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ドラッグ オン ドラグーン3 討鬼伝

ラウラ「明日は良い日になるようだ」




3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 20:59:10.74 ID:pkOTiGwF0


シャル「明日は良いことあるといいな」

鈴「明日は良いことあるわよね!」



これのラウラ視点になってます

細かいとことオチ以外はこれだけ読んでも大丈夫なはず






4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 21:00:39.95 ID:pkOTiGwF0


クラリッサ『――受諾。クラリッサ・ハルフォーフ大尉です』



ラウラ「ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐だ」



クラリッサ『隊長、此度はいかがされたのですか?』



ラウラ「織斑一夏のことで相談がある。知恵を貸してほしい」



クラリッサ『隊長の想い人についてですね、お任せ下さい! また何か問題でも?』



ラウラ「う、うむ。今回はだな――」



クラリッサ『まさか織斑一夏とうまくいっていない、のではないでしょうか』



ラウラ「っ!? な、何故それを!」



クラリッサ『この時期に催し事はないはずなので、日常生活で問題が発生したのではと思いまして』



ラウラ「……さすがだな。いや、正確にはうまくいっていないというわけではないのだが」



クラリッサ『と、仰りますと?』



ラウラ「どうも最近、嫁が忙しそうにしていてな。構ってもらえないのだ」



クラリッサ『』



ラウラ「どうした?」






6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 21:02:20.81 ID:pkOTiGwF0


クラリッサ『い、いえ。しかし……隊長、これは未曾有の大問題です。どうしてもっと早く……!』



ラウラ「!?」



クラリッサ『隊長、お気をたしかにお持ちください。ですが……このままでは』



ラウラ「ク、クラリッサ! 御託はいい、私と一夏の間に一体何が起こっている!?」



クラリッサ『その前に、隊長。織斑一夏が忙しそうにしていると仰っていましたが』



ラウラ「ああ、昼休みも放課後も一人で過ごすようになってしまってな。探しても見つからんのだ」



ラウラ「飯時にもなかなか見当たらず、一緒にいることが少なくなった。まるで避けられているかのようにな」



クラリッサ『……くっ、織斑一夏め。隊長というものがありながら!』



ラウラ「クラリッサ?」



クラリッサ『――はっ! 失礼しました。……今回の問題点を簡潔に申し上げますと』



ラウラ「……うむ」



クラリッサ『織斑一夏に新たな女ができた、と思われます』



ラウラ「……」



クラリッサ『隊長……』



ラウラ「なん……だと……?」






7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 21:05:05.92 ID:pkOTiGwF0


ラウラ「女? 女だと? 私がいるというのに、新しい……女?」



クラリッサ『ええ。恐らく人目を避けて密会しているのでしょう』



ラウラ「そんな……う、嘘だ……」



クラリッサ『織斑一夏も所詮は一匹の雄だったということです』



ラウラ「くっ……」



クラリッサ『女性に興味がないのかと考えを巡らせたこともありますが、立派な雄のようですね』



ラウラ「わ、私はどうすればいい……どうしたら一夏は……」



クラリッサ『お言葉ですが隊長。織斑一夏はどうやら、今の隊長を見限ったということになります』



ラウラ「っ……」



クラリッサ『しかし、それはあくまで今の隊長をです。隊長が変われば、織斑一夏もきっとなびいてくるしょう』



ラウラ「変わる? 私が?」



クラリッサ『女の魅力はたとえ些細な変化でも一段と増すものです。ご安心ください、隊長には我々がついています!』






9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 21:07:22.51 ID:pkOTiGwF0


ラウラ「……いいだろう。あの浮気者に一泡吹かせるつもりでいくぞ」



クラリッサ『さすがは隊長! 早速ですが、提案があります』



ラウラ「何だ?」



クラリッサ『聞くところ、織斑一夏はあまり細かいことに気が付かない男性でしたね』



ラウラ「そうだな。私を含め、一夏の唐変木ぶりにはみな呆れているくらいだ」



クラリッサ『そのような男性には、小手先のアピールでは何の効果もありません』



ラウラ「どういうことだ?」



クラリッサ『少し髪を切ったとか、普段と違う香水をつけている、なんてことをしても無意味なのです』



ラウラ「なるほど。一夏にもわかりやすく変わる必要があるのか」



クラリッサ『そういうことになりますね』



ラウラ「しかし、あいつのことだ。私の変化に気付いても、怪訝に思うだけではないだろうか」



クラリッサ『それについてはご心配なく。日本には「ギャップ萌え」という偉大な文化がありますので』






10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 21:10:03.32 ID:pkOTiGwF0


ラウラ「ギャップ……萌え?」



クラリッサ『そうです! 先日の臨海学校の件を思い出してください』



ラウラ「う、うむ。あの時は水着を相談したのだったな」



クラリッサ『彼の反応はいかがでしたか?』



ラウラ「そ、そうだな。髪をシャルロットにセットしてもらったことも相まってか、その……」



ラウラ「似合う、と言われたな。か、可愛いとも……」



クラリッサ『そうでしょう、そうでしょう! フッ、私の見立てに狂いはなかった……!』



ラウラ「……クラリッサ?」



クラリッサ『隊長にはどう見てもまだ早――ゴホン、背伸びをしているかのようなセクシー路線を敢えて選びました』



ラウラ「敢えて、だと?」



クラリッサ『ええ、ポイントは本来ならば身の丈に合っていなかったということです』



ラウラ「それではむしろマイナスになると思うのだが」



クラリッサ『ところが! その不釣り合いさがプラスに働いてしまうのが「ギャップ萌え」の真髄なのです!』



ラウラ「おお……! だから一夏も珍しく褒めてくれたのか!」



クラリッサ『間違いないでしょう。髪についても、いつもと違う隊長が演出されてさらに得点アップだったことでしょうね』






11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 21:12:59.12 ID:pkOTiGwF0


ラウラ「シャルロットには改めて礼を言う必要があるな」



クラリッサ『良いご友人をお持ちになられたのですね、隊長』



ラウラ「ああ。かつてはいがみ合ったものだが、こんな私にもよくしてくれる……」



クラリッサ『隊長?』



ラウラ「……シャルロットだけではない。今の私の周りには気が付けば人がいる」



クラリッサ『「ドイツの冷氷」も織斑一夏を前に、氷解してしまわれたようですね』



ラウラ「ふっ、そのようだ。――そうか、私でもこれだけ変わることが出来るのだな」



クラリッサ『ええ、もちろんです。隊長ならば必ずや、彼を振り向かせられますとも!』



ラウラ「一夏の奴め、私を蔑ろにしたことを後悔させてやる!」



クラリッサ『その調子です、隊長! では、今回の作戦についてですが――』






13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 21:15:39.48 ID:pkOTiGwF0


ラウラ「……」



ラウラ「歳相応の少女らしさをみせろ、か」



ラウラ「難題だな。一体何を少女らしさというのかまるで思い付かないぞ……」



ラウラ(具体策まで提示させるべきだったか。いや、クラリッサに甘え過ぎだな。自力で解決せねば)



ラウラ(クラリッサは言っていた。私らしさがあって初めてギャップが生じるのだと)



ラウラ(私にとって少女らしさがギャップになるというが、そもそも私とは何だ?)



ラウラ(良い機会だ。今の私が何者か、それも考えてみるとしよう)



ラウラ「……今の私、か」



ラウラ「歳も同じなのだ、あいつらから学べることも多いだろう」



ラウラ「まずは情報収集だ。シャルロット達の力を借りよう。実行に移すのはそれからだな」






14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 21:18:04.63 ID:pkOTiGwF0


ラウラ(部屋に戻ればシャルロットには会える。他の者から探してみるか)



ラウラ(……む、あそこにいるのは鈴か? ちょうどいい)



ラウラ「鈴、私だ。待ってくれ――鈴っ」



ラウラ(聞こえていないのか? もっと近付いてみよう)



ラウラ「鈴、こっちだ。聞いているのか?」



鈴「――いたずら――……」ブツブツ



ラウラ(考え事をしていたのか。いたずら、ふむ) トントン



鈴「次の……――……専用機持ち――」ブツブツ



ラウラ(? 何を言っているんだ?)



ラウラ「……おい、無視をするな」



鈴「――えっ? あ、えっと、ら、ラウラ!?」



ラウラ「何故うろたえる。遠くから声を掛けても聞こえていないようだったが」



鈴「あ、あはは……。考え事に夢中になってたのよ、悪かったわね」



ラウラ「それと、専用機持ちがどうとか口から漏らしていたが。何の話だ?」



鈴「こ、こっちの話よ! それよりあたしに用でもあるの?」






16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 21:20:47.85 ID:pkOTiGwF0


ラウラ(いつになく挙動不審だな。もっと正直な奴だと思っていたが)



ラウラ「ふむ……まあいい。お前に聞きたいことがあるのだ」



鈴「そ、それって今じゃなきゃだめ?」



ラウラ(早いに越したことはないが……)



ラウラ「火急という程ではないな」



鈴「そっかー。じ、じゃあまた今度にしてくんない? 今あたし、それどころじゃないのよ」



ラウラ「そうなのか?」



鈴「そうなの、ごめん! 埋め合わせはするから、それじゃっ!」タタッ



ラウラ「あっ……やれやれ、どうしたというのだ。あれでは情報戦で使い物にならないぞ」



ラウラ(……いや、待てよ? 女は秘密の一つや二つ持っているべきだとクラリッサから聞いたことがあるな)



ラウラ(簡単には口を割らないことで興味を引かせるという手法か。……考え過ぎか?)



ラウラ(仕方ない、他をあたろう。鈴には後ほど改めて尋ねてみるか――)






17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 21:23:02.46 ID:pkOTiGwF0


ラウラ(セシリアの部屋はこの辺のはずだが。むっ?)



ラウラ「――セシリア。ちょうどよかった」



セシリア「ひっ! ……って、ラウラさんでしたか。驚きましたわ……」



ラウラ「私がお前に声を掛けるのはそんなに意外か?」



セシリア「い、いえ! そうではなくて、誰かに呼び止められるとは思っていなかったので……」



ラウラ(鈴といい、どうも様子がおかしいな。気のせいならいいのだが)



セシリア「ところで、どうされましたの? わたくしに何か御用でも?」



ラウラ「ああ、尋ねたいことがあってな。時間はあるか?」



セシリア「え、ええっと……その、少しでしたら」



ラウラ「そうか。では手短に聞こう。実はな――」






18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 21:25:44.50 ID:pkOTiGwF0


セシリア「――つまり、女性らしさを身に付けたいということでよろしいですか?」



ラウラ「そうだ。私はその手の話に疎いのでな、参考にしたい」



セシリア「貴女がそのようなことを……ふふっ。それこそ意外でしたわね」



ラウラ「わ、笑うな! 柄ではないことくらい承知している!」



セシリア「いえ、貴女を笑ったわけではありませんわ。ただ……変わるものですわねぇ」



ラウラ「……私もそう思う」



セシリア「女は恋をすればたちまち変わってしまうものです。貴女も例に漏れず、ね」



ラウラ「むぅ……何やらこそばゆいな。は、早く教えてもらえないだろうか」



セシリア「そうでしたわね。女性らしさ……女性としての教養……」



ラウラ「……どうだ?」



セシリア「音楽などはいかがですか? わたくしでしたら弦楽器、それとピアノを少々嗜んでいますが」



ラウラ「音楽、か」






20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 21:28:12.18 ID:pkOTiGwF0


セシリア「わたくしでよければ少しなら見て差し上げますけど」



ラウラ「……だめだ、ものにするまで時間が掛かる。音楽について何も知らないしな」



セシリア「そうですか。ラウラさんがすぐにでも手を出せそうなもの――」



ラウラ「私にもすぐ実行出来そうなこと、ないか?」



セシリア「ええと……そうですわ! 占いなんていかがでしょうか?」



ラウラ「占い?」



セシリア「占いでしたら興味のある女性は多いでしょうし、種類も豊富で手間をかけずに結果が出るものもありましてよ」



ラウラ「ほう。占いか……それなら私でも手を出しやすそうだな」



セシリア「お役に立てましたか? わたくしはそろそろ行かなければならないところが……」



ラウラ「うむ、十分だ。引き止めて悪かったな」



セシリア「いえいえ。ではわたくしはこれで――」







ラウラ(そうか、占いを好めば年頃の少女らしくなるのだな。追って調査をする必要がありそうだ)



ラウラ(次は箒に尋ねてみるか。それからシャルロットに相談しよう)






21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/17(日) 21:30:20.66 ID:pkOTiGwF0


ラウラ「箒、私だ」コンコン



ラウラ「……」



ラウラ「部屋にいないのか? だとすれば――」



ラウラ(たしか箒は織斑教官と同じく剣道の使い手だったか。部活動中かもしれんな)



ラウラ(なに、またチャンスはあるだろう。一度部屋に戻るか)







ラウラ「シャルロットはいるか?」



ラウラ(最近のシャルロットは目に見えて士気が低かったのが気掛かりではあるが)



シャル「あ、おかえりー。僕に用事?」



ラウラ「うむ、聞きたいことがあるのだ。その後に相談に乗ってほしいのだが」



シャル「うん、いいよ! えへへ、ラウラから頼ってきてくれるなんて珍しいね?」



ラウラ「まあ、な。その……できれば笑わずに聞いてほしい」



ラウラ(シャルロットの奴、調子が戻ったようだな。今なら期待できそうだ)



23 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [16/59回(PC)]
ラウラ「――というわけなのだが」



シャル「ラウラがそんなことを考えてたなんてねぇ。ふふっ、なんだか嬉しいなぁ」



ラウラ「どうしてシャルロットが嬉しがる?」



シャル「だって、ラウラはせっかくかわいいのに、もったいないなーっていつも思ってたんだよ?」



ラウラ「むぅ……この前二人で買い物をしに行った時もやたらとはしゃいでいたな」



シャル「うん。この際にって張り切っちゃった。ラウラにはもっといろんな事を知ってほしいな」



ラウラ「私が持っている知識など、戦いに関わることについてくらいだからな」



シャル「それだけじゃやっぱり寂しくない? あ、ラウラがこれまで歩いてきた道を否定してるわけじゃなくてね」



シャル「その……ラウラはIS学園での生活はどう? 故郷での生活と比べてさ」



ラウラ「ここでの生活か。……ここに来た当初は、周りの人間が全て不快に感じていた」



ラウラ「それがまるで嘘のように、すっかり順応してしまったものだ」



ラウラ「私はラウラ・ボーデヴィッヒである。そう、心に刻んでからは――」



ラウラ(織斑教官には本当に感謝している。ドイツだけでなく日本でも、私に大切なことを教えてくれた)



ラウラ(そして、織斑教官の実の弟――織斑一夏。不思議なものだ、姉弟揃って私に多大な影響を及ぼしてくれる)



ラウラ「私は、ここに来てよかった。知らないことが多すぎて刺激が強い時もあるがな」




24 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [17/59回(PC)]
シャル「そっか。それは……良かったね。僕もこの学園に来て、毎日が凄く充実するようになったんだ」



ラウラ「シャルロットもか。……、あー、その、な」



シャル「どうしたの?」



ラウラ「……礼を言う。私が今の生活を気に入ることが出来たのは、お前のおかげでもある」



シャル「ふぇっ!? な、何言ってるんだよラウラ! そんな、僕は何もしてないよ!」



ラウラ「そう謙遜するな。私のような棘ばかりの人間など、わざわざ見向きもしないだろう」



シャル「そんなことは……でも、たしかに前のラウラは人を寄せ付けないオーラがあったかな」



ラウラ「以前の私を知っていて、なおも私の世話を焼きたがる者がいようとはな」



シャル「みんなだって、ラウラのことを受け入れてるじゃない?」



ラウラ「それもそうだが、シャルロットがその一助になっていたのは言うまでもない」



シャル「……あ、あはは。なんだか照れちゃうね。そんなつもりはなかったんだけどな」



ラウラ「調和は意図せずに取れるものではないぞ。私がいい例だ。そうだろう?」



シャル「さあ、どうだろうね。僕だって一夏を見習っただけかもしれないし」



ラウラ「一夏? ……ああ、VTシステムの時か」




25 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [18/59回(PC)]
シャル「一夏って凄いよね。あの時はエネルギーもほとんど残ってなかったのに、それでもラウラを止めに入ろうとしたんだよ?」



ラウラ「愚直で無謀な男だな、あいつは」



シャル「でも、俺がやらなきゃいけないんだって、真剣だったんだ」



ラウラ「ほう……」



シャル「僕も一夏も、ラウラを倒すべき敵だって思いながら戦ってたのにさ」



シャル「少なからず憎いと思って倒した相手を、自分で助けようなんて普通は思わないよね」



ラウラ「……」



ラウラ「それが、あいつの……あの人達の強さだからな」



ラウラ(守ってやる、か。私だって、それまで憎しみしか感じなかった相手に、そんなこと言われるとは思わなかった)



ラウラ(いや、そうでなくとも……誰かに心から守ってやるなどと言われた覚えは、一度もない)



ラウラ(……恋だの愛だの、私にはよくわからないが――そんな私でさえ惚れてしまうほどの言葉だった)



シャル「ねぇ、ラウラ。話を戻すけど、一夏のために女の子っぽく振舞いたいんでしょ?」



ラウラ「!? は、はっきりと言うな! 笑うなとは言ったが、まったく……!」




26 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [19/59回(PC)]
シャル「えへへ、ごめんね? そうだなぁ、僕なんかの意見でもいいの?」



ラウラ「当然だ。もっと自信を持つといい」



シャル「んー、それならだけどさ、一夏にもわかるようにってところを重視すると」



ラウラ「うむ」



シャル「見た目を変化させるなら、やっぱり普段はしない格好じゃないと気付いてもらえないんだよね」



ラウラ「そうだな。臨海学校でそれはよくわかった」



シャル「たとえばこの前僕がプレゼントした猫のパジャマとか。一夏、ラウラも僕もかわいいって言ってくれたし」



ラウラ「あれか。……あれを就寝前に必ず着用するのは避けたいところだが」



シャル「たまにでいいよ。あのパジャマみたいにかわいい服を着ようって話だから」



ラウラ「どういうことだ?」



シャル「あのねラウラ。ギャップもいいけど、まずは普通にオシャレをしよう!」



ラウラ「」




27 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [20/59回(PC)]
ラウラ「お、オシャレ? 私がか?」



シャル「他に誰がいるの? ……言っておくけど、プライベートでも制服なんて一夏に笑われちゃうよ?」



ラウラ「むぅ……そんなことは、一夏が私を笑うなど……」



シャル「うん。たしかに一夏はそんなことしないと思うけど、心の中でどう思ってるのかなぁ」



ラウラ「そ、そんなになのか? ……いや、たしかに自分を着飾ろうとはあまりしてこなかったが」



シャル「女の子なら、いくつになっても着飾らなきゃだめだよ。少しでも自分を良く見せなきゃ損しちゃう」



ラウラ「損までするのか……思っていたより事態は深刻のようだ」



シャル「そうだよ。ほら、この前一緒に買った服、一夏にお披露目したの?」



ラウラ「まだだが……」



シャル「着れる時に着ないと、チャンスを逃していくばかりだよ。今度見せに行こう、ね?」



ラウラ「そ、そうだな。明日は休日だし、一夏とも少しくらいはコンタクトを取れるだろう」



シャル「あ、明日!? 明日はちょっと……ごめん、用事があって付いててあげられないんだ」



ラウラ「そうか、それなら仕方ない。次の機会にするとしよう」



シャル「うん……ラウラ、本当にごめんね?」



ラウラ「? そこまで気にするな、お前にもいろいろあって当然だ」










29 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [21/59回(PC)]
シャル「服装はともかく、髪型はどうかな? ラウラなら髪も長いしさ」



ラウラ「髪か。臨海学校では世話になったな」



シャル「ううん、かわいかったからいいよ。今度は一人で出来るようになろう?」



ラウラ「あれをか? ……手間のかからない方が私としては好ましいのだが」



シャル「えー、もったいないなぁ。でも毎朝セットするのは大変かもね」



ラウラ「ああ。手軽なのがいい。シャルロットのようにな」



シャル「僕? あー、これね。もともと男装しててもおかしくないようにしてただけなんだけど」



ラウラ「手を抜いていたわけではなかったのか」



シャル「えっ、そう見える!? うーん、僕もたまには髪型変えてみようかなぁ……」



ラウラ「今の髪型も似合っていると思うが?」



シャル「あ、ありがとう。でも……うー、一夏には女の子っぽく見えなかったりするのかな」



ラウラ(シャルロットも惚れた男のことを気にして見た目を悩むのか。なるほど)



ラウラ(少しずつだが、少女らしさというものが見えてきたな)




30 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:2J2J1HyGO [2/2回(携帯)]
さすが妾の子は腹黒い




31 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [22/59回(PC)]
シャル「それじゃあポニーテールでどうかな? これなら女の子っぽいし、簡単だよ?」



ラウラ「ポニーテールか。……私に似合うだろうか」



シャル「大丈夫だよ。ほら、これ使っていいからさ。やってみよう」



ラウラ「う、うむ。変なところがあったら指摘してくれ」







ラウラ「意外とコツがいるのだな。こうか?」



シャル「うーん、もうちょっとこう、うん。そうそう――」







ラウラ「……」



シャル「かわいい……とても似合ってるよ、ラウラ!」



ラウラ「自分では判断のしようがないな……」



シャル「せっかくだし一夏に見せてあげたいね。あ、じゃあ今からついでにこの前買った服に着替えようか?」



ラウラ「そ、そこまでしなくていい! それに、最近の一夏はどこを探そうとも見つからないからな」



シャル「うーん、そうだね。制服以外であちこち歩くのもまずいし。一夏は最近一人で何をしてるんだろう?」



ラウラ(新しい女ができたらしい、という情報は伏せておくか。伝えたところでどうせ私が杞憂に終わらせるのだ)




32 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [23/59回(PC)]
ラウラ「そういえば、セシリアから占いを勧められたのだが」



シャル「占いかぁ。いいんじゃないかな。僕も少し興味あるよ」



ラウラ「種類が豊富と聞いたが、どんなものがあるのだ?」



シャル「んー、たとえばファッション誌とかにも載ってたりするね」



ラウラ「ほう。世間にありふれているようだな」



シャル「本格的な占いをするなら街に出て占い師さんにお願いしないとだけど、敷居が高いものでもないしさ」



ラウラ「そうなのか。出来れば手軽なもので頼みたい」



シャル「あはは、そうだったね。占い、か。小さい頃はよく遊んだなぁ」



ラウラ「子供にも出来るものがあるのか?」



シャル「占いなんてほどのものでもないけど、やったことある人は多いと思うよ」



ラウラ「ちなみにどんな占いなのだ?」



シャル「えっとね、一つは天気を占うもので、男の子がよくやってたかな」



ラウラ「ふむ」



シャル「もう一つは花占いって言ってね、こっちは女の子ならやったことあると思う」



ラウラ「二つもあるのか。そうだな、両方とも教えてほしい」










34 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [24/59回(PC)]
シャル「じゃあ、まずは天気のほうね。やり方は履いてる靴を脱げるように蹴って飛ばすんだ」



ラウラ「そんなことで天気を占えるのか?」



シャル「子供の遊びみたいなものだからね。それで、転がった靴が表向きに止まったら晴れ」



ラウラ「……裏向きに止まったら、雨?」



シャル「そう。横向きになったら曇り、かな。万が一かかとかつま先で立っちゃったらどうしよう?」



ラウラ「その時はその時だ。……しかし、これなら子供でも出来るわけだ。覚えておこう」



シャル「次は花占いっていってね。これは花を積んできて、花びらを抜いて占うんだ」



ラウラ「ほう、これも方法は単純だな。それで何を占うんだ?」



シャル「その時にもよるけど、大体は同じことを占うんじゃないかな。ふふっ」



ラウラ「む? どうした、身に覚えでもあるのか」



シャル「あはは、僕のことはいいから。――うん、好きな人が自分をどう想ってるかを占うんだ」



ラウラ「そ、そうか。子供のうちからそんなことを占うとは……」



シャル「それが女の子ってものだよ。花びらを一枚一枚丁寧に抜きながら、好き、嫌い、好き、ってね」



ラウラ「枚数が減ってきたら結果も見えてしまうんじゃないか?」



シャル「うん。ラウラの言う通りでさ、そんな時は途中で占うのをやめちゃったりして。ずるい、なんて言わないであげてね?」




35 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [25/59回(PC)]
ラウラ「ふむ、子供の遊びというのも頷ける。いい加減なものだな」



シャル「占いなんてそんなものじゃない? でも、ついつい気になっちゃうんだよね」



ラウラ「そうか? 私の知っている占いは根拠に基づいて行うものだが」



シャル「へー、ラウラも占いするんだ。どんな風に占うの?」



ラウラ「故に之を經るに五事を以てし、これを效くには計を以てして、其の情を索む」



シャル「……」



ラウラ「孫氏の兵法だ。戦いには勝敗を占う五つの条件があってだな――」



シャル「あのー、ラウラ? そういうのは今は無しでいこう。軍人モードは女の子っぽくないしさ」



ラウラ「むぅ……しょうがないな。他にはどんな占いがある?」



シャル「メジャーなところだと手相やタロットなんかがあるよね。水晶は……どう使うんだろう?」



ラウラ「水晶はともかく、手相とタロットならさすがに聞いたことはあるぞ」



シャル「風水もそうなのかな? あとは、えっと、易って言うんだっけ。街頭でやってたりするんだってね」



ラウラ「結構あるんだな。どれか一つやってみるとしよう」



シャル「ラウラが占う側なの? ふふっ、ローブを羽織った占い師さんなラウラ、似合いそうだね」



ラウラ「形だけ真似ても仕方がない。まずはやり方を覚えなくてはな」




36 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [26/59回(PC)]
シャル「始めるならタロットはどうかな。この中なら一番神秘的だと思わない?」



ラウラ「私は別にどれでも構わないが、シャルロットがそういうのならばタロットにしよう」



シャル「じゃあ決まりね! まずはカードの準備と占う方法を調べなきゃ」



ラウラ「そうだな、それらを調達してくるとしよう。行ってくる」



シャル「今から行くの? ……大丈夫かな、僕もついてっていい?」



ラウラ「いいのか?」



シャル「うん。ラウラよりは道に詳しいはずだし、必要なものがどこにあるか案内できると思う」



ラウラ「……迷惑をかける」



シャル「気にしないで、僕も好きでやってるんだからさ。それよりお夕飯になるべく遅れないように急がなきゃ」



ラウラ「ああ、急ごう。礼になるかはわからないが、私が占う最初の一人はシャルロットに決めたぞ」



シャル「わっ、それすごく嬉しいよ! 楽しみだなぁ、なおさら早く行かなきゃね!」










38 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [27/59回(PC)]
ラウラ「――シャルロットについてきてもらって正解だった」



シャル「買えてよかったね。カードと解説書がセットで売ってあると思ったけど、あってよかったよ」



ラウラ「私一人では今頃、お前に電話で助けを求めていたかもしれないな。早速この本を紐解くとしよう」



シャル「それより先にご飯を食べに行かない? 寄り道しないで帰ってきたからお腹ペコペコだよ」



ラウラ「それもそうだな。今なら食堂も空きだす頃か、ちょうどいい」







ラウラ「……あそこにいるのは箒か」



シャル「そうみたいだね。席も空いてるようだし声を掛けてみようか」



箒「……」



シャル「箒、ここ空いてる? 一緒に食べようよ」



箒「――ん、なんだシャルロットか。それにラウラも」



ラウラ「座るぞ」



箒「ああ、どうぞ。まだ夕食を取っていなかったのか」



シャル「ちょっと出掛けてたんだ。箒もこんな時間にどうしたの? 部活かな?」



箒「……そんなところだ。放課後は手が空くようになったからな、好きに過ごしている」




39 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [28/59回(PC)]
ラウラ「……」ジーッ



シャル「? どうしたのラウラ?」



箒「食べにくいのだが……。私にご飯粒でも付いているのか?」



ラウラ(ギャップといえば、箒は私と違い身長もあるし体格もしっかりしているな)



ラウラ(一夏の好みはわからないが、一夏の近しい存在である織斑教官もスタイルは完璧だ)



ラウラ(二人とも日本人にしては恵まれている。何か秘密があるのか?)



ラウラ(身長はともかく、どうやら男は胸の大きい女を好むようだしな)



ラウラ「箒、お前に聞きたいことがあるのだが」



箒「? 珍しいな。改まってどうした」



ラウラ「どうしたらお前のように大きくなれる?」



箒「む……身長のことか? たしかに私とラウラは女子同士でも結構な差があるが」



ラウラ「身長もそうだが、私が聞いてるのは胸だ」



箒「」



ラウラ「胸だ」



箒「っ――げほっ、げほごほっ!」




40 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [29/59回(PC)]
シャル「だ、大丈夫!? 箒、これ飲んで!」



箒「んっく……ふぅ。すまない、もう大丈夫だ」



ラウラ「落ち着いて食べないからそうなる」



シャル「今のはラウラのせいじゃない? 突然そんなこと聞くからむせちゃったんだよ」



ラウラ「?」



箒「いや、いい。しかし……胸のことなど、よりにもよってラウラから尋ねられるとはな」



シャル「ふふっ、女の子っぽさを勉強中なんだよね、ラウラ?」



ラウラ「その言い方はやめろ。ま、まあ有り体に言えばそうなるが」



箒「ふんっ、罪作りなやつだなあいつは」



シャル「しょうがないよ。一夏だもん」



箒「私は別に一夏だなんて言っていないぞ?」



シャル「え? あ、その……もう、僕にいじわるしないでよー」



ラウラ「む、箒よ。シャルロットにあたることはないだろう」



箒「冗談だ、冗談。……胸か、特別なことは一切して来なかったから、私に言えることは何もない」



ラウラ「そうなのか。やはり個体差だとでもいうのか」




41 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [30/59回(PC)]
シャル「あまり気にしなくてもいいんじゃないかな。一夏の好みのタイプはわからないけどさ」



箒「そうだぞ。それに、大きくたって得をすることなどあまりない。むしろ邪魔になるだけだ」



ラウラ「……そうだな、一朝一夕で得られるものでもない。他のことでカバーしよう」



箒「その潔さ、鈴にも少し分けてやるといいんじゃないか」



シャル「鈴?」



箒「二人がまだIS学園に入学していなかった頃の話だ。鈴も編入する形でIS学園に来たんだが」



シャル「来てすぐに一夏と決闘することになったんだっけ。えっと、クラス代表戦だったかな?」



箒「ああ。当初は鈴も、久し振りに会った一夏と思い出話に花を咲かそうとしていたんだ」



ラウラ「? 何故そこから決闘することになったのだ?」



箒「……一夏だからな。期待したのが悪かった、としか」



シャル「あー……鈴もかわいそうに」



箒「鈴は鈴でああいう性格だからな、煮え切らない一夏に食ってかかっていった矢先のことだった」



シャル「どうせ余計なことを言っちゃったんだろうね。しょうがないなぁ、一夏は」



箒「貧乳、と鈴に向かって言っていたな。即座に鈴は激昂していた。余程気にしていたのだろう」










43 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [31/59回(PC)]
シャル「……」



ラウラ「……」



箒「幼馴染なだけあって、鈴の怒りそうなポイントを知っていたんだろうが、言葉は選ぶべきだ」



シャル「うーん……一夏にしては珍しいね。鈴にとっては悪口じゃない?」



箒「そうかもしれないが、ずけずけと言い合える仲だと考えると少し羨ましくもある」



シャル「うー、それもそうかも。長い時間を一緒に過ごしたからこそ、かぁ」



ラウラ「……箒。今の話は本当にあったんだな?」



箒「ああ。目の前で見ていたからな」



ラウラ「ということは、一夏は胸の小さい女を侮蔑の目で見ていたということか」



シャル「えっ? ラウラ、それはちょっと言い過ぎなんじゃないかな……」



箒「鈴が気にしていることを配慮せずに言ったというだけで、そこまではさすがに……なあ?」



ラウラ「優先度は低いと思っていたが……早急に対策を練る必要性が出てきたな……」ブツブツ



シャル「ラウラー、おーい? ……聞こえてないみたい」



箒「す、すまない。そんなつもりで話したわけではなかったのだが、ラウラがそこまで気にするとは」



シャル「あはは、そうだね。ラウラもやっぱり女の子なんだよ、きっと」




44 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [32/59回(PC)]
箒「――占い、か。いつでもできるようになったら女子が群がってきそうだな」



シャル「箒もそう思う? 引っ張りだこになっちゃったりして」



ラウラ「それは困る。そんなつもりで始めたわけではない」



シャル「ラウラが占いできるって知ったら、絶対みんな興味を持つと思うよ」



ラウラ「……シャルロット、箒。言いふらすんじゃないぞ」



箒「ああ、わかっている。しかしなラウラ、こういうことは自ずと知られていくものだ」



シャル「覚悟はしておいたほうがいいよ、ラウラ?」



ラウラ「煩わしいものだ……。時に箒、お前は占いについて何か知っているか?」



箒「あまり詳しくはない。それに、今は占いのようなものは信じないことにしている」



ラウラ「ほう。私もあまり信じはしないが、そもそも悩みやそういった類のものが思い付かないからな。お前もそうなのか?」



箒「悩みくらいあるさ。私にだって――ただ、な」



シャル「……箒?」



箒「嫌なんだ。これから起こること、するべきことを決められてしまうようで」



箒「占いの結果を運命とするなら、私はそれを信じない。未来のことは……自分の力で何とかしたい。それだけだ」




45 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [33/59回(PC)]
ラウラ「食事も済ませた。タロットに取り掛かるとしよう」



シャル「うん、頑張って。試しに占いたくなったらいつでも僕を呼んでね」



ラウラ「うむ」



ラウラ(解説書もあることだし、まずは軽く目を通してどういった占いなのかを頭に入れるか)



ラウラ(……)











ラウラ(――ふむ。それぞれのカードの意味を覚えただけでは駄目らしい)



ラウラ(カードが有する意味から、連想される事柄を思案する。想像力が問われるというわけか)



ラウラ(私には不向きではないか。シャルロットのほうがよっぽど向いている)



シャル「調子はどう、ラウラ。何か飲み物でも出そうか?」



ラウラ「ん、ああ。コーヒーでも頼もうか」



シャル「ちょっと待っててね。何かいいお茶菓子はあったかなぁ」



ラウラ(想像力を養う訓練はしたことがないな。実践あるのみ、か?)




46 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [34/59回(PC)]
ラウラ「シャルロット。占いとまではいかないが、付き合ってくれるか」



シャル「いいの? うん! 僕は何をしたらいい?」



ラウラ「お前なら何を発想するかと思ってな。解説書もあることだ、難しいことはない」



シャル「発想? 考えるだけでいいなら僕にも出来そうだね」



ラウラ「この占いはカードの意味から連想されるものを想像する必要があるのだ。お前と一緒に想像の訓練がしたい」



シャル「そうなんだ。――じゃあ、せっかくだから一緒に占ってみようよ」



ラウラ「な、なに? 訓練がしたいと言っただろう。今の私ではこの本を読みながらでも形にすらならないぞ」



シャル「気にしなくていいよ、読みながらでいいからやってみよう? えへへ、実は気になっちゃってさ」



ラウラ「お前がそう言うのなら、試してみてもいいが……」



シャル「じゃあねぇ、僕のことを占ってみてほしいな。漠然としてるけど、これからの僕について」



ラウラ「ふむ、無難だな。てっきり一夏との相性などと言い出すかと思ったぞ」



シャル「あ、あはは……練習も兼ねてるからね。それに相性だなんて嫌な結果が出たらどうしようって思っちゃうよ」



ラウラ「たかが占いだ、そこまで深刻にならなくてもいいだろう。……む、占う方法のページはどこだったか」




47 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [35/59回(PC)]
ラウラ「――よし、最後にこのカードをめくればいいのだな」



シャル「いよいよだね。緊張するなぁ」



ラウラ「やめるなら今のうちだぞ?」



シャル「ううん、まさか。めくってみてよラウラ」



ラウラ「うむ。では……これは? たしか、これで正位置のはずだったな」



シャル「どういうカードが出たの?」



ラウラ「星のカードだ。それと、正位置で出たようだ。意味はこれに書いてある」



シャル「えっと……星、正位置。ここだね。意味は――」



ラウラ「希望、可能性、理想、洞察力、明るい未来……いろいろ書いてあるな」



シャル「純粋な気持ち、素直な愛情、友情、才能……悪いことは書いてないみたいだね。よかったぁ……」



ラウラ「ここからが本番だぞ、シャルロット。これらから今のお前についてを当てはめなければ」



シャル「そうだったね。でも、良いカードが出てくれただけで嬉しいな」



ラウラ(……シャルロットの奴、機嫌が良さそうだ。やってみて正解だったかもしれないな)




48 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [36/59回(PC)]
ラウラ「字面だけ浮かべると、先行きが明るそうだな。良い方向に向かって進むようだ」



シャル「先行きが明るい、か。そうなるといいなって思ってることはあるよ」



ラウラ「ほう、どんなことだ?」



シャル「……それは、今は言えないけど。その時が来たら絶対にラウラに話すから」



ラウラ「そうか。何を抱えているのかは知らないが、安心しろ。お前の未来は安泰だ」



シャル「さっきは深刻になるなって言ってたけど、僕の占いの結果を気にしてくれるんだね」



ラウラ「……何だその顔は。ええい、くっつくな。まだ訓練は終わっていないぞ」



シャル「ふふっ、はーい」



ラウラ「まったく。……純粋な気持ち、友情、か。シャルロット、お前は私を――」



シャル「うん、私を?」



ラウラ(……何故だ、言葉が出て来ない。自分をどう思っているのか聞こうとしたからか?)



シャル「――ラウラ。僕はラウラのこと、大事な友達だと思ってるよ」



ラウラ「っ……そ、そうか。私は……、むぅ。あう、その……わ、私もだ。私も、お前は戦友だと、思っている……」








50 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [37/59回(PC)]
ラウラ(訓練どころではなくなってしまった……まったくシャルロットの奴め、困ったものだ)



ラウラ(もうこんな時間か。気も紛れん、寝てしまおうか)



シャル「あ、ラウラはそろそろおやすみ?」



ラウラ「そうだな、考えていたところだ。お前はまだ起きているつもりか、明日は用があるのだろう?」



シャル「なんだか寝付けそうもなくてさ。さっきの星のカードのこととか考えてたよ」



ラウラ「そ、それはもういいだろう。私がするべきことだ」



シャル「あはは、ごめんごめん。ところで、星で思い出したんだけどさ」



ラウラ「む?」



シャル「星座占いとか占星術なんてあったなぁって。もっと早くに浮かんできてもよかったのにね」



ラウラ(星座? 星でも見て行うものなのか。ふむ、外に出る理由としてはおかしくないだろう)



ラウラ「シャルロット、私は星を見てくる。お前も休めるうちに休むのだな」



シャル「ラウラ? あれっ、ラウラ! ……行っちゃった」







ラウラ(さて、少し時間を潰すとしよう。一応星は見てくるとして、屋上あたりか?)



ラウラ(……戦友。明日は我が身の戦場においてそんなものは必要ない。……だが、悪くはないな――)




51 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [38/59回(PC)]
ラウラ(屋上に来てみたが誰もいない。当然か。むしろ好都合だ)



ラウラ(……いや、物好きが一人いるようだな。面倒だ、私は他を――ん?)



ラウラ「一夏、か? そこで何をしている」



一夏「おう、ラウラか。ちょっと考え事、かな」



ラウラ「そうか。……一夏、何か私に言うことはないのか?」



一夏「何って、そうだなぁ。元気か?」



ラウラ「そうではない! 近頃お前はどこで何をしているのだ。夫である私を放ったらかして」



一夏「そう言われてもな、やらなきゃいけないことがあるんだよ」



ラウラ(ふん、言い訳だな。浮気をしていることなど、隠し通そうとしても遅いぞ)



一夏「ラウラこそこんな時間にどうしたんだ? お前も考え事か?」



ラウラ「私か? 私は――」



ラウラ(……何と言ったものか、気恥ずかしくて部屋を抜け出てきたなどと言えるわけがない)



ラウラ(何か、何かないか、私はここに……星を見に……)



一夏「ラウラ?」



ラウラ「そ、そうだ! 私は、う、占いをするためにここへ来たのだ」




52 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:vYvDTKdQ0 [1/1回(PC)]
セシリアペロペロ!




53 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [39/59回(PC)]
一夏「占い? ラウラが?」



ラウラ「い、意外だろう? ふんっ、笑いたければ笑うといい」



一夏「笑ったりしないけどさ、へー。ラウラがね。どんなことするんだ?」



ラウラ「む、むぅ……」



ラウラ(自分から暴露してどうする! くっ、こうなればやるしかないな)



ラウラ(タロット……は駄目だ、そもそもカードを置いてきてしまった。となると)



ラウラ(星……も駄目だ、やり方まで聞くのを失念していた。星座を見て何になるというんだ)



ラウラ(あとは……今すぐ出来るものといえば、シャルロットから教わったあれくらいか)



ラウラ(子供の遊びではあるが、背に腹は代えられない。やってやる)



ラウラ「一夏、靴を半分脱げ」



一夏「靴? おお、あれか」



ラウラ「そのまま蹴り上げろ」



一夏「ほいっ、と」



カツンッ、コロコロ...



ラウラ「……明日は、雨のようだな」




54 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [40/59回(PC)]
一夏「……」



ラウラ「……」



一夏「ぷっ、くくっ……」



ラウラ「!?」



一夏「あっははははははは! ひ、久し振りにやったぜこんなの、くっ、あははははは!」



ラウラ「わ、笑うな! 今は準備をしていなかっただけで、その……笑うなああ!」



一夏「す、すまん、つい……くくく。お前がこれやったら、可愛かったろうな」



ラウラ「世辞など今さらいらん!」



一夏「いや、嘘じゃないよ、いいからやってみろって」



ラウラ「断る!」



ラウラ(くそっ、やめておけばよかった……!)




55 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [41/59回(PC)]
一夏「なー、悪かったって。そんなに怒るなよ」



ラウラ「うるさい! ……この頃ろくに言葉も交わしていなかったというのに、夫を笑うとはいい身分だな」



一夏「悪かったってば。忙しいのももうすぐ終わるから、機嫌直してくれよ」



ラウラ(終わる? 浮気相手に愛想でも尽かされたか? ……よかった)



ラウラ(いや待て、何を安心しているのだ私は。この程度で許してなるものか)



ラウラ「たまには夫である私を労ったらどうだ。その、夫婦水入らずと言うではないか」



一夏「んー、嫁になった覚えはないんだけどな。正直」



ラウラ「一夏!」



一夏「わ、わかったよ。俺にどうして欲しいんだ?」



ラウラ「自分で考えろ。私を満足させるまで許さんからな」



一夏「そりゃ難題だな……善処するよ」




56 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:dQrxPcQB0 [1/1回(PC)]
支援




57 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [42/59回(PC)]
ラウラ「……」



ラウラ(このまま笑わせておくのは私の沽券に関わるな。次にいつ一夏とこうしていられるともわからない)



ラウラ「一夏、明日だ。明日また屋上に来い。時間は今と同じくらいだ」



一夏「それは……うん、大丈夫そうだ。でもどうして屋上なんだ?」



ラウラ「屋上でいい。部屋に行ってみたら寝ていた、ということもないだろうからな」



一夏「わかったよ。日付が変わる頃に屋上な」



ラウラ「私が大事ならそれぐらい容易いだろう。せめてもの情けと思え」



ラウラ(こうなれば背水の陣だ、明日までにカードの意味だけでも覚えきる!)



ラウラ「私はそろそろ部屋に戻る。お前はどうするんだ」



一夏「俺はもう少しここにいるよ。おやすみ、ラウラ」



ラウラ「ああ。……明日、絶対に忘れるんじゃないぞ」



一夏「任せとけって。また明日な」







ラウラ(――さて、そうとなればすぐに暗記だ)



ラウラ(シャルロットの睡眠を妨害しないようにせねばな。なに、物音を立てずに本を読むくらい造作も無い)




58 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [43/59回(PC)]
シャル「おかえりー。急に出て行っちゃうからどうしようかと思ったよ」



ラウラ「……起きていたのか。いい加減休んだらどうだ」



シャル「眠くなったら、ね。ラウラこそ眠くないの?」



ラウラ「明日までにこれを覚えようと思ってな、まだ起きているつもりだ」



シャル「そっか。ならスタンドは点けてていいからね。僕もまだ眠れそうにないし」



ラウラ「ああ、そうしよう」



ラウラ(思いつめている様子ではないが……まあいい。自分のことに集中するぞ)











ラウラ「……」カクン カクン



シャル「ラウラ、船を漕いでるみたいだしちゃんと横になったら?」



ラウラ「……む、そうだな……。先に寝るぞ、シャルロット――」



シャル「うん、おやすみ」



ラウラ(根比べをしていたわけではないが、私が先か……)



ラウラ(……起きたら、また取り掛からねば。待っていろ、一夏……)




59 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [44/59回(PC)]
ラウラ「――ん、んん……」



ラウラ「……朝か、いや……もう昼近くだな」



ラウラ(シャルロットは既に出掛けているようだが、ろくに睡眠を取っていないんじゃないか?)



ラウラ(まあいい、私も自分のことをせねばな。時間は限られている)



ラウラ(食堂に行くか。食事を取ったら再開だ)











鈴「あ、それ美味しそうじゃない。ちょっともーらいっ!」



一夏「おい、それはちょっととは言わねーぞ、って……あーあ」







ラウラ(あそこにいるのは一夏と鈴か。久し振りだな、一夏が誰かと食事の席を共にしているのは)



ラウラ(……今くらいは譲ってやろう。どうせ一夏はいずれ私に振り向くのだからな)



ラウラ(それに昨日のこともある。一夏と次に顔を合わせるのは、今夜だ)




60 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [45/59回(PC)]
ラウラ「――これは隠者、か」



ラウラ「孤独に道を探求する者。本来は時を表すカードだったようだが」



ラウラ「闇を照らし歩く老人の姿が示す意味は……孤独、探求、思慮、静寂」



ラウラ「自身に戻る、世俗から離れる。逆位置ではこれらの反対か……ふむ」



ラウラ(覚えるコツを掴んできたな。カードと意味を記憶して関連付けるだけではだめだ)



ラウラ(全てはカードの絵柄が示している。意味を覚えたところで、カードを解釈するための前知識に過ぎない)



ラウラ(……しかしこのカード、まるで私のようだな。自分自身というものをひとり探し求めている)



ラウラ(戦うことでしか存在を示す方法を知らなかった。戦わなければ存在している意味がなかった)



ラウラ(今は、違う。戦わなくとも、私に価値を見出してくれる者がいる)



ラウラ(それに応える方法を、知ろうとする私がここにいる)



ラウラ(……たかがカードの一枚だが、なかなかどうして気付かせてくれるものだ) ガチャッ



シャル「ただいまー」



ラウラ「帰ってきたか。どこに行っていたのかは知らんが、思ったより早かったな」



ラウラ「む? 変な顔をしてどうした。幸せそうな、それでいて疲弊しきっているかのように見える」



ラウラ(睡眠不足がたたっている部分もあるのだろうが、それだけではこうもなるまい)




61 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [46/59回(PC)]
シャル「えっ、今の僕ってそんなに変な顔してる?」



ラウラ「自覚がないなら尚の事、だな。何かあったのか?」



シャル「なんでも……ないよ? うん、大丈夫だから」



ラウラ「そうか。私の出る幕でないのなら、それはそれで構わないが」



ラウラ(……あいつなら、今のシャルロットを前にしたらどうするのだろうな。考えるまでもないか)



ラウラ「今のお前を絶対に放っておけないお人好しを、私は知っている。そいつに任せるとしよう」



シャル「……」



ラウラ「羽を伸ばしてきたのなら、最後まで伸ばしてこい。休息はできるうちにしておくものだ」



シャル「……そうだね。ありがとう。ラウラ」



ラウラ「うむ。人間素直である事が一番だ」



シャル「ラウラが言うと妙に説得力あるね、それ」



ラウラ「そうか? むぅ……女は少しミステリアスな方がいいとクラリッサは言っていたのだが」ブツブツ



ラウラ(素直、か。シャルロットからすれば私は素直な女らしい)



ラウラ(お前さえ助力を求めてくれれば私はいつでも応じてやるのだがな、シャルロット)








63 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [47/59回(PC)]
ラウラ「――もう夕食時か」



シャル「そうだね。食べに行こうか?」



ラウラ「うむ。こちらも一段落ついた。行くとしよう」



ラウラ(付け焼き刃ではあるが、ひと通りは記憶したはずだ。休憩を挟む余裕はあるな)











セシリア「もう時間がありませんわね。一夏さん、急いでお召し上がりになって」



一夏「わかってるよ。悪いな付き合わせちまって、俺のでよければ今度ゆっくり料理を振る舞ってやるからな」



セシリア「そ、そうですの? 一夏さんの手料理、心待ちにしてますわ!」







シャル「ラウラ、一夏たちのところに行ってきていいよ。僕は、その……」



ラウラ「む? 何に遠慮しているのかは聞かんが、私はお前に付き合うぞ」



シャル「う、うん。ありがとう……じゃあ、あそこの席で食べよう?」



ラウラ(私としては好都合だが、いよいよ重症のようだな。どうしたものか)




64 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [48/59回(PC)]
ラウラ(最終調整だ。手順から確認するか)



ラウラ(……その前に、こいつを何とかするとしよう)



シャル「はぁ……」



ラウラ「いい加減にしたらどうだ。お前も素直になるといい」



シャル「……」



ラウラ「あいつのことを考えていたのではないのか? どうして今尚こんなところにいる」



ラウラ「文句など誰も言わん。お前の曇った顔など見るに堪えんぞ」



シャル「ラウラ……」



ラウラ「笑え、シャルロット。お前は笑顔がよく似合う。それに、そんな顔をしていると幸せが逃げていくぞ。そうだろう?」



シャル「……うん、そうだったね。……ははっ、ラウラにお説教されちゃった」



ラウラ「この程度、織斑教官のそれと比べたら大したものではない。いいから行ってこい」



シャル「……僕、行ってくるよ。ありがとうラウラ、今日はお礼を言ってばかりだね、僕」



ラウラ「たまにはいいだろう。お前はもっと自分のことだけを考えてもいいはずだ」



シャル「そう、かな……? ううん、じゃあ、行ってくるね」





ラウラ(――世話のかかる奴だ。さて、どれほど掛かるものだろうか。どの道シャルロットの帰りを待つしかないな)










66 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [49/59回(PC)]
ラウラ「……」



ラウラ(一夏め、何をしている。私との約束も忘れてもらっては困るぞ)



ラウラ(よもやこんな時でさえ、他の事にうつつを抜かしているわけではないだろうな)



ラウラ(なあ、一夏よ。シャルロットは笑っているか? そうであるなら、少しばかりの遅刻は許そう)



ラウラ(……)







ラウラ(もうすぐ日も変わる……か)



ラウラ(どうやら、私との約束も間に合いそうだな) ガチャッ



シャル「……ただいま、ラウラ」



ラウラ「遅いぞシャルロット。それより首尾は……どう……――」



ラウラ(な、なんだ? 落ち着いてはいるようだが、目を、赤くして……)



シャル「一夏に会ってきたよ。僕、もう大丈夫だから」



ラウラ「何が大丈夫だ! お前……泣いていたのではないのか?」



シャル「こ、これはね、違うの。そういうのじゃなくて――」



ラウラ(あの馬鹿、何をしている! こういう時に女を泣かすような男ではないだろう、貴様は!)
















71 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [51/59回(PC)]
ラウラ「……」



シャル「ラウラ、待って! 違うんだよ、僕は……たしかに泣いてはいたけど」



ラウラ「勘違いするな。私は自分の用をこなしてくるだけだ。もともと約束していたのでな」



シャル「約束って、一夏と?」



ラウラ「ああ。今の私ではつい余計なことまで口走りそうだが、そこは許せ」



シャル「だから違うんだってば、ラウラ――」



ラウラ「行ってくる。後は私に任せておけ」



ラウラ(一夏め、待っていろ。いくらお前でも今回ばかりは容赦しないぞ)











一夏「――待ってたぜ。それとも、先に来てたりしたのか?」



ラウラ「自室でシャルロットを待っていたのだ。お前に助力を求めていたようだったからな」



一夏「シャル? ……ああ、そういうことか」



ラウラ「答えろ一夏。シャルロットに何を言った? あいつが……泣いていたのだぞ」









74 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [52/59回(PC)]
一夏「……」



ラウラ「何を黙っている。さあ、言え。あいつに何をした。何を言ったのだ」



一夏「なあ、ラウラ。シャルは俺のこと怒ってたか? それとも、軽蔑していたか?」



ラウラ「言い訳は聞きたくない。私の問いに答えろ」



一夏「ラウラ、シャルの様子はどうだった? 傷付いていたのか? 悲しみに暮れていたか?」



ラウラ「馬鹿なことを言うな。あいつは泣いていたのだ。他にどんな理由がある」



一夏「それはシャル自身にしかわからないけど、多分違うと思う。俺にそんなつもりはないはずだから」



ラウラ「……? 他人事のように言うのだな。私はお前に聞いているんだぞ」



一夏「……」



ラウラ「一夏? どこを見ている、私の目を見て話せ」



一夏「……そろそろ明日、か」












77 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [53/59回(PC)]
「一夏、聞いているのか!」





静寂に満ちた夜の空気に、少女の怒号がこだまする。

自身に向けられた激しい感情に怯むことなく、少年は遠い彼方を見つめていた。





「……ラウラ。一つ、頼みたいことがあるんだ」





視線は揺るがず、彼方に向けたままで。

穏やかにそう口にした一夏の言葉を、ラウラは己を抑えて聞き入れた。





「もし、また俺がシャルを泣かせることになったら、今度こそ俺を恨んでくれていい」





「どういう意味だ?」





「すぐにわかるさ。もちろん、そうならないことを祈ってるけど」





静寂が訪れる。言葉の意味を、無駄だと知りつつラウラは思案した。

その紅い瞳が目の前の少年をいつになく儚げに映している。

彼方を見つめる一夏の思い描く未来が、とても不吉なものになるような、言い得ぬ違和感を拭えないまま。







唐突に、あるいは残酷に、ラウラの目の前でそれは起こった。




78 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [54/59回(PC)]
「ラウラ、シャルが泣いていたら側にいてやってくれ。何があってもな」





何気なく託された、一夏が持っているべきバトン。



その意味を、





「当然だ。あいつは私の」





戦友だ、と告げる声をかき消す存在。



ラウラは、





「――――――」





鳴り響く銃声。経験で狙撃が行われたことをかろうじて判断する。



思い知る。









普段なら反射的に取るであろう物陰へ隠れる動作も忘れ、ラウラはその場に立ち尽くす。

もうそこには立っていない、一夏の影を紅い瞳で追い求めることしか出来ずに。



月明かりが照らすラウラの銀髪は、愛する少年の血の雨に濡れ、赤く、赤く、綺麗に染まっていった――




79 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:EZUjxi3f0 [2/2回(PC)]
なんなんだ




80 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [55/59回(PC)]
「……」





携帯電話の着信音に気付いたのは、それからどれほど経った後だろうか。

近くに横たわっている少年の名残であるそれを、震える両手で拾い上げ、通話ボタンをゆっくりと押す。





『……ん? おっ、繋がった! おい一夏、今まで何してたんだよ!』





一夏とは違う、年頃を同じくした少年の声が聞こえた。

彼は自分を一夏だと思って話しかけてくる。その現実が、深く心を押し潰す。





「……私は、一夏では……ない」





やっとの思いで、ラウラは通話を試みる。

電話越しの彼が一夏の友人と知るやいなや、告げるべき事実がさらに重みを増したのを感じた。



だが、告げなければならない。

自分の目の前で起こった惨状を。自分の愛する少年が、もう、この世にいないことを。





「いいか……心して聞け――」





抑揚のない、きわめて機械的な声質で、自身に言い聞かせるように、

織斑一夏は死んだ。そう、言葉にした。




81 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:gW0Idf0lO [1/3回(携帯)]
気になる




82 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [56/59回(PC)]


同時刻、シャルロットは一人になった自室で一夏の言葉を反芻していた。

自らを傷付ける覚悟で伝えた気持ちが、想い人に拒絶されることなく届いたばかりなのだ。



先ほど部屋を出ていった友人を思うと気が引けるが、それは仕方のないことである。

割り切ってこそ、素直になったといえるのだろう。大事な人からそう教わったのだから。



ふと、友人のベッドを見やる。そこにはカードが散乱していた。





「ラウラ、慌ててたなぁ。僕のことを心配してくれたのかな」





あれほど人を寄せ付けなかった旧敵は、寝食を共にする大切な友人となった。

彼女の帰りを待つ間に、カードを片付けておいてあげよう。

そう思い、シャルロットは手を伸ばしかけ――1枚のカードが目に留まった。



散らかっている中で、その1枚だけ絵柄を表にしていたのだ。



そのカードには『塔』が描かれていた。







『塔』のカードが意味するものが、何なのか。



今まさに、違う場所で起こった惨劇を示していたなどと、シャルロットは知る由もなかった。




83 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [57/59回(PC)]
お終いです。読んでくれた人ありがとう














86 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] : 投稿日:ID:gW0Idf0lO [2/3回(携帯)]


箒・セシリア編も待ってる










89 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] : 投稿日:ID:pkOTiGwF0 [59/59回(PC)] 箒まで書いたら最後に5人集合編? 解決編というべきか



それではおつおつ
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