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ドラッグ オン ドラグーン3 討鬼伝

ロレンス「違う!」ホロ「!」

  
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/02(火) 00:20:09.47 ID:e5CLnogZ0

机の上に、ロレンスの雑記帳が無造作に放り出されている。

ロレンスが絶えなく持ち歩いて放さないこの雑記帳は、以前よりホロの気になるところの一つであった。

(あのタワケェが、どんな展望を広げているかを知る、良い機会じゃ)

最初は、パラパラと流し読みをしていたホロだったが、次第に手の速度は消え、紙の一枚一枚を慈しむように、優しくめくっていく。

(くふふ…)

思わずほくそ笑む。

あのロレンスのことだ。どうせ、商売上の幼稚な算段でも綴られているのだろう。


4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/02(火) 00:20:09.47 ID:e5CLnogZ0

机の上に、ロレンスの雑記帳が無造作に放り出されている。

ロレンスが絶えなく持ち歩いて放さないこの雑記帳は、以前よりホロの気になるところの一つであった。

(あのタワケェが、どんな展望を広げているかを知る、良い機会じゃ)

最初は、パラパラと流し読みをしていたホロだったが、次第に手の速度は消え、紙の一枚一枚を慈しむように、優しくめくっていく。

(くふふ…)

思わずほくそ笑む。

あのロレンスのことだ。どうせ、商売上の幼稚な算段でも綴られているのだろう。


5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/02(火) 00:22:50.20 ID:e5CLnogZ0

しかし、実際のところ、商売のことなど一切書かれていなかったのだ。
その全てが、ホロのこと、我が子のこと、つまり家族の話題で占められていた。

(たわけは、わっちの方じゃったな…)

結婚は人生の墓場、という言葉がある。
しかし同時に、全てにおいて新たな始まりでもある。

(前を向いた死人に妙な勘繰りは無用、じゃったか…)


7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/02(火) 00:25:00.74 ID:e5CLnogZ0

この頃のロレンスは、本当に頼もしい。
ヨイツの賢狼たるホロが、その身を任せきってしまうことも、しばしばだった。

(もう、小僧とも、たわけとも言えないのかもしれぬ…)


8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/02(火) 00:27:24.66 ID:e5CLnogZ0

頼もしくもあるが、半面、今まで通りの関係とは少し違うのかもしれない、ということが、ホロには少し寂しく感じられた。

(…くふっ、わっちが後ろばかりを見ていてどうするんじゃ?
あのたわ…ロレンスは前を見据えているのに。
わっちはヨイツの賢狼ホロじゃ!)


10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/02(火) 00:30:18.77 ID:e5CLnogZ0

そうして自分を鼓舞すると、どうやら、まだここまでしか書かれていないようだ。雑記帳の、一番新しく書かれた頁が顔を出した。

(うふっ、やっぱりたわけはたわけじゃな。
建物や商売で扱うものばかり上手くても、こればっかりは不得手なようじゃの)

一番新しい頁に文字は書かれていなかった。


12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/02(火) 00:33:24.82 ID:e5CLnogZ0

その頁には、昼寝をしているところだろうか、ホロと我が子がスケッチされていた。

ふふっ、と笑い声を漏らすと、ホロは鉛筆を手に取った。
何でも、この鉛筆という代物は最近発明されたばかりで、大変便利なものだそうだ。


13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/02(火) 00:36:04.65 ID:e5CLnogZ0

そんなことを顔を上気させながら熱心に説明するロレンスを思い出す。

(小僧でもあったか)

笑みを浮かべながら鉛筆を手に、雑記帳に向かう。


突然、ドアが激しい音を立てながら開かれた。

ホロは驚きのあまり力を込めすぎて、鉛筆を折ってしまった。


14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/02(火) 00:39:02.43 ID:e5CLnogZ0

無残にも真っ二つに折れた鉛筆は、勢いのあまり床に転がり落ちた。

しかし、それどころではない。

突然入ってきたロレンスの顔はみるみるうちに、赤く、さながら鬼の形相に変化していく。

「ホロ、何か思い当たることはないか?」


15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/02(火) 00:41:05.61 ID:e5CLnogZ0

ロレンスの声は怒りに震え、怒りを閉じ込めようとしているのか、こちらを見ずに、視線を床に降ろしている。

(たわ…ロレンスが今までこれ程までに怒りを顔に出したことがあったじゃろうか?)

以前に一度だけ大まじめに怒られたことがあったが、果たしてこのように、怒りに身を震わせていただろうか?
あの時は子を諭す母のようでもあった。


16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/02(火) 00:43:29.10 ID:e5CLnogZ0

しかし、今のこのロレンスはどうだろう?
天地がひっくり返ったとしてもこれ程か、というばかりに、ロレンスは怒りに震えている。

「何か言ったらどうだ!?」

ロレンスの怒気に、ビクッと体が硬直する。

(うぅ…あ、あのことかや…?)

実はホロには思い当たる節が一つだけ、あった。


18: ネタバレは殆どないはずです 2011/08/02(火) 00:47:52.99 ID:e5CLnogZ0

一度だけの過ちだった。


桃の蜂蜜漬け欲しさに、金銭を求めて、セクキャバで働いていたことがあったのだ。

指名率は常にトップだった。

「あうぅ…セク…キャバ…いち…ばん……」


20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/02(火) 00:51:12.17 ID:e5CLnogZ0

「違う!!」

「!」

違った。

当てが外れた。

しかし、ホロには思い当たる節がもう一つだけ、あった。

桃の蜂蜜漬けに使う桃欲しさに、金銭を求めて、大陸エステで働いていたことがあったのだ。

国籍を詐称した。

ガサ入れに警戒する日々は、恐ろしくも、甘美であった。

二度目の過ちだった。

指名率は当然、トップだった。

「だ…大韓…み…民国…中国。」


24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/02(火) 00:54:35.86 ID:e5CLnogZ0

「違う!!!」

「!」

違った。

当てが外れた。

しかし、ホロには思い当たる節が後もう一つだけ、あった。

これでもう、過ちは三つを数える。

桃の蜂蜜漬けに使う生姜欲しさに、金銭を求めて、妊婦デリで働いていたことがあったのだ。

いつ破水するかもわからない恐怖は快楽と交じり合い、羞恥心からくる興奮がそれらを昇華させた。

指名率は勿論、トップだった。

「ヒッヒッフー、ヒッヒッフー。」


28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/02(火) 00:57:49.71 ID:e5CLnogZ0

「違う!!!!」

「!」

違った。

当てが外れた。

しかし、ホロには思い当たる節が最後に一つだけ、あった。

桃の蜂蜜漬けに使うビン欲しさに、金銭を求めて、「どうぶつの☆もりもり出せ」というピンサロで働いていたことがあったのだ。


32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/02(火) 01:00:15.65 ID:e5CLnogZ0

完全オープンの、この特殊なピンサロは、ホロの羞恥心を養う場として、あまりに十分過ぎた。
元々、馬車に裸で乗り込む、巨大化して全裸で走り回る、等、十分に素質を備えていたことは、火を見るよりも明らかなことだ、と私は考える。

Mに目覚めた瞬間だった。


33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/02(火) 01:00:29.06 ID:SlFeC7l10

酷すぎワロタ


37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/02(火) 01:03:05.39 ID:e5CLnogZ0

しかし指名率はトップではなかった。

常に2番目の位置に甘んじていたのだ。

トップはそう、あのハスキンズだった。

老獪なテクニックは、神すら昇天させると言われた程だ。

いつまでも2番手に甘んじていて、我慢のできる賢狼ではない。
この時、この道を極めようと決心したのだった。

過ちは最早、止められる領域を過ぎている。
四回目の過ちだった。


41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/02(火) 01:05:38.39 ID:e5CLnogZ0

「トップしか興味がない。」

「!!!!!!!」

「!」

違った。

当てが外れた。

もう、思い当たる節などない。

終わりだ。

破滅だ。

ホロはロレンスには目もくれず、家から飛び出した。裸で。

どこまでも、どこまでも走ろう。裸を見られながら。

いつか、きっと、ロレンスは許してくれるだろう。

取り残されたロレンスは、机の上を見遣る。
自分の描いたホロと我が子の隣に、下手くそなロレンスが書き足されていた。


42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/08/02(火) 01:08:46.46 ID:e5CLnogZ0

ホロは蜂蜜を買う金銭を求め、遠く、リュビンハイゲンに向かった。


ニョッヒラの家にはもう、夕日を背後に、怒りの原因である折れた鉛筆のための墓を作る男の姿があるだけだった。


お わ り


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