梓「せ、先輩！？何でここに……」

律「いや、だって部室だし授業終わったし」

梓「あ、そっか……他の皆さんは？」

律「ん、澪とムギは講習。唯はさわちゃんに呼び出されてるよ」

梓「ゆ、唯先輩……また何かやったんですかね」

律「受験の事だと思うよ。もう11月だし」

梓「あ、そっか……」

律「とりあえず、お茶にしようか」

梓「そうですね」

律「じゃあ梓淹れてー」

梓「えー……しょうがないな」

律「へへっ」

梓「……」

律「……いや、ていうかさっき何してたんだよ！！」

梓「！｣ﾋﾞｸｯ

律「何やってたんだ……？」

梓「あっ……いや……その……」

澪「私は全部みていたぞ！梓！｣ﾊﾞｯ

梓「澪先輩！？｣ﾋﾞｸｯ

律「梓は何をしていたんだ、澪？」

澪「ふふふ……梓はな……律の名前を呼んでいたんだ」

澪「何度も何度も……」

律「私の名前を……」

梓「くっ……！」

澪「律、これが何を意味してるかわかるか？」

律「…………」

澪「はぁ……まったく。意外だったよ」

澪「梓も律の事が好きだったなんてなっ！」

律梓「！！？」

梓「（終わった……。どうせ叶わぬ恋……。片想いのままでいようと決めていたのに……）」

律「え……？梓が私の事が好き……って梓もって何だよっ！？」

律「澪も私の事が好きなのか！？」

澪「あぁ、何を今更」

律「ななな……なっ……」

澪「気づいてなかったのか？」

律梓「…………」

澪「律も鈍感だなぁ。こんなに私が愛しているのに」

律「何か私の名前呼んでたよな」

梓「い、いやーその……ていうかどこから聞いてたんですか……？」

律「『律は可愛いな』から」

梓（ほぼ全部聞かれてる……）

梓「いや、何ていうか……出来心で……」

律「どんな心が出来たらそんな事になるんだよ」

梓「……」

律「な、何か言ってくれ……」

梓「ああああああ！もう！！」

律｢ひっ｣ﾋﾞｸｯ

梓「大体悪いのは律先輩じゃないですか！！」

律「ぎゃ、逆ギレだっ」

梓「ええそうですよ！梓と律の一人二役でさっき軽く妄想してましたよ！それもこれも！」

梓「律先輩がそんなに可愛いから悪いんじゃないですか！」

律「えっ」

梓「はぁ……はぁ……」

律「……い、今」

梓「……はい？」

律「私の事、か、か、可愛いって……」

梓「そうですよ、そう言いましたよ！悪いですか！？」

律「お、怒るなよ！いや悪くない、悪くないけど……」

梓「けど、何ですか？」

律「か、」

梓「か？」

律「かっ、可愛くねーし！」

梓「」

律ちゃんかわいいよ律ちゃん

梓（これは……）

梓（妄想でやったやつだ！）

梓（律先輩はさっきのあたしの妄想会話を聞いていた……）

梓（その発言をトレースして「可愛くねーし」と言ったのでは……？）

梓（つまり、律先輩は私に可愛がられたいという事か……！）

梓（き、）

梓（きたあああああああ）

律「うう……」ぷるぷる

梓「」

梓（顔を真っ赤にして俯いてぷるぷる震える先輩可愛い）

梓「……そういうところがまた可愛いんですよ」

律「あ、あんまからかうなよぉ……」

梓「ふふっ、顔真っ赤ですよ」

律「あ……ば、ばかぁ」

梓「律……」

律「梓……」

律「いや、何呼び捨てにしてんだ」ごつん

梓「あいたぁっ！何で！？」

律「調子に乗るな」

あずにゃんかわいい

梓「いま、いい雰囲気だったじゃないですか……」

律「あのなぁ……ていうか、本当に私が可愛いと思うのか？」

梓「あたしは嘘つきません！」

律「お、おう、そうか……そ、それってつまり……」

律「好き、って事なの……？」

梓「あ、ええと……」

律「どうなんだ……？」

梓「うう……（上目遣いで顔を覗き込む先輩可愛い）」

梓「は、はい……そうです」

律「！｣ﾄﾞｷｯ

梓「あたし、律先輩の事……好き、です｣ｶｧｧ

律「あ……」

律「そ、そうなんだ……｣ｶｧｧ

律「そっかそっか……ははっ、そう、なんだ……」

律「い、いや、でも！女同士だし！しかも私なんて可愛くねーし！」

梓「……」

律「それに、梓は唯とか澪の方が仲良しじゃん！？私なんて……」

梓「……先輩はずるいです」

律「えっ」

梓「そうやって自分の事貶すの、先輩らしくないですよ……先輩は可愛いし、かっこいいのに……」

律「……」

梓「……先輩は、あたしの事どう思ってますか？」

律「！｣ﾄﾞｷｯ

梓「答えて下さい」

律「……わ、私は」

梓「……」

律「私は、まだわかんないよ……」

律「恋愛なんて、全然した事ないし」

律「それに、何ていうか、自分が他人と普通に恋に落ちて、普通に恋愛してるのがどうも想像出来ないんだ」

梓「……」

律「恋愛なんて、私にとっては一生縁がなくてもおかしくないような気もする……」

梓「じゃあ……」

梓「じゃあ、あたしと試しに恋愛してみましょう」

律「えっ」

梓「だから、律先輩にとって縁遠いものである恋愛を、あたしで擬似体験してみてください」

律「……それじゃあ梓の気持ちは」

梓「あたしは、幸せですよ。擬似体験とは言え、先輩と一緒にいられるなら」

律「……いや、そんなのはやっぱり良くない」

梓「あ……そ、そうですよね」

梓「ごめんなさい、あたし律先輩の気持ちも考えず……」

律「いや、違うんだ梓」

律「私は……梓の事が確かに好きなんだよ」

梓「！」

律「……ただ、それが友達としての好きなのか、そうでないのかわからなくなっちやったよ」

梓「……」

律「だから梓、今度は私から言わせて欲しい」

律「私と付き合ってみてくれないか！」

梓「えっ｣ﾄﾞｷｯ

律「この気持ちをはっきりさせるためにも……」

律「それに、大好きな梓の望む事だしね」

梓「……ほ、本当に良いんですか？」

律「おう！女に二言はないぞ！」

梓「あ……」

梓「夢みたいです……」

梓「ほ、ほんとにほんとですか」

律「本当だよ。梓は私の恋人だよ……｣ｷﾞｭｯ

梓「あっ……」

律「ふふ、梓は可愛いな……」

梓「か、可愛くないですっ」

律「そういうところもまた……」

梓「か、からかわないでくださ……」

梓（あれ？）

梓「……あの」

律「忘れてないからな」

梓「えっ」

律「忘れてないぞ、さっき梓が気持ち悪い一人芝居してたの」

梓「！！！」

梓「忘れてくださいよ！！｣

律「忘れないよ」

律「梓の事は、全部覚えておきたいんだ」ｷﾘｯ

梓「～～～っ！！｣ｶｧｧ

律「ふふっ、顔真っ赤だぜ」

梓「も、もう、ばかぁ……じゃなくて！」

梓「あたしが気持ち悪い一人芝居してたのはみんなには内緒ですからね！！」

律「内緒にするよ」

律「二人だけの秘密にしような……梓の事、独り占めしたいから｣ｷﾘｯ

梓「ああ……｣ｸﾗｯ

ｷﾏｼﾀﾜｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱ

梓「……｣ｳｯﾄﾘ

律「ごめん、ちょっと調子に乗った……」

梓「ハッ……そ、そうですよ！それに、そろそろ離れて下さい！みんな来ちゃいますよ！」

律「そ、そうだな」

梓「全く……あ、そうだ」

律「？」

梓「ちょっとカチューシャ外してくれます？」

律「こうか？」

梓「！！」

梓「そ、それで何か言ってください」

律「君の心に今すぐアクセス」

梓「ああ…｣ｸﾗｯ

梓「もうっ、やっぱりカチューシャして下さい」

梓「何だよ……梓が外せって言っといて」

梓「は、破壊力ありすぎなんですよ｣ｶｧｧ

梓「はは、梓は可愛いな」

梓「にゃぁ…も、もう律先輩のばかぁ……」

梓「そんなこんなで律先輩と付き合う事になりました。

　　可愛くてかっこいい律先輩と過ごせてあたしとっても幸せです！

　　律先輩は本当に優しくて、あた」

律「おーい……梓、何やってんだ……？」

梓「はっ」



　　おわり

ガチにゃん乙

おつにゃん