～8月15日　りんかい線車内～

桐生（…こんな満員電車も、りんかい線も初めてだな）

乗客Ａ「…」

乗客B「…」

桐生（乗客は揃いも揃ってギラついた目をしてやがる…一体この先、ビックサイトには何が待っているんだ…？）

～少し遡って、8月14日　神室町～

桐生「するとお前は、明日の為に一年間金を溜めて、上京してきた」

白もやし「はい…」

桐生「明日ビックサイトに行けないと、欲しい本が買えず、一年間の努力が無駄になる」

白もやし「はい…ですからお願いします！！僕のかわりに、明日ビックサイトで本を買ってきてくれませんかッ！！」

桐生「待て、いまいちよくわからないんだが、お前が欲しい本って言うのは、明日しか買えないモノなのか？お前の地元の本屋で後日手に入ったりは…」

白もやし「しないんです！！だから東京まで来たんです…後でとらとかメロンに行けば本は手に入るけど、それだと会場限定グッズが…ｳｳｯ」

桐生「？？とにかく、お前が欲しいモノは明日を逃すと手に入らないモノなんだな？」

白もやし「そうなんです…」

桐生「そうか。うむ、そうだなあ…」

桐生（結局あの後、アイツの懇願、というか気迫に負けて、妙なおつかいを引き受けちまった。まぁ盆休みで遥はひまわりにいるし、俺自身今日は何の予定も無かったしな）

アナウンス「次は～天王洲アイル～」

桐生（しかし、アイツから渡された荷物だが…）

・カタログ（表紙からしてマンガかと思ったら違った。四角で区切った細かい絵が延々と並んでる。えらく書き込まれた会場見取り図がついてる）

・タオル（まあこれはわかる。今日も暑い）

・帽子（屋内に入るんじゃないのか？）

・飴（『熱中飴』とかいう、熱中症対策の飴だ…野外活動？）

・扇子（広げてみたらマンガが書いてあった。人前では使えない）

・ブルーシート（何に使うんだ？）

・2�飲料×2（これが一番のネックだ。俺も栄養ドリンクは持ち歩くがこれはやりすぎだ。重い）

桐生（…大荷物だ。しかもまるでキャンプにでも行くような中身だ。アイツは本を買うと言っていたが…）

期待する

支援感謝。書きだめあんまりしてないけど頑張る。


アナウンス「間もなく～国際展示場前～国際展示場前～」

ざわっ……！！

桐生（一気に空気が張りつめたな…）

アナウンス「国際展示場前です。ホームは大変混雑しています！押さないで下さ…」

ﾌﾟｼｭｰ、ｶﾞﾗｶﾞﾗ

桐生（行くか…うおっ！）ﾄﾞﾝ

アナウンス「押さないで！！走らないで下さーーーーーい！！！」

桐生（何て勢いだ…ぼーっと歩いてたら怪我するな）

駅員「前の人は抜かさないように、ゆっくり行って下さい！！」

桐生（改札までの階段が長いぜ…）

ﾄﾞﾝ

走るオタク「どいて！どいて！」

桐生（…）

桐生「おい」ｶﾞｼｯ

走るオタク「ﾁｯ…何だよ？」

桐生「この人ごみで走ったら危ねえだろ。ちゃんと歩いて行け」

走るオタク「ﾋｯ…わ、わかりました」

走るオタクその2（よし…今のうちにこいつら抜いちまおう）ﾀﾞﾀﾞﾀﾞ

桐生「お前もだ」ｶﾞｼｯ

走るオタクその2「ｱｳｯ」

（何あの人…怖え）ﾋｿﾋｿ

（や、やっぱ走っちゃダメだよな、うん）ﾋｿﾋｿ

駅員「あ、あの」

桐生「ん？」

駅員「さっきの、見てました」

桐生「ああ、あれか」

駅員「ありがとうございます！正直、私達の言うことを聞かない人もいますので…」

桐生「あんたらも大変だな」

駅員「お礼といってはなんですが、これを」

桐生「？」

　冷えピタクール　を手に入れた

駅員「ご武運を！」

桐生「あ、すまねえな…何に使うんだこれは？」

>>9
林wwww

桐生（あれがビックサイトか、実物は初めてだな…ここからまっすぐ行けばすぐだな）

スタッフ「東館においでの方はこちらへ！西館へおいでの方はこちらに、前の人に従ってどんどん歩いて下さーーーい！！」

桐生「え？」

桐生（迂回しなくちゃいけねえのか。よく見たら立て看板にも書いてあるな…俺が頼まれたのは、東館だったな）

桐生（流れに沿って行くか…しかし、見事に野郎ばかりだな…西館に行く方へはあまり人が行ってない気がするのだが）

スタッフ「サークル入場される方はこちらでーす」

ｶﾞﾗｶﾞﾗ　ｺﾞﾛｺﾞﾛ

桐生（サークル？本を売る側の人間か。あいつらはすぐに入れるみたいだな）

桐生（歩くうちに人口密度が高まって来たな）

「そういや今日、あいつ来ないの？」

「あーあいつ？徹夜組」

「バカじゃん！ペナルティあるのに！！」

桐生（徹夜？夜通し待ってるヤツもいるのか…昨日のアイツの様子といい、相当気合入れてるんだな）

桐生（…かなり歩いたな。日差しが暑い…そういえば、荷物の中に帽子があるんだったな）

　痛ベースボールキャップ　を装備した

桐生（この為の帽子だったのか。少しはマシになったぜ）

「おい、あのおっさんの帽子見ろよ」

「あれは…ゲルトか？スト魔女ファンかよ」

「自作かな？いいなー」

桐生（…何だか視線が気になるな）

桐生（広い駐車場に出たな。早朝だってのに、もうこんなに並んでやがる…）

スタッフ「前の人を抜かさないで、二列に、二列に並んでどんどん進んで下さーい！！」

桐生（ここからは二列か）

スタッフ「はいつめてつめてどんどんつめてくださーい、つめればつめるぶんだけ私達の仕事が早く終わります、すると、皆さんもいち早くお目当ての本が手に入りまーす！！」

一同（wwww）

桐生（随分つめるんだな…独特な仕切りをしやがる）

桐生（前から順に座るか…しかし、こうも狭いとあぐらもかけねえか。仕方ない）

桐生「…」

桐生の隣のオタク（以下隣）「…」ｶﾀｶﾀ

桐生（隣のヤツ、ノートパソコンでしきりに打ち込んでやがる…こんな時まで仕事か？）

隣（新規スレッド作成、『今コミケの待機列にいるんだけど』…本文、どうみても893なおっさんが隣で体育座りしてるwww）ｶﾀｶﾀ

桐生（しかし、上からは日差し、下からはアスファルトの熱か。帽子があるんで日差しはマシだが…海風も無いし、暑いな）

桐生（そういえばアイツからあずかったモノの中に、ブルーシートがあったな。今使う為のものだったのか）

ｶﾞｻﾞｺﾞｿ

桐生（広げたはいいが一人で座るにはかさばるな…見たところ、隣のヤツは地べたに座っているようだが…）

桐生「おい」

隣「えっ！？お、俺ですか」ﾋﾞｸｯ

桐生「ああ」

隣「な、なんでfうか？？」

桐生「ブルーシートが一人じゃでか過ぎるんでな、座らないか？」

隣「あ、あ、ああ、ありがとうございます」

桐生（これでかさばらなくなったな）

隣（ちょ、お前ら893いいやつだったwwwブルーシートに座らしてくれたww）ｶﾀｶﾀ

桐生（しかし、あと二時間くらい待たないといけないみたいだな…）

「やべ！クーラー忘れた！！」

「よし、リタしよう」

「彼女通信…ﾌﾋﾋww」

桐生（周りのヤツらはゲームで時間をつぶしてやがる。俺も何か持ってくればよかったな）

隣（893のおっさん微動だにしないんだけどww安価？無理無理ww）ｶﾀｶﾀ

とれよ安価

～二時間後～

スタッフ「それでは移動を開始しまーす！！」

桐生（冷えピタ装備）「…やっとか」

桐生（この二時間でペットボトル一本空けちまった…アイツはやりすぎではなかったんだな）

スタッフ「前の人に従ってゆーっくり進んで下さい！皆さん、スローガンは『お・か・ゆ』ですよ」

桐生（…『おさない』『かけない』…ゆ？）

スタッフ「『おさない』『かけない』『ゆめをあきらめない』ですよー！！」ﾄﾞﾔｯ

一同（wwwwwww）

桐生（…真面目に考えた俺がバカだったぜ…）

隣（『スレ主の報告で思い出した。893がコミケの利権を食おうとしてるって話は本当だったのか』…ねーよwww少なくとも隣のおっさんはねーよwwだって扇子スト魔女だったもんww）ｶﾀｶﾀ

スタッフ「はい、開場でーーーす！！！」

一同（ｷﾀｰｰｰｰｰ！！！！）ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

桐生（拍手！？…まあ悪い気はしない。俺もしておくか）ﾊﾞﾁﾊﾞﾁﾊﾞﾁ

隣（おっさんの拍手www音がやべえwwごついww）ｶﾀｶﾀ

やっぱ桐生さんイケメン

お前らの林好きは異常。俺も大好きだけどw


桐生（もうすぐ入り口だな…しかし、ここまで長かったな…）

スタッフ「足下僅かに段差がありますので気をつけて…」

桐生「うおっ！！」ｶﾞｸｯ

一同（ﾋﾞｸｯ）

隣（おっさん入り口で刺されたwww嘘www躓いただけwww）ｶﾀｶﾀ

桐生（…神室町とは違った意味で気が抜けねえな）

桐生「うおっ…」

桐生（熱気がすごいな…天井が高いのに全然意味を成してねえな）

桐生「さて…」ｶﾞｻｺﾞｿ

桐生（ここからが本番だな…）

隣（おっさん地図取り出したww臨戦態勢だww俺もそろそろモグ波に会いに行くから暇なヤツは保守よろwww尾行？ww無理無理ww）

桐生（ほう、メインの会場は流石に広いな…一体何個机があるんだ？）

桐生（とりあえず壁沿いに歩いて目当ての場所へ行こうか）ｽﾀｽﾀ

ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ…

桐生「！？」

桐生（何だこの人の流れは！！全然行こうとしてる方向に、前に進めねぇ…！！）

桐生（仕方ねえ、押し返すか…いや、ここは神室町じゃねえんだ。素直に別のルートから行こう）

（○○の列はここが最後尾ではありませーーーん！！）

（完売？もう完売？マジかよ…）

（どうぞー見てってくださーい）

桐生（列と列が入り乱れてて何がなんだかわからないな…移動も流れに逆らおうとすると危険なようだ）

桐生（ここから見えるあの列がお目当ての列か…上手く行けば一直線だな。ん？）

異様にスムーズに進むオタク「…」ｽｰｯ

桐生（アイツの身のこなし、一切人とぶつからずに合間を縫って進んでいる…よし、見様見真似だが、やるか…！）

桐生「…」ｽｰｯ

桐生（決して歩みは止めず、しかし走らず、押しのけず、流れに、乗る…！）

　コミケ　合間縫いの心得　を習得した　ｼｬｷｰﾝ

桐生（コツをつかんだらあっという間に目当ての机だったな…よし、ここが最後尾k）

（ここは最後尾ではありませーーーん！！あちらの搬入口から外に回ってくださーーい！！）

桐生「…え？」

桐生（炎天下とはおさらばかと思ったら…また外に並ぶ事になるとはな…）

（あっちーい…ねえこの列、あとどのくらい待たなきゃいけねえの？）

（うーん、30分はかたいんじゃね？）

桐生（……『熱中飴』というやつを舐めてみるか）ｶﾞｻｺﾞｿ

桐生（……しょっぱいな）

～30分後～

桐生（よし、次でやっと買えるな）

サークルの人「こんにちはー、どうぞー」

桐生（さて、アイツが泣く程欲しがってた本はどんなもんなのか…）ﾁﾗ

桐生「！！！！！！！！」

サークルの人「！？」ﾋﾞｸｯ

桐生「おい」

サークルの人「は、はい？」

桐生「これは、ビニ本、か？」

サークルの人「え」

桐生ちゃんオッサンだからなｗ

ビニ本てなんすか？

>>60
ggrks

>>60
ビニ本、でぐぐると幸せになれるよ。

桐生「俺ははるばる神室町から…ビニ本買いに行かされてたのか…？」

サークルの人「え？え、えーと？」

桐生「……新刊を、一冊」

サークルの人「どうもー♪」

桐生（…どこを向いてもビニ本、ビニ本、ビニ本…アイツがあまり詳しく説明したがらなかった理由がこれか）

桐生（だが約束は約束だからな、残りを片付けてさっさと引き上げるとするか）

～2時間後～

桐生（これで目当てのモノは全部か…いくつか買えなかったモノもあるが、そこは仕方ないだろう。しかし…）

（読んだら次俺に見せてよー）

（了解。そっちが買ったのはどうよ？）

（うん、超エロい…）

（お、俺、ちょっとトイレ行ってくるわ…）

（おま、その本置いて行けよな？）

桐生（壁際に車座で座り込んでビニ本の回し読みか…隠れてやるならいざ知らず、こうも堂々とやるとはな…俺の認識が甘かった）

桐生（さて、目的は果たした訳だし…ん？あれは、俺の隣でパソコンいじくってたヤツじゃないか）

隣「ﾋｯ…だ、だれ、か」

DQN1「いいからいいから♪」

DQN2「ちょっと俺らとお話しよーぜ」ｽﾞﾙｽﾞﾙ

桐生（……）

～トイレ内～

DQN1「この日の為に金貯めてきたんだろ？俺らにちょっとくらいよこしてもいいだろうがよ」

隣「い、いやです…！絶対いやです！！」

DQN2「あらら～パソコン抱きしめちゃって彼女かってえ、の！！」ｶﾞｼｬﾝ

隣「あ！！」

DQN1「うわっキメェ！！パソコンに女の絵が描いてある！」

DQN2「ねえ、これ踏みつぶされたくなかったさぁ、おとなしく…」

桐生「失せろ」

DQN1＆2「「あ？」」

ﾄﾞｶﾊﾞｷｸﾞｼｬ

「「す、すんませんでしたあああああ！！」」ﾄﾝｽﾞﾗ

桐生「…揃いの紫のシャツ、カラーギャングか？」

隣「あ、ああ」

桐生「よう、どこかで見た顔だな」

隣「あ、ありがとうございます！！」

桐生「そのパソコンは無事か？こんな日にも仕事とは感心するけどな、開いたまま歩いてたらそりゃああいう馬鹿が寄ってくるぞ」

隣「あ、あ、どうも」（…すげー罪悪感…）

桐生「じゃあな」

隣「あ、あの！」

桐生「ん？」

隣「これ、よかったら使って下さい！」

　使い捨てカメラ　を手に入れた

桐生「あ、ああ、すまねえな…何を撮れっていうんだ？」

桐生（さて、流石にどこかで休憩したいな…地べた以外で）

スタッフ「休憩所、更衣室はこちらのエスカレーターからでーす」

桐生（お、丁度良かったな…更衣室？）

～休憩室前～

スタッフ「では、休憩室に出入りする際はこの券を持っててくださいね」

桐生（入室料500円か…あまり人がいないのはこのせいか。同じ500円ならビニ本に払う、という心理、か）

桐生（流石にこの中では堂々とビニ本広げてるヤツはいない…）

（えろーい！！超エロい！！）

（えー？次あたしに見せてー）

桐生「」

桐生「」

桐生「ふう…やはり座るなら椅子だよな」

桐生（…若い女がキャーキャー言いながらビニ本広げてるのはまぁ、いいとしよう。しかし）

（そのマント自作？）

（うん。それ以外はコスパだけどねww）

（俺も、このバッジはコスパで買ったw）

桐生（舞台から抜け出したような格好のヤツらがうろうろしてるのは、どういうことだ…？）

桐生「ん？さっきから窓の方がチカチカ眩しいな…下の広場からか？」

桐生（広場に変な衣装のヤツらが集まってるな…この光は、写真のフラッシュか？）

桐生（…あの広場からは海が一望できそうだしな、海の写真を撮る気持ちは何となくわかるが、仮装をする必要があるのか？）

桐生（そう言えば）ｶﾞｻｺﾞｿ

桐生（さっき助けたヤツからカメラを貰ったんだったな…遥への土産を忘れていた。あの広場から海の写真でも撮って帰るか）ｶﾞﾀｯ

忍者コスの男（以下忍者）「ああああ～どうしよう、どうしよう」

桐生「」ｽﾀｽﾀ

忍者「この大事な日にあいつが来れないなんて、この日の為にあいつと二人して体鍛えたのに…」

桐生「」ｽﾀｽﾀ

忍者「どうしようどうし…そこの人、ちょっと待って下さい！！！」

桐生「俺か？」

忍者「はい、あなたです！カメラ持ってらっしゃるってことは、これから広場に行くんですよね？」

桐生「ああ、そうだが？」

忍者「立派なお体ですね！！」

桐生「…え？」

忍者「あ、すみません、ついテンションがあがってしまって。あの、もしよかったらなんですが、その」

桐生「な、何だ？」

忍者「コスプレ、してみませんか？」

～コスプレ広場～

（おお、すげえ！！アキラとカゲがいる！！本物みてぇ！！）

（バーチャの？二人ともすげえ体だ…）

（こっちに目線くださーい）ﾊﾟｼｬﾊﾟｼｬ

忍者「ほらほら、桐生さんもあっち向いて」

桐生（アキラ）「あ、ああ…」

桐生（何で俺は道着にハチマキつけて写真撮られてるんだ…断ればよかったぜ…）

忍者「桐生さん、表情が固いですよ♪」

桐生「無茶言うな…あくまでぶっ倒れたお前の友人の代理だ。代理以上のことは求めるな」

桐生（コイツがこの広場に入るには仮装するのが作法、というから引き受けてみたら…普通の格好してるやつらもいるじゃねえか…誰も海の写真なんて撮ってないな）

桐生ｗｗｗ

カメ子「アキラさん、原作っぽく構えてくれませんか？」

桐生「原作？」

忍者「アキラは八極拳使いなんですよ」ﾎﾞｿｯ

桐生「（…適当に蓮家の構えで行くか）こうでいいか？」

カメ子「ＯＫです！素敵です！」

桐生（…やれやれ。これじゃ海の写真どころじゃねえな。ん？）

桐生「あそこの人だかりはすごいな」

忍者「人気の女性レイヤーさんですね。カメ子も男性が多いですからね。何だかんだ女性には弱いんですよ」

桐生「そんなものか…おい、あれ」

忍者「え？」

挙動不審なカメ子「…ﾁﾗﾁﾗ」ｶｼｬｯ

桐生「あの男、明らかにスカートの中をこっそり撮ってるようだが」

忍者「何て事を…！ル、ルール違反だ！！」

桐生「ルール？」

忍者「コスプレ広場において、本人の了解を得ない盗撮まがいの事は御法度です！噂では、盗撮された写真は高値で取引されてるって…」

桐生「穏やかな話じゃねえな」

忍者「スタッフさん、ちょっといいですか？あの、あそこにいる人が…」ﾎﾞｿﾎﾞｿ

スタッフ「え！…わかりました…ちょっと、そこの…」

挙動不審なカメ子（以下盗撮野郎）「…」ﾀﾞｯ！

スタッフ「あ、こら、待ちなさい！…は、速い」

忍者「桐生さん！僕たちでアイツを捕まえましょう！」

桐生「そうだな、こそこそ人様に迷惑かけるってヤツは、気に入らねえからな」ﾀﾞｯ

忍者「あっ！桐生さん！待って！速い！…」

桐生（神室町で追いかけっこは慣れてるが…）

（ねえ見て、アキラが人追っかけてる）

（なになに？何かのイベント？仕込み？）

桐生（考えてみたら、今の俺は変な道着姿なんだよな…遥達には、見せられねえな…）

盗撮野郎「ﾁｯ…！！」

桐生「待ちやがれ！！」

盗撮野郎「…」

桐生「もう広場は行き止まりだぜ？出口の方に逃げなかったのが運の尽きだな」

盗撮野郎「へっ…運のツキなのはてめぇだよ、おっさん…おい、お前ら！！」

怪しいコスプレイヤー1「…」

怪しいコスプレイヤー2「…」

怪しいコスプレイヤー……×10

桐生「何だお前ら、グルか？」

盗撮野郎「盗撮写真を売りさばいて小遣い稼ごうかと思ったのによぉ、邪魔するから…お前ら、もうそれ脱いでいいぞ」

怪しいコスプレイヤー1「ああ、こんなだせぇ服着てられるかってんだ」ﾋﾞﾘﾋﾞﾘ…

桐生「…揃いの紫のシャツ、さっきシメてやった馬鹿の仲間か」

盗撮野郎改めリーダー「そ、カラーギャングってやつ。あの二人やったのおっさんだったんだ、じゃあ、たっぷりお返ししねえとな…オタクは黙って、俺らに搾取されてりゃいいんだよ」

桐生「…俺はオタクじゃねえが、今の言葉は聞き捨てならねえな」

リーダー「いやどう見てもオタクじゃねえか」

桐生「黙ってろ…この場所にはな、オタクなりの仁義が通ってて、諦められねえ夢が集まってんのさ…お前らみたいに無粋な連中が、土足で踏み入っていい場所じゃねんだよ」

リーダー「やっぱりオタクじゃねえか」

桐生「…いいだろう、今は俺もオタクの一員だ…お前らにこれから叩き込む言葉は『お・か・ゆ』…『おさない・かけない・ゆめをあきらめない』だ！！！」

リーダー「ほざけ…たたんじまうぞお前ら！！」

　カラーギャング　パープルヘイズ　ﾄﾞﾄﾞﾝ

リーダー「へへへ、この人数差で」

桐生「ｾｲｯ！！」

リーダー「挑むなんて」

桐生「ｵﾗｯ！！」

リーダー「無謀にも」

桐生「ﾄﾞﾘｬｱｯ！！」

リーダー「程が」

桐生「邪魔だぁ！！」ﾌﾐﾂｹ

リーダー「あるぜ…え？」

桐生「残るは、お前だけだ」

リーダー「え？な、何やってんのお前ら…え？」

桐生「さっき撮ったフィルムと、人から奪ったモン、全部返しな」

リーダー「…う、うわあああああ！！」ｼｬｷﾝ

忍者「やっと追いついた…桐生さん、あ、ナイフが！！」

桐生「ｾｲｯ」ﾊﾞｷｯ

リーダー「おぼふ！！」

桐生「…広場内は、30センチ以上の棒状の小道具は、持ち込み禁止だぜ」

30cm以上ｗｗｗｗｗ

ナイフでけえｗｗｗｗｗ

あれからギャング共を警察に引き渡し、俺は会場を後にした（危うく道着姿のままで帰るところだった…）。
俺にビニ本を買いに行かせたアイツには、本を渡す前にこんこんと説教してやった。
しかし説教喰らってる最中もアイツは本が手に入った嬉しさからだらしない顔をしていたので、諦めた。
ひ弱な体とは裏腹に、神経は図太いようだった。

アイツは別れ際に「冬コミも行く予定なんですけど、今度は一緒に行きませんか」と行ってきたが無視した。
代わりに、「神室町を案内して欲しいなら考えてやる」とだけ言っておいた。

さて、ひまわりに顔を出すか。

桐生さんマジかっけえ…

イケメンすぎるわ…

～後日、某ホームページにて～

コミックマーケット○○　3日目出来事まとめ

・東館待機列でセミの抜け殻ならぬヘビの抜け殻を肩に置かれる事案が発生。
・ストライクウィッチーズの痛キャップを被った893登場。
・なのは厨、徹夜中についには城を完成させる。
・スリ、カツアゲの発生件数が最多。しかし8割が持ち主の元へ返る。
・893がブルーシートを貸してくれる事案が発生。
・コスプレ広場にてリアルアキラ（バーチャ）無双。その後警官隊が。
・893がなのは厨を指揮してリアルアキラと対決。

〈おわり〉

おもしろかったよ
乙

龍が如くｓｓとか俺得だった乙