かわいそう

あかり「結衣ちゃん、この間遊びに行ったとき体調悪いのみんなに隠して、無理してついてったよね？」

結衣「う、うん…」

あかり「そういうことする結衣ちゃんなんて、嫌い」

結衣「…グスン」

あかり「だからね」

結衣「？」

あかり「これからは、辛いときはあかりたちに頼っていいんだよ？」

あかり「あかりたちに気を使ってなんでも背負い込んじゃうのはやめて」

あかり「だってあかりは……」

あかり「結衣ちゃんのこと、大好きだから！」

結衣「あかり……！」

結衣「あり、ありがとう…」グスン

結衣（……っていうことが昨日あったんだけど）

結衣（まさかあかりに、大嫌いって言われるなんて）クスッ

結衣（でも、あかりは私のことをよく考えてくれていて…あえて強い言葉で叱ってくれたんだ）

結衣「なんだろう、この気持ち……」

結衣「あれから何故か、胸が苦しいんだ……」

結衣「でも、なんだか温かい……」

※娯楽部部室にて


京子「ちなつちゃーん！」だきっ

ちなつ「ちょっと京子先輩！ いきなり抱きつかないで下さい！」

京子「おやぁ？ それはつまり、いきなりじゃなければOKってことなのかなぁ？」ニヤリ

ちなつ「そんなわけないじゃないですか！ 離して下さい！」

あかり「京子ちゃんスキンシップ激しいね～」ニコニコ



結衣（あかり……可愛い）

結衣（おかしいな、あかりの可愛いさは昔から知ってるはずなのに……）

京子「ちーなーつーちゃーん！ お肌すべすべ～」スリスリ

ちなつ「いい加減にしてください！ 私の身体は結衣先輩のも……」

ちなつ「……結衣先輩？」

京子「ん、結衣？ どったの？ あかりの顔ぼーっと見つめちゃって」

結衣「ほえ！？ え、な、何が！？」ガタンッ

あかり「ええ！？ もしかしてあかりの顔、何かついてる？」アセアセ

結衣「なななななな何でもない！ そう、何でも！ 何でもないから！」アワアワ

京子「んー、そう？ なんか顔もちょっと赤いけど……」

ちなつ「もしかして熱があるんじゃないですか！？ た、大変です！ すぐに私が看病を！」ガタッ

結衣「なんでちょっと嬉しそうなの」（苦笑）

結衣「大丈夫だよ。ちょっと考え事してただけだから……」

京子「そっかー」

ちなつ「やっぱり、結衣先輩が健康ならそれが一番ですよね！」


結衣（なんとか……ごまかせたかな？)




あかり「…………」

※放課後、結衣宅にて


ピンポーン

結衣「はーいっ……ってあかり！？ どうしたのこんな時間に？」

あかり「あの、夜にいきなり来ちゃってごめんね」

あかり「でも、どうしても聞いておきたいことがあったから……」

結衣「き、聞いておきたいことって？」

あかり「あのね……」

あかり「結衣ちゃんまた、無理…してるでしょ？」

結衣「えっ……？」

あかり「結衣ちゃん、何だか辛そう……」

あかり「あかりにはわかるよ。結衣ちゃん、何か悩み事があるんでしょ……？」

結衣「…………」

あかり「前にも言ったけど、その……一人で抱え込まないで！」

結衣「！」

あかり「あかりじゃ力になれないかもしれないけど、でもそれでも！」ガバッ

あかり「でもそれでも……あれ、何だかうまく言えないや……」シュン

あかり「それでも結衣ちゃんのそばにいるから！」

結衣「あかり……」

結衣（あかりが、こんなに私のことを……)

結衣（……でも！ 言えるわけがないじゃないか！）

結衣（だって！ この気持ちは……）

結衣（あかりが自覚させた、この気持ちは……）

結衣（どう考えたって……）



結衣「……ありがとう、あかり」ニコッ

あかり「結衣ちゃん！」ニコッ



結衣「……何でも、ないから」



あかり「……え？」


結衣「ほ、ほら、だから何でもないって。心配かけてごめんね！ 私はだ、大丈夫だよ！」ニコッ

あかり「え！？ ちょっと結衣ちゃん！？」

結衣「ほらあかり！ もう夜遅いし、お家の人心配してるから帰りなって！」

あかり「そ、そんな！ だって結衣ちゃん、嘘ついてるもん！ 絶対、大丈夫なんかじゃない！」

結衣「大丈夫だって！」

あかり「嘘！ 結衣ちゃんすごく悲しい顔してるもん！」

結衣「大丈夫だから！！！」

あかり「…………」

結衣「だからあかり……」



結衣「今日はもう帰って……」

あかり「結衣ちゃん……」

結衣「わかって……くれた？」

あかり「結衣ちゃんの……」

あかり「結衣ちゃんのバカ！！」

結衣「え！？」

あかり「どうしてわかってくれないの！？」

あかり「結衣ちゃんが心配だとあかりも胸が張り裂けそうになるの！！」

あかり「辛いの！ 苦しいの！」グスンッ

結衣「あかり……」

あかり「ねえ、結衣ちゃんが何か抱え込んでるって気付いたの、娯楽部であかりだけなんだよ？ どうしてかわかる？」

結衣「ど、どうしてって……？」

あかり「あかりが誰よりも、結衣ちゃんのこと見てるからだよ……」

結衣「え！？」

あかり「同じ幼馴染の京子ちゃんよりも」

あかり「結衣ちゃんのことが好きなちなつちゃんよりも」

あかり「あかりのほうが、ずっとずっとずーっと結衣ちゃんのことを見つめてる」


あかり「だってあかりは、結衣ちゃんのこと……」



あかり「世界で一番、大好きなんだもん！！」

あかりちゃんイケメンかわいい

あかり「なのにどうして……」

あかり「どうして気づいてくれないの！！」

あかり「結衣ちゃんの鈍感！！」

結衣「あかり……」


結衣「……あかりだって……」

あかり「……？」

結衣「あかりだって！！」

結衣「あかりだって人のこと言えないだろ！！」

結衣「あかりだって私の気持ちに気づいてくれてない！！」

結衣「あかりが心配してくれるのは嬉しいけど、あかりに相談できるわけないじゃないか！！」

結衣「だって、だって……」

結衣「あかりのことが好きだから！ こんなに苦しんでるのに！！」

あかり「……ええ！？ ゆ、結衣ちゃんが私のこと……ってええ！！？？」

結衣「そうだよ！ って……あっ！ えっと、その……」あわあわ

あかり「えっと、ホント……なの？」

結衣「う、うん……// ……ってか、あかりのほうこそ！」

あかり「ほ、本当だよぉ！ あかりは真剣に結衣ちゃんのこと好きだもん！」

結衣「あっ、ありがと……//」プシュー

結衣「…………」

あかり「…………」


結衣あか「「あの！」」

結衣「あっ……//」

あかり「あっ……//」


結衣「あのさ、あかり……」

あかり「ま、待って！」

結衣「え？」

あかり「結衣ちゃん、今謝ろうとしたでしょ……？」

結衣「え？ あ、そ、そうだけど……」

あかり「結衣ちゃんは何にも悪くない！」

あかり「あかり、結衣ちゃんのこと大好きなのに、結衣ちゃんの気持ちに気付けなかったから…」

あかり「だから私が悪いの！ ごめんね……」

結衣「私のほうこそ！ 気付けなくて……ごめん」

結衣「……いいんだよね？」

あかり「え？」

結衣「あかりのこと好きでいて、いいんだよね？」

あかり「うん！」ニコッ

結衣「あかり……」グイッ

あかり「ゆ、結衣ちゃん！？//」

結衣「す、好きだ！」

あかり「……もうっ、改めて言われると照れちゃうな//」

あかり「あのね、あかりも結衣ちゃんのこと……」

あかり「大好きだから！」

あかり「ずっと一緒に、居ていい？」

結衣「それはこっちのセリフだよ」ニコッ

結衣「あかりのこと、その……」

結衣「し、幸せにするから！」

あかり「結衣ちゃん……！」

あかり「でもね、それはちょっと違うと思うなぁ」

結衣「え！？」

あかり「幸せにするとかされるとかじゃなくて……」



あかり「結衣ちゃんとあかりの二人で、一緒に幸せになろうね！」ニコッ

※

あかり「うーっ、緊張するよぉ……」

結衣「大丈夫、きっとみんな……わかってくれるさ」


結衣（でもやっぱり、緊張しちゃうな……）

結衣（娯楽部のみんなに、私たちのこと、打ち明けるのは……）


あかり「結衣ちゃん」

結衣「なんだい？」

あかり「手、握ってもいいかな……？」

結衣「うん。もちろんだよ」

あかり「えへへ、ありがとー」

ギュッ

結衣「……なあ、あかり」

あかり「なぁに？」

結衣「好きだ」

あかり「え、ええ！？ ゆ、結衣ちゃんいきなり過ぎるよぉ！」

結衣「ふふっ、何となく言ってみたかったからさ」

あかり「もー！ あかりびっくりしちゃったよぉ！」

結衣「あかり……」

結衣「ずっと一緒に居ような」


あかり「……うん！」


完

乙！

おつ！