菫「……ちゅっ」

照「ぅ……んっ」ｷﾞｭｯ

菫「……ん」

照「……っ、ねえ、長い……」

菫「嫌か？」

照「がっついてくるのは嫌」

菫「じゃあ、腰から手を離せばいいだろ」

菫「抱きついたのは照からの癖に」

照「…………」

菫「ほら、離さない」

照「ばか」

菫「仮に私ががっつかないとして、照からキスできるのか？」

照「……できる」

菫「じゃあ、やってみろ」

照「…………」

菫「日が暮れるな」

照「ちょっと、待って」

菫「できなかったら、次は舌入れるぞ」

照「……っ」

菫「……はい、タイムアウト」

照「ねえ、ちょっ、と……」

菫「……んぐっ」

照「ぁ、ん……んぅ」

菫「っ……ふぅ、ごちそうさま」

照「……ん」

菫「そんな赤いんじゃ、この先が心配だ」

照「さ、先？　菫、少し押しが強い」

菫「なんだ、照は私の事が好きじゃないのか？」

照「まあ、好きだけど」

菫「"まあ"はなしだ」

照「……好きだよ、菫」

菫「…………」

照「菫だって、顔赤くなってる」

菫「……仕方ないだろ」

照「菫は、私のこと好きなんだよね」

菫「当たり前だ」

照「じゃあ、菫も言葉にして」

菫「……照、好きだ」

照「…………」

菫「ぼーっとするな」

照「だって」

菫「動かないなら、またキスするぞ」

照「……好きにしたら」

菫「言ったな？」

照「え、ちがっ……んっ」

菫「ん、むっ……っ」

照「ぁ……うぁっ……」ｸﾞｲｯ

菫「わっ……突き放すことはないだろ」

照「す、菫、誤解してそう」

菫「何が」

照「私が許可したのは、キスだけ」

菫「まだ、キスしかしてないが」

照「まだ、って……それに、舌入れてきた」

菫「ダメなのか？」

照「…………」

菫「…………」

照「……ダメ」

菫「なんで即答しないんだよ」

照「……いいから、帰るよ」

菫「はいはい」

………
……

菫「照？」

照「なに」

菫「好きだ」

照「…………」

菫「おい、ちゃんと前を見て歩け」

照「……誰のせい」

菫「お前、そういうところが可愛いな」

照「……ちょっと、やめて」

菫「嫌だ、照、好きだ」

照「……手、繋いで、ふらふらする」

菫「だろうな」ｷﾞｭｯ

照「…………」

菫「もう少し寄ってもいいぞ」

照「別に」

菫「お前は硬すぎるんだよ」ｸﾞｲｯ

照「わっ……」

菫「やっぱり、私が主導じゃないとダメだな」

照「…………」

………
……

菫「暇だ」

照「…………」

菫「暇だってば」

照「……それで？」

菫「読書禁止」ﾊﾟﾀｯ

照「ちょっと」

菫「誰か来るまで、相手してくれ」

照「相手って、だって、部活前なのに……」

菫「部活前でもいいだろ」

照「だめ、強引すぎる」

菫「……ん？」

照「……？」

菫「キスの話なのか？」

照「え？」

菫「麻雀の相手をしてくれって意味だったんだが」

照「……なんでもない」

菫「照がその気なら、私はそっちでも構わない」

照「なんでもないって」

菫「なら、いいか」

照「……一回なら」

菫「ほらな……ちゅ、んっ」

照「ん……ふぁっ」

菫「はぁ、っ……」

照「……っ、ふぅー」

菫「……んむっ」

照「っ！　ぅ、あっ……」

菫「ん……よし、卓に着くか」

照「な、なんで、二回やったの」

菫「一回目は、照が頼んだ分」

照「……頼んではいない」

菫「どうだか」

照「そっちが勝手にやってきた」

菫「じゃあ、そういうことにしておこうか」

菫「二回目は、私が個人的に、やりたかったからやっただけだ」

照「だからって……」

菫「部活の真っ只中にやられるよりはいいだろ？」

照「……やろうとしてるの？」

菫「たまにな」

照「…………」

菫「どっちがいいんだ？」

照「一つ、聞いていい？」

菫「ああ」

照「もしも部活前、って言ったら……」

菫「今から、好きなだけキスしまくるだけだが」

照「…………」

菫「…………」

照「でも部活中はだめ」

菫「部活前はいいんだろ？」

照「そういう意味じゃない」

菫「じゃあ、もう部活前のキスはやめにするか」

照「……そういう意味でもない」

菫「わかってるよ、からかっただけだ」

照「ばか」

菫「許可が降りるなら、もう一回するぞ」

照「許可しなくてもする癖に」

菫「よくわかってるな……んぐっ」

照「ぅ、んぅ……っ、ねえ、今舌入れないでよ」

菫「今じゃなければいいのか？」

照「……菫」

ｶﾞﾁｬｯ

照「！」

菫「ほら、誰か来た、もう部活の時間だ」

照「わかっててやったの」

菫「ああ、それで、舌がなんだって？」

照「……なんでもない」

照「トイレ行ってくる」

菫「ああ、じゃあ、私も」

照「……なんでついてくるの？」

菫「別にいいだろう」

照「はいはい」ｶﾞﾁｬｯ

菫「……よいしょ」ｸﾞｲｯ

照「え、なっ……」

菫「もう少し、顔こっち向けてくれ」

照「話が、ちがっ……」

菫「うるさい……んむっ」

照「あぁ、んっ……ぅ」

菫「ちゅ……ぷはっ」

照「ぁ……っ、菫、約束が違う」

菫「キスしたくなったんだから、仕方ないだろ」

照「だからって」

菫「私は、部室でしても構わないが」

照「……そういうのはずるい」

菫「そうしたいほど、好きってことだ」

照「……それもずるい」

菫「照」

照「……なに」

菫「もっとしたい」

照「え……」

菫「…………」ｸﾞｲｯ

照「わっ……ちょっ」ｶﾞﾀｯ

菫「個室なら、別にいいよな」

照「……本気？」

菫「ああ」

照「今、部活中」

菫「知ってる」

照「……わかった」

菫「照」

照「……なに」

菫「そっぽ見てないで、こっち向いたらどうなんだ」

照「私、これから菫に乱暴されるんでしょ？」

菫「してほしいのか？」

照「……だから、どこ向いててもどうせ変わらない」

菫「まあ、そうだな……じゃあ、勝手にさせてもらう」

照「っ……んっ、ぁ」

菫「ん、ぐっ……ちゅ、んっ」

照「……ぁ、うぁっ」

菫「……んっ」ｺﾞｸｯ

照「はぁ、あ……ふぅ、っ」

菫「……涎が甘い、飴ばかり食べてるからだ」

照「そんなの私の勝手」

菫「口が寂しいなら、私に言えばいいのに」

照「……どうせ、キスする」

菫「ご名答」

照「…………」

ｶﾞﾁｬ

照「！」

菫「……誰か来たな」

菫「…………」

照「…………」

　「先輩たち遅いなー」

　「一階のトイレ使ったのかな？　自販機あるし」

　「かもねー」

菫「下級生か」ﾎﾞｿｯ

照（あれ……菫、鍵閉めてない！）

照「菫、そこ、閉めて」ﾎﾞｿｯ

菫（バレた）

菫「……少しの間、動くな」ﾎﾞｿｯ

照「えっ……ん、ぐっ！」

菫「……んむっ、んっ」

照「ぅ、んぁっ……」

照（菫、こんなのバレる……）

菫（……わかりやすいな、こいつは）

　「で、あんたってまだ弘世先輩のこと好きなの？」

照「！　……ん、っ」

　「ま、まあね」

　「いつ告白するわけ？」

　「……今月中」

　「おお！　応援してるよ」

　「うん、ありがと」

照「え、あっ……ぃ、んぁっ……」

菫（……泣いてる？）

菫（あの二人は事故だが……やりすぎたかな）

菫「ちゅ、んっ……」

照「ぁ、んぅ……っ」

菫「…………」

照「…………」

ｶﾞﾁｬｯ

菫「っ、はぁっ……照、もう行った」

照「……うん……っ」

菫「……おい」

照「なに……」

菫「そんな顔真っ赤にしてると、勘ぐられる」

照「……ねえ、菫」

菫「？」

照「もしあの子に告白されたら、どうする？」

菫「別にどうもしないさ、断る」

照「……そっか」

菫「不安？」

照「さあ」

菫「だから、照のことは大体わかる、隠すこともないだろ」

照「…………」

菫「照は、なんか堅すぎるんだよ、もっと甘えればいい」

照「菫は、なんか強引」

菫「照相手なら、これくらいでちょうどいいさ」

照「……そ」

菫「……もう、出るか、心配させてもいけない」

照「そうだね」

菫「すまない、遅くなった」

照「ごめん」

　「待ちましたよ！」

　「っていうか、なんで手つないでいるんですか？」

菫「ああ、これか？　照は調子が悪くて、一人じゃ歩けないみたいだからな」

照「それは菫でしょ？」

菫「不器用なやつ」

照「どっちが」

菫（不器用……私達は不器用な恋人だけど）

菫（それでも手を繋いで……二人で歩いていけばいいさ）

照「菫」

菫「なんだ」

照「もっと、強く握って」

菫「……ああ」ｷﾞｭｯ


おわれ

乙乙

乙乙　菫照すばら