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ドラッグ オン ドラグーン3 討鬼伝

バーナビー「偵都ヨコハマ?」

        
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:06:46 ID:yrbStASs0

バーナビー「偵都ヨコハマって…あの探偵の街として有名な、ですよね?」

ロイズ「恐らく、君たちの想像している偵都ヨコハマで間違いないよ」
ロイズ「今回の仕事はヨコハマでの防犯キャンペーンだ。なんでも最近、特に怪盗による被害が著しいとかでね。そこで大人気のヒーローたちに協力してもらおうというわけだ」

虎徹「話は分かりましたけど…でもなんで俺が、こいつと?」

バーナビー「それはこっちの――

ロイズ「ハイハイ、時間がないからその辺にして。だいたいタイガー君、君は何か勘違いしてないかね?」

虎徹「勘違い?そりゃあいったい、どういったことで?」

ロイズ「はぁ…いいかいワイルドタイガー。君たちはタイガー&バーナビーなんだ。若き人気ヒーローのバーナビー君と、その引き立て役の君。何度も言うようだけど、嫌なら辞めてもらってもいいんだよ?」

虎徹「あぁいや、やります!やらせて頂きます!このワイルドタイガー、全霊を尽くして勤めさせて頂きますとも!」

バーナビー(まったく、調子のいい人だ)


4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:08:34 ID:yrbStASs0

―昼、トレーニングルーム―

アントニオ「ほう。お前ら2人であの偵都ヨコハマに、ねぇ…」

ホァン「いいなあヨコハマ!すっごくオシャレで有名な街だよね!でも、ヒーローの仕事ならボクも一緒に行きたかったなあ…」

イワン「今回ばかりは、スポンサー直々にお2人に依頼だから仕方ないですね」

キース「だが、彼らならきっと抜群のコンビネーションでやり遂げてくれるだろう!」

ネイサン「にしてもいいわねぇ、仕事とはいえあんなロマンチックな街に行けるんですもの。アタシもハンサムと一緒に行きたかったわあ…」

アントニオ「ちょ、お尻を触るなってば!」

虎徹「ま、そういうわけで2、3日空けるからよ。俺たちのいない間、この街を頼むぜ?」

カリーナ「…」

虎徹「ん?どうしたブルーローズ?」

カリーナ「べ、別になんでもないわよ…」

虎徹「ああ、ひょっとして…おみやげか?」

カリーナ「い、いらないわよおみやげなんか!それより行くなら早く行ってよね、ライバルが少ないうちにポイント稼ぐんだから!」

虎徹「…おう、頼むぜブルーローズ。…おみやげも期待しとけよー?」


6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:10:42 ID:yrbStASs0

※すごく都合のいいオリ敵が出ます


7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:12:15 ID:yrbStASs0

カリーナ「頼まれなくったってそのくらい楽勝に決まってるじゃない!おみやげは…そう!く、くれるって言うなら貰ってあげる…けど?」

ネイサン(相変わらずめんどくさい子ねぇ…)

バーナビー「オジサン、準備はできましたか」

虎徹「おうバニー。こっちはとっくにできてるぜ?」

バーナビー「それじゃ行きましょうか、下で車が待ってます」

虎徹「ああ。…んじゃ、ちょっくら行ってくるか」

ネイサン「無事に帰ったらキスしてあ・げ・る…」

キース「留守は私たちに任せたまえ!そして任せたまえ!!」

虎徹(ホント、頼もしい奴らだぜ…)

バーナビー「どうしましたオジサン。そろそろ年で涙腺が緩くなったんですか」

虎徹「お、俺ぁまだ若いぞ!」


10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:14:27 ID:yrbStASs0

―昼、偵都ヨコハマ某所―

???「ええ。もうじき彼らが到着するでしょう…では」
???「ふっ、もうすぐ…もうすぐ達成されるのですね…」

執事「…お電話はもうよろしいのでしょうか、怪盗X様」

怪盗X「ああ、もう結構です。ありがとう」

執事「いよいよでございますな、X様たち怪盗による計画…」

怪盗X「ええ。私たちのこの計画は、明日の夜をもって完遂となるでしょう…」
怪盗X・執事「フフフ…」

―夕方、ホームズ探偵学院―
シャロ「放課後です!今日もさっそく、デパ地下へ収穫に行きましょー!」

ネロ「おー!」

コーデ「今日は四季のキノコフェスタよぉー!」

エリー「キノコ…もう長い間、食べてませんね…」

ネロ「ボクキノコはごぶさただよぉ」

コーデ「ちょ、ちょっとネロぉ!」

エリー「///」

シャロ「みなさんがナニを話してるかさっぱり分かりませんが、張り切っていきましょう!」


11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:15:16 ID:yrbStASs0

―夕方、デパ地下―

ネロ「ムガッ、ムガッ…一心不乱に、ただひたすらキノコを、試食っ…!」

エリー「あぁ…なんて、おいしい…」

コーデ「こっちのもいい香りよシャロー!」

シャロ「おぉお香ばしいです!この香りだけでジャガイモ130個は食べられそうです!」

コーデ・シャロ「クンカクンカ…」


虎徹「…忘れる前におみやげ買っとこうと思ったら…なんだありゃ」
虎徹「おいおい、そこの君たち?」

ネロ「ムッシャムッシャ…ん?なんだよーおじさん、ボクたち今試食品で忙しいから用事なら後にしてよね」

虎徹「あ、そりゃ悪かった…って違う!」
虎徹「どうして試食品をそんなにガツガツ食ってるんだお前らはっ!」

ネロ「別にいいだろー、ボクたちビンボーなんだしさ。ねーエリー?」

エリー「う、うん…」

虎徹「待て待て。ちょっとオジ…お兄さんの話を聞いていきなさいって」


13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:16:30 ID:yrbStASs0

ネロ「ちょ、しつっこいなあもう!コーデリア!」

コーデ「お花畑のピンチッ!?」
虎徹「は、速っ…?」
コーデ「私の妹たちに何をする気よ!この…
コーデ「痴漢!(虎徹「腕ひしぎ逆十字!?」)変態!!(虎徹「四の字固めっ!」)犯・罪・者ぁぁああ!!!」
虎徹「つり…てんじ…ょ……」

ネロ「へんじがない ただのしかばねのようだ」

コーデ「…ふぅ。何だったのかしら一体…ところで、何かされなかった?2人とも…」

エリー「は、はい…」

シャロ「みなさん、どうかしましたかー?」

コーデ「あぁシャロ!それがね、この変質者がネロたちにちょっかいを――
虎徹「ちっがーう!誰が変質者だおい! 」

シャロ「変質者…って、なんですかあ?」

ネロ「にしても、いくらボクがかわいいからってちょっと引いちゃうよねー」

虎徹「さりげに距離をとりつつスルーしてるんじゃねえ!」

エリー「コーデリアさんのコンボを受けて…平気…?」

コーデ「あら本当。トイズでも使ったのかしら?」

虎徹「アイツだかドイツだか知らねえけどちょっとだけ、ちょっとだけオジサンの話を聞いてくれ!」


15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:17:18 ID:yrbStASs0

コーデ「もう、用があるなら早く言ってください!」

虎徹「いやさ、あのね…オジサン君たちみたいな年頃の若い子らがこんなとこで試食品食い漁ってちゃいけないと思うのよ」

ネロ「それはさっきも言ったじゃん、ボクたちビンボーなんだよ」

虎徹「いや、だからその…オジサンはね――
バーナビー「迷子にでもなったのかと思ったら…何をしてるんですかオジサン」

虎徹「お、いいところに!おいバニー、ちょっとお前も付き合ってくれ――

「「「えぇーっ!?」」」

虎徹「ダっ!?」

ネロ「バ、バーナビー・ブルックスJr.ぁ!?」

エリー「ほ、本物…です…!」

コーデ「どうしてこんなところにヒーローがっ!?」

シャロ「…へ?バーナビーさんって、あのバーナビーさんですかぁ?」

コーデ「そ、そうよシャロ!バーナビーさんはついこの間デビューした新ヒーローで、この間解決した宝石強盗だって――

バーナビー「ご紹介ありがとうございます。僕はバーナビー、こっちのみなさんに突っかかっていた冴えないオジサンがワイルドタイガーです」

虎徹「お、俺は突っかかってなんかいねえぞ!」

バーナビー「はいはい、そういうことにしておきましょうね」


16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:18:00 ID:yrbStASs0

虎徹「だから聞けってば――

コーデ「あ、あのっ!あなたがワイルドタイガーさん!…ですか?」

虎徹「…へっ?」

コーデ「私はコーデリア。コーデリア・グラウカと申します…あの…先ほどの数々の失礼無礼…そのっ、本当に申し訳ありませんっ!顔をよく見てなかったから、ワイルドタイガーさんだって分からなくて…」

虎徹「いや、俺ぁ別に気にしてないんだけどよ…」

コーデ「それで、その…ファンなんですっ!…妹が!さっきの今で厚かましいかも知れませんが、ええと…」

虎徹「え?サイン?…俺の?」

コーデ「は、はいィ!」

虎徹(…ちらっと)

バーナビー「どうしたんですかオジサン?せっかくファンの前なんですし、サービスの1つくらいしてあげないと」

虎徹「あぁ、そうだな…っと。これでいいかい、お嬢ちゃん?」

コーデ「あ、ありがとうございますっ!本当に申し訳ありません、お怪我させてしまったかもしれないのに、サインまで…」

バーナビー「ああ、この人の心配なら大丈夫ですよ。体だけは無駄に丈夫ですから」

虎徹「お、お前なぁ!」

シャロ「じゃあワイルドタイガーさんの怪我の手当ても必要ですし、一旦私たちのおうちへ戻りましょう!」


18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:18:43 ID:yrbStASs0

虎徹「いや、さすがに招待されても…うわっと!?」

コーデ「ぜ、是非!」

バーナビー「ファンのお誘い、むげに断るんですか?」

虎徹「…ダっ!ちょっとだけだかんな!」



―夜、屋根裏部屋―

コーデ「お怪我も軽くてよかった…本当にごめんなさいっ」

虎徹「いつまでも気にすんなって!ヒーローならこのくらいどうってことな…イテッ、叩くなバニー!」

バーナビー「オジサンなら一晩休めば大丈夫でしょう、キャンペーンは明日からですし」

虎徹「そうだな。長居も悪いし、俺らはそろそろホテルに戻るか」

シャロ「あの、バニーさん!キャンペーンって一体、何をなさるんですかぁ?」

バーナビー「僕はバニーじゃ…ん、コホン。僕たちは明日の午後から、警視庁主催の防犯キャンペーンに参加することになっているんです」


19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:19:47 ID:yrbStASs0

虎徹(バニーちゃん…ニヒヒ)

コーデ「そんなことするんですね!ニュースになってもいいはずですけど…」

ネロ「確かにそうだよね。ここ、『HERO TV』は再放送だけどすごい人気だもん。“キャンペーンってんなら、前もってアナウンスした方がずっと効果的なはずだよ”」

バーナビー・虎徹(……ん?)


------

【防犯キャンペーンへの参加に事前のアナウンスがなかった】
?この疑問点を覚えますか??

[覚える] [覚えない]

------



※別にルート分岐したりしません


20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:20:47 ID:yrbStASs0

エリー「コーデリアさん、よく見てますもんね…」

コーデ「えっ!?そっ、そうだったかしらっ!」

シャロ「そういえばそうでしたねーコーデリアさん!虎徹さんやバニーさんが出るたびにソワソワしてました!」

ネロ「ここだけの話、コーデリアって結構2人のファンなんだよねー?」

コーデ「ちょ、ちょっとみんなっ!?…ご、ごめんなさい虎徹さん、バーナビーさん!」

バーナビー「いえ、応援ありがとうございます。…ね、オジサン?…オジサン?」

虎徹「……あっ!そ、そうだな!くぅーっ、楓もこんくらい素直になってくれたらなあ…」

コーデ「楓さん?」

バーナビー「楓さんというのはオジサンの娘さんのことですよ。彼に似ても似つかないくらいのいい子だそうです」
虎徹「ダっ!お前、冗談にしてもあることないこと言うなっつーの!」

シャロ「えへへっ、お2人はとっても仲良しなんですねー!」

虎徹・バーナビー「だっ、誰がこんな奴(オジサン)なんかとっ!」

ネロ「ケンカするほど何とかー、ってヤツ?」

コーデ「フフフ…あら、もうこんな時間!ごめんなさい、長々と引き止めてしまったみたいで…」

バーナビー「いえ、こちらこそオジサンがいつまでもご迷惑おかけしました。さ、戻りますよオジサン」

虎徹「お前なぁ…」


22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:21:27 ID:yrbStASs0

シャロ「もうお帰りですか?…それじゃあ、明日は頑張ってくださいね虎鉄さん、バニーさん!」

ネロ「今日は悪かったな鏑木。おわびにこのうまうま棒やるよ!」

エリー「うまうま棒は…ちょっと…」

コーデ「2人とも頑張ってくださいね!これからも私、応援してます!」

バーナビー「ええ。みなさんも学校生活、頑張ってくださいね」

虎徹「また会うような気もするけど…それじゃあなお前ら!」




―夜、繁華街―

虎徹「探偵の街っていうからもっとおカタいもんかと思ったけど…案外普通の都会なんだなここ」

バーナビー「あなたはちょっと気を抜きすぎですけどね」

虎徹「そりゃオフの時くらいはよぉ…」

バーナビー「偵都ヨコハマ…ヒーローの変わりに特別な能力『トイズ』を持った『探偵』が街を守る…ヒーローがいないのに治安がいい理由は、おそらくそこにあるんでしょう」

虎徹「特別な能力、っていうと…そのトイズってのはNEXTみたいなもんなのかね?」

バーナビー「それは分かりませんが…話を聞く限りではずいぶんと似通った点が多いですね。ひょっとすると――

???「待ってくださーい!」


24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:22:09 ID:yrbStASs0

虎徹「ん、…誰だ?」

???「シャーロックです!その、お2人にちょっとお聞きしたいことがあって……」

虎徹「シャロ!っておいおい、女の子が夜遅くにこんな街中を出歩くもんじゃないぞ?」

バーナビー「オジサンの考え方は古いですが、確かに感心しませんね。…それで、用事というのは?」

シャロ「はい!その、お2人の出番の時間を聞いておこうと思って…」

虎徹「…時間?さっき話題になってたけど、俺たちは確か――

バーナビー「午後、正確には12時からの一日署長と防犯教室に参加する予定ですよ。…まさかオジサン、忘れたとかいいませんよね?」

虎徹「お、覚えてらぁそんくらい!…まあそういうわけだ、他に何か聞きたいことはあるか?」

シャロ「いえ、ありがとうございました!みんなで応援に行こうかと思ってたんです!」

虎徹「ハハッ、ありがとよ。さて、用事が済んだなら子どもはそろそろ家に帰って寝る準備しろよ?」

バーナビー「偵都といっても夜道は何があるか分かりませんし、途中までお送りしましょうか?」

シャロ「い、いえっ!探偵のタマゴですから大丈夫ですっ!」

虎徹「そうか、気をつけてけよ」

シャロ「はいっ!それじゃあおやすみなさい、“バーナビーさん”と“ワイルドタイガーさん”っ!」


25: ※アニメ版準拠なので謎解きはありません 2011/12/23 09:23:32 ID:yrbStASs0

虎徹「…おう、それじゃあな」

バーナビー「……」



虎徹「……行ったか。…バニー」

バーナビー「…ええ。分かってます。…彼女は、おそらくシェリンフォードさんではない」

虎徹「…ああ。それに明日のキャンペーン……」

バーナビー「一応、僕がロイズさんたちに連絡しておきます」

虎徹「頼む。……俺の直感が言ってるぜ、今回の仕事…どうもキナ臭い」

???(……クヒヒ)


26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:25:33 ID:yrbStASs0

―翌朝、ヨコハマ警察某所―

???「いよいよ今日、『計画』は実行される…忌々しき探偵とヒーローを抹殺し、ヨコハマの街に混沌の美学を…そうでしょう?X様…」

黒服「……様、…様。…そろそろお時間でございます」

???「ああ、すまないね。…それじゃあ行こうか?」
???(『計画』の第一歩…タイガー&バーナビーの始末に、ね…?)




―昼前、ホテルのロビー―

バーナビー「さて、そろそろ行きますかオジサン」

虎徹「おうよ!とりあえず今は、目の前の仕事に集中!だな!」

バーナビー「ほんっと、毎日お気楽そうですねあなたは」

虎徹「そういうお前こそ、緊張してミスしたりすんじゃねえぞ?」

バーナビー「誰に言ってるんですか。僕は仕事をちゃんとこなしてますし、いつも迷惑をかけるのはあなたでしょう?」
バーナビー「だいたいこの間の宝石強盗だって、あなたが他のヒーローを巻き込んだせいで余計な手間をかけさせて――」


29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:26:57 ID:yrbStASs0

虎徹「なっ、何をぉ!?アレは結局逮捕できたんだしお前がポイント稼げたしいいじゃねえかよ!」

バーナビー「論点がズレてますよ!とにかく、僕の仕事を邪魔するような真似は慎んでください」

虎徹「だぁっ、分かった分かった!…とにかく、昨日のこともあるし注意はしておけよ」

バーナビー「それくらい言われなくても分かってますよ、オジサン」

虎徹「ケッ、可愛くねーヤツ!」

バーナビー「あなたに可愛いと言われても正直寒気がしますよ…ほら、いい加減行きますよ」
虎徹「って、ちょっと待てって!」

バーナビー「なんですか急に」

虎徹「いや、これを渡しておこうと…」

バーナビー「なんですこれ?…ワッペン?」

虎徹「おみやげだ」

バーナビー「…はぁ。こういうこと言うのもなんですけど、ちょっと自覚が足りてないんじゃないですか?」

虎徹「まあいいからいいから!とりあえずよ、“着けずにどっかに閉まっておくだけでもいいから”、持っといてくれ、な?」

バーナビー「…ふぅ、仕方ないな。とりあえず、“仕事が終わるまでは”ポケットに入れて預かっておけばいいんでしょう?」

虎徹「へへっ、頼んだぜバニー!」

バーナビー「バニーはやめてください」


30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:28:07 ID:yrbStASs0

―同時刻、ホームズ探偵学院―

アンリエット「…そろそろ、ですね」

石流「…はい、もう数分ほどで」

根津「俺、もう待ちくたびれたよー」

アンリエット「フフッ…もうすぐですよ根津さん?」

二十里「そう!もうすぐこの美しい僕による美しすぎる美しきショウが――
アンリエット「…それで。タイガー&バーナビーは本日、12時からの一日署長に防犯教室…この情報に、間違いはありませんね?」

二十里「美しきアンリエット生徒会長様の言うとおりでございますっ!あぁッ!」

石流「くっ、クネクネするなっ!」

根津「そういやトゥエンティ、“昨日の夜”いなかったと思ったら“ワイルドタイガーたちの予定を聞きに行ってた”んだな」

二十里「そうさっ!僕はアンリエット様の命で動く美しきドーベルマン!」

石流「変装のトイズ…やはりこの手の仕事では重宝する、よくやったぞトゥエンティ」

アンリエット「ええ、本当に…」

根津(俺も褒められたいなあ…)

二十里「褒められるより罵られたい!」

アンリエット「昨日の情報と、以前ある筋から寄せられた情報…どうやら、私たちもまた重要な役割を担っているようです」


31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:29:50 ID:yrbStASs0

根津「重要な…」

石流「…役割?」

アンリエット「ええ。……時間ですね。作戦は打ち合わせの通りに、では――
アルセーヌ「…今日も美しく舞いましょう…フフ」

ラット「…っし。んじゃ俺達も!」

ストリバ「ああ、すでに準備は完了している…行くぞ」

トゥエンティ「それじゃあ今日も咲かせようじゃない、怪盗の美しき毒の華ってやつをさぁ!イヤッホーゥ!!」




―正午、イベント会場―

MC「お待たせしましたぁ!本日のメーンゲスト、タイガー&バーナビーさんです!」

タイガー「はは、どうもどうもー」

観客「「「「……」」」」

バーナビー「…フッ」

観客「「「「キャー!バーナビー!!」」」」

タイガー「…なーにが『…フッ』だよ…」
タイガー(……挫けそう)


33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:30:31 ID:yrbStASs0

MC「シュテルンビルトからお越しいただいた、新進気鋭のヒーローコンビ!ハンドレッドパワーを携えたダブルヒーロー!本日はヨコハマ防犯キャンペーンとして、彼らにヨコハマ警察の一日署長を務めていただきまぁす!」

観客「「「「ガンバッテー!!キャー!!」」」」

MC「タイガー&バーナビーさんにはこれからパトロールをお願いしましょう!では、また後ほどっ!」



タイガー「……ふぅ、やっぱ観客が多いと疲れるわ」

バーナビー「柄にもなく緊張してたんじゃないですか?」

タイガー「あー、それもあるけど多分それだけじゃねえな…はぁ…」

バーナビー「しっかりしてください。今日は一日中予定がビッシリなんですから」

タイガー「おう、任せとけって」

バーナビー(…いまいち信用できない)

タイガー「そうそう、結局事件は起こらなかったな。起こらないに越したことはないし、よかったよかったと」

バーナビー「…ええ。ロイズさんにも連絡をしましたが、“こちらでは前々から調整が行われていた”と。……まだ何が起こるか、わかりませんからね」

タイガー「分かってるよんなこと。ただよ、せめて移動中くらいは眠らせて……ッと!?」

バーナビー「なっ!?」


34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:32:18 ID:yrbStASs0

運転手「わっ、わっ…!ま、窓に…なんだこれはっ!」

???「クヒヒヒヒヒ!クッヒヒヒヒヒ!」

タイガー「いってぇ、いきなり急ブレーキかよ…っておわー!?なんっじゃこりゃあ!?」
バーナビー「オジサン!…運転手さんも、車から出てください!」

運転手「ヒッ…うわぁあ!?」

タイガー「運ちゃん!?クソッ、おい大丈夫かよ!」

バーナビー「早くっ!」

―正午、繁華街道路―

タイガー「運ちゃんは逃げろ!…バニー!」

バーナビー「分かってます…ハアッ!」

???「クッヒッ!」

タイガー「なっ、速ぇ!」

バーナビー「ならばNEXTでっ…!」

タイガー「待て、俺が行くっ!はああっ…!オラァっ!!」

???「クヒッ…」

バーナビー「よし、捉えたっ!」


35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:34:18 ID:yrbStASs0

タイガー「ふぅ、驚かせやがって…やったか?よし、それじゃ戻るぞバニー――

バーナビー「オジサン!まだです、後ろにっ――

タイガー「へ?…の、のわぁっ!」

???「クッヒヒヒ!」

タイガー「っててて…野郎、こっちは能力発動したってのにピンピンしてやがる!」

バーナビー「あいつ、一体何を!?」

タイガー「っの野郎!おりゃあ…っ、どわあ!?」

バーナビー「オジサン!…くっ、新手かっ!?」

???B「…」

???「クヒッ!タイガー&バーナビー、貴様タチニハココデ消エテモラウ」

タイガー「ど、どういうことだっ!」

バーナビー「貴様たちの目的はなんだ!なぜ僕たちを狙う!?」

???B「散り行く者に、答える道理はない…」

タイガー「おいおい、本気かよっ…」

???「本気ニ決マッテイルダロウ。コノ程度ノヒーロー、ワザワザXノ手ヲ煩ワセルコトモナイ」


37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:35:44 ID:yrbStASs0

バーナビー「X?…それが、貴様たちの首領か!」

???B「口が過ぎるぞN。…だが、聞いたところで貴様たちにどうこうできる問題でもない」

N「簡単サアT、ココデ始末シチャエバ聞カナカッタノト同ジダロウ?」

T「フッ、そうであったな…では」
T「我が名はT、怪盗T。偉大なる怪盗X様の命によって、貴様らを始末しに来た」

タイガー(怪盗…確かヨコハマを中心に活動する勢力、だったか)

N「同ジク、怪盗N!サア、観念シナヨヘッポコヒーロードモ」

バーナビー「確かにオジサンはヘッポコですが、僕まで同列に扱われるのは心外ですね…はああっ!」

怪盗T「一定時間だけステータスを100倍に跳ねあげる『ハンドレッド・パワー』…一度手合わせ願いたかったところだ」

怪盗N「ダガ、能力ハ5分間シカ持タナイ…待ツツモリカ、Tヨ」

バーナビー「(できるだけ街から引き離す…)ッ!」

怪盗T「…いや、5分も待つ必要はない」

バーナビー「ハアッ!」

怪盗T「…未熟」

バーナビー「な、何を言って…うわっ!?」

タイガー「バ、バニー!?…あいつの得物は刀かっ!」


38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:37:41 ID:yrbStASs0

怪盗T「本来ならば真っ二つになっていたところであるが…小僧、なかなかいい反射だ」

怪盗N「ダガ、Tノ太刀筋ヲ完全ニ見切ルノハ難シカッタヨウダナ…肩カラ血出テルゼ?クッヒヒッ!」

バーナビー「一度手の内を晒した、もう同じ手はくわないぞ!ハアァ――


???「――ずいぶんと時間がかかっていると思えば、こんなところにいたのか。…はいそこまで。待ちたまえ、バーナビーくん?」

バーナビー「ッ…!誰だ、邪魔をするなっ!」

???「おお、恐い恐い。…でも。…これを見ても、君はまだそんなことが言えるかな?」

タイガー「なっ…!おいバニー!そいつの抱えているのは――

???「お気づきかな?…そう。俗な言い方をすれば、籠の鳥…人質、だろうか?」

バーナビー「ッ!?み、みなさんっ!?」

シャロ「あっ、虎て…タイガーさん!バニーさん!」

ネロ「どうしたんだよ2人とも、そんな慌ててさあ」

コーデ「ちょっと、今そんなこと言ってる場合!?」

エリー「私たち、この怪盗に捕まって…」

タイガー「お前ら!待ってろ、今助けてやる!」

???「果たしてキミにそんなことができるのかな?…そら、キミの方はもうすぐ5分…」


39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:39:29 ID:yrbStASs0

タイガー「関係あるかよっ!だりゃあ!」

???「おっと。…Nクン、頼まれてくれるかな?」

怪盗N「盟友デアル怪盗Eノ頼ミナラバ…クヒヒ!」

タイガー「だぁっ、邪魔すんなっ!」

シャロ「タイガーさんっ!」

怪盗E「ふっ、キミはまだおとなしくしていてくれるかな?」
シャロ「うぇっ?…これ、とい、…ず……?くかー…」

ネロ「シャロ!?おい起きろってば、寝てる場合かよ!」

コーデ「どうしてこんなとこで寝られるのよ、ふてぶてしいわねもう…グゥー」

エリー「コーデリアさんは素で眠らないでください…」
コーデ「ぐぉーすぴー」

怪盗E(…人質間違えたかなあ?)

怪盗N「全ク、緊張感ノナイ奴ラダ」
タイガー「…チャンスだ!せいっ!!」

怪盗T「そう易々と通させるつもりはないっ!」

タイガー「ぬわっ!あ、危なっ!」

バーナビー「オジサン!くっ…」


40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:40:43 ID:yrbStASs0

怪盗E「キミの方はまだ戦えるとはいえ、片割れの虎はもう限界のようだね?」

タイガー「クソッ、もう5分かよっ!」

怪盗T「Eよ、そろそろ我々も時間だ」

怪盗N「ソウイウコッタ!命拾イシタナ、ヘッポコヒーロードモ!」

怪盗E「ふっ。……タイガー&バーナビーよ。人質は――ミルキィホームズは預かった。ヒーローであるキミ達に見捨てるという選択肢はない…わかるね?」

バーナビー「当たり前だ!早く彼女らを解放しろ!」

怪盗N「ハイソウデスネ…トデモ、言ウト思ッテンノ?プークスクス」

怪盗E「だが我々とて、我々なりの美学を持つ怪盗。どうだろう?ここは一つ、この子たちの開放を賭けてゲームをしようじゃないか?」

タイガー「ゲームだと?ふざけやがって!」

怪盗E「言っただろう?君たちに選択肢はない」
怪盗E「ゲームは今宵…ヨゴバマ・ファミリア協会にて行おう。我らが盟主、怪盗X様の御前だ。…いいかな?」

バーナビー「選択肢はないんだろう、くどい!」

怪盗N「クッヒッヒ、威勢ダケハイッチョマエダナ」

怪盗E「…よろしい。では、しっかりと準備をしてくるといい。なんなら尻尾を巻いてシュテルンビルトへ逃げ帰ることも…私は咎めるつもりはないがね?」

タイガー「冗談じゃねえ!目の前の事件ほっぽり出して帰れるかっての!」

怪盗T「その意気やよし。X様も貴様らを歓迎するだろう」


41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:42:23 ID:yrbStASs0

怪盗N「クッヒヒヒ!ソレジャ、マタ後デナ!クーッヒヒヒヒヒ!!」

タイガー「ま、待ちやがれ…おわぁ!?」

バーナビー「ゴホッ、…煙幕か!」

ネロ「ちょ、ブルックスー!鏑木ぃー!」

バーナビー「譲崎さん!…くそっ、逃げられたか」

タイガー「バニー、この煙じゃ後は追えない。ひとまず市民の無事を確認だ!」

バーナビー「分かってます!」




―昼、ヨコハマ警察―

虎徹「――それで、キャンペーンは中止…と?」

???「まあ、状況を考えれば妥当でしょう?」

バーナビー「そうでしょうね。…ありがとうございました、怪盗対策部の…」

???「部長です。こんな時になんですが、犯罪者対策の専門家であるタイガー&バーナビーさんにお会いできて光栄です。…それで。お2人は今晩、教会で怪盗と決着をつけるそうですね?」


42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:44:04 ID:yrbStASs0

バーナビー「ええ。番組ではないとはいえ、凶悪な犯罪者を見逃すことはできませんからね」
バーナビー(それに相手は組織…もしかしたら、僕の探しているウロボロスへの手がかりが見つかるかもしれない)

虎徹「おうよ。人質のチビどもを助けて、その上で怪盗どもを捕まえる!」

部長「はっは、それは頼もしい。我々としても協力は惜しみませんよ?…ところで、お2人は今日はヒーローのスーツではないのですか?」

虎徹「そ、そうなんすよ。なにやらバニープッシュとかヨコハマは治安がいいからスーツも必要ないだろうとか、上の方で勝手に決められてたみたいで…」

バーナビー「確かに。スーツがあればもう少し粘れたかもしれませんね。…僕たちが嘆いたところで、すでに決められたことは取り消されないでしょうけど」
バーナビー(…いや、きっとそれだけじゃない。やはり今回の件は何か…何かが、隠されているのかもしれない)

部長「なるほど。差し出がましいかもしれませんが、私たちの方でもお2人のスポンサーに連絡をしておきましょうか?」

虎徹「ああ、さっきバニーが連絡してましたけど…警察からの依頼もあれば、もっと早く届くかもしれないっすね。俺からもよろしくお願いします」

バーナビー「ええ、ぜひお願いします。…それでは、僕たちは一度戻って態勢を立て直します」

部長「ああ、ちょっと待ってください?」

虎徹「な、何すか?」

部長「いえ、怪盗対策部として知っている限りの怪盗の情報をお伝えしようと…」

バーナビー「…お願いします。僕たちが戦ったのは、怪盗N、怪盗E、怪盗T…うち、能力を使ったと思われるのは怪盗NとEですが…彼らは全員能力を持っているのですか?」

虎徹「NってのはあのNEXT能力を使ったパンチでビクともしなかった方か…もう1人のEの野郎は…シャロをコロッと眠らせた方だったな」


43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:45:27 ID:yrbStASs0

部長「ええ。お2人のお話の通り、彼奴ら…『怪盗N.E.X.T』は、全員が特別な能力――NEXTでしたっけ?――を持った、怪盗組織なのですよ」

バーナビー「NEXT?この街の能力者は探偵も怪盗もトイズなのでは――

部長「はい。彼らはトイズを持ちませんが、代わりにNEXT能力によって怪盗としての活動を行っています。…恐ろしい話でしょう?」

虎徹「そ、それで奴らの能力ってのは?」

部長「お恥ずかしい話ですが、私たちも奴らには手を焼いていまして…推測でよければ聞いてください?」

虎徹「情報がないよりはずっといいっすよ。まず怪盗Nの能力…あれは一体、何なんすかね?」

バーナビー「オジサンの攻撃をくらってダメージを受けない…防御系の能力でしょうか」

部長「私たちもそう推測しています。おそらくは肉体か衣服かの硬化能力でしょうか?」

虎徹「なるほどな。…するってえと、眠らせた方は催眠術でも使ったのか?」

バーナビー「安直な考え方ですが、その可能性が一番ありえますね」

部長「この短時間に、私たちの推測のさらに先をいく意見を導き出すとは。…さすがタイガー&バーナビーさんといったところですかね?」

虎徹「まあ、実際に対面して戦いましたからねえ…」

バーナビー「残る面子の能力も聞きたいところですが…あの刀を使っていたのは、怪盗Tとかいいましたか」

部長「ええ、刀を振り回す物騒な輩でしてね?能力を使わずともあの得物で倒されてしまうほどめっぽう強く、どうやら“能力を使うところを見た者はいない”ようです」


44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:46:41 ID:yrbStASs0

虎徹「確かに、バニーも能力がなければ危なかったな」

バーナビー「ちょっと油断していただけです。…それで、最後の一人は…?」

部長「ええ。『怪盗N.E.X.T』の首領、怪盗X…その能力は……?」

虎徹「ゴ、ゴクリ…」

バーナビー「…」

部長「…申し訳ありません、怪盗Xはめったに現場に現れないもので…彼の姿自体、見たものが少ないのですよ?」

虎徹「だぁっ?」

バーナビー「…そうですか。いえ、しかし情報はないよりは推測でもあったほうがいいですからね。ご協力ありがとうございます、部長さん」

部長「いえいえ。このくらいしかお役に立てませんからね。…今晩は、がんばってくださいよ?」

虎徹「お任せください!このワイルドタイガーとバニーのコンビで、怪盗どもをあっという間に蹴散らしてみせますって!」

バーナビー「オジサンはまず、コンビを名乗る前に自分のミスを減らしてください」

虎徹「なっ、なにをぅ!」

部長「…あ、あのー?」

バーナビー「さっきの事だって、あなたが先に能力を使ったからですね――
虎徹「なぁっ!お、俺はお前が能力を温存しておけば、いざというときに――

バーナビー「そのいざというときに使えず逃がしてしまったでしょう!まったく、あなたのおかげで捕まえられる犯人も捕まえられませんよ」


45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:47:57 ID:yrbStASs0

虎徹「お前だって、あの刀振り回す奴に押されてただろうがっ!」

バーナビー「あれはオジサンの立ち位置が邪魔で動きづらかったからです!邪魔しないでくださいって言いましたよね、僕?」

虎徹「知るかよ!とにかく、夜は絶対に怪盗を捕まえるかんな!」

バーナビー「あなたに言われなくたってそのつもりです。先に言っときますよ、今度こそ邪魔をしないでくださいねオジサン」

虎徹「ダっ!?…ちょっ、おい待てってバニー!……ちっ」

部長「……いやあ、本当にお仲がよろしいようで?」

虎徹「あれがそう見えます?…ともかく、俺も行きます。あなたはドーンと構えて、待っててくださいよ」

部長「ふふ、期待していますよ?タイガー&バーナビーさん…では」



部長「……行ったかな?」

黒服「ええ。…この場で片付けなくてよろしかったのですか?」

部長「いや。不仲のコンビを裂くのに、戦い以上に相応しい場はないだろう?」
部長「互いに反発しあい、何もなせぬまま共に死ぬ…美しい、まったく彼らにお似合いの最後だと思わないかな?」

黒服「それがあなたの美学…なんと毒々しく美しい。……怪盗E様」

怪盗E「…そうだろう?」


46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:50:32 ID:yrbStASs0

―同時刻、ヨゴバマ・ファミリア教会―

エリー「……んぅ」
エリー「…あ、…ここは…?」

シャロ「くかー…もぅ食べられにぃ…」

ネロ「ふがふがふが…試食のキノコ…うまー…」

コーデ「……ぐぉおおおー…ぐがぁあああー…」

エリー「シャロ、ネロ、コーデリアさん…?」
エリー「お、起きて…ください…っ」

シャロ「…んむにゅう。…あっ、おはようございますエリーさん!」
シャロ「…おはよう?ちょっと違うかなあ?エリーさん、今何時か分かりますかー?」

エリー「今は…お昼下がり、くらい…?」

シャロ「おぉー!それじゃあ、おはこんにちはエリーさん!…あれー?私たちどうしてこんなところにいるんでしたっけ?」

エリー「それは…繁華街で――

ネロ「――んもー、うるさくて寝られやしないよ。…あれ、シャロ、エリー?どうしてここに…」
ネロ「というかどうして縛られてるんだ、ボクたち……」

コーデ「それは怪盗Eと名乗る怪盗に人質として誘拐されて眠らされたからよぉぉお」


47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:52:56 ID:yrbStASs0

ネロ「わっ!な、なんで歌ってるんだよコーデリア!」

エリー「いえ、今のはコーデリアさんの寝言です…不思議なことに、ほんとのことですけど…」

シャロ「わー、コーデリアさんって器用ですねえ!」

ネロ「感心してる場合かよ!」

エリー「と、とにかく…ここから逃げましょう…」

ネロ「逃げるったって、この縄どうすればいいのさ?」

シャロ「でもこの縄、なんだか味が染み込んでておいしそう…!」

ネロ「はぁーっ!?バッカみたい、どこに縄なんか食べられる人がいるのさ!」

シャロ「でもこんなにおいしそうな…」

ネロ「バカ言ってないで、さっさと別の方法考えようよ!エリーは何か考えた?」

エリー(あの時真っ先に縄を食べたのは、ネロだったような…)

ネロ「…エリー?」

エリー「はっ、はいぃ!」
エリー(…ううん。きっと、気のせい…?)


48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:55:21 ID:yrbStASs0

シャロ「あっ!あたし、すごいこと思いつきましたっ!」

ネロ「なんだよ?」

シャロ「えっとですね、お2人を呼ぶんです!」

ネロ「2人って、…もしかして鏑木とブルックスを呼ぶつもりかよ?」

シャロ「はい!だって虎徹さんとバニーさんはヒーローですよ?」

ネロ「それはそうだけどさ。…あいつら、今はボクたちを誘拐した犯人を捕まえるので忙しいんじゃないの?」

エリー「…でも、何もしないよりはいいかも…」

シャロ「それじゃあお2人を呼びましょう!…せーの――

ネロ「ま、待てよシャロ!大声出したら、ボクたちが目を覚ましたってバレるかもしれないだろ!いきなり誘拐するような奴らが何をするか――


???「…いい勘をしていますが、若干遅かったようですね」

ネロ「なっ!」

シャロ「えっ?」

エリー「ひっ!?」

コーデ「ぐおおおおお…はっ」

「「「「だ、誰っ!?(掃除っ!…くかー)」」」」


50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:55:52 ID:yrbStASs0

???「申し遅れました、私はX。『怪盗N.E.X.T』の怪盗Xです。以後、お見知りおきを」

シャロ「ご丁寧にありがとうございます!怪盗Xさんですね、よろしくお願いしま――って、えぇええーっ!?」

エリー「『怪盗N.E.X.T』の首領、怪盗X…!?」

ネロ「ボ、ボクたちをどうするつもりだよっ!」

怪盗X「いや、別にとって喰おうというわけではありませんからご安心ください。…ただ、あなた方には鯛を釣り上げるための海老の役割になってもらうとは言っておきましょう」

エリー「…まさか、怪盗同士が手を組んで…?」

怪盗X「ほう、なかなか回転が速い。…よろしい、あなた方が逃げ出すことは不可能ですしお教えしましょう」
怪盗X「私たち怪盗はそれぞれに独自の美学を持ち、故に互いに結びつくということがありえない孤高の存在です。…ですが、ある時彗星のように現れた怪盗一味…彼らの活躍は、あなたがたミルキィホームズがもっともよくご存知でしょう」

シャロ「怪盗帝国…アルセーヌ!」

怪盗X「そう。彼らは個々が優れた怪盗でありながら、さらに手を組み組織化することでさらなる高みに到達できた、怪盗の新しい形の成功例です」

ネロ「…それが、お前たちがボクたちを誘拐したことと何か関係あるのかよ!?」

怪盗X「まあ落ち着いてください、話にはまだ続きがあります。…本来相容れないもの同士が結束する強さ。私たち『怪盗N.E.X.T』もまた、それを知りました。それからの私たちのヨコハマでの活躍は、みなさんの記憶にも新しいことと思います」

エリー「…一体、何を…?」

怪盗X「ところで、この街の探偵と怪盗が有する特別な能力…トイズ、でしたっけ?……実はアレ、私たちにはないんですよ。ご存知でしたか?」

エリー「……えっ?」


52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:57:23 ID:yrbStASs0

シャロ「…だ、だってテレビで言ってましたよ、『怪盗N.E.X.T』がトイズを使って美術館から国宝を盗んだ、って!」

ネロ「“特別な能力”なのに、“トイズじゃない”!?……それって、もしかして…!」

怪盗X「ええ。元々私たちは、この街の人間ではありませんからね」

エリー「ヒーローと同じ…NEXT能力を、持っている…?」

怪盗X「その通り。…同じ街に生まれ同じ力を持ちながら、正義と悪とに分かたれたヒーローと怪盗の対決…運命を感じませんか?」

コーデ「そんなのあなたのナルシシズムよ!わざわざヒーローを、街の人たちを振り回していいはずがないわっ!」

シャロ「わっ、起きてたんですかコーデリアさん!」

エリー「いえ…多分、寝言です…」

ネロ「でも、コーデリアの言うとおりだよ!…それに、ヒーローは負けない!」

怪盗X「……不和のコンビが、私たちの力に打ち勝つことができるでしょうか?フフフ…」

シャロ「それでも、それでもタイガーさんたちならやってくれます!だって私たち知ってますから!あの人たちがとっても仲良しなこと!」

怪盗X「…面白いことを言いますね。…よろしい。それではこれから、あなた方の希望を削ぐお話をしましょう」

エリー「ど、どういうこと、ですか…?」

怪盗X「いえ、すぐに終わりますよ。……お教えするだけですから、私たち『怪盗N.E.X.T』の能力を……」


53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 09:58:32 ID:yrbStASs0

―夕方、ホテル前―

虎徹「…おっせーな、バニーの奴」

虎徹「……」
虎徹(相手は4人組…しかも手練れときてやがる…スーツでもありゃあ、なんとか戦うくらいはできるかも知れないが…)

虎徹「…やめだやめだ。こんなこと考えてたって仕方ねえ。…お、」

バーナビー「…お待たせしました」

虎徹「おう、遅かったなバニー。…それで、ロイズさんたちは何て?」

バーナビー「ええ、ですがその前に一つ確認させてください」

虎徹「…なんだ?」

バーナビー「僕たちの待機場所のことなんですが…すみません、忘れちゃったみたいで」

虎徹「……」
虎徹「…バニー、ちょっとポケットの中のモノ見せてもらっていいか」

バーナビー「…質問に質問で返す以前に、全く会話になっていないことはやめてもらえません?」

虎徹「いいから答えろ。…ポケットの中に俺が頼んだアレがあるのか、ないのか」

バーナビー?「……」

虎徹「…無い、みたいだな」


54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:00:21 ID:yrbStASs0

バーナビー?「くっ…鏑木虎徹、バーナビーの引き立て役のロートルかと思えばなかなか鋭いじゃないかっ!」

虎徹「…怪盗の一味か誰だか知らねえが。…あんまりヒーロー、ナメんなよ」
虎徹(…あと、引き立て役とかロートルとかバニーの声で言わないでくれ…)

バーナビー?「まあいい、僕たちの計画も順調に進んでいる。今更キミ達の出る幕はないね!ア・デュー!」


虎徹「おいちょっ、待っ――!」
虎徹「くそっ!…今能力を使うわけにもいかねえし、ったく!どこの街でも犯罪者ってのは逃げ方がうまいもんだな」

バーナビー「誰もいない方向に毒づいてどうしたんです…ああ、とうとう見えないものが見え始めたんですか、オジサン」

虎徹「っ!?……お前、バニーだよな?」

バーナビー「どうやら真面目に眼科にでも行ったほうがいいみたいですね」

虎徹「…そうだバニー、ポケットの中のモノちょっと見せてくれ」

バーナビー「ポケットの中?…ああ、オジサンがおみやげとか言って僕に無理やり持たせたワッペンですか。……それならここに。これがどうかしましたか?」

虎徹「い、いや気にすんな!最後の一仕事が終わるまで、持っといてくれ!な?」

バーナビー「仕方がないな。…ところでロイズさんとの連絡ですが、『事件を聞いてから急いで発進させたが、こちらも事件で道路が封鎖されていたため予定より大幅に遅れるかもしれない』だそうです。向こうは残っていたヒーローによって全員捕まえられたそうですが」

虎徹「…そうか、あいつらも頑張ってくれてるか」

バーナビー「何を言ってるんですか。僕たちは今、そんなことを心配している場合じゃないでしょう」

虎徹「わーってるよ…じゃ、行くか」


55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:03:07 ID:yrbStASs0

―夕方、ヨゴバマ・ファミリア教会―

虎徹「どうも、お待たせしました部長さん」

部長「いえ、ちょうどいい時間だと思いますよ?」

バーナビー「…それで、犯人たちはこの中に?」

部長「ええ。先ほど組織の一人から内部からと思しき犯行声明がありました。『こちらには人質がいる、貴様らを撃退できるNEXT能力がある。ゆめゆめ攻撃をしようとは思うな』と。……まったく、ふざけてるでしょう?」

虎徹「ああ、まったくふざけてやがる!」

バーナビー「…となると、彼らの言っている『ゲーム』とやらに僕たちが参加するしかない…と?」

部長「ええ、今のところは。もちろん私たちも、参加できないにせよ奴らの脱走を防げるよう外で張っておきます。…安心して戦ってください?」
部長(そう、安心して……ね?)

虎徹「任せてください!スーツこそありませんけど、俺たちにかかればあんな怪盗どもイチコロですって!」

バーナビー「僕はオジサンと協力するつもりなんてありませんがね」

虎徹「…お前なあ、いつまで拗ねてんのか知らねえけど――

バーナビー「別に、拗ねてるわけじゃありません。…行きますよ」

虎徹「ちょっ、待てってば!」


部長「……行ってらっしゃい、かな?タイガー&バーナビー。そして――
怪盗E「さようなら、タイガー&バーナビー?…フフフ…」


56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:04:13 ID:yrbStASs0

―ヨゴバマ・ファミリア教会―

虎徹「『怪盗N.E.X.T』!どこだ!」

バーナビー(ゲームの主催者が来ないとは…やはり罠だったのか?)

虎徹「出て来い、ワイルドタイガーだ!とっととシャロたちを解放しろ!」


怪盗N「…マアソウ騒グナヨ。目の前ニイルダロウ?」

虎徹「そうそう、それでいいんだ…っておわぁ!?怪盗Nっ!」

バーナビー「来たか!ハァアアッ!」

怪盗N「イキナリ強烈ナアイサツダナ。クッヒヒヒ!」

虎徹「来やがったな怪盗!俺が相手だ!」

バーナビー「いえ、僕が相手です。…来い、怪盗N」

虎徹「えっ…っておい、バニー!一体どういうつもりだよっ!?」

バーナビー「あなたには任せられません。…それに、この事件に僕の探している組織が関わっているかもしれない」

虎徹「組織、って…例の『ウロボロス』ってのか。でもよ、こんな街でシュテルンビルトを中心に動いてる奴らの――

怪盗N「…ホウ、ウロボロスカ。ソノ名ハ聞イタコトアルゼエ?クッヒヒヒ!…ソウイヤ、Xガ昔シュテルンビルトニイタトカ聞クナア?」

バーナビー「ッ!それは本当か!答えろ!」


57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:05:12 ID:yrbStASs0

怪盗N「クヒヒ!マア貴様ラガXの元ヘタドリ着クノハ不可能ダガナ、ナニセ…」
怪盗N「コノ怪盗N様ガ、ココデ仕留メテシマウカラナア?クーッヒヒヒ!」

バーナビー「…き、貴様ァ!」

虎徹「おい、待てバニー!冷静になれ!」

バーナビー「あなたには関係ない!ハアッ!」

怪盗N「冷静サヲ欠イテハ、倒セル敵モ倒セナイゼェ?…最モ、オ前ニ俺ハ倒セナイガナァ?」

バーナビー「黙れっ!…答えろ、貴様らとウロボロスは関係があるのか!そうならば、ウロボロスの目的は何だ!」

虎徹「…悔しいが今の状況じゃNの野郎の言うとおりだ。…どりゃあ!」

怪盗N「…クッヒッ!能力スラナイ非力ナ一撃ナド、蚊ニ刺サレタホドモ感ジナイゾ?」

虎徹「んなこと分かってんだよ!おいバニー、俺に合わせろ!」

バーナビー「お断りです!こいつは僕一人で十分だ!」

虎徹「ダっ!?…お前、能力も使わずに!」

バーナビー「貴様を倒してXの元へ行く!」

怪盗N「クヒヒッ!能力ヲ温存シテチマチマ殴ル…ソンナンジャア、ジリ貧ダゼ?」

虎徹(…そうだ、悔しいがこのままじゃ進まねえ。…何か、何か奴の硬化能力とやらを打ち破るヒントを…)
虎徹「…考えろ、考えろ鏑木虎徹……」


58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:06:23 ID:yrbStASs0

―同時刻、教会内部―

エリー「…そん、な…」

シャロ「それじゃあ、タイガーさんたちは…」

ネロ「じゃあボクたちは一体、どうすればいいんだよっ!答えろ!」

コーデ「そうよ!そして私たちを解放しなさいっ!」

怪盗X「ええ、もちろんみなさんは開放しましょう。…タイガー&バーナビーの抹殺が完了してから、ですがね?」

怪盗T「……X様。そろそろ時間でございます」

シャロ「だっ、誰ですかっ?」

怪盗X「おや、もうこんな時間ですか。分かりました。…それではしばしのお別れですミルキィホームズ…フフフ」

ネロ「おっ、おい!どこへ行くんだよ、待てよっ!」

怪盗T「X様はお忙しい…貴様らはしばらくそこで大人しくしていろ」

コーデ「待ちなさいッ!まだ話は……ああ、行ってしまったわ」


エリー「うぅ…私たち、どうしたら…」

ネロ「この縄さえなんとかなれば…今すぐ鏑木たちに、あいつらの能力のタネを教えにいけるってのに!くそっ!」

シャロ「ま、まだ諦めないでください!きっと、きっとここから逃げ出す方法があるはずですっ!」


60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:07:28 ID:yrbStASs0

コーデ「でも、この縄をどうやって…?」

シャロ「そ、それは…どうしましょ?」

ネロ「なんだよ、結局無理じゃないかよー」

エリー「…こんな時に、かまぼこがいれば…」

コーデ「そういえば私たち、かまぼこにお昼ごはんあげてない…」

シャロ「それは私たちもです…うう、お腹すいてきちゃいましたぁ」

ネロ「こんな時に何言ってるんだよシャロ――って、えぇっ!?」

エリー「えっ?」

コーデ「何っ?」

シャロ「な、何ですか?……あっ、そこにいるのは!」

「「「「かっ、かまぼこぉ!?」」」」

かまぼこ「ふにゃー」

コーデ「ど、どうしてここにかまぼこがいるのよ!?」
ネロ「ボクに聞かないでよ!」

シャロ「あっ、そういえば聞いたことありますっ!…飼われている動物は、無意識のうちに飼い主の元に戻ってくる本能があるって!」

エリー(帰巣本能のことだと思うけど…ちょっと違う…)


61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:08:41 ID:yrbStASs0

シャロ「私たち、かまぼこにお願いがあるんです!私たちを縛っている縄、爪で切ってもらえませんか?」

かまぼこ「にゃーご」

コーデ「ネロ、あなた動物の言葉分かるんでしょ?…かまぼこはなんて言ってるの?」

ネロ「ちょ、ちょっと待ってよコーデリア。…ええと、『きってやってもいいが おまえたちのたいどがきにくわない』…って、おいかまぼこ!」

エリー「私たちが、何か…?」

かまぼこ「なーご、にゃご、ふにゃーご」

ネロ「なになに…『もっといいものくわせろ もっとでばんをふやせ』?」

エリー「…そ、それはちょっと…」

シャロ「私だってもっと出番欲しいですーっ!」

コーデ「それにごはんだって、私たちにできる範囲で工夫しているつもりなのに…」

ネロ「そーだよっ!一体どういうつもりだかまばこぉ!」

かまぼこ「ふにゃい」

ネロ「えっ、『この中でネロが一番かわいい』?なんだよ、おだてたって何も出ないからなっ!」

かまぼこ「にゃおう」

ネロ「…『最近のアニメやマンガでは黄色い子が不遇で悲惨な扱いをされてることが多いが、ネロは不憫な中でも強く生きるたくましい黄色の子』だって?」


62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:09:45 ID:yrbStASs0

シャロ「確かに、黄色い子っていろいろとトラブルに巻き込まれがちですからねー」

コーデ(最近見た深夜アニメだと黄色の子が3話くらいで…ブルブルッ)

エリー「…でも、最近はそのジンクスに当てはまらない子も多いですよね…?」

かまぼこ「にゃあ!」

ネロ「…それで、『そんなかわいいネロが怪盗に傷つけられるのを見るのが忍びなくて、つい思ってもないことを言って突き放してしまった』?…そこまで分かってるなら早く切ってよ!」

シャロ「かまぼこ、ネロなら私たちが守ってみせます!だからお願い、縄を切って!」

コーデ「そうよっ!私たちのお花畑に、傷一つつけさせるものですか!」

エリー「約束、です…」

かまぼこ「…ふにゃあご?」

ネロ「なっ、頼むよかまぼこ」

コーデ「私たちからも!」

エリー「お願い…ですっ」

かまぼこ「…ふにゃぁあ」


63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:10:19 ID:yrbStASs0

シャロ「あっ!……ありがとうかまぼこ!」

コーデ「縄を切ってくれた…?」

ネロ「ありがとーかまぼこー!」

かまぼこ「ふにゃーにゃー」

エリー「…これで、タイガーさんたちのところへ…!」

シャロ「はいっ!…それじゃあ、行きましょう!」


「「「「ミルキィホームズ、出動!!」」」」


64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:11:13 ID:yrbStASs0

―同時刻、ヨゴバマ・ファミリア教会前―

小衣「――だいったい、何で小衣たちが外で待機なのよぉ!?」

次子「何でってそりゃあ、怪盗直々にヒーローをご指名なんだから仕方ないだろ?」

平乃「そうですよ小衣さん。私たちは私たちで、怪盗が逃げ出さないように待機するという仕事があるんですから」

咲「っちゅーかー、能力もちの怪盗組織に今の装備で立ち向かえるかなー」

小衣「そんなことっ!このIQ1千300万の天才美少女っ!明智小衣にかかればっ!シャーロックの手をひねるようなものよぉーっ!」

次子「だぁっ、分かったから落ち着けって」

平乃「自分で美少女って…」

咲「…IQの時点でバカ丸出しだし」

小衣「それに、なんであんたらそんなに冷静なのよぉ!中にはバカシャーロックたちミルキィホームズがいるのよ!人質なのよっ!?」

次子「だからそれをタイガー&バーナビーが救出に行ってるだろ?それにお前、さっきまで『目障りなミルキィホームズが怪盗にやられちゃえばせいせいするわ!』とか言って――

小衣「ミっ、ミルキィホームズなんてどうなろうと知ったこっちゃないわよ!わ、私は怪盗を捕まえてヨコハマの平和を……」

平乃「…ツンデレ、ってやつですかね?」

咲「誰がどう見てもツンデレ乙、だよねー」


66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:13:31 ID:yrbStASs0

小衣「って、そこぉ!誰がバカシャーロックの心配なんかしてるって言うのよ!…はっ」

次子(…いや、別にシャーロックのことを言ってたわけじゃないんだけどなあ)

小衣「そ、そんなんじゃないわよっ!なにニヤニヤしてんのよ平乃!」

平乃「いえ、別に?」

咲「素直になっちゃいなよ、ココロ…?」

小衣「~~っ!……も、もうあんたらなんかに頼らないわよっ!小衣1人でも怪盗を捕まえるなんて、楽勝なんだから!おりゃあぁあぁぁああ!!」

次子「あっ、ちょっ、おい小衣!?……ったく、追うぞ!」

平乃「そうですね。…咲さんも、あまり小衣さんをからかわないでください?」

咲「正直反省してるなうー」


67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:14:42 ID:yrbStASs0

―同時刻、教会内―

バーナビー「…ぐぁっ!」

虎徹「バニー!」

怪盗T「余所見している暇などないぞっ!」

虎徹「のわぁっ!…クソッ!」
虎徹(スーツもない、能力も温存してるってのに増援…3対2ってのは、やっぱちょっとキツいな…)

怪盗N「何度ヤッテモ無駄サア!モウボロ雑巾ミタイニナッテルノハ、自分ガ一番知ッテルダロウ?クッヒヒヒ!」

怪盗E「まったく、Nクンの言うとおりと思わんかね?…正直、今の君たちの姿には何の美しさも感じない」

虎徹「ヘッ、知るかよんなこと…オラァ!」

怪盗T「諦めず立ち上がる姿はあるいは気高いとも言えるが…引き際を知らんようでは、犬死にするだけだ」

虎徹「るせぇ!…ぐわっ!」

怪盗E「…さて、それじゃあそろそろゲームの終了といこうか?」

バーナビー「くそっ、ここまでなのか…?」

怪盗N「オ前タチニ恨ミはナイガ…相手ガ悪カッタヨウダナ?」

怪盗E「そういうことだ。…それじゃあ、さようなら?ヒーロー諸君――

コーデ「待ちなさぁい!!」


68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:15:48 ID:yrbStASs0

怪盗T「ッ!…き、貴様らはッ…!」

「「「「ミルキィホームズ参上!!」」」」

虎徹「おっ、お前ら!どうしてこんなところに…いや、危ねえから下がってろ!」

シャロ「そんなわけにはいきません!だって私たち、教えなきゃいけないから!」

ネロ「そうだよ、ボクたちはヒーローに用事があるんだ!」

エリー「聞いてください…『怪盗N.E.X.T』の能力のヒミツ…」

怪盗E「なっ!…それはいったい、どういうことかな?」

シャロ「それは教えられません!怪盗Xって人が私たちに教えてくれたなんて、言いませんからっ!」

コーデ「ちょっとシャロ、言っちゃダメじゃない!」

シャロ「えっ、私何を…ってあーっ!?」

エリー「シャ、シャロ…」

シャロ「とっ、とにかく!タイガーさんたちに聞いてもらうんです!きっとこれを知ったら怪盗なんてイチコロですっ!」

怪盗E「と、意気込んで言ってはいるものの。…キミたちに我々を退けて彼らと接触することができるかな?」
怪盗E(…やっぱり、調子狂うなあ…?)

シャロ「やってみせますっ!ミルキィホームズを甘く見ないでください!」


69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:16:40 ID:yrbStASs0

エリー「シャロだけじゃありません…っ」

コーデ「そうよ、私たちがいる!私たちの中の誰か1人でも、タイガーさんたちの元へたどり着けば…」

ネロ「…それで、ボクたちの勝利なんだ!行くよっ!」

怪盗T「…女・子どもに手を出すのは我が流儀に反するが…ここは私が」

怪盗N「ジャア手伝ッテヤルヨ!クッヒッ!」

シャロ「ええーぃ!」

コーデ「やぁぁあああ!」

怪盗T「今捕まえ――くっ!銃弾!?」


小衣「見つけたわよ『怪盗N.E.X.T』!さあおとなしくお縄につきなさぁーい!」

次子「…よっし、切り払われたみたいだけど全弾命中ぅ!」

平乃「さすがですね次子さん…それじゃあ私も!」

咲「あたしらは戦力にならなさそうだから隅っこで大人しくゲームでもしてるよ」

シャロ「小衣ちゃん!来てくれたんですねー!」

小衣「小衣ちゃんってゆーな!あんたらがちんたら捕まってる間に捕まえようと思ってたのにっ!ほんっと毎度毎度タイミング最悪ねバカシャーロック!」

次子「小衣の言ってることはともかく、ここはあたしらで何とかするからさっ!ミルキィホームズは急いで、タイガーたちのところへ!」


70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:17:54 ID:yrbStASs0

シャロ「はいっ!ありがとうございます、G4のみなさん!」

怪盗N「クヒヒ!大口ヲ叩イテ、何ノ能力モ持タヌ無能警察ドモニ怪盗ガ捕マエラエレルトデモ?」

平乃「それはどうでしょう?…長谷川平乃、参ります!」
平乃「武道五十段の力、とくとご覧あれ!はぁあ!」

怪盗N「…ッ!何ダ、コノ娘ノ体ヲ通シテ出ル力ハッ!?」

平乃「能力に胡坐をかき、己が修練を怠ったあなたには分からないでしょう。…これがあなたが侮った、私たちヨコハマ警察対怪盗事件捜査チーム『Genius 4』の底力なのです…!」
平乃(噛まずに言えた…今の私、輝いてますっ!)

怪盗N「ダガ、私ダケガ倒サレル訳ニ…小娘、貴様モ一緒ニ連レテユク!」

平乃「……それはお断りします。だって、私には帰るべき家<ホーム>があるから…」

怪盗N「グッ、グワァァアァアア!?」

平乃「…ふぅ。次子さん、1人確保しましたよー」


次子「はっ、せりゃっ!」

怪盗T「ほう、いい動体視力だ…この私のスピードについてこれるとは」

次子「へっ、こう見えて目のよさと操縦だけは自身があるんでね!せいっ!」

怪盗T「…だが。私の速度には届くまい」

次子「ッ!?…なッ、のわぁ!?」


71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:19:06 ID:yrbStASs0

怪盗T「やはり人間とは脆いものだな。一度斬ってしまえば、二度と戻ることがない」

次子「ひょおー危ねえ…」
次子(あの怪盗の目はマジだ。…ここで動かなきゃ、何もせずやられちまう…!)

怪盗T「ふっ、案ずるな。…すぐにこの刀のサビとしてくれよう――

次子「んなことぁゴメンだね!そりゃあ!」

怪盗T「なっ、何をするっ!」

次子「見りゃ分かんだろ、体当たりだよっ!」

怪盗T「くそっ、離せ……はッ!この感触はッ!?」

次子「……しめたっ!今のうちに、寝技で拘束を!」

怪盗T「っ!のわあぁぁあああ!」
怪盗T(あ、当たってる!当たっている!)

次子(そんなに強く締めてるつもりはないけど…まあいいや、パニックになっているうちに落とそう)

次子「ほりゃ」

怪盗T「うっ……ふぅ」

次子「ふぃー、一丁あがりっと。…おろ、どうした平乃?壁なんて殴って」

平乃「……気にしないでください」


72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:20:17 ID:yrbStASs0

怪盗E「…驚いた。まさか、こうもあっさりと2人が倒されてしまうとはね?」
怪盗E「そしてキミたちも…いつまで私の足にしがみついているつもりかな?」

ネロ「うるさいっ!言っただろ、ボクたちの誰か1人がたどり着けばゴールなんだ!」

コーデ「そうよっ!だから、私たちはあなたを止める!そして…」

エリー「シャロの到着を、邪魔させません…!」

怪盗E「……さて、どうしたらいいのかな?」



シャロ「タイガーさーん!バニーさーん!シャロです!」

虎徹「っ、シャロ!無事だったか!?」

シャロ「はいっ、かまぼこに助けてもらいましたから!」

虎徹「おう、そうか!」
虎徹(…かまぼこって、あの猫のことだよな…?)

バーナビー「…それで、シェリンフォードさん。僕たちに伝えたいことというのは?」

シャロ「はい!『怪盗N.E.X.T』のNEXTが分かったんです!」

虎徹「…頼む、教えてくれ」


73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:21:01 ID:yrbStASs0

シャロ「はい、残る怪盗EとXについてなんですが……」

―――――

シャロ「……というわけなんです!」

虎徹「…なんてこった」

バーナビー「…ですが、これで彼らの行動の仕掛けに納得がいきますね」

虎徹「…ああ、ありがとなシャロ」

シャロ「はいっ、私たちもヨコハマを守る探偵ですから!」

虎徹「これで対策もとれそうだ。…後はスーツが届いて、Xがノコノコやってきたのを叩く…!」



???「……たかが生身のヒーロー2人に、ずいぶんと時間がかかっているようですね?」

虎徹「なっ!」

コーデ「はっ!?」

ネロ「えっ!?」

バーナビー「……来たかっ、怪盗X!」

怪盗X「どうも、ちょうど噂をすればのタイミングに来てしまったようですね?フフフ…」


74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:22:02 ID:yrbStASs0

小衣「で、であえであえー!」

次子「御用だ御用だー…って、のわぁ?」

小衣「つ、次子っ!?」

次子「体が勝手に浮いて…うひゃあぁ!」

虎徹「おいっ、大丈夫かっ!」

次子「…きゅー」

バーナビー「無事なようですね。…見ましたか、今の」

虎徹「…ああ。あいつの能力、あれが…」

怪盗X「何人たりとも、私を捕らえることは不可能なのです。…Eクン、そろそろお遊びは終わりですよ」

怪盗E「…ええ、わかっていますとも。…『怪盗N.E.X.T』が首領…怪盗X?」

ネロ「おっ、おい!どこへ行くつもりだ!ボクたちが逃がすとでも――

怪盗E「…フッフ、ちょっと大人しくしていてくれるかな?…」

ネロ「わっ!…って、これ、なんだよ……すう」

シャロ「ね、ネロぉ!…これ、さっき私に使った…?」

バーナビー「催眠術…と、思わされていたフェイク…!これは、奴の真のNEXT能力ではなかった」


75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:22:44 ID:yrbStASs0

怪盗X「その通り。…盟友、怪盗Eの能力は『Enchant』――自らのNEXT能力を使った、能力の強化・付与――一種の念動力とも言えるかもしれませんね?」

怪盗E「左様。単体では使いにくい能力ゆえ、こうして睡眠薬を忍ばせておいたが…警察たちがミスリードしてくれたおかげで、ずいぶん動きやすかったものだよ?」

虎徹「御託はいい!お前たちを捕まえて、街の平和を守る!」

コーデ「そうよっ!起きなさいネロ!」

エリー「あの…あんまりはたかないほうが…」

小衣「ゴチャゴチャうるさいけど、こいつらの言うとおりよ!ヨコハマの平和のため、あんた達はこのG4が誇るIQ1億3000万の天才美少女が捕まえてやるわっ!」

怪盗X「ほう。それは楽しみです…ッ!」

シャロ「えっ?」

平乃「怪盗が、消えたっ…?」

バーナビー「違うッ、オジサンのところへ!」

虎徹「は、速ッ――

怪盗X「シュテルンビルトがヒーローの1人、ワイルドタイガー。バーナビー・ブルックスJr.とコンビを組んだ、ハンドレッドパワーのヒーロー」
怪盗X「その能力、…使わせていただきましょう」

虎徹(く、来るっ…奴の能力!)
虎徹「能力の透視・解析とコピー…『X-vision』!…ぐぁあぁああッ!!」


76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:23:05 ID:yrbStASs0

シャロ「タっ、タイガーさんっ!?」

コーデ「そんな、生身の人間がタイガーさんを殴り飛ばした…っ!?」

小衣「それだけじゃないわ、何なのよパンチ一つでこの風圧はっ!」

エリー「…これが、怪盗Xの能力…!」

怪盗E「…に加えた、私の能力でもあるがね?」

次子「…そ、それは一体…?」

ネロ「さっきも言ってた通り、Xの能力は『能力の模写』。加えて、能力にブースターをするEの『付加』。…つまり、ワイルドは自分の『5ミニッツハンドレッドパワー』にさらに威力を追加された一撃を受けたんだ!」

怪盗X「…解説ありがとう。さしずめ、『5ミニッツ2ハンドレッドパワー』…とでも名づけましょうか」

虎徹「…っのお。野郎!」

怪盗X「おぉっと、体がふらついてますよ?」

バーナビー「…」
バーナビー(Xより先に倒すべきは、奴を強化している怪盗E…)

バーナビー「今のうちに、怪盗Eをッ!」

咲「そっか、先にブースターの方を止めちゃえば…」

平乃「大幅な戦力ダウンが期待できます!」


77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:23:48 ID:yrbStASs0

バーナビー(話を聞いた限りでは、奇妙な薬を使うだけで戦闘能力自体は低いそうだ…ならばっ!)
バーナビー「ハァァッ――

怪盗X「――と、そううまくいくと思っていたのですか…?」

バーナビー「ッ!?ぐわぁっ!!」

シャロ「バニーさんまで!」

エリー「つ、強い…」

怪盗E「いい策だが…残念、私には届かないようだね?」

バーナビー「…ぐっ!クソッ!」

虎徹「バニー!くっ…」

怪盗X「…どうやら2人とも、満身創痍のようですね。……よろしい、ゲームは私たちの勝ちで終了としましょう…ふっ」

ネロ「…とっ、跳んだっ!?」

シャロ「…それに、あの構え…」

コーデ「まさか、バーナビーさんの蹴り技で止めをさすつもりなのっ!?」

怪盗E「ただの模倣<コピー>じゃない。…付加<エンチャント>によって倍以上に膨れ上がった必殺キック…いかがかな?これをくらえば生身の人間など、容易く木っ端微塵だろうね?」

エリー「そん、な…っ!」

小衣「ワイルドタイガー!バーナビー!逃げてッ!」


78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:24:44 ID:yrbStASs0

次子「…くっ、この怪我じゃ間に合わないっ!」

シャロ「タイガーさん…バニーさん…そんな――
シャロ「いやあああぁぁぁああああっ!!」



平乃「……ゴホッ、ゴホッ!…みなさん、無事ですか?」

次子「…あぁ。何とか、ね」

咲「こっちも無事ー」

コーデ「みんなっ!シャロ、ネロ、エリー、明智さんは無事っ!?」

エリー「はい…なんとか…」

ネロ「ボクと明智のバカならここにいるよ…っと」

小衣「ちょっ、誰がバカですってえ!?」

シャロ「……」

コーデ「…シャロ?どうしたの、シャロ…?」

シャロ「…さんがぁ…」

コーデ「何?どうしたのよシャロ?どこか怪我でも――

シャロ「いないんです…タイガーさんとバニーさんが…いないんですっ!」


79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:25:12 ID:yrbStASs0

コーデ「…そんな、まさか…!」

ネロ「…じゃ、じゃあまさか2人は…」

エリー「そんな、そんなことって…?」


怪盗X「…ふぅ、終わったようですね」

一同「「「「…ッ!怪盗X!!」」」」

怪盗E「いや、それにしても凄まじい威力ですなX様?ご覧ください、教会が半壊状態に…」

ネロ「…っ、のヤロー!」

コーデ「待ってネロ!今行ったところで、トイズのない私たちに立ち向かえる方法なんて――

ネロ「そんなこと関係ないっ!よくも、よくもワイルドたちを…っ!ちくしょう!」

エリー「うぅ…グスッ、タイガーさん、バーナビーさん…」

シャロ「な、泣かないでくださいエリーさん!私だって、私だって…うぇえぇぇ…」

小衣「ちょ、何泣いてんのよバカシャーロック!」

咲「そう言って自分も泣き目になっている小衣なのであった…」

怪盗X「さて。目障りなヒーローたちは消え、我々に刃向かうものは消えました。……次は、あなたがたの番です」


80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:26:11 ID:yrbStASs0

コーデ「っ!そんな、開放するっていったじゃない!」

怪盗E「業界では有名な言葉がありましてね?…『嘘は吐かれる前に吐け』…ご存知ですか?」

ネロ「それじゃあそんなの、言ったもの勝ちじゃないか!卑怯だぞ怪盗!」

怪盗X「卑怯であることすら美学にする。例えその美学で、人を殺めたとしても…それが私たち、『怪盗N.E.X.T』のやり方ですから」

エリー「…私たち、どうしたら…」



???「――なるほど、それがあなた方のおっしゃるやり方…ですか。……わたくし、心底がっかりいたしましたわ?」

小衣「…こ、この声…まさか!」

コーデ「…怪盗帝国の……」

シャロ「…アルセーヌ!」

アルセーヌ「…ご名答。こうしてお目にかかるのは初めてですわね、『怪盗N.E.X.T』の首領…怪盗X」

怪盗X「ええ。初めましてですね、怪盗アルセーヌ…」
怪盗X「約束の時間にはまだ早いですが…ここにいらっしゃったということは、いよいよ私たちの計画に協力して頂けるということでしょうか?」

アルセーヌ「はい、お返事をしに来たのは確かですが……あなた方のやり方というものを見て、改めてわたくしの考えがまとまりましたの」

次子「まさか、あいつらグルになって…!」


81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:29:49 ID:yrbStASs0

ネロ「ただでさえ厄介だってのに、アルセーヌまで増えるのかよっ!?」

アルセーヌ「いえ、単刀直入に申し上げさせてもらいますと……私たち怪盗帝国の答えは、『ノウ』ですわ」

怪盗E「…フッ、わざわざそんなことを言いに来たのかな?…まったく、飛んで火にいる夏の虫とは今のキミたちのことだよ?」
怪盗E「X様の今の能力は常人の100倍以上…ワイルドタイガーの能力をコピーしたことで、あなた程度容易くへし折ることも可能なのだよ?」

アルセーヌ「あら?それはどうかしら…フフ」

怪盗E「…貴様ッ?」

ラット「いつまで茶番をやってるんだよ『怪盗N.E.X.T』!もうお前らはオシマイなんだっつーの!」

ストリバ「…動くな。貴様たちは完全に包囲されている」

トゥエンティ「そうさ!アルセーヌ様のご命令ならば、24時間365日360度全ての視点から僕が見つめてあげよう!美しくない君たちでもっ!」

怪盗X「…つくづくこの街の人間は、面白いことを言いますね…っ!」

トゥエンティ「ハッ!来る…奴の攻撃がッ!」
トゥエンティ「だがッ!美しき僕のトイズの前ではッ!無意味ッ!」

怪盗X「何を言ってるか知りませんが、まずはこれで1人…!」

トゥエンティ「変装トイズなんてバレてちゃ意味ないじゃないかぁぁああーァッ!?」

ラット「トゥエンティ!クソッ、よくもやってくれやがったな!」
ラット「くらえ!炎のトイズっ!」

怪盗X「小さな炎でも、爆弾を介せば威力は絶大となる…考えましたが、しかし」


82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:33:12 ID:yrbStASs0

ラット「――って、なんでしゃべりながら全部打ち返せるんだよぉ!?」

怪盗X「私が『ハンドレッドパワー』を手に入れていることを考慮に入れるべきでしたね?」

ラット「っくしょう!…へへっ、だけど俺は俺の仕事を果たした!ストーンリバー!」

ストリバ「任せろ!アルセーヌ様の忠実なる僕、ストーンリバー…参る!」
ストリバ「宵闇は我が支配下。…いざ、俺の目を見ろ!」

怪盗X「キミのトイズは知っている。…『人形になる』、そしてそれは目を見なければ効力がない」

ストリバ「…ッ!ふ、不覚…時間稼ぎすら満足にできず、このザマ…面目ない」


シャロ「や、やっぱり強いです…」

小衣「小衣たちを苦しめてきた怪盗帝国ですら歯が立たないなんて、そんな…」

エリー「…それにしても、どうして怪盗組織同士が戦っているんでしょう…?」

ネロ「どうして、ってそりゃあ…あれ、どうしてなんだ?」

コーデ「それに、さっきから『仕事』とか『時間稼ぎ』って……どういうつもりかしら?」

咲(…もしかして、ワイルドタイガーとバーナビーがいなくなったのって……)


怪盗E「さて、いよいよ残るはあなた1人だけですな?怪盗アルセーヌ…?」

怪盗X「今私たちに与すれば、この場は退きますし彼らも見逃しましょう。…一時期はライバルと謳われたミルキィホームズたちがこんなところで散るのを見るのは、あなたも心苦しいでしょう?」


83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:34:26 ID:yrbStASs0

アルセーヌ「……」

怪盗X「それでは、答えをお願いします…よい返事を期待していますがね?」

アルセーヌ「……醜いですわね」

怪盗X「…はい?…今、何と…?」

アルセーヌ「こんな言葉、二度も言わせないで頂きたいものですわ。……今のあなた方は、同情するに値しないほどに醜い」

怪盗E「…貴様、誰に向かってそんな口を…?」

ラット「誰も彼もあるかよ!お前らに決まってんだろマヌケ!」

ストリバ「…胸糞悪い、こんな輩に協力しようとしていたとはッ…」

トゥエンティ「乳首が一気に萎えちゃったじゃないのよォ!」

ラット「だっ、お前はすぐに脱ぐんじゃねー!」

アルセーヌ「…ご覧のとおり、わたくしたち『怪盗帝国』はあなた方に協力する気はありません。…残念ですわ、せっかく数少ない組織を組んだ怪盗同士、仲良くできると思っていましたのに」

怪盗E「…だっ、だがっ!今この状況でなお、キミたち程度が私たちを倒せると思っているのかっ?」



???「……倒せるか、じゃねえ。……倒すんだよ」


84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:37:24 ID:yrbStASs0

怪盗X「ッ!?…ま、まさか…そんなはずは……?」

アルセーヌ「あら、お忘れですの?わたくしのトイズ――『幻惑のトイズ』、を…?」

怪盗E「まさか。あの時の倒れていたタイガー&バーナビーは…」

???「ええ、残念でしたね。幻惑に向かって僕のキックの猿真似を放つなんて」

シャロ「あぁっ、その声はっ!」


一同「「「「タイガー&バーナビー!!」」」」

タイガー「おう、地獄の底から戻ってきたぜ!」

バーナビー「…それ、カッコよくないですからやめてください」

タイガー「ダっ!?お、お前なあ、こういう時くらいそういうのは見逃せって――

バーナビー「はいはい。…行きますよ、オジサン?」

タイガー「…おう。……ワイルドに、吠えるぜ!!」


アルセーヌ「わたくしの幻惑に攻撃を放つ隙に彼らを回収し、スーツの装着まで時間稼ぎをする……あなた方ほどの怪盗が、まさかこの程度のことを推測できなかったのでしょうか?フフフ…」

怪盗X「くそっ、出し抜かれましたか…」


85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:39:32 ID:yrbStASs0

タイガー「…怪盗の姐さんよ。わざわざ助けてくれたことには礼を言っておくぜ。だがよ――

アルセーヌ「分かっていますわ。わたくしたちも怪盗として、あなた方の挑戦をいつでもお受けいたします」

タイガー「って、調子狂うなあオイ…」

シャロ「タイガーさん!バニーさん!ご無事だったんですねー!シャロは信じてましたっ!」

バーナビー「心配をおかけしました。ですがこの通り、スーツも無事届きました」

アニエス《Bonjour,HERO.…いいこと、この捕り物はタイガー&バーナビーの出張企画と思いなさい!》

斎藤《待たせたなァタイガー!!バニィー!!だがスーツのメンテナンスはッバッチリだぁ!張り切っていって来いィ!!!》

タイガー「ダぁっ、相変わらずマイク通すと声でけぇな斎藤さん…」

バーナビー「…まさか、スタッフのみなさんまで来るとは思いませんでしたが」



マリオ《お待たせしました!今夜も生放送でお届け、『HERO TV』!なんと今回は、あの偵都ヨコハマからお送りいたしまぁす!》
マリオ《さァ、ヨコハマの街を長らく騒がせてきた怪盗組織『怪盗N.E.X.T』とただいま話題沸騰中のヒーローコンビ、タイガー&バーナビーの一騎打ち!果たして今夜こそは、彼らを捕まえることができるのでしょうかっ!?》


86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:41:13 ID:yrbStASs0

咲「…お、これって…」

平乃「『HERO TV』の車…わざわざこんなところまで?」

コーデ「えっ、ほっ、本物の『HERO TV』!?す、すごいわぁ!」

エリー「コーデリアさん、ちょっと落ち着いて…」

次子「…あれ、小衣はこういうの嫌いだったか?」

小衣「…別に嫌いじゃないけどぉ!…ただ、捕まえるのを本業にしてる警察から言わせてもらうとっ!こういうのをエンターテイメントにするのは気に入らないのよっ!」

バーナビー「…だそうですけど、オジサン?」

タイガー「そこの嬢ちゃんの言うことも最もだ……でもよ、」
タイガー「何度よろけたって、倒れたって、…それで、たとえ見世物になっても。俺は俺の正義のためにヒーローやってんだ。分かってくれたぁ言わねえが、そこんとこ…頼むぜ?」

小衣「…ふんっ、な、何よっ!そんなの小衣が分かるわけないじゃない!…でも…」

タイガー「…でも、何だ?」

小衣「…でも、…や、やっぱり何でもないわよ!いいから早く捕まえに行きなさいよっ!」
小衣「あと子ども扱いするなぁーっ!小衣は明智小衣、ハーバード大を飛び級で主席で卒業のぉ、IQ1京3000億の超・天・才・美少女なのよぉっ!」

平乃「また自分で美少女って言いました…」

タイガー「……へへっ。んじゃ、いい加減行くとするか」

バーナビー「ええ。怪盗を捕まえて、僕も聞きたいことがありますから」


87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:42:23 ID:yrbStASs0

シャロ「行ってらっしゃい、タイガーさん、バニーさん!」

ネロ「しっかりやってこいよー?」

コーデ「私たち、きっとお2人が怪盗を捕まえて戻ってくるって信じてますからっ!」

エリー「どうか、お気をつけて…」

タイガー「…おう、待ってろよ」


小衣「……」
小衣(…ワイルドタイガー…あれが、ヒーロー……)


―夜、ヨゴバマ・ファミリア教会跡―

怪盗X「…まさか、私がこれほどの屈辱をうけるとは思いませんでしたよ…」

怪盗E「X様、どうか気をお静めください!我々の能力を持ってすれば、スーツを手に入れ能力を発動したからといってあの程度のヒーローなど敵ではありません!…そうでしょう?」

怪盗X「…ええ、そうでしたね。幸いこちらはEクンの能力によって、5分間という制限も引き伸ばされているようです……」

タイガー「見つけたぞ!街を騒がす怪盗組織、『怪盗N.E.X.T』!ワイルドタイガーだっ!」

怪盗X「くっ、追いつかれましたか…」

怪盗E「X様、こちらに――ッ!?」

バーナビー「貴様たちに退路はない。大人しく投降しろ」


88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:45:03 ID:yrbStASs0

《能力終了、30秒前》

バーナビー(残り時間も少ない、速攻で決着をつけなければ…)

怪盗X「…フフフ。投降を勧められるほど、ピンチというわけでもありませんがね…?」

バーナビー「…ッ!…貴様、まだ能力が…」

怪盗E「我がNEXT能力によって、X様の能力は制限時間も伸ばされた。キミたちが束になったところで、この能力には遠く及ばないのだよ?」

タイガー「へっ、そりゃあ…どうかなっ!」

バーナビー「ハァア!」

怪盗X「…っ、くぅっ!……な、何故だ…?」
怪盗X「なぜこの程度の攻撃で、私が押されているというのですッ!?」

タイガー「分かりきったことだぜ。それはな、俺たちが――

バーナビー「…ヒーローだから、とでも言うつもりだったんですか」

怪盗E「ヒーローだから、だと…?」

タイガー「だからよ、俺のセリフを取るのはやめてくれよバニーちゃんよぉ…残り時間だってほら、こんなに少ない――」

《10秒前。…9、8、7…》

バーナビー「そのバニーちゃん呼ばわりをやめてくれるなら考えてもいいですよ、オジサン?」

タイガー「ダっ、お前オジサンって…」


89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:46:27 ID:yrbStASs0

バーナビー「だって事実じゃないですか、オジサン」

タイガー「にしても連呼するなよ――

怪盗X「…なにやら知らないですが、脇がガラ空きですよッ!」

《GOOD LUCK MODE》

タイガー「…ッ!」

バーナビー「……」

タイガー&バーナビー「「うるせええっ(少し黙っていてくださいっ)!!」」

《3(THREE)!2(TWO)!1(ONE)!》
《TIGER&BUNNY:OVER&OUT!》

怪盗X「えっ…ぐわぁ!?」

怪盗E「X様ァー!?…不意打ちでこの威力、さすがハンドレッドパワーといったところか…くっ!」


90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:47:50 ID:yrbStASs0

タイガー「――だからよ、俺は……あら?…おいバニー、なんか怪盗が倒れてんぞ」

バーナビー「――そういうことを……っと、一体どうしたんでしょうかね。…とにかく、これで親玉は確保できました」

タイガー「なにやら随分とアッサリした終わり方だな」

バーナビー「仕方ありませんよ。もう年末ですからね、いろいろ限界を感じてるんでしょう」

タイガー「…え?限界?…なんの?」

バーナビー「なんでもありません、独り言です。…さ、戻りますよオジサン」




―同時刻、教会前簡易スタジオ―

マリオ《おーっとォ!ここでバーナビー、犯人確保ですっ!怪盗組織を率いていた首領、怪盗Xを捕らえましたァ!》

シャロ「や……、」

ネロ「やったぁ!」

コーデ「終わったのね!タイガーさん、バーナビーさん!」


91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:49:39 ID:yrbStASs0

ラット「…なんか、すげー展開だったな」

ストリバ「うむ、だが捕まえられたのはよしとしよう」

アルセーヌ「…さて、わたくしたちもこれ以上厄介ごとに巻き込まれる前に…」

トゥエンティ「お迎えの飛行機を頂戴してきましたァァアア!」

シャロ「あっ、アルセーヌが!」

エリー「飛行機に乗って…」

コーデ「逃げていくわ!待ちなさぁい!」

ネロ「ワイルドたちを助けてはもらったけど、逃げていいなんて言ってないぞー!」

アルセーヌ「……それでは皆様、ごきげんよう…?」

コーデ「…『幻惑のトイズ』っ…また、逃げられちゃったみたいね」

シャロ「…でも、いつかきっと捕まえてみせますっ!今日のタイガーさんたちを見てたら、なんだかできそうな気がしてきましたから!」

エリー「シャロ……うん、そうね…?ね、コーデリアさん?」

コーデ「ええ、そうよ!いつかきっと、トイズが完全復活した私たちミルキィホームズが捕まえてみせるんだから!」

ネロ「その前に晩ごはんにしようよ!ボクたちお昼から何も食べてないじゃないか…ねーかまぼこ?」
かまぼこ「ふにゃあご」

コーデ「…それじゃ、帰りましょ?私たちのお家に……」


92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:52:25 ID:yrbStASs0

シャロ「はい!じゃあまたね、小衣ちゃん――あ痛っ」

小衣「小衣ちゃんって言うなっつーのぉ!!あと二度とあんたらの顔なんか見たくないわぁ!!」

咲「はいはい照れ隠し照れ隠し」

次子「おーぃ小衣ぉー、遊んでる暇があったらこっちの片付け手伝えってばー」



マリオ《今夜も白熱したショーをありがとう、タイガー&バーナビー!それでは今日はこの辺で!なお、この番組の提供は――》




―同時刻、路地裏―

怪盗E「…はぁ、はぁ、はぁ。……撒いたか?…ふぅ」

怪盗E「…しかし、まさかX様が捕まってしまうとは。…逃げおおせたはいいものの、これからどうすれば――っ?…だ、誰だっ?」


94: >>93ち、ちっげーし! 2011/12/23 10:53:19 ID:yrbStASs0

???「……」

怪盗E「…ひッ…お前、ルナティック!?ま、まさか……」

ルナティック「…何人たりとも、己の罪から逃れられない。怪盗E、貴様が以前シュテルンビルトで殺人を犯しこの街に逃げ込んだことは知っている。…さあ、」
ルナティック「――タナトスの声を聞け」

怪盗E「うっ、うわぁあぁぁああぁあぁああああぁああッ!?」




―翌朝、ホテル前―

虎徹「ふわぁああ…」
虎徹(結局犯人――怪盗組織の首領、怪盗Xは逮捕された。だが、その一方でまた事件…)

バーナビー「お待たせしました。…それじゃ、行きましょうか」

虎徹「おう。…あ、そういやバニー」

バーナビー「…なんですか?」

虎徹「昨日のアイツ…何か手がかりになりそうなこと言ってたか?」

バーナビー「…いいえ。聞けたことと言えば、怪盗Eの方もシュテルンビルト出身ということくらいですが――

虎徹「その怪盗Eは、昨日の夜全身が焼けた状態で発見された。…間違いない、ルナティックの野郎だ」


95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:54:21 ID:yrbStASs0

バーナビー「ええ。そういうわけで、僕にとってはまったく骨折り損のくだびれ儲けというわけです」

虎徹「…ホントにそう思ってんのか?ホラ、あそこ見てみろよ…」

シャロ「…あっ、虎徹さん!バニーさん!」

ネロ「おっ、やっと来たのかよ」

バーナビー「ミルキィホームズの皆さん?…どうしてこんなところに?」

コーデ「それが、みんなでお礼を言うんだって聞かなくて――
ネロ「――なーんて言って、実は一番乗り気だった誰かさんがいたんだけどなぁー?」

コーデ「ね、ネロ!それは言わない約束でしょう!?」

エリー「あの、その…それで、昨日は…カッコよかったです…っ!」

コーデ「ちょっとエリーまで!みんなで言うって約束でしょう!」

シャロ「まあ細かいことは気にしない!ですっ!私たち、本当になんてお礼を言ったらいいのか…」

虎徹「いやいや、お礼なんてそんな大それたことしてねえってのに!…な、バニーちゃん?」

バーナビー「ええ、僕たちはただ、怪盗を捕まえて――

ネロ「はいはい、話が進まないから謙遜はやめやめ」

シャロ「そうです、それに私たち教わったんです!お2人から、大切なことを!」

虎徹「大切なこと…って、なんだそりゃ?」


96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:55:15 ID:yrbStASs0

シャロ「はいっ!『何度くじけて倒れたとしても、さっきまで立ってたならまた立てる』…って!」
シャロ「だから私たち、これからも頑張ります!頑張って頑張って、いつか怪盗帝国を捕まえてみせるんですっ!」

虎徹「確かにいいセリフだけどよ…おいおい、それじゃまるで俺たちがやられまくってるみたいじゃないか」

バーナビー「…いいんじゃないですか?オジサン、結構やられてましたし」

虎徹「いや、俺そんなにやられてねーし!それを言うならお前だって、ヒーローのクセに『くそっ、ここまでなのか…?』とか言ってたじゃねえか!」

バーナビー「あ、あれは誰だってあの状況ならそれくらい言いたくなるでしょう!それ以上に、オジサンだって学習しないでなんべんも怪盗に飛びかかって倒されて――

虎徹「何をぉ!?」

エリー「あ、あのぉ…」

バーナビー「足を引っ張らないでくださいってあれほど言ったのに、結局最後だってオジサンがワンテンポずれてましたからね?分かってるんですか、オジサン」

虎徹「だから捕まえたんだからいいじゃねえかよっ!?」

バーナビー「またそうやって話を逸らさないでもらえません?良かれと思ってやってることでも、お節介にしかならないって――

ネロ「いいからストーップ!コンビ漫才もいいけど、ボクたちがいるってこと忘れないでよね」

虎徹「…お、おう」
虎徹(やべえ、ちょっと忘れかかってた……)


98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:56:04 ID:yrbStASs0

コーデ「…それにしてもお2人は、ますます仲がよくなったみたいですね!」

虎徹「…うぇっ?」

バーナビー「…勘違いしないでください、僕は仕事でこの人に付き合ってるだけで――

エリー「…ふふっ…」

コーデ「ふふ…あら、もうこんな時間!早くしないと、デパ地下のセールが終わっちゃうわっ!」

シャロ「はいっ!…それじゃあ虎徹さんバニーさん、昨日はありがとうございました!またお会いできるか分かりませんけど、私たちテレビの前でいつでも応援してますからっ!」

ネロ「鏑木、今度来る時はシュテルンビルトのうまいもん買って来いよな!」

エリー「バーナビーさんも、お体に気をつけて…」

コーデ「それじゃあみんなでお礼を言いましょう!せーの――

ミルキィ「「「「ありがとうございましたーっ!」」」」


99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:58:02 ID:yrbStASs0

バーナビー「……行ってしまった。忙しい人たちですね」

虎徹「…シュテルンビルトにだって、あいつらみたいな将来のある子どもがたくさんいる」

バーナビー「分かっていますよ。でも僕にとっては、この仕事はあくまでビジネスですから。…それでも、」

虎徹「…それでも…どうした?」

バーナビー「いえ。それでも、彼女たちのように市民が笑顔でいられる街になれば――」
バーナビー(僕のような境遇の子どもは、減るのかもしれない)

虎徹「…それを守るのが、ヒーローだろ?」

バーナビー「……」
バーナビー「…ふっ」

虎徹「あれ、今いい事言わなかった俺?…っておい、待てよバニー!無視すんなって!」

バーナビー(……まったく、調子のいい人だ)




――トイズ。それは選ばれし者の心に膨らむ奇跡のつぼみ…
ある者は清浄の花を咲かせ、ある者は毒の花を咲かせる。
大探偵時代、美しさを競いあう二つの花……
その名を、探偵と怪盗といった――


(#「四人のNEXTの怪盗(原題:三匹の盲目のねずみ)」)


100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 10:58:25 ID:yrbStASs0

―次回予告―

こんにちは!ミルキィホームズの練り物好きな方、シャーロックですっ!!

…えぇーっ、小衣ちゃんが誘拐されたっ!?犯人はアイリーンちゃん!?

…でも、私こんなところでくじけません!いつか立派な探偵になって、ヨコハマの街を守ってみせるって約束しましたからっ!

次回、探偵オペラ ミルキィホームズSS(サマー・スペシャル)!

える・おー・えぬ…じゃなくて、ろんぐ・ぐっどばぃ・ふぉればぁ!(~さようなら、小衣ちゃん。ロング・グッドバイ・フォーエバーよ永久に…)

シーヤア!…って、どういう意味ですかこれー?


101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 11:00:06 ID:yrbStASs0

終わりです

ついでに遅れたけどコーデリアさんの誕生日おめでとうございましたとかサマスペDVDBDとか配信版最新話とかもろもろの宣伝をしておきます


102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 11:01:22 ID:h4xMSBSz0


2期楽しみ過ぎ


105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/23 11:26:52 ID:vUqOyIkaO


いい感じに混ざってた


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