アニ「私がちょろいって風潮」
- 1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 10:32:42.03 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「俺が鈍感だという風潮」
クリスタ「私が女神って風潮?」
ジャン「俺が死に急ぎ野郎の引き立て役という風潮だと?」
キース「私が、実は訓練兵に優しいという風潮、か……」
の続きです
あらすじ
エレンがコニー、サシャと仲良くなった
クリスタとユミルの仲が少し深まった
ジャンじゃん
キースとコニーとポーンの頭
注意点
なぜか毎回説教臭い
ネタバレ注意
では投下
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1372469561 -
- 2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 10:33:58.01 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「第一回、アニを褒めちぎろうの会!」
コニー・サシャ「わー!」
エレン「やる事は簡単だ。とにかくアニを褒めろ」
コニー「やっちゃいけねぇ事は?」
エレン「特に考えてねぇけど、悪口にならなきゃいいんじゃないか?」
サシャ「では私から!」
エレン「言ってやれ、サシャ」
サシャ「はい!」
アニ(どうしてこうなった……) - 3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 10:35:15.41 ID:mkvWlrzQ0
- 時遡り、日中(対人格闘訓練)
エレン「相変わらずサボってるな、アニ」
アニ「エレンか。あんたには関係ないよ」
エレン「関係はねぇけどさ、勿体ないだろ? 折角、凄い技術持ってんのに」
アニ「凄くなんてないよ」
エレン「持ってるやつは、持ってる物の大きさを理解出来ねぇもんだよ」 - 4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 10:36:13.45 ID:mkvWlrzQ0
- アニ「そうかもね。で、あんたがふらついてるのはどうして?」
エレン「ほら、あそこ」
アニ「……隅でコニーとサシャが倒れてるね。あれ、あんたがやったの?」
エレン「ちょっと力加減をミスってな。今は相手がいないんだ」
アニ「それで私に声をかけたわけ?」
エレン「そういう事。最近、組んでなかったしな」 - 5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 10:37:39.64 ID:mkvWlrzQ0
- アニ「……悪いけど、他を当たって。今は教える気分じゃない」
エレン「気分じゃないって、体調でも悪いのか?」
アニ「考え方次第じゃ、体調不良かもね」
エレン「考え方次第? どういう事だ?」
アニ「……隠す事でもない、か」
エレン「?」
アニ「ここ最近、私の周りにいる連中が鬱陶しくてね」
エレン「……なにか言われたのか?」
アニ「目つきが怖くなってるよ」
エレン「当たり前だろうが! 誰だ? 誰になんて言われたんだ? 俺がぶん殴って来てやる!」
- 6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 10:38:50.81 ID:mkvWlrzQ0
- アニ「興奮しないでいいよ。大した事じゃないから」
エレン「じゃあ、なんで鬱陶しいんだよ」
アニ「鬱陶しくもなるよ。あれだけ褒められてたら」
エレン「……褒められる?」
アニ「そう」
エレン「なんだ。そうだったのか。安心した」
アニ「心配してくれた?」
エレン「当たり前だろ」
アニ「……ありがと」 - 7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 10:41:01.30 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「なんで褒められてるのに鬱陶しいんだ? 素直に喜べよ」
アニ「逆に聞くけど、あんたはミカサに歩き方を褒められて嬉しい?」
エレン「馬鹿にされてるような気がするな」
アニ「私もそんな感じ。ご飯を食べてたら、スプーンの持ち方が綺麗だとか、食べ方が上品とか」
エレン「スプーンの持ち方? 食べ方?」
アニ「ぼんやり歩いてたら、姿勢が凛としてるとかなんとかって」
エレン「反応に困るな、それ」
アニ「そんなのが続いてて、機嫌が悪い」 - 8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 10:42:11.04 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「一人のやつがそう言ってるのか?」
アニ「色んなやつ。共通点と言えば、全部男ってくらい」
エレン「そいつら、なに考えてんだろうな」
アニ「私が知りたいよ」
エレン(うーん、アルミンに相談したら、すぐ解決してくれるだろうけど……)
エレン「……」 - 9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 10:46:23.33 ID:mkvWlrzQ0
- アニ「そういうわけで、今はあんたに構ってあげられる気分じゃない」
エレン「……よし、わかった」
アニ「わかってくれた? なら、私は行くよ」
エレン「俺が解決してやる!」
アニ「……」
エレン「その前に、体を動かしてストレスを発散しないとな。どっちがならず者をやる?」
アニ「人の話、聞いてるの?」
エレン「聞いてる聞いてる。それで、どっちがいい?」
アニ「……あんたがならず者。手加減はしないから」
エレン「おっし。行くぞ!」
アニ「はぁ……」 - 10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 10:48:11.44 ID:mkvWlrzQ0
- 夕食後
コニー「なぁ、なんでこんな狭い部屋に俺らは集まったんだ?」
エレン「あまり人が来ない場所を選んだら、ここだったんだよ」
サシャ「この大樽、この部屋にありましたっけ?」
エレン「それはあとで話すから」
アニ「……」 - 11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 10:49:40.99 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「じゃあ、始めるか。第一回、アニを褒めちぎろうの会!」
コニー「アニを褒めちぎる?」
サシャ「どうしてですか?」
エレン「ちょっとわけがあってな」
サシャ「理由は話せないんですか?」
エレン「アニ、話していいか?」
アニ「その前に、あんたと二人で話がある。ついて来て」
エレン「わかった。コニーとサシャはちょっと待っててくれ」
コニー「早く戻って来いよ」
サシャ「大人しく待ってます」
エレン「おう」 - 12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 10:52:28.23 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「部屋から出たけど、なんだ?」
アニ「……あんたは何をするつもり?」
エレン「みんなでアニを褒めようとしてる」
アニ「悪いけど、頭の理解が追いつかない。いや、私の話のせいでこうなったのは想像出来るけど」
エレン「訓練中、俺なりに考えてみた結果、褒められる事に慣れたらいいって結論に達した」
アニ「あんたの頭は凄いよ」
エレン「褒めるなよ」
アニ「皮肉だから」 - 13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/29(土) 10:54:05.48 ID:l8ebMhbOo
- 続きキターーー!!
- 14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 10:54:51.54 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「ダメか?」
アニ(……根本的な解決になってない。けど、エレンが私の事で一生懸命考えてくれた)
アニ(それを無下にするのも悪い、か。嬉しくないと言えば、嘘になるし)
アニ「……今回だけね」
エレン「ありがとうな。それで、あいつらに事情を話して平気か?」
アニ「隠す事でもない。そう言ったでしょ?」
エレン「了解。じゃあ、戻るか」
アニ「いいよ」 - 15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 10:56:30.46 ID:mkvWlrzQ0
- 説明後
エレン「――って、わけで、アニを褒めるだけ褒めて、慣れて貰おうってのが今回の趣旨だ」
サシャ「羨ましい悩みですね。私なんか、怒られるか、芋女って呼ばれるだけですのに」
コニー「本当だよな。俺も事ある毎に馬鹿って言われてる」
アニ「なら、代わってあげるよ」
コニー・サシャ「遠慮します」
エレン「とにかくだ。集まった理由は理解したな?」
コニー・サシャ「はーい」 - 16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 10:57:52.37 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「改めて、第一回、アニを褒めちぎろうの会!」
コニー・サシャ「わー!」
エレン「やる事は簡単だ。とにかくアニを褒めろ」
コニー「やっちゃいけねぇ事は?」
エレン「特に考えてねぇけど、悪口にならなきゃいいんじゃないか?」
サシャ「では私から!」
エレン「言ってやれ、サシャ」
サシャ「はい!」
コニー「……その前に、さっきから気になってるんだけどよ。あの樽、ガタガタ動いてねぇか?」
サシャ「ネズミですかね?」 - 17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/29(土) 10:58:46.00 ID:k5/14akaO
- このシリーズ好きだわww
- 18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 10:59:56.50 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「……忘れてた。ちょっと中断して、あの樽に注目」
サシャ「いいですけど」
コニー「エレンがなにか入れたのか?」
エレン「勝手にあいつが入ったんだけど。それはいいとして、顧問役を招いてる」
コニー「肛門?」
エレン「顧問。教官みたいなもんだ」
サシャ「……」
アニ「……」
コニー「ごめんなさい。俺が馬鹿でした。聞き間違えただけなんです。だから、そんな目で見ないで」 - 19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:01:39.94 ID:mkvWlrzQ0
- アニ「……もしかして、ミーナ?」
ミーナ「エレンが教える前に気付かないでよ! あだっ!」
エレン「自分で跳ねあげた樽の蓋が、頭に落ちたぞ、あいつ」
サシャ「体張った芸ですねぇ」
コニー「俺でも真似したいとは思わねぇな」
ミーナ「芸じゃないから! 全く……よいしょ――うわっ、ぶぎゅ!」
エレン「樽が倒れて、顔面から地面に落ちたぞ、あいつ」
サシャ「体張った芸ですねぇ」
コニー「俺でも真似したいとは思わねぇな」
ミーナ「芸じゃないもん! ウケ狙ったわけじゃないもん!」 - 20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:03:38.88 ID:mkvWlrzQ0
- アニ「……エレン、なんでこんなのも呼んだの?」
ミーナ「こんなのって呼ばないでよ! 私たち友達でしょ!」
エレン「鼻血出てるぞ、ミーナ。ちょっと大人しくしてろ。拭いてやるから」
ミーナ「うん……」
エレン「……よし、これで綺麗になった」
ミーナ「手慣れてるね」
エレン「ミカサによくやられて、自然と覚えたんだよ」
ミーナ「ありがとう」
エレン「どういたしまして。ミーナを呼んだ理由だけど、アニと仲が良さそうだったからだ」
エレン「俺たちの褒め言葉に間違いあったら、指摘して貰おうと思ってな」 - 21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:05:47.64 ID:mkvWlrzQ0
- アニ「たった今絶交した」
ミーナ「泣くよ? 泣いちゃうよ? なんで私、そんなにひどい扱いなの?」
コニー「絶交はともかく、自爆の件は自業自得だろ?」
サシャ「一部始終を見聞きした限りだと、アニを驚かせようとして樽に入ってたみたいですしね」
ミーナ「まさかこの二人に、正論で異議を唱えられなくさせられるなんて……エレン、みんなが苛めるよぉ」
エレン「続きを始めるぞ。サシャ、アニのいいところはなんだ?」
ミーナ「無視しないでよ! お願いだから無視はしないで! 一番傷つくから!」
エレン「はいはい、机をバンバン叩かない。あとで幾らでも慰めてやるから」
ミーナ「……前の休暇の時、街で見つけたお菓子を奢ってくれる?」
エレン「もうそれでいいよ」
ミーナ「やった! 約束だからね? 言質取ったからね?」
- 22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:08:22.90 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「わかったわかった。はぁ、やっと再開出来る。サシャ、言ってくれ」
サシャ「言いたい事、忘れました」
エレン「……まぁ、変な騒ぎがあったからな」
ミーナ「私のせい!? エレンが私の存在忘れてたせいでしょ!」
エレン「ごめんごめん。全部俺が悪かったよ」
サシャ「今思った事を言いますね。アニは物静かでカッコいいです!」
アニ「他人とのお喋りが苦手なだけだよ」
サシャ「それでも、私には真似出来そうもありませんから、憧れます」
ミーナ「アニはクールな美人さんだよね。サシャの気持ち、よくわかるなぁ」
エレン「二人は芋と樽だしな」
コニー「女として終わってるよな」
サシャ「芋の件は忘れて下さい!」
ミーナ「樽は今回だけでしょ!」
サシャ「私が芋盗みの常習犯みたいな言い方しないで下さいよ、ミーナ……」
- 23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:10:28.85 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「コニー、なにかアニのいいところはあるか?」
コニー「そうだなぁ」
ミーナ「また、無視された……」
サシャ「どうせ、私は芋です……」
コニー「ちっちゃいところ」
アニ「ちっちゃくて悪かったね」
コニー「褒めてるんだぞ?」
エレン「立体機動は小さい方が有利だしな。体格で差が出る対人格闘や斬撃も、アニなら文句ねぇし」
ミーナ「女の子は小さな方が可愛いって意味なら同意」
ミーナ「カッコよさと可愛さを併せ持つアニって、女の子として、相当レベル高いよね」 - 24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:12:37.61 ID:mkvWlrzQ0
- コニー「そもそも、俺より大きい女は、女とは思わねぇし」
サシャ「女の子です! 私は女の子です!」
ミーナ「勝手に大きくなっただけだもん! 私、悪くないもん!」
エレン「なんでだ? コニー」
コニー「だって、ちゅーする時に男が背伸びするって、いやじゃね?」
エレン「気にする事ねぇと思うけどな。ちゅーするくらい好きなら、どうでもいいだろそんな事」
ミーナ「いい事言った! エレンは凄くいい事を言った!」 - 25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:15:45.98 ID:mkvWlrzQ0
- コニー「なに必死になってんだ? まさか、ミーナは俺に気があるのか? いやぁ、モテる男はつらいぜ」
ミーナ「ち・が・う・の! 女の子として、少しは扱って欲しいだけなの!」
サシャ・アニ(酷く同意)
エレン「ミーナはコニーが好きだったのか……。二人が上手く行くように協力するぞ?」
ミーナ「……エレンの純粋なところ、私は好きだよ。けどね、勘違いも程々にしないと、痛い目を見るよ?」
エレン「……ごめんなさい。俺の勘違いです。その目は止めて下さい。全身に穴が開きます」
ミーナ「ん。いい子いい子」
アニ(私、帰っていいかな?) - 26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:17:45.82 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「さ、さて! 気を取り直して、今度は俺が言うな」
エレン「アニは父親思いの良いやつだ」
アニ「……」
ミーナ「えっ? なにそれ? 私、知らないよ?」
エレン「ミーナは知らないのか? アニの格闘術って、親父さん仕込みなんだってよ」
サシャ「そうだったんですか?」
アニ「そうだけど、どうでもいいでしょ」
エレン「って、アニは言うけど、格闘術を披露する時は生き生きしててな」
エレン「対人格闘の時に組むと、すごく親父さんを大事にしてるんだな、ってのが伝わって来るんだ」
アニ「……」
ミーナ「あれれ~? 耳が赤くなっちゃってるよ、アニ。そっぽ向いててもわか――あたっ!」
アニ「……」
ミーナ「もう見ないから机の下で蹴らないで!」 - 27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:18:31.46 ID:mkvWlrzQ0
- 暫くした後
エレン「結構いい時間になったな」
コニー「かなり褒めただろ?」
ミーナ「何度も余計な事で盛り上がったけどね」
エレン(ホントにな)
サシャ「アニ、これで褒められる事にも慣れましたか?」
アニ「どうだろうね」 - 28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:20:50.11 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「明日一日様子を見てみるか」
ミーナ「なら、今日は解散だね」
コニー「じゃあ、また明日な、アニ、芋、樽」
サシャ「……コニーとは、お休みなさいの前に拳で話す必要がありますね」
ミーナ「協力するね、サシャ」
エレン(みんな二文字になって、俺は呼び易いと思ったけどなぁ)
アニ「……はぁ、馬鹿ばっかり」 - 29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:22:29.96 ID:mkvWlrzQ0
- 翌日(訓練後)
エレン「お疲れ、アニ」
アニ「ん。お疲れ様。コニーとサシャは一緒じゃないの?」
エレン「腹が減ったから先に食堂に行ってるって」
アニ「あんたも食堂に行ったら?」
エレン「その前に、アニに聞いておこうと思ってな。昨日の成果はどうだ?」
アニ「相変わらず、鬱陶しくて胡散臭いね」
エレン「ダメだったか……」
アニ「……」
エレン「……」
アニ「……一つ、気になっていたけど、どうしてアルミンに話さなかったの?」 - 30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:23:43.24 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「アルミン?」
アニ「あんたは悩むと、よくアルミンに相談していた気がしてね」
エレン「あぁ、それだけど、実は――」
ミカサ「……エレン」
エレン「お疲れ、ミカサ。それにアルミンも」
アルミン「お疲れ様」
ミカサ「ねぇエレン。エレンはアニとなにを話していたの?」
エレン「なんでもいいだろ」
ミカサ「なにを話していたの?」
エレン「……」 - 31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:25:32.49 ID:mkvWlrzQ0
- ミカサ「私には、言えない事?」
エレン「ミカサには別にいいけど……」
アルミン「僕?」
エレン「その……俺さ、なんだかんだで、いつもアルミンを頼ってるだろ?」
エレン「だから、なるべく自分だけで考えてみようと思って」
アルミン「エレンはなにか困ってるの?」
ミカサ「それで、アニが協力しているって事?」
アニ「逆。私が困ってるから、エレンに助けて貰ってる」
エレン「ア、アニ! なんで言うんだよ!」
- 32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:28:42.84 ID:mkvWlrzQ0
- アニ「エレン。あんたにとって、この二人はなに?」
エレン「ミカサは家族で、アルミンは親友だ」
アニ「なら、ミカサかアルミンのどちらか、もしくは両方が困った状況の時、あんたはどうするの?」
エレン「力になってやるに決まってるだろ」
アニ「逆もそうだと、私は思うよ」
アルミン「うん。隠し事はなしにして欲しいな。僕だって、エレンに何度も助けられてるんだから」
ミカサ「エレン、私はいつでもあなたの味方。どんな時でも力になろう」
アニ「そういう事」
エレン「……わかったよ。けど、これは貸しだからな! 絶対に返すからな! ちゃんと受け取れよ!」
アルミン「うん」
ミカサ「エレンからのお礼を拒否するわけがない」
エレン「じゃあ、説明するけど――」 - 33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:30:55.38 ID:mkvWlrzQ0
- 説明後
エレン「――と言う事を俺は試してみた感じだ」
アルミン(……アニ、お疲れ様。本当に)
ミカサ「エレン。エレンはどうしてそんな回りくどい方法を選んだの?」
エレン「回りくどい?」
ミカサ「もっと簡単な方法がある。アニに対して変な事を口走る連中を、全て追い払えばいい」
アルミン「それは極論だけどね」
ミカサ「自覚している。実行する気は、私にない。けど、エレンはどうしてそうしなかったの?」 - 34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:31:54.74 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「そいつらは、別に悪い事してるわけじゃねぇからな。無理やり解決するのは嫌だったんだよ」
エレン「アニだって同じだろ? アニも力でなんとか出来るだけの実力はあるんだからな」
アニ「迷惑とは思っているけど、頷いておくよ」
ミカサ「エレンが成長してくれて、私は嬉しい」
エレン「お前の中の俺は、どんだけ暴力馬鹿なんだよ……」 - 35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:33:17.19 ID:mkvWlrzQ0
- アルミン「じゃあ、ここからは僕たちも協力するね」
ミカサ「うん」
エレン「悪い。頼むよ」
ミカサ「お礼は、抱っこでいい」
エレン「……今回だけな」
ミカサ「約束。絶対。指切り、そう指切りをしよう」
エレン「お、おう……」
アルミン(ミカサが見た事もないほど明るい笑顔を浮かべてる……) - 36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:35:15.05 ID:mkvWlrzQ0
- アルミン「話を纏めると、最近になって、なぜかアニは色んな男子から褒められ始めた」
アニ「ん」
アルミン「その原因は不明」
アニ「ん」
アルミン「……で、エレンに相談」
アニ「ん」
アルミン(返事が面倒なのかはわからないけど、反応が、ん、だけって悲しい……) - 37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:36:34.40 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「もう解決策が浮かんだのか?」
アルミン「解決策はまだだけど、原因には心当たりがあるよ」
エレン「本当か? 流石だな、アルミン」
アニ「原因ってなに?」
アルミン「前に、ちょっとした噂を耳にしたんだ。アニはちょろいって」
アニ「……」
エレン「ちょろい? なにがだ?」
ミカサ「少し褒めれば簡単にアニと恋仲になれる、という意味だと思う」
アルミン「はっきりと言っちゃえばね」 - 38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:38:31.14 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「へぇー。……ん? って事は、アニを褒めてたやつ、全員アニが好きなのか?」
ミカサ「全員とは思えない。アニは可愛いから、下心しかない連中もいるはず。むしろ、そっちの方が多いと思う」
アニ「あんたに可愛いと言って貰えるなんてね」
ミカサ「客観的に他人を見る事は出来る」
アニ「主観的に見れば?」
ミカサ「……ちっさい?」
アニ「首かしげながら言わないで。可愛く見えて怒れない」
ミカサ「ありがとう」 - 39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:40:41.88 ID:mkvWlrzQ0
- アルミン「下心がある人もいるのは事実だろうね。けど、本気でアニが好きな人もいるはずだよ」
エレン「そもそも、なんでそんな噂が流れたんだろうな」
アルミン「さあ? そこまでは聞いてないからわからないなぁ」
エレン「そっか」
ミカサ「エレンには関係ないから、その点は気にしなくていい」
エレン「そうだろうけど……」 - 40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:43:22.04 ID:mkvWlrzQ0
- アニ(……アルミン。あんたは知ってるの?)
アルミン(なにをかな?)
アニ(噂が流れた原因)
アルミン(言った通り、わからないよ)
アニ(私は、エレンが私の格闘術を褒めてから、一緒に組むようになった事が原因だと、話を聞いて思ったけど)
アルミン(……きっと違うよ。だから、エレンには言わないでね)
アニ(あんたも過保護だね。きっとあんたの子供は、ダメな子に育つよ)
アルミン(子育てする時があれば、気をつけるよ。その言葉を思い出しながらね) - 41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:44:41.44 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「? なんでボソボソ話してんだ?」
アルミン「なんでもないよ。それで、エレンは本当にアニの事が好きな人たちをどうするつもり?」
エレン「んー……アニに気があるなら、直接告白させて、付き合わせるとか?」
アニ「ありえないね」
エレン「ほんの少しでも、考慮の余地は?」
アニ「ない」
エレン「……」
アニ「……」 - 42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:46:19.59 ID:mkvWlrzQ0
- アルミン「いきなり付き合うとかは、順番を飛ばし過ぎてると思うな」
エレン「じゃあ、友達から」
アニ「遠回りに愛情表現するような根性なしとは、友達にもなる気はないよ」
エレン「根性があればいいのか……よし、閃いた!」
アルミン「どうするの?」
エレン「対人格闘で、アニから一本取れば、友達になる権利をプレゼント」
アルミン「うん、良い考えだね」
アニ(どこが?)
ミカサ(アルミン、いいの?)
アルミン(大丈夫だよ) - 43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:48:11.54 ID:mkvWlrzQ0
- アルミン「でもね、悪い言い方をするけど、友達って両者が選んで初めて成り立つものだと僕は思うんだ」
エレン「そりゃ、嫌いなやつと友達にはなりたくないな」
アルミン「うん、そうだよね。アニに聞きたいけど、褒めてた人たちをどう思ってる?」
アニ「気持ち悪い」
エレン「友達からでもきついのか。なら一時間、アニと二人っきりにして会話をさせるとかは?」
アルミン「うん、すごくいいと思うよ」
アルミン「少しアニには我慢して貰うようになるけど、ちゃんと話せば気が合うって事もあるからね」 - 44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:52:01.47 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「じゃあ、アニから一本取った人は、時間限定でアニと会話する権利を得るって事で」
エレン「アニ、それでいいか?」
アニ「その前に確認」
エレン「ん?」
アニ「私が負けて、一時間、誰かと二人にさせられたとする。その間、私は無言でもいいの?」
エレン「話がつまらなかったら仕方ねぇけど、興味が湧いたら反応してやってくれないか?」
アニ「もう一つ。その空間で私が襲われたらどうするの? 私はか弱い乙女なんだけど」
エレン(か弱い乙女?)
エレン「まぁ、その時は、俺がすぐ飛び込む。最初から適当な場所に待機しててな。もちろん、話は聞こえないようにするけど」 - 45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:54:37.92 ID:mkvWlrzQ0
- アニ「……いいよ。乗った」
エレン「ありがとう!」
アニ「でも、条件を二つ出す。一つ、私の相手は、全員ならず者役」
アニ「二つ、私が勝つのは、木剣を奪った時じゃなく、相手が足の裏以外を地面に付けた時」
エレン「そのくらいならいいと思うぞ」
アニ「認めて貰えるのなら、これ以上、私から言う事はないよ」
エレン「じゃあ、俺は早速、アニに気があるやつを調べて来るな!」
アルミン「僕も行くよ」
エレン「おう!」 - 46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 11:59:31.00 ID:mkvWlrzQ0
- アニ「……あんたの幼馴染も大変だね。自分が考えた答えに近付けるよう、エレンの思考を誘導させるなんて」
ミカサ「エレンは今回、自分の力で解決しようとした。アルミンはそれを無下にしたくなかっただけ」
アニ「前から思ってたけど、アンタたちの関係って面白い。嫌み抜きで」
ミカサ「羨ましい?」
アニ「ちょっと、ね」
ミカサ「入る?」
アニ「入れてくれるの?」
ミカサ「いや」
アニ「……」
ミカサ「……」 - 47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:00:56.10 ID:mkvWlrzQ0
- アニ「ふふっ、あんたらしくて清々しい答えだね」
アニ「さて、いつ、何人を相手にするかわからないけど、体力をつけるために食事をしに行こうかな」
ミカサ「私のパン、分けてあげる」
アニ「遠慮せずに貰うよ」
ミカサ「なら、食堂に行こう。一緒に」
アニ「ん」 - 48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:02:11.00 ID:mkvWlrzQ0
- 一週間後(早朝)
アルミン(あれから、訓練兵の男子の中で、アニに好意を持ってる人を集めた)
アルミン(少し時間はかかったけど、取り残さず調べられたと思う)
アルミン(そして、現在進行形で、エレンが考えたイベント真っ最中)
アルミン(もうすぐ終わるけど……)
訓練兵16「グッ!」
アニ「……これで私の全勝」 - 49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:06:53.41 ID:mkvWlrzQ0
- アルミン(見て下さいこの光景。小さな女の子一人によって、一年以上訓練を積んだ男子訓練兵は全滅です)
アルミン(誰一人として、ローキック一発に耐える事が出来ませんでした。みんな芋虫状態)
アルミン(……蹴られて恍惚な表情を浮かべてる人ばかりだから、同情はしないけど)
クリスタ「アニって本当に凄いよね。あっ、もうちょっとで包帯巻き終わるから、動いたらダメだよ」
アルミン(クリスタに包帯を巻いて貰って、頬を緩ませてるそこの君。絶対に許さない)
ユミル「愛情の籠った女の蹴りを一発も耐えれないような男じゃ、アニと釣り合わうわけねぇよな」
ユミル「あと、鼻の下伸ばしてんじゃねぇよ、てめぇ!」
クリスタ「け、蹴ったら駄目だよ! しかも、アニに蹴られた部分を的確に」
アルミン(いいぞ、ユミル! もうそんなモブぶっ壊せ!)
マルコ「……なんでアルミンは両拳を突き上げてるんだろ?」
ジャン「知らねぇよ」 - 50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:09:02.00 ID:mkvWlrzQ0
- マルコ「ジャンなら耐えられる? アニのあの蹴りに」
ジャン「耐える以前に、喰らいたくない。あれはダメージを蓄積させるんじゃなくて、一撃で粉砕する蹴りだ」
マルコ「大丈夫。ジャンならきっとなんとかなるよ。一回やってみよう」
ジャン「お前、無茶振りは止めろよ。頼むから」
マルコ「残念だな。エレンとの一件以来、真面目に対人格闘に取り組んでるから、いい線行くと思ったけど」
ジャン「冗談だろ?」
マルコ「結構本気で」
ジャン「そう言われて悪い気はしねぇけど、やっぱり無理だ」
マルコ「それなら仕方ないね」 - 51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:12:53.98 ID:mkvWlrzQ0
- アニ「エレン、これでいいでしょ?」
エレン「まだだ」
アニ「まだ誰かいるの?」
エレン「今度は俺の番だ!」
アニ「は? なに? あんたも蹴られたいの?」
エレン「蹴られたくはねぇよ。痛いし……。けど、アニとは友達になりたいからな」
アニ「いや、あんたはもう――」
コニー「待てよ、エレン。教官とのチェス対決は一番を譲ったんだから、今回は最後な」
エレン「仕方ねぇな。わかったよ」
サシャ「チェス対決の時、この中では最後だった私が、最初にアニとお喋りして友達になります」
サシャ「アニ、行きますよ!」
アニ「……あと三人、付き合ってあげるよ」 - 52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:15:01.62 ID:mkvWlrzQ0
- 一分後
ミカサ「サシャ、流石にその姿はダメ。女の子として、色々ダメ。すぐ横にしてあげる」
クリスタ「私も手伝うよ、ミカサ。ユミルはコニーをお願い」
ユミル「はいはい」
ジャン「コニーとサシャも瞬殺だったな」
マルコ「アニが使った技は、いつだったか、エレンがジャンにした技と同じだったね」
アルミン「威力と精度は桁違いだけどね。まぁ、エレンもあの時よりずっと成長してるけど」
ジャン「男でも恥ずかしい格好だな、あれは。ケツを上にして気絶するって……」
ジャン(エレンが未熟でよかった……)
マルコ「でも、次はどうだろ? アニと組んだ回数の多いエレンは、どこまで耐えられるかな?」
ジャン「コニーやサシャと同じ目に遭って、ミカサに幻滅されてしまえ。ケケケ」
マルコ「うわぁ、悪い顔だなぁ」 - 53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/29(土) 12:16:45.72 ID:IR0KWUnOo
- このシリーズの登場キャラはみんなかわいいなぁ
- 54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:19:28.92 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「今度こそ俺だな」
アニ「手加減はしないよ」
エレン「上等っ!」
アニ「シッ」
マルコ「おっと、エレンにはローキックから入ったね」
ジャン「これでエレンも……」
エレン「~~ッ! ラァ!」
ジャン(マジかよ、あいつ。耐えやがったよ、おい……)
アルミン「蹴られる直前、エレンは大きく踏み込んで、アニの脚の芯を微妙に外したね」
マルコ「それでも、かなり痛いと思うけど」 - 55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:21:29.69 ID:mkvWlrzQ0
- アニ「残念」
マルコ「ローキックを耐えて攻撃したエレンだけど、アニは簡単に避けたね」
マルコ「しかも、木剣を持ってる手首を掴んで、エレンの背後に回った」
アルミン「あれはコニーやサシャにしたのと同じ技だね」
ジャン「今度こそ駄目だな。腕を伸ばされながら顎を押し上げられて、エレンの体勢は崩れた」
ミカサ「これは大丈夫」 - 56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:26:02.95 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「こなくそっ!」
アルミン「アニに蹴りで足を払われる前に、自分から跳んでかわしたね」
マルコ「バク宙しながら体勢を直そうとするなんて、エレンもすごいよ」
ミカサ「……でも、逃げ場がなくなってしまった」
アニ「狙い通りだよ。お疲れ様」
エレン「グベッ!」
アルミン「まだ着地してないエレンの背中に、綺麗な踵落としが決まっちゃった」
マルコ「そのまま地面に叩き落としたね。いや、踏み落としたって言った方が正確かな?」
ジャン(怖ぇ……アニ、マジで怖ぇ……。なんで冷静に見てられるんだよ、こいつら) - 57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:27:34.13 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「」
ユミル「あっ、エレンも気絶した」
クリスタ「エ、エレン! 大丈夫!? 今運んであげるからね!」
アニ「これで終わりだね」
ミカサ「まだ。今度は私が――」
ミーナ「ご、ごめん! 寝坊しちゃった!」
アルミン「ミーナ?」 - 58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:29:05.70 ID:mkvWlrzQ0
- ミーナ「うわっ、すごい惨状。あっ、やっぱり、エレンたちも挑戦したんだ。白目剥いてるけど」
ミカサ「今度は私がやる」
ミーナ「その前に、アニとやらなきゃいけない人がいるよ、ミカサ」
ミカサ「誰? って、聞いた方がいい?」
ミーナ「もちろん、この私! アニの一番の友達は誰にも譲らないからね!」
ミカサ「えっと、うん。その……どうぞ」 - 59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:31:24.25 ID:mkvWlrzQ0
- ミーナ「ありがとう。んっと、木剣は転がってたこれを使うね。ルールはちゃんと聞いてるから大丈夫だよ」
アニ「……本当にするの? 本気で蹴り飛ばすよ?」
ミーナ「覚悟してるよ。始めていい?」
アニ「はぁ……いつでもどうぞ」
ミーナ「じゃあ、やるね!」
マルコ「ミーナがぁ! 走り出してぇぇ! ミーナがぁ! アニの傍ぁぁっ! 木剣構えてぇっ! まだ踏み込むぅぅ! ミーナがぁっ! ……つっ近づいてぇっ! ミーナがぁ蹴られたぁぁーっ!」
アルミン「ミーナ、あっさり膝をついちゃった。完全に予定調和だったね」
ジャン「……なんでいきなり気合の入った実況を始めたんだよ、マルコ」
マルコ「なんとなく」 - 60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:33:58.40 ID:mkvWlrzQ0
- ジャン「にしてもアニのやつ、本気とか言いながら相当手加減してたな」
マルコ「さっきまで重くて鈍い音だったけど、今回は炸裂音みたいな軽い音だったね」
ミーナ「……痛い」
アニ「だから言ったのに……ほら、手を貸して」
ミーナ「うん、ありがと――きゃっ!」
アニ「お、押さないで――いたっ」
マルコ「ミーナがアニを押し倒したね」
ジャン「加減したんだろうが、足は痺れてるだろうしな。不可抗力だろ」
アルミン「アニに蹴られた人らが次々と、きましたわー、って言ってるのはなんでかな?」
マルコ「僕もわからないよ」
ジャン(わかる俺は普通じゃなかったのか……) - 61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:37:04.71 ID:mkvWlrzQ0
- アニ「ミーナ、立てないからどいて」
ミーナ「……」
アニ「ミーナ?」
ミーナ「……ねぇ、アニ。このままキスしよ――ぐぼぉっ!」
マルコ「アニ、横になってても、体の捻りだけでミーナの脇腹を抉ったよ。膝で」
ジャン(あの体勢で、なんであんなに威力があるんだよ……)
ミカサ「ミーナ、ダメ。女の子として、その声はダメ」
ミーナ「冗談、だった、の、に……」
クリスタ「ミーナ、大丈夫? すぐ手当てしてあげるからね。ユミル、お仕事だよ」
ユミル「面倒臭いなぁ……」
アニ「ふん」 - 62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:40:03.80 ID:mkvWlrzQ0
- アルミン「ねぇミカサ、まだアニとやるつもり?」
ミカサ「……どうでもよくなった」
アルミン「うん、良かった」
アルミン(ミカサとアニが万が一本気でやりあったら、今いる面子じゃ止められないからね)
アルミン(少しは希望が持てるエレンとユミルだけど、エレンは気絶してるし、ユミルはむしろ煽るだろうし)
アルミン(ミーナ、身を犠牲にしてくれて、本当にありがとう)
アルミン(あとでなにかお礼をしないとね。なにがいいかなぁ?) - 63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:44:29.35 ID:mkvWlrzQ0
- 日中(対人格闘訓練)
ミーナ「う~……まだお腹痛い。非の打ち所がない膝の進入角度だったよ……」
アニ「馬鹿な事しようとするからでしょ?」
ミーナ「軽いスキンシップじゃない。ほら、こんな感じで」
アニ「……重い。後ろから抱きつかないで」
ミーナ「んふふ。アニは抱きついてて気持ちいい。包み易いし、良い匂いがして気分最高だね」
アニ「こんなとこ、教官に見つかったら怒鳴られるよ」
ミーナ「なら、寝技ごっこでもする?」
アニ「不真面目にやってると、あいつも来るよ」
ミーナ「あいつ?」
アニ「そう、あいつ」 - 64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:46:14.39 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「珍しくペアになってるのかと思えば、二人で遊んでるのかよ」
ミーナ「あっ、あいつが来たよ、アニ」
アニ「来たでしょ? あいつが」
エレン「あいつで悪かったな。アニ、今日も組んでくれないか?」
ミーナ(アニ、良かったね。エレンからのお誘いだよ)
アニ(私は別に……)
ミーナ(はいはい、照れ隠し照れ隠し)
- 65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:48:57.90 ID:mkvWlrzQ0
- ミーナ「私は他の人の所に混ぜて貰って来るね」
エレン「そんな面倒な事しなくても、ミーナも一緒にすればいいだろ?」
ミーナ「お邪魔虫になっちゃうのはいやだから。またあとでね、アニ、エレン」
エレン「今度は一緒にやろうな」
ミーナ「うん!」 - 66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:50:43.00 ID:mkvWlrzQ0
- アニ「またふらついてたみたいだけど、もうコニーとサシャを気絶させたの?」
エレン「気合を入れ過ぎたみたいでな。誰かさんに完敗しちゃって」
アニ「一日に何度も意識飛ばされて、その誰かさんも、流石に二人が不憫だと思ってるよ」
エレン「根性が足りないんだ。そんなんじゃ、誰かさんと友達になれねぇよ」
アニ「あんたも、その誰かさんにはまだ勝てないだろうけど」
エレン「それはどうだろうな。……っと、その前にだ。昼食の時とか、周りの様子はどうだった?」
アニ「そこまで時間が経っていないから、何とも言えない。けど、大分静かになったよ」
アニ(なぜかミーナと一緒にいる時に、変な視線を感じ始めたけど……) - 67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:52:53.75 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「一安心って所か。……そうだ。少し前みたいに、一緒に飯を食わないか?」
エレン「最近、アニは離れた席に座ってるし、近くにいれば再発した時、すぐ気付けるからな」
アニ(サシャに席を取られたから離れた、なんて言えるわけない……)
アニ(思えば、褒められ始めたのは、エレンたちから離れてすぐ。周りからは、エレンと特別な関係だと思われてたって事?)
アニ(……なんだ、私は一番簡単な方法を見落としていた。こういうのも、元鞘に収まるって言うのかな)
アニ(なんでもいいけど。……ふふっ)
アニ「……いいよ」
エレン「決まりだな。じゃあ、そろそろ訓練の方も始めるか。俺がならず者になるから」
アニ「お好きなタイミングでどうぞ」
エレン「おう!」 - 68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:54:04.20 ID:mkvWlrzQ0
- やったね、ベルちゃん!
ライナー「アニはとうとう俺らから離れたか。夕食の時も、エレンたちと一緒だったしな、チェック」
ベルトルト「そうみたいだね。でも、遅かれ早かれの問題だったと思うよ。うーん、これでどう?」
ライナー「なるほど、その手があったか……。しかし、わかっていても寂しくなる」
ベルトルト「僕らにとって、アニは妹みたいなものだからね。祝福してあげようよ」
ライナー「そうだな」
コニー「おっ、本当にこんなところでチェスやってたぞ」
エレン「なんだよ、水臭い。チェスやってるなら俺らのところに混ざれよ」
サシャ「全くです」 - 69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:55:08.88 ID:mkvWlrzQ0
- ライナー「どうしてお前らがここに?」
エレン「アニに教えて貰ってな、誘いに来たんだよ」
コニー「俺と勝負しようぜ!」
サシャ「食堂にはみんなもいますよ」
ライナー「それは嬉しい誘いだ。けどな……」
エレン「? なんか不都合でもあるのか?」 - 70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 12:58:14.92 ID:mkvWlrzQ0
- ライナー「俺は別にいいんだが、ベルトルト、お前はどうだ?」
ベルトルト「気にせず行って来なよ。僕は兵舎に戻ってるから」
ライナー「そんなわけだ。俺はこいつを一人っきりにさせられない」
ベルトルト「エレンに対するミカサみたいな事言ってるよ」
ライナー「お前がいないとつまらないからな」
ベルトルト「心配症だね」
ライナー「どうだろうな。悪い、三人とも。誘ってくれた事には礼を言おう」 - 71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 13:00:44.07 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「それならそれでいいんだけど……あのさ、ベルトルトにちょっと聞きたいんだ」
ベルトルト「なにかな?」
エレン「俺、なにか悪い事でもしたか?」
ベルトルト「どうしたの? 急に」
エレン「ここ最近、余所余所しくなったというか。少し前までは、俺やアルミンに話しかけてくれただろ?」
エレン「アニやライナーとはちょくちょく話してるけど、ベルトルトとはこうして顔を合わせる事自体、なくなってると思って」
ベルトルト「……」
コニー「そうだったのか?」
エレン「あぁ」 - 72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 13:03:21.73 ID:mkvWlrzQ0
- サシャ「私の記憶が正しければ、私とコニーがエレンたちと一緒に行動するようになってから、ですよね?」
エレン「二人には悪いけど、時期的にはそうだな」
コニー「……ベルトルト。お前は俺やサシャが嫌いなのか?」
ベルトルト「そんな事はないよ」
サシャ「本当ですか? もし私たちが嫌いで、エレンたちと疎遠になるようでしたら……」
ベルトルト「本当に二人が嫌いなわけじゃない。だから、その先を口にしたら駄目だよ」
ベルトルト「僕は、君たちの関係が壊れる事を望んでないんだ」
サシャ「……ごめんなさい」 - 73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/29(土) 13:04:02.76 ID:9zmiGisY0
- ベルトルさん…
- 74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 13:04:34.29 ID:mkvWlrzQ0
- ベルトルト「謝る必要なんてないよ。むしろ、僕の方こそごめん。みんなに気を遣わせてしまったみたいだね」
ベルトルト「少し距離を置いてたのは、みんなの邪魔になると思ってなんだ。僕は面白い人間じゃないから」
エレン「嘘じゃないよな?」
ベルトルト「嘘じゃないよ」
コニー「そんな事気にすんなよ。俺なんか、真剣に話してんのに笑われるから困ってるっての」
エレン「そりゃ、コニーが的外れな事言ってるからだろ」
サシャ「全くです」 - 75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 13:07:06.20 ID:mkvWlrzQ0
- コニー「エレンやサシャだって、俺と大差ねぇくせに」
ライナー「コニーの言う通りだな」
サシャ「私を一緒にしないで下さいよ、失礼な」
エレン「俺は多少ずれてる自覚はあるぞ、サシャと違って」
サシャ「う、裏切りですか!?」
エレン「そうじゃねぇよ。俺はただ、人よりずれてて、鈍感で、頑固で、しかも我儘なんだ」
サシャ「?」 - 76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 13:08:55.01 ID:mkvWlrzQ0
- エレン「だからさ。行くぞ、ベルトルト」
ベルトルト「わっ! ちょ、ちょっと! いきなり手を引っ張らないで!」
エレン「……いやだったら振り解いてくれ、お前の意思で。その時は……もう掴まない」
ベルトルト「……」
エレン「……」
ベルトルト「……ずるいね。君ほど卑怯な人を、僕は知らないよ」
エレン「俺を友達として選んでくれたやつの言葉だと、褒められてるようにしか聞こえねぇな」
ベルトルト「……エレンたちを避けちゃって、本当にごめん」
エレン「覚えてねぇよ、そんな事。だから、ベルトルトも忘れろ」
ベルトルト「……うん」 - 77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 13:09:49.14 ID:mkvWlrzQ0
- コニー「ライナーはどうするんだ?」
ライナー「ベルトルトが行くんだ。俺が不参加の理由はないだろ」
サシャ「では、みんなで行きましょう!」
コニー「もちろんだぜ!」
ライナー「おう!」
- 78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 13:12:15.75 ID:mkvWlrzQ0
- ベルトルト(……ライナー、ごめん)
ライナー(なにに対して謝ってるんだ?)
ベルトルト(万が一……万が一、僕が戦士になり損なったら――)
ライナー(その時はその時だ。エレンの母親の事も含め、問題は山積みだが、一緒に悩もう)
ライナー(お前やアニがどちらを選んでもいいよう、俺は兵士でも、戦士でもあり続けてやるから)
ベルトルト(ライナーはそれでいいのかい?)
ライナー(俺たちは友達だろ? エレンたちの絆にも決して劣らない)
ベルトルト(……うん。ありがとう)
ライナー(なんて事ない)
ベルトルト(それでも、ありがとう……) - 79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/29(土) 13:12:28.24 ID:ZrY5rzNAO
- 風潮シリーズ来てた!
- 80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/29(土) 13:16:11.86 ID:mkvWlrzQ0
- 終わり
俺、次のSS書き終わったら、結婚しよ、って諫山創さんに手紙を出すんだ……
どうでもいいけど、ミーナが可愛い過ぎて、ルイズのコピペ貼ろうか悩んだ
お疲れ様でした - 81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/29(土) 13:18:39.86 ID:eRl7rt6vo
- 兵士エンドが見たくなった
乙 - 82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/29(土) 13:20:31.39 ID:sof1Lc/9O
- 目から汗が…
- 83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/29(土) 13:25:02.26 ID:S2Set76ho
- おつ!
よかった!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1372469561/
- 関連記事
スポンサーサイト