ID:cvqqySIz0
「僕は君たち人間に気を遣って魔法少女と形容してあげているんだよ?」
「余計なお世話もいい所ね。聞こえの良い所だけを見せて契約を結ぼうとするなんて、まるっきり詐欺じゃない」
詐欺。その言葉と共に、玄関の扉が開く音が聞こえた。
「あら、インキュベーター。どうやら私達の勝ちのようね。忍野さんが来たわ。あなたはもう逃げられない」
いや、違うんだ戦場ヶ原。忍野はここには来ない。あいつじゃインキュベーターを始末できない。それに、今になって気がついたけれど、忍野の言っていた助けは、おそらく……。
西日が赤く染まりだした。不吉に。この上なく不吉に。戦場ヶ原は玄関へと駆けて行った。インキュベーターは、逃げるそぶりも見せず、羽川に問いかけた。
「忍野……はじめて聞く名前だね。誰だいそれは?」
「忍野メメさん。ええっと、私と阿良々木くんと戦場ヶ原さんの知り合いです。私達三人とも、訳あって助けていただいたことがあるんです」
「ふうん。で、その忍野メメというのが僕をやっつけに来たのかい?無駄だと思うけどなあ」
「でも、多分忍野さんではないと思います。この……言い表せない、なんとも不吉な感じ。この感じは、むしろ―」
「招かれざる客、ね」
障子を蹴破る音と共に、戦場ヶ原の冷たい声がした。相当お怒りのようだ。そして戦場ヶ原が蹴破った襖の後から。その怒りの元凶にして、忍野のよこした『秘密兵器』。
貝木泥舟が這入ってきたのである。
「余計なお世話もいい所ね。聞こえの良い所だけを見せて契約を結ぼうとするなんて、まるっきり詐欺じゃない」
詐欺。その言葉と共に、玄関の扉が開く音が聞こえた。
「あら、インキュベーター。どうやら私達の勝ちのようね。忍野さんが来たわ。あなたはもう逃げられない」
いや、違うんだ戦場ヶ原。忍野はここには来ない。あいつじゃインキュベーターを始末できない。それに、今になって気がついたけれど、忍野の言っていた助けは、おそらく……。
西日が赤く染まりだした。不吉に。この上なく不吉に。戦場ヶ原は玄関へと駆けて行った。インキュベーターは、逃げるそぶりも見せず、羽川に問いかけた。
「忍野……はじめて聞く名前だね。誰だいそれは?」
「忍野メメさん。ええっと、私と阿良々木くんと戦場ヶ原さんの知り合いです。私達三人とも、訳あって助けていただいたことがあるんです」
「ふうん。で、その忍野メメというのが僕をやっつけに来たのかい?無駄だと思うけどなあ」
「でも、多分忍野さんではないと思います。この……言い表せない、なんとも不吉な感じ。この感じは、むしろ―」
「招かれざる客、ね」
障子を蹴破る音と共に、戦場ヶ原の冷たい声がした。相当お怒りのようだ。そして戦場ヶ原が蹴破った襖の後から。その怒りの元凶にして、忍野のよこした『秘密兵器』。
貝木泥舟が這入ってきたのである。
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 18:03:29.03 ID:cvqqySIz0
006
「随分と気持ちの良いことをやってくれるじゃないか戦場ヶ原」
「黙りなさい。阿良々木くんにはこいつが来たわけを説明させてから五回くらい死んでもらうとして、今はインキュベーターが先決よ」
え、僕五回死ぬの!?
「まあ戦場ヶ原。そう阿良々木を責めてやるな。俺だってこんな所、来たくはなかったさ。俺はただ、金になりそうな話があると忍野のやつから聞いただけだ」
「……。……そう。詐欺師には詐欺師で対抗するというわけね」
「随分と気持ちの良いことをやってくれるじゃないか戦場ヶ原」
「黙りなさい。阿良々木くんにはこいつが来たわけを説明させてから五回くらい死んでもらうとして、今はインキュベーターが先決よ」
え、僕五回死ぬの!?
「まあ戦場ヶ原。そう阿良々木を責めてやるな。俺だってこんな所、来たくはなかったさ。俺はただ、金になりそうな話があると忍野のやつから聞いただけだ」
「……。……そう。詐欺師には詐欺師で対抗するというわけね」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 18:06:10.23 ID:cvqqySIz0
貝木は部屋を見回すと、羽川、ついでキュゥべえに目をやった。僕は、貝木を羽川に紹介したくなくて、とりあえずキュゥべえを紹介することにした。
「貝木泥舟。こいつはキュゥべえ。かよわい少女を騙して絶望に追いやる詐欺師だ」
「キュゥべえ。こいつは貝木泥舟。かよわい少女を騙して絶望に追いやる詐欺師だ」
「……結構な紹介じゃないか。別に異存もないのだが」
「僕は異存あるなあ。僕はただ、君達に―」
「ほう。喋るぬいぐるみか。金にならんでもない」
貝木が遮る。言葉の節々から不吉な空気が溢れている。
「では、キュゥべえよ。俺とひとつ、力比べといこうか―」
黒い詐欺師と白い詐欺師の、本気の戦いが始まろうとしている。そして何より。
「―騙されたことも分からぬくらいに、騙してやろう」
貝木が『キュゥべえ』と呼ぶのは、似合わない。
「貝木泥舟。こいつはキュゥべえ。かよわい少女を騙して絶望に追いやる詐欺師だ」
「キュゥべえ。こいつは貝木泥舟。かよわい少女を騙して絶望に追いやる詐欺師だ」
「……結構な紹介じゃないか。別に異存もないのだが」
「僕は異存あるなあ。僕はただ、君達に―」
「ほう。喋るぬいぐるみか。金にならんでもない」
貝木が遮る。言葉の節々から不吉な空気が溢れている。
「では、キュゥべえよ。俺とひとつ、力比べといこうか―」
黒い詐欺師と白い詐欺師の、本気の戦いが始まろうとしている。そして何より。
「―騙されたことも分からぬくらいに、騙してやろう」
貝木が『キュゥべえ』と呼ぶのは、似合わない。
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 18:07:57.66 ID:1Fa0XB1L0
一行ごとに改行してくれ
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 18:10:23.60 ID:cvqqySIz0
>>34
おk。新参なんで具合が分からん。スマソ
「さてキュゥべえよ。ここは俺の島だ。出て行ってもらおうか」
「ちょっと待ちなさい、貝木泥舟。お前はこの街にいることを許されていないわ」
戦場ヶ原が貝木を睨んだ。
「……歓迎されていないようだね、貝木泥舟。この街の為に戦う理由があるようには見えない」
「だからといってここで退く理由もないな。この街には臥煙の忘れ形見がいる。知人を守ることくらい許されていいはずだろう」
「おやおや、詐欺師らしくない言葉だね。君自身、ここで意地を張って何を得するというんだい?」
「あわよくばお前を捕まえて見世物にするといったところだ」
「本音とは思えないね」
「詐欺師が本音を言うはずもなかろう。
今回のことからお前が得るべき教訓は、詐欺師が対峙する本当の理由など、ただひとつだけということだ。……金だよ」
さすが貝木泥舟だ。インキュベーターに引けを取っていない。
そこへ貝木がにやりと笑う。
「だが、キュゥべえよ。お前ならその理由を満たすことができるかも知れん」
おk。新参なんで具合が分からん。スマソ
「さてキュゥべえよ。ここは俺の島だ。出て行ってもらおうか」
「ちょっと待ちなさい、貝木泥舟。お前はこの街にいることを許されていないわ」
戦場ヶ原が貝木を睨んだ。
「……歓迎されていないようだね、貝木泥舟。この街の為に戦う理由があるようには見えない」
「だからといってここで退く理由もないな。この街には臥煙の忘れ形見がいる。知人を守ることくらい許されていいはずだろう」
「おやおや、詐欺師らしくない言葉だね。君自身、ここで意地を張って何を得するというんだい?」
「あわよくばお前を捕まえて見世物にするといったところだ」
「本音とは思えないね」
「詐欺師が本音を言うはずもなかろう。
今回のことからお前が得るべき教訓は、詐欺師が対峙する本当の理由など、ただひとつだけということだ。……金だよ」
さすが貝木泥舟だ。インキュベーターに引けを取っていない。
そこへ貝木がにやりと笑う。
「だが、キュゥべえよ。お前ならその理由を満たすことができるかも知れん」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 18:13:44.31 ID:cvqqySIz0
「キュゥべえ。お前は、どんな願いでもひとつだけ叶えられると言ったな」
「僕が叶えるのは、第二次性徴期の少女の願いだけだよ」
「それは、少女以外の人間の願いを叶えて、お前達が得られるエネルギーが少ないから、だろう?
俺をここで味方につけることができれば、先々の損得も加えるとかなりの得だと思うが」
待てよ、今こいつがやろうとしているのは……?
「ふふ、交渉成立、だね」
その直後。
貝木が羽川の方に向かって走り出し、あっという間に羽川を捕まえると、どこからともなくナイフを取りだした。
「さあ、戦場ヶ原よ。形勢は逆転した。俺はキュゥべえに付くこととしよう。
この少女を殺されたくなければ、まずは手始めにお前が魔法少女になるんだ。
この少女を解放することを願って、な」
僕達は。二人の詐欺師に、まんまと騙されたのである。
「僕が叶えるのは、第二次性徴期の少女の願いだけだよ」
「それは、少女以外の人間の願いを叶えて、お前達が得られるエネルギーが少ないから、だろう?
俺をここで味方につけることができれば、先々の損得も加えるとかなりの得だと思うが」
待てよ、今こいつがやろうとしているのは……?
「ふふ、交渉成立、だね」
その直後。
貝木が羽川の方に向かって走り出し、あっという間に羽川を捕まえると、どこからともなくナイフを取りだした。
「さあ、戦場ヶ原よ。形勢は逆転した。俺はキュゥべえに付くこととしよう。
この少女を殺されたくなければ、まずは手始めにお前が魔法少女になるんだ。
この少女を解放することを願って、な」
僕達は。二人の詐欺師に、まんまと騙されたのである。
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 18:16:36.14 ID:cvqqySIz0
007
窓際には白い影と黒い影。それに挟まれた羽川翼。
白と黒。二つの人格をもつ少女が、人質に取られていた。
「お前!卑怯にもほどがある!」
僕は叫んだ。羽川が、羽川が!
「なんとでも言え。俺は詐欺師だからな。お前こそ、この少女の紹介を怠ったのは、
まるで俺から自己紹介しろという前ふりのようなものじゃないか」
羽川が!ああ、羽川が!
「そういうわけだ、お嬢さん。俺は貝木泥舟。
かよわい少女を騙して絶望に追いやる詐欺師だ」
「……羽川翼、です。私立直江津高校三年生です」
窓際には白い影と黒い影。それに挟まれた羽川翼。
白と黒。二つの人格をもつ少女が、人質に取られていた。
「お前!卑怯にもほどがある!」
僕は叫んだ。羽川が、羽川が!
「なんとでも言え。俺は詐欺師だからな。お前こそ、この少女の紹介を怠ったのは、
まるで俺から自己紹介しろという前ふりのようなものじゃないか」
羽川が!ああ、羽川が!
「そういうわけだ、お嬢さん。俺は貝木泥舟。
かよわい少女を騙して絶望に追いやる詐欺師だ」
「……羽川翼、です。私立直江津高校三年生です」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 18:19:08.56 ID:cvqqySIz0
「戦場ヶ原さん。私のことはいいから、絶対に契約しちゃ駄目だよ」
羽川はなおも言葉をつなぐ。健気に。
「絶対、魔法少女になっちゃ、駄目!」
「無駄だ羽川。阿良々木に会う前の戦場ヶ原ならいざ知らず、
今の戦場ヶ原にはお前を見捨てるような度胸はない。
あいつは、つまらない女になり下がったのだ」
戦場ヶ原は。ゆっくりと目を閉じて。大きく息を吸い込んで、答えた。
「……ええ。その通りよ。けれど、それがつまらない女だとは、思わないわ」
「……戦場ヶ原さん?そんな、駄目だよ?」
「羽川さんはいつもそうやって、皆のことを庇うのね。
自分を蔑ろにしてまで。素敵だけれど、私は」
羽川さんのそういう所、嫌いよ。と。戦場ヶ原はそう言って、目を開ける。
その瞳には決意が宿っていた。
羽川はなおも言葉をつなぐ。健気に。
「絶対、魔法少女になっちゃ、駄目!」
「無駄だ羽川。阿良々木に会う前の戦場ヶ原ならいざ知らず、
今の戦場ヶ原にはお前を見捨てるような度胸はない。
あいつは、つまらない女になり下がったのだ」
戦場ヶ原は。ゆっくりと目を閉じて。大きく息を吸い込んで、答えた。
「……ええ。その通りよ。けれど、それがつまらない女だとは、思わないわ」
「……戦場ヶ原さん?そんな、駄目だよ?」
「羽川さんはいつもそうやって、皆のことを庇うのね。
自分を蔑ろにしてまで。素敵だけれど、私は」
羽川さんのそういう所、嫌いよ。と。戦場ヶ原はそう言って、目を開ける。
その瞳には決意が宿っていた。
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 18:21:26.86 ID:cvqqySIz0
「さすがは詐欺師だね。まさか先に戦場ヶ原ひたぎと、
しかもこんなにも手際よく契約できるとは思わなかったよ。
さあ、戦場ヶ原ひたぎ。ひとつだけ、叶えてあげよう。
君は何を願って、魔法少女になるんだい?」
戦場ヶ原ひたぎ。僕の彼女が。人間でなくなる瞬間。
その瞬間にさえ、無力で何もできない僕。
戦場ヶ原は、再びゆっくりと息を吸い込んで、そして。にやりと笑った。
詐欺師のように。
「インキュベーター。その願いとやらを、
いくつでも叶えられるようにしなさい」
戦場ヶ原ひたぎの、反撃が始まった。
しかもこんなにも手際よく契約できるとは思わなかったよ。
さあ、戦場ヶ原ひたぎ。ひとつだけ、叶えてあげよう。
君は何を願って、魔法少女になるんだい?」
戦場ヶ原ひたぎ。僕の彼女が。人間でなくなる瞬間。
その瞬間にさえ、無力で何もできない僕。
戦場ヶ原は、再びゆっくりと息を吸い込んで、そして。にやりと笑った。
詐欺師のように。
「インキュベーター。その願いとやらを、
いくつでも叶えられるようにしなさい」
戦場ヶ原ひたぎの、反撃が始まった。
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 18:24:05.90 ID:cvqqySIz0
「聞いていなかったのかい、戦場ヶ原ひたぎ。
僕が叶える願いは、たったひとつだけだ」
「ええ。そして私はたったひとつだけ、願ったわ。
いくつでも叶えられるようにしろ、と。
その願いは、紛れもなくたったひとつの願いよ」
「そんな馬鹿ないいわけが通じると思っているのかい?そんな、幼稚な―」
「幼稚だから、その願いは願ってはいけないと、誰が決めた?」と不吉な声。
気がつくと、隣には。解放された羽川と、貝木、泥舟。
史上最強の詐欺師だった。
「貝木泥舟、君って奴は……!」
「言っただろう。騙されたことも分からぬくらいに騙してやろう、と。
今回のことからお前が得るべき教訓は、
詐欺師を一瞬でも信じたら奈落の底に堕ちる、ということだ」
僕が叶える願いは、たったひとつだけだ」
「ええ。そして私はたったひとつだけ、願ったわ。
いくつでも叶えられるようにしろ、と。
その願いは、紛れもなくたったひとつの願いよ」
「そんな馬鹿ないいわけが通じると思っているのかい?そんな、幼稚な―」
「幼稚だから、その願いは願ってはいけないと、誰が決めた?」と不吉な声。
気がつくと、隣には。解放された羽川と、貝木、泥舟。
史上最強の詐欺師だった。
「貝木泥舟、君って奴は……!」
「言っただろう。騙されたことも分からぬくらいに騙してやろう、と。
今回のことからお前が得るべき教訓は、
詐欺師を一瞬でも信じたら奈落の底に堕ちる、ということだ」
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 18:26:05.83 ID:cvqqySIz0
「戯言だ!こんな契約は無効だよ!」
キュゥべえが叫ぶ。
「残念ながら戯言ではなくて化物語よ。
それに契約が無効かどうか、ご覧なさいな」
戦場ヶ原の手にはソウルジェム。戦場ヶ原は、
白とライラックのドレスを着ていた。
「髪を切る前の方が似合ってたと思うけど、まあ仕方ないか。
cosya様より定価12800円で販売されてるよー」と、羽川。
「まずは、手始めに、百万円をここに。……受け取りなさい、貝木」
戦場ヶ原の袖から厚みを帯びた茶封筒が出てくると、それを貝木が受け取った。
キュゥべえが叫ぶ。
「残念ながら戯言ではなくて化物語よ。
それに契約が無効かどうか、ご覧なさいな」
戦場ヶ原の手にはソウルジェム。戦場ヶ原は、
白とライラックのドレスを着ていた。
「髪を切る前の方が似合ってたと思うけど、まあ仕方ないか。
cosya様より定価12800円で販売されてるよー」と、羽川。
「まずは、手始めに、百万円をここに。……受け取りなさい、貝木」
戦場ヶ原の袖から厚みを帯びた茶封筒が出てくると、それを貝木が受け取った。
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 18:27:40.07 ID:cvqqySIz0
「じゃあ、インキュベーター。さっさとアニメの世界に戻りなさい」
戦場ヶ原はなおも願う。
「そして、私、魔法少女を辞めて人間に戻るわ」
ソウルジェムが消え去る。
「そこの襖も、元に戻して頂戴」
襖が、きっちりとはまりこむ。
「最後に、願いがなんでも叶うこの馬鹿な物語を、終わりにして」
窓際からはキュゥべえが消え去り。
部屋には貝木、羽川、戦場ヶ原と僕の四人だけになったのだった。
戦場ヶ原はなおも願う。
「そして、私、魔法少女を辞めて人間に戻るわ」
ソウルジェムが消え去る。
「そこの襖も、元に戻して頂戴」
襖が、きっちりとはまりこむ。
「最後に、願いがなんでも叶うこの馬鹿な物語を、終わりにして」
窓際からはキュゥべえが消え去り。
部屋には貝木、羽川、戦場ヶ原と僕の四人だけになったのだった。
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 18:29:52.33 ID:cvqqySIz0
「戦場ヶ原。あの願いは……?」
「さっき玄関先で貝木から言われたの」
「一回裏切ってキュゥべえの隙を作るから、そこでこの台詞を言え、
あとは俺が言いくるめてやる、と。我ながら見事なものだろう、阿良々木?」
「……用が済んだら出て行け。この詐欺師め」
「ふん。理不尽な扱いだな。
忍野には温かく迎えるように言っておいたのに」
「この扱いで当然だ。
キュゥべえの言った通り、お前は歓迎されていない」
「阿良々木よ。世の中に当然なことなど何一つない。
世の中は、常に理不尽なものだ。
では、戦場ヶ原が本気で俺を殺そうとする前に、失礼するとしよう」
そう言って。黒い詐欺師は帰っていったのだった。
「さっき玄関先で貝木から言われたの」
「一回裏切ってキュゥべえの隙を作るから、そこでこの台詞を言え、
あとは俺が言いくるめてやる、と。我ながら見事なものだろう、阿良々木?」
「……用が済んだら出て行け。この詐欺師め」
「ふん。理不尽な扱いだな。
忍野には温かく迎えるように言っておいたのに」
「この扱いで当然だ。
キュゥべえの言った通り、お前は歓迎されていない」
「阿良々木よ。世の中に当然なことなど何一つない。
世の中は、常に理不尽なものだ。
では、戦場ヶ原が本気で俺を殺そうとする前に、失礼するとしよう」
そう言って。黒い詐欺師は帰っていったのだった。
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 18:31:04.90 ID:cvqqySIz0
「……それで、戦場ヶ原さんは、全てを知っていて。え、じゃああれ全部演技!?」
「羽川さんの眼すら騙すことができたようで、嬉しいわ」
戦場ヶ原ひたぎ。つくづく恐ろしい女である。
「羽川さんの眼すら騙すことができたようで、嬉しいわ」
戦場ヶ原ひたぎ。つくづく恐ろしい女である。
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 18:32:22.98 ID:cvqqySIz0
008
後日談。というか、今回のオチ。
数日後、何事もなかったかのように街を徘徊している八九寺真宵を見かけて、僕は正面から声をかけた。
「ようキュゥべえ」
「なんだい阿良々木暦……ぅゎ、間違えた―」
はい、有罪確定。
「やっぱお前だったのかよ!!」
「え、ええ?……なんのことですかねー?」
「しらばっくれんじゃねえ!いや、なんか声が似てるなーとか薄々思ってたんだよ!」
「きゃぁ!?やめてください阿良々木さん!私のせいじゃないんです!」
後日談。というか、今回のオチ。
数日後、何事もなかったかのように街を徘徊している八九寺真宵を見かけて、僕は正面から声をかけた。
「ようキュゥべえ」
「なんだい阿良々木暦……ぅゎ、間違えた―」
はい、有罪確定。
「やっぱお前だったのかよ!!」
「え、ええ?……なんのことですかねー?」
「しらばっくれんじゃねえ!いや、なんか声が似てるなーとか薄々思ってたんだよ!」
「きゃぁ!?やめてください阿良々木さん!私のせいじゃないんです!」
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 18:35:16.07 ID:cvqqySIz0
「じゃああれはなんだって言うんだこの野郎!」
「いや、ちょっと仕事終わりに新房監督とスタッフの方と
私、八九寺Pで話していたらですね」
「……もうなんか色々崩壊している気がするけれど、それで?」
「ちょっとこういうおふざけもやって見たくね?という流れに至って」
「結局シャフトの陰謀か!」
「機会があれば絶望先生なんかも絡ませていきたいな、と」
「結局僕と千和じゃねえか!」
「いや、ちょっと仕事終わりに新房監督とスタッフの方と
私、八九寺Pで話していたらですね」
「……もうなんか色々崩壊している気がするけれど、それで?」
「ちょっとこういうおふざけもやって見たくね?という流れに至って」
「結局シャフトの陰謀か!」
「機会があれば絶望先生なんかも絡ませていきたいな、と」
「結局僕と千和じゃねえか!」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 18:37:10.48 ID:cvqqySIz0
「みゆきち様もですよ、おっぱい党党首さん」
「人を大きいのも小さいのもすべからく好きな中の人みたいに言うな、
僕の名前は阿良々木だ」
「失礼。噛みました」
「わざとだ……」
「かみまみた!」
「わざとじゃないッ!?」
「かみやひろC!」
「結局僕かよ!」
嘘物語『ひたぎホムホム』
-終わり-
「人を大きいのも小さいのもすべからく好きな中の人みたいに言うな、
僕の名前は阿良々木だ」
「失礼。噛みました」
「わざとだ……」
「かみまみた!」
「わざとじゃないッ!?」
「かみやひろC!」
「結局僕かよ!」
嘘物語『ひたぎホムホム』
-終わり-
60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 18:42:54.70 ID:8d1KX8/v0
乙
良いと思うよこういうオチも
いっそみんな魔法少女になったほうが良かったけどね
良いと思うよこういうオチも
いっそみんな魔法少女になったほうが良かったけどね
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