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ドラッグ オン ドラグーン3 討鬼伝

ビスケット・オリバ「765プロ?」


1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:18:46.17 ID:Rp9R2GSF0

その事件は、半年後に控えた765プロ初の海外公演の準備のために
Pがアメリカへ渡っている際に起きた――。

律子「えっ!? プロデューサー殿が逮捕された!?」

皆「!」ガタッ!

P『い、いや落ち着け律子! 逮捕は逮捕でも誤認逮捕だったんだってば!』

律子「はぁ……驚かさないでくださいよ……それにしても海外で誤認逮捕だなんて、とんだ災難でしたね……」

P『まったくだよ……しかし、困ったことがあってだな……』

律子『なんです? こっちはプロデューサー殿がいなくて大変なんですから、早く帰ってきてくださいよ?』

P『いや、そのことなんだがな……何か色々手続きがあるらしくて、暫くは外に出してもらえそうにないんだよ』

律子『はぁ!? し、暫くって……具体的にはどれくらいなんです?』

P『うーん……たぶん、2週間くらいはかかるらしいんだが……』

律子『は、はあああ!? ご、誤認逮捕で、なんでそんなに拘束されなくちゃならないんですか!?』

P『俺が知るかよ! ……と、とにかくだな、そういうわけで暫く帰れそうにないんだよ……』

律子「……ちなみに、この電話は何処からかけてるんです?」

P『――アリゾナ州立刑務所』

律子「 」クラッ



2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:19:24.68 ID:Rp9R2GSF0

亜美「ね、ねえ律っちゃん……兄ちゃんがタイ→ホ!されたって、ホント?」

響「うぎゃ~! プロデューサー、アメリカの金髪美人に我慢しきれなくて、とうとうセクハラを……」

真美「それ……完全にあり得ないって言い切れないところが怖いよ……」

皆「 」ガクガク

律子「お、落ち着きなさい! 逮捕は逮捕でも誤認逮捕で、プロデューサーは何もしてないって言ってたから……」

雪歩「! よ、よかったですぅ」

伊織「アリゾナ州立刑務所……なにか、引っかかるわね……」

美希「 」

真「ちょっ、美希!? 魂が抜けかけたままになってるよ!?」

あずさ「それにしても、帰りがそんなに遅くなるなんて……心配ですねぇ」

律子「ホント、2週間って……あ、またプロデューサーから電話だわ。 もしもし?」スピーカーモードON

P『たびたびスマン。 そんなわけだから、この2週間は俺の代わりに代理のPが行ってくれることになったから、よろしくな』ピッ


皆「――代理の、プロデューサー?」


4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:20:24.83 ID:Rp9R2GSF0

>>3
すまんあんまり期待はせんでくれ


アリゾナ州立刑務所――通称"ブラック・ペンタゴン"

所長「夜分に済まない、ミスター……」

オリバ「フム……表情から察するに、新たな依頼のようだな」葉巻スパー

所長「いやはや、君はなんでもお見通しだな――その通りだ」

オリバ「言ってみろ」

所長「ミスター……君は"765プロダクション"という会社を知っているか?」

オリバ「以前日本に行った際……TVで見たことがある。 確かジャパニーズ・アイドルの芸能事務所だったな」

所長「そこまで知っているとは……。 まったく、君の博識ぶりには驚かされるばかりだよ」

オリバ「……続けろ」

所長「単刀直入に言うが――君には、暫くそこで代理プロデューサーとして働いてもらいたい」

オリバ「――What?」


5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:21:27.38 ID:Rp9R2GSF0

オリバ「マイケル……まさか君にこんなジョークのセンスがあるとは、私も思わなかったよ」ミキッ!

所長「い、いやっ、勘違いをせんでくれミスター! こ、これは日本国警視庁からの正式な依頼なんだ!」

オリバ「なんだと?」

所長「先日ここに収監……いや、"保護"をした日本人がいることは知っているだろう?」

オリバ「誤認逮捕で、なぜか"ここ"に来た彼か――ああ、ナルホド」

所長「理解が早くて助かるよミスター。 そう、彼は誤認逮捕でも収監でもない。 我々の手で"保護"すべき対象だったのだよ」

オリバ「しかし一介の芸能プロデューサーを"ここ"に保護とは……彼は脱獄した死刑囚にでも命を狙われていたのかね?」

所長「それがあながち間違いではないのだ。 彼だけではなく、日本にある彼の事務所にも脅迫文が届いた」

オリバ「それを知った警察が、ここへ連絡してきた、と――そういうわけか」

所長「詳細については、警視庁の園田警視正が教えてくれるだろう……行ってくれるね、ミスター?」

オリバ「ソノダか……フッ、久々にオーガやバキ達に会うのも、悪くないかも知れんな――」


その後所長から、簡単だが収監されたPが作成したというPマニュアル書類を受け取ったオリバは、
一路日本に向けて旅立った――。


6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:22:46.89 ID:Rp9R2GSF0

765事務所

社長「オホン。 そういうわけで彼が、この2週間P君の代わりに、キミたちのプロデューサーを務めてくれるオリバ氏だ」

オリバ「Oh、キュートなガールばかりで、オレも嬉しいゼ」ニィッ!

皆「 」

社長「私も、彼には『ティン!』と来てねえ……そういうわけでキミ達、よろしく頼むよ」

雪歩「――ッ」バタッ!

真「ゆ、雪歩ぉッ!」


とりあえず大体書き溜めがある真編書きます。
最初に言っときますが、一番親和性がありそうな真編あんま面白そうに描けませんでしたわ。
他のアイドルとの絡みがあんま無いんで、クロスでやる意味がそんな無いっつーか。
とりあえず真編が無事終わったら安価で別のアイドル書ければ書くます。
暇潰し程度に読んでもらえれば幸いですわ。


7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:23:41.34 ID:vGEoaGkWO

オリバはデブ専だから安心


8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:24:55.46 ID:Rp9R2GSF0

真編

真「よ、よろしくおねがいします……オリバプロデューサー」

オリバ「オリバ、でいいぜ。――キクチマコト。年齢17歳。血液型O型。特技は――カラテ、それもブラックベルトを保有……か」

真「く、詳しいんですね……ボクも結構、人気が出てきたってことかな?」

オリバ「人気も何も、キミはプリンス・ガールとして、この国では特に若い女性達から大人気だそうじゃないか」

真「あはは……本当は、もっと男の人のファンも増えて欲しいんですけどね……」


そんなこんなで今日の真たちの仕事は?>>

 1.アイドルの1日空手体験
→2.アイドルの1日合気道体験
 3.アイドルの1日山岳警備体験


真「合気道、か……ボク、空手は習ってましたけど、合気道は初めてですよ」

オリバ「合気といえば……ナルホド。 いつぞやの"借り"――図らずも返せることになりそうだナ」


10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:26:14.39 ID:Rp9R2GSF0

渋川流合気柔術道場

渋川「カッカッカ! お兄ちゃん……いや、お嬢ちゃんが今日の1日合気体験のアイドルさんかい」

真「よ、よろしくお願いします、渋川先生!」

渋川「それにそっちの異人さん――芸能事務所のマネージャーにでも転職したのかの?」

オリバ「Oh、センセイ渋川! ……まァ、そんなトコだゼ」

真「! お、お2人は知り合い、なんですか?」

オリバ「ヘッ、ブラックベルトまで貰った仲だぜ――なァ、センセイ?」


12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:27:29.16 ID:Rp9R2GSF0

そんなこんなで菊地真の合気道体験が始まった――。

真「あ、合気道って言っても――空手以外はボク、その初めてで……」

渋川「ふむ――その道着……"神心会"とは……独歩のところの門下生さんか」

真「! そ、総帥をご存知なんですか!?」

渋川「知っとるも何も、マブダチみたいなもんじゃよ……よし。真ちゃんとやら、好きに攻撃してみんさい」

真「す、好きにって……い、いいんですか?」

渋川「構わん構わん、どうせ当たりはせん――それに"体験"なら、手取り足取りやるよりも、こっちの方が早いじゃろ」

オリバ「おいジィさん、マコトは人気アイドルなんだゼ? 万一顔に傷でも付こうモンなら……」

渋川「そンなヘマするわけないじゃろ……ホレ、いつでもええぞ」

真「じゃ、じゃあ……ッ!」シュバッ!


13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:28:46.99 ID:Rp9R2GSF0

相手は達人とはいえ老人……そう真が迷いながらも繰り出した素早い順突きは、渋川にアッサリと躱された。

真「あ、アレっ?」

渋川「ほっほっほ、当たらんのう? しかしお嬢ちゃん……この渋川相手に手加減とは、いかんぞい――」

真「 」ゾクッ!

オリバ「マコト……このジィさんはダテじゃねェ。 ブッ殺すつもりで思いっきりヤったほうがいいゼ?」

真「は、はいっ!」

本気になった真の突き蹴りは、一介のアイドルのレベルのそれを、遥かに凌駕していた。
もし、"アイドル格闘技選手権"なるものが開催されれば、間違いなく彼女が優勝の筆頭候補であるといえるだろう。
しかし相手は達人としてしられる渋川である――様々ないテクニックやフェイントを織り交ぜた攻撃も
ことごとく躱され、バランスを崩された真は幾たびも畳の上を転がることとなった。

真「ハァッ……ハァッ……ぜ、全然当たらない……これが、合気――」

渋川「ま、こんなモンじゃな……お嬢ちゃん、中々根性がありましたな」

真「あ、ありがとうございました……」


渋川「――さて」

オリバ「ヘッ、さすがに気付いてやがったか」


14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:30:05.99 ID:Rp9R2GSF0

息も絶え絶えの真が振り返ると、サングラスを外し、上着を脱ぎ捨てたオリバの姿があった。
――これ見よがしの逆三角形。
真の胸囲よりも遥かに太いと思わしき上腕筋。
重金属のような光沢を放つ腹筋――そのどれもが、これまで真が目にしたことの無い、規格外の超筋肉であった。


オリバ「ジィさん――いつぞやの"借り"……ここで返させて貰うゼ」ゴゴゴ

真「お、オリバ……さん?」

渋川「カッカ! お嬢ちゃん……良い機会じゃから、しっかり見学してなさい」グニャァ!


真と撮影スタッフが見たのは、有り得ない光景だった。
2人が対峙している空間が、まるで真夏のアスファルトの陽炎のように歪み始めたのだ。
大気を歪めるほどの闘気――かつて真が学んでいた、神心会空手の支部でも見たことの無いものだった。


16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:31:26.13 ID:Rp9R2GSF0

オリバ「簡単には取らねェよ……」

渋川「……」


真は知る由もないが、それはいつぞやに繰り広げられた光景の焼き直しだった。
――力のオリバ。技の渋川。
かつて――超筋量を誇るこの巨漢は、警視庁内部の柔道場で、渋川にその手首の骨を外されていたのだ。


カメラマン(し、慎重だ! あれだけの体格差があるのに……やっぱり、それくらい渋川先生は凄いのか……!)

オリバ「……」

渋川「……」


1分か。それとも10分は既に経ったのか。
暫く睨み合っていた両者だが――


18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:32:51.46 ID:Rp9R2GSF0

オリバ「……ヘッ、まるで隙が無いとあっちゃナ。 "掴みどころが無い"ってのはこのコトだゼ」

オリバが気を抜いた……かに見えたその刹那――!

オリバ「取ったァ――!!!」バオッ!

凄まじいスピードで渋川に肉薄したオリバはガッシリと襟を掴み、
まるでハンマー投げのような速度で渋川を畳に叩きつけた――!

真「う、うわッ――!」

老人の頭が、まるでスイカ割りのスイカの如く叩き潰れる光景を想像した真が
思わず目を背けた瞬間――渋川はアッサリと体勢を直し、フワリと着地していた。

真「えッ!?」

オリバ「チッ……今度こそ"イッポン"――取れると思ったんだがナ」

渋川「カカッ……お前さん、相当に"鍛錬"を積んだのう?」

――渋川が、ニヤリと嗤う。

オリバ「ヘッ――今度は"手首"――外させなかったぜ」

真「……!?……!?」


こうして、超規格外の格闘士同士の対決を目の当たりにし、真の1日合気道体験教室は幕を閉じた――。


19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:34:49.56 ID:Rp9R2GSF0

それから数日、真とオリバは数多の現場で仕事をこなした。
真の"格闘アイドル"という新たな方向性を見出したオリバは、彼女を様々なファイターに引き合わせていた。
来日していたキックボクシングの元統一世界王者ことロブ・ロビンソンや、ボクシング元世界王者のアイアンマイケル。
本部流柔術の元締めである本部以蔵に、日本一の喧嘩師こと花山薫。また警視庁柔道の師範代でもある園田警視正。
空手では、かつて真が学んでいた神心会空手の本部道場で愚地親子、そして特別コーチの鎬昴昇や烈海王とも出逢った。
当然ながら"手加減"をされていたとはいえ、彼らとのスパーリングや交流を通じて、
真自身、これまで彼女の内でくすぶっていた"何か"が、目覚めていく感覚をおぼえていた――。

そんなある日の夕方――。


伊織「ちょ、ちょっと大変よ、真!」

真「どうしたのさ伊織……そんなに慌てて」


事務所に帰った真とオリバを出迎えたのは、食い入るようにテレビを見つめるアイドルの面々だった。


20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:36:32.90 ID:Rp9R2GSF0

真「なに、ニュース?……立てこもり? へぇ……怖い事件も起きたもんだねぇ」

伊織「普通ならそんな風に思うでしょうね……でもこれは、普通の事件じゃないのよ!」

真「?」

春香「な、なんでもこの犯人の人が……暫く前に、765プロに脅迫文を送ってたんだって……」

オリバ(! フン……ナルホドな……)

真「で、でもそんな話……ボク、今始めて聞いたよ!?」

小鳥「こ、事が事だっただけに、社長と私と律子さん以外には伏せていたのよ……」

真「じゃ、じゃあ、もしかしてプロデューサーさんがアメリカで誤認逮捕されたって言うのも……!」

小鳥「えぇ……無関係じゃない、かもしれないわね……」


真が再びTVに顔を向けると、犯人の声明が映し出されていた。
曰く、765プロの海外公演を中止しろ、と――。


オリバ「――お嬢ちゃん。 オレはちょっとヤボ用ができたから、今日は帰らせてもらうぜ――」

真「お、オリバさん――?」


オリバは、事件発生現場へと急いだ。


21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:38:14.67 ID:Rp9R2GSF0

事件現場ビル前の道路

オリバ「オウ、ソノダ――昨日ぶり」

園田「お、オリバか――! よ、よかった……今まさに連絡をしようと思っていたところだ……!」

オリバ「犯人の真の要求は――私、だな」

園田「そ、そうだ。 そちらの方は、厳しく緘口令を敷いているが……なにせ事が事だからな」

オリバ「ワカッタゼ……では、哀れな犯人をハントしてくるとしよう」

園田「大丈夫……なのか?」

オリバ「アメリカでもご覧に入れたとおりだ――何の問題も無いゼ」

園田「わ、わかった……それと一つ、気になる目撃情報が」

オリバ「何?」

園田「事件発生の直前、"黒い服を着た大男"がビルの中に入っていったと――まさかとは思うが、これは――」

オリバ「――だろうな。 私の獲物が横獲りされる前に、急ぐとしよう」


22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:39:38.34 ID:Rp9R2GSF0

占拠されたビル内部

人質は、偶然そのフロアに居合わせた女性が1人だけだった。
犯人の男は――憔悴した表情で、TVから流れる外の様子を眺めていた。
今映ったのは間違いなく、"あの男"――彼がこのフロアに辿り着くまでは、もう僅かな時間しかないだろう。
男はありふれた――殺人犯、それも脱獄死刑囚がありふれていては困るのだが――ともかく、その手の類の人間であった。
ありふれた殺人犯。ありふれた死刑囚。
しかしそれでいて、その男が"ありふれていない"点が一つだけあった。

――"空道"。
かつて最凶死刑囚の1人として、数多の格闘士達と死闘を繰り広げ、"猛毒"と呼ばれた空師・柳龍光。
その彼が唯一、数々の凶悪な"技"を伝えた人間だったのだ。


男(――とはいえ、俺は柳さんの"弟子"なんて大層なモンじゃない)

男(刑務所内での柳さんの"実験"――多くの受刑者がその餌食になったそれを――俺は偶々生き抜いた、というだけの話)

男(見様見真似で盗み取ったいくつかの"技"が使える程度――それでも、脱獄には充分に役立ったがな)


23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:40:37.17 ID:Rp9R2GSF0

男「――それで。 これから俺は、何をすればいいんだい?」

?「――ケッ。 少しは"喰える"使い手かと期待してみたが――とんだ期待外れだったみてェだな」

男「あの柳さんを葬ったアンタの期待に、俺如きが応えられるハズもないだろう」

男「……とすると、俺はさしずめ――"あの男"を誘き出す為の――"餌"ってところか」

?「……」


沈黙は肯定か。
そこに、ゆっくりとオリバが姿を現した。

オリバ「まさかこの一件が――オーガ、キミの手引きダッタとは、ナ」

勇次郎「――久しいな、アンチェイン」ニィッ

オリバ「何もこんな回りくどい真似をせんでも……友の誘いを無碍にする私でないことは知っているだろうに」

勇次郎「なァに……"コイツ"の品定めも兼ねてたんでな――」


24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:41:49.86 ID:Rp9R2GSF0

オリバが目線を移すと、男の表情は一層強張った。
強者特有の眼をしてはいるが――同時に、今置かれた状況を理解するだけの危機感も持ち合わせているらしい。

男「"地上最強"と"地上最自由"――柳さんほどの使い手なら、この2人を同時に相手にできる状況を"幸運"と思ったかもしれんな」

男「だがあいにく……俺はそこまでの思い上がりをするほどの使い手じゃねぇ」


オリバ「ワカらないことがある――オーガよ、なぜキミは彼のような男を脱獄させた?」

勇次郎「愚息とヤりあった"あの一件"以来――いよいよ、この俺の前に立とうなどという奴は現れなくなっちまった」

勇次郎「オメェになら少しはワカるだろう、オリバよ――"強過ぎる"がゆえの"孤独"ってモンが」

勇次郎「日々増大する"闘争本能"をブツける相手がいねェということの"恐ろしさ"が」

勇次郎「そんな中で見つけたブランド物……これは俺の"餌"としては不適格だったが――"釣り餌"としての価値はあったということだ」


勇次郎「何よりアンチェイン――キサマが"面白いことをしている"という噂も聞いてたんでなァ」ニィーッ!

オリバ「さすがはオーガ……相変わらずの耳の早さだナ――それで、どうする。 ここでヤろうというのか」


25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:43:12.07 ID:Rp9R2GSF0

2人の巨星。
その狭間の空間が歪み始めたとき、男が声をかけた。

男「まぁ、待てよ――外には警察。 内には超規格外の強者が2人――いずれにせよ俺には、虎と狼のほうが遥かにマシな状況ってワケだ」

オリバ「――ナラバ、キミはどうするというんダ?」

男「いずれにせよ命運が尽きるというのなら――せめて自らの力で未来を掴み獲るというまでのことだ……邪ッ!」バシィッ!


男が放った技は"鞭打"――人体が等しく痛みを感じる"皮膚"を狙った、凶悪な痛みを引き起こす技である。
だが――。

男「な、何ッ――!」

オリバ「私の肌は粗塩を擦り込んで鍛えてある――そこのオーガの鞭打ならまだしも、この程度ではとてもとても――」ギリリッ!


男の手首を握ったオリバの手が、見る見るうちに食い込んでゆく。

男「ガッ、あガアアッ!!!」

オリバ「不本意だが、私の任務はキミをハントすることでね――オーガとヤる前に、悪いが終わらせてもらおう」


手首を握りつぶされた男が最期に見た景色は――ビルの窓ガラスを突き破って空中に投げ出された際に見えた夕空だった――。


26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:44:06.61 ID:Rp9R2GSF0

犯人は意識不明の重態となり、人質立て篭もり事件は解決した。

園田「! アンチェイン――また、助けられたな」

オリバ「ヘッ、イイッてことヨ」


男を投げ出した後、気がつくと勇次郎は消えていた。
そして――。

真「お、オリバさーん!!」

オリバ「マコト――なぜ、ココに?」

真「し、心配したんですよ!?――話は、全部小鳥さんから聞きましたから」

真「プロデューサーはアメリカで"保護"されてて、オリバさんは――今回の脅迫事件を解決するために来てたってこと……」

オリバ「オレの正体――それも知っていたのカ」

真「あ、それは伊織が教えてくれたんです。 アリゾナ州立刑務所には、超規格外の人物がいるって――さっき思い出したみたいで」

オリバ「イオリはあの"水瀬"の娘――ナルホド、知っていても不思議じゃネェってコトか」

真「オリバさんはもう――帰っちゃうんですか? ボク、ようやく――」


27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:45:27.64 ID:Rp9R2GSF0

僅か数日の間だっいたが、2人の間にはアイドルとプロデューサーとしての"絆"が、確かに芽生えていた。
数多の格闘士との"ふれあい"――真が今までどおりの"アイドル"として活動していたならば、
決して得ることができなかったであろう"体験"の数々――。


オリバ「マコト――"強くなる"ってことは、それだけで魅力的なコトなんだゼ」

オリバ「オレは愛する女[ヒト]の為に――マコトは、マコトを愛する"ファン"のために――」

オリバ「これからも"それ"を忘れなければ――マコトは、これからもっと魅力的な"アイドル"になれるだろう――」

真「オリバさん……」


28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:46:10.64 ID:Rp9R2GSF0

――真には、悩みがあった。
周囲の期待する"王子様"としての役割と、自らが望む1人の女性としての"アイドル"像との乖離という現実に。
いかに強い真とて、実際は繊細な1人の女性である――心に抱える弱さは、誰にでもあるのだ。
しかしこの数日の出来事は、そんな些細なことなど、どうでもよく思えてしまうほど濃密な時間だった。
格闘士達との交流を経て――真の心は、以前よりも少しだけ強くなったのかもしれない。


オリバ「――でも、"オレたち"は少し違う」

真「――!」

オリバ「"どっちがより強い"――そんなシンプルな子供の喧嘩を、イイ年齢こいて未だに続けている」

真「お、オリバさん……?」

オリバ「プロデューサーとしてできることはもう無いが――今夜見せよう。 真[しん]の"強さ"とは、何かということを――!」


29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:46:58.63 ID:Rp9R2GSF0

その日の夜――東京ドーム地下闘技場


オリバ「不思議な感覚だ。キミたち地下闘技場戦士と関わりながら―ー今まで私がここに立つことは無かった」

勇次郎「……」

オリバ「あの"最強の親子喧嘩"――その影響は各方面に計り知れないほど大きいものだった」

勇次郎「ケッ……どこの家にもある、ただの親子喧嘩だぜ」

オリバ「キミ達2人にとってはそうでも――だ」バシュッ!

勇次郎「!」


オリバは着用していたタキシードを、まるで虫が脱皮をするかのごとく脱ぎ捨てた。


30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:48:03.09 ID:Rp9R2GSF0

オリバ「一般人には恐怖と興奮を。弱き者には生きる希望を。病人には生きる活力を――それぞれ与えたのかもしれん」

勇次郎「……」

オリバ「そして我々には――再び"最強"を目指すキッカケを与えた」

勇次郎「ストライダムの話は本当だったか――全米最強の男・アンチェインが、あの"原人"を招いて戦った、という話は――」

オリバ「"彼"の協力は不可欠だった――何しろオーガ。そしてキミの倅には……大きな"借り"が残ったままなのでね――」ゴゴゴ!

勇次郎「ヘッ、面白ェ――!」ゴゴゴ!


闘気が、熱気となって地下闘技場に溢れかえっていた。
誰もいなかった観客席には、1人、また1人と、"観戦者"が現れていた。


31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:49:15.56 ID:Rp9R2GSF0

真「こ、これが本気になった……オリバさんの――!」

?「――マイッタなこりゃ……道理で"惹き寄せられる"ワケだ――」

真「あ、あなたは――?」

バキ「――俺は範馬刃牙。 あっちの、あの鬼みたいな背中をしたオヤジの息子で……一応、この闘技場のチャンピオンってコトになってる」

真「チ、チャンピオン――!?」

バキ「キミのことは知っているよ。 菊地真――こんな所で、有名なアイドルにお会いできるとは光栄だ」

真「い、いえ、そんな――」

バキ「空手、やってるんだってね……あ、始まった」

真「!」


真が視線を戻すと、鋼のような肉体の巨凶同士がぶつかり合っていた。
高密度の筋肉同士のぶつかり合いが、まるで巨大な重機同士のぶつかり合いのような轟音を響かせる光景。
普通ならば目を背けたくなるような光景に――真は、自然と目を奪われていた。


32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:50:22.55 ID:Rp9R2GSF0

バキ「ハハッ……そんなに夢中になるなんて――キミも、あの人たちと同じなんだね」

真「あの人たち……!」


気がつくと、観客席には見知った顔が多く存在していた。

眼帯の中年男性に、隻腕の青年。
義足の中国人に、顔中傷だらけの黒衣の青年。
巨大な白スーツに、眼鏡の老人。
またバンダナに無精ヒゲの男性と、褌姿の原人。
なぜか先程会ったばかりの警視正の姿まで――屈強な男達が、食い入るようにその"闘い"を見つめていた。


33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/13(日) 19:51:22.17 ID:Rp9R2GSF0

バキ「オレは偶々親父がそうだったから、ってだけなんだけど――皆、本気で"地上最強"を目指す人たちばかりだ――そしてキミも、ね」

真「ぼ、ボクも――!?」

バキ「オレも強い女性[ヒト]を何人か知ってるけど――"最強の格闘アイドル"――これ、面白いと思わないかい?」

真「――最強の、格闘アイドル――」


巨漢同士の闘いは、熾烈を極めていた。
そんな中で真が目を奪われたのは、2人の大男の――これ以上は無いというほどの、極上の"笑顔"だった。

無意識のうちに――真の拳は、熱く熱く握られていた。
そんな様子を、どこか満足げに眺める"地上最強の少年[ガキ]"。


――この日、1人の少女が"門"をくぐった。
"最強"を目指すための長い道のり――その入り口である、"格闘士[グラップラー]"としての門、を――!


最強の格闘アイドル編・完

to be continued……?



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