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ドラッグ オン ドラグーン3 討鬼伝

蘇芳「……黒、ジュライとなにしてるの?」


1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/10(木) 20:14:56.12 ID:akU2Y1fX0

黒「……」
ジュライ「……」


蘇芳「二人ともなんでスコップ持ってるの?」


黒(……うっかりマオを踏みつけて、今その死骸を埋めたばかりだとは絶対言えない)


2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/10(木) 20:27:41.89 ID:akU2Y1fX0

ス「何してるの?」

黒「……」

ス「あれ?ぺーチャ…じゃなくてマオは?ジュライの頭の上にいないし何処?」

ジ「さっき埋め―」
黒「黙れジュライ」

ジ「……」


ス「??? 二人ともどうしたの?」


3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/10(木) 20:46:59.82 ID:akU2Y1fX0

ス「ねぇ、マオは?」

黒「……アイツは今は別行動中だ」

ス「え?何か任務でもあるの?もしかしてターニャや日本の警察に僕たちの居場所がばれた!?」

黒「……いや、そうじゃない」

ス「??? じゃあいったい何処にいったんだよ」

黒「それは言えない」

ス「……」


6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/10(木) 21:02:54.91 ID:akU2Y1fX0

ス「……でも―」
黒「……ュレーション」

ス「え?」

黒「アンジュレーション!」

ス「!!!」

黒「……踊れ」

ス「いきなり何いってんだよ!」

黒「……お前はインナーマッスルが弱い、腹筋と背筋のバランスもな。それを鍛えるのに踊りは最適だ」


7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/10(木) 21:18:08.99 ID:akU2Y1fX0

ス「だからいきなり何言ってるんだよ!僕はマオのことを聞いてるんだよ」

黒「反論は認めん、やれ」

ス「……もういい、ジュライ?マオは何処に行るのか分かる?観測霊飛ばしてよ」

ジ「……さっきそこに埋m―」
黒「黙れドール」

ジ「……」
ス「……」
黒「……」


黒(まずいな、黒の死神と恐れられた俺が……どう切り抜ける?)


11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/10(木) 21:30:50.62 ID:akU2Y1fX0

ス「……いつまでやればいいんだよ(フリフリ)」←黒に押し切られやらされている

黒「アンジュレーション、もっと胃をひっこめろ(……ひとまずこの間に対策を立てる)」

ス「なんでこんn―」
黒「腹筋を意識するんだ、波がゆれる様に(こんな事態になったのも、そもそもマオがリスなんかに憑依するから……)」



ジ「……モモンガ」ボソ


13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/10(木) 21:44:44.10 ID:akU2Y1fX0

ス「もういいだろ!いいかげんマオが何処にいるのか教えろよ!(逆立ちでスカートを片手で押さえた状態)」

黒「まだトレーニングは終わっていない、それとちゃんと両手で逆立ちしろ。危険だ」

ス「バッ、馬鹿いうな!そんなことしたら見えちゃうだろ///」

黒「何がだ?」

ス「///だ、だから……」

黒「下着が、か?」

ス「///」

黒「……安心しろ、お前は俺の許容範囲外だ。それにタイツをh―」
ジ「タイツを穿いているから恥ずかしくない」


ス「……」
黒「……」
ジ「……」


14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/10(木) 21:58:32.32 ID:akU2Y1fX0

ジ「……痛い(二人の視線が)」
ス&黒「……」



ス「……と、とにかくマオは無事なんだよな?」

黒「どうしてそんなことを聞く、そんなにアイツが心配か?(……そういえば、あのリスはこいつのペットだった)」

ス「あ、あたり前だろ!」

黒「そうか(もう、こうなったらリスは死んだと正直に話すしか……)」



ジ(……モモンガ)


19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/10(木) 22:10:43.69 ID:akU2Y1fX0

ス「僕が外に出てた間に何が起こったんだよ!」

黒「……(そういえば俺が起きた時にはもうこいつは外に出ていたな……まったく、こいつの早起きといいマオのことといい今日はとんでもないことが起こる)」

ス「おい!何とか言えよ!」

黒「……(今朝、二人を起こそうと寝室に入った時にマオを踏んずけてしまったんだったな……)」

ス「……」

黒(マオの奴……いつもは二人の間に寄り添って寝ているくせに、なんで今日だけドアの前に……クソッ!)


20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/10(木) 22:19:15.88 ID:akU2Y1fX0

黒(クソッ!俺だってドアを開けて気づいたときにはマオを踏んでいたんだ、ワザとじゃない、事故だったんだ!)

ス「……」
黒「……」
ジ「……」

ス「……」
黒「……」
ジ「……」

ス「……」
黒「……」
ジ「……」




ス(……どういうことだよ?マオは、今朝僕が寝返りうったときに潰しちゃったはずなのに……)


26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/10(木) 22:41:09.94 ID:akU2Y1fX0

ス(今朝、目を覚ましたときに寝返りを打ったら何かの弾力を感じて、それで確認したらピー…じゃなくてマオが横でぐったりしてて)

ス(それであわてて拾い上げたけど口から血を吐いていて、怖くなってそのままマオを放り投げて外に飛び出して……)

ス(カバンの中には何も変わらない平凡つめこんで……じゃなくて、とりあえず怖くなって外でずっと泣いてたんだ)

ス(……それで色々考えた末『そうだジュライに罪を擦り付けよう』ってことで平静を装って帰ってきたけど)

ス(そしたら、表で黒とジュライに会って……二人ともスコップ持ってて、マオは?って聞い『別行動中だ』って……)

ス(何で?あの時マオはぐったりしてて、確かに生死までは確認しなかったけど……)

ス(マオは生きてるの!?……でも、それだったら何で?あんな傷を負ってるし、そもそもリスの体じゃ一人で満足に移動することも出来ないだろうし……)


31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/10(木) 22:57:35.64 ID:akU2Y1fX0

ス(もしかしてマオはまだ生きていて、僕が介抱もしないで逃げ出したから怒って……)

ス(それで黒にいいつけて、黒と二人で僕のことを試してるのかな?僕が正直に真実を話すかどうか……)

ス(……そうだよね、いくら姿かたちはリスとはいえ一歩間違えば人殺しの行いだもんね……もしまだマオが生きてたら僕のことを嫌いになっているハズだ)

ス(絶対にそうだよ……どうしよう、今更マオになんていえばいいんだよ。許してなんてもらえないよ……)



ス「……グスッ」(´;ω;`)
黒「……」Σ(゚д゚`)・・・!?
ジ「……」(´・ω・`)


35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/10(木) 23:13:13.36 ID:akU2Y1fX0

ス「ウゥ……グスッ、ヒック、……うぅぅ……」

黒(最悪の事態だ……)

ス「うぅぅ(……謝りたいよ、マオに会って謝りたいよ、マオに嫌われても軽蔑されてもいいからマオの無事な姿が見たいよ……)」

黒「……」

ス「グスッ……ヘ、黒」ウルウル

黒「な、なんだ?」

ス「マオに会わせて」

黒「……」
黒(どうしてこうなった……)


40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/10(木) 23:35:29.96 ID:akU2Y1fX0

黒(もう嘘はつけない、コイツの目……これは本気であのリスのことを心配している)

黒(……よしんば、マオは奴の雇い主の命令で俺たちとは離れたという嘘…もとい、確実にバレ難い安全策はあるが……)

ス「……」ウルウル

黒(俺も人の子……、こんな真摯な瞳には嘘をつけない、どうすれば…今のこいつに今朝、マオを俺が踏み潰したなんて……)

ス「ヘイ!」
黒「!」

ス「お願いだよ……、マオに会わせてよ。……僕、マオに会って…会ってぅぅゥウワァァぁあ嗚呼ー!」
黒「!!!」

ス「お願いだから!マオに…マオに会わせて!!これ以上僕のこと虐めないで!!!うわーん」

黒(…い、虐めないで?何を言ってるんだ?いや……、それよりもこの取り乱しよう、もう本当のことを言い出すタイミングが……)

ス「黒!…ぉ願い……お願いだからマオに会わせてよ!マオに一言、一言でもいいから……グスッ、う、ウワーン」


43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/10(木) 23:44:47.30 ID:akU2Y1fX0

ス「わぁぁあ嗚呼ぁぁー、黒のバカぁー、マオに会わせてよー」ワーワー
黒「お、おい……」オロオロ



ジ「……」

ジ「……」

ジ「……」





ジ「……>>34のせいでオチが台無しだ」


51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/10(木) 23:50:40.94 ID:akU2Y1fX0

ノーベンバー⑪「しかし、めげずに書くのが書き手の責任だろ」

俺「……ノーベンバー……」

⑪「……できるな?」

俺「……うん、……やれるよ僕たち」

⑪「一緒にすんな」


74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 00:09:44.92 ID:2i3zbI8I0

>>1です、再開

ジ「……」

ジ(ジュライの脳内回想)ポワンポワンポワンポワーン





~回想~

マオ「いいかジュライ、黒と蘇芳。この二人は仲が悪い」

ジ「……うん」

リス「だから今回、俺がドッキリをしかけ二人の距離を縮めようと思う」

ジ「……うん(……モモンガ)」

モモンガ「……?どうしたジュライ?」

ジ「……ううん」フルフル
ジ(……やっぱり『猫』のほうが一文字だし書きやすい)

猫「???ちゃんと聞いてるのかジュライ」

ジ「……うん」


78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 00:23:52.45 ID:2i3zbI8I0

猫「いいか計画は単純だ、俺はいつものようにお前たちと一緒に寝る」

ジ「……うん」

猫「お前は皆が寝静まったら、こっそりケチャップを持ってきてそれを俺の口に塗るんだ」

ジ「……ケチャップ?…何処?」

猫「心配ない、今日の晩飯に黒がエビチリを作った時の残りが台所にある」

ジ「……うん」

猫「そしてお前はケチャップを棚に戻し、もう一度布団に入るんだ」

ジ「……うん」

猫「おっと、そのまま寝るなよ?寝たふりだ。朝方になったら俺が合図をする」

猫「そして、俺の合図でお前は蘇芳を起こすんだ……、『譲ちゃんが俺のことを押しつぶしちまったってな』」


80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 00:36:24.93 ID:2i3zbI8I0

猫「これで蘇芳は大パニック、間違いなく黒に泣きつく」

ジ「……」

猫「黒は俺を確認に来るだろ、そこでネタ晴らし。俺が黒から雷を食らうが、蘇芳も黒に一時的にでも泣きついたことで二人の間のわだかまりもいくらかは取れるだろ」

ジ「……」

猫「……ジュライ、あんまり乗り気じゃないのは分かるがこれも二人のためだ、協力してくれ、お前しかいないんだ」

ジ「……」
猫「……」

ジ「……うん」

猫「そうか!いや~お前は良いドー…良い奴だぞ~」」


82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 00:49:20.28 ID:2i3zbI8I0

~その日の深夜~

猫「ジュライ」ヒソ

ジ「……大丈夫、起きてる」ボソ

猫「よし、さっそく始めるぞ!」


~数分経過~

猫「よし、これで大丈夫だ!ジュライ、後はこのケチャップを元に戻して来い」

ジ「……うん」タッタッタ

ジ(台所にケチャップを戻している)

アァー!

ジ「?」タッタッタ


83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 00:55:02.31 ID:2i3zbI8I0

猫「……」グッタリ
ス「……zz」スヤスヤ


ジ「……」

ジ「……」

ジ「……」ゴソゴソ

ジ「……」

ジ「……zz」


85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 01:09:29.01 ID:2i3zbI8I0

~翌朝~

ジ「……zz」

ジ「……」パチリ

ジ(寝返りをうつ)

猫「……」ヘンジガナイ マルデシカバネノヨウダ
ス「……zz」スヤスヤ

ジ「……」

ジ「……」


86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 01:10:22.86 ID:2i3zbI8I0

ジ「……」ツンツン



ス「…ん、んんん……」

ジ(目をつむる)

ス「……」パチリ

ス「ん……朝か……」ゴロン(寝返り)

猫「……」モウ コレハ ダメカモワカランネ
ス「……」

猫「……」
ス「……」


87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 01:19:59.97 ID:2i3zbI8I0

ポワンポワンポワンポワーーン

~回想終わり~


ス「うあーん!マオに会わせてよ~」
黒「……」オロオロ

ジ「……」

ジ「……あ」
黒「ジュライ黙っていろ」ギロッ

ジ「……」


89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 01:24:00.60 ID:2i3zbI8I0

黒(……よし、もうここは正直に言うしかない!)
黒「蘇芳!」

ス「!?……グスッ、…何?」

黒「……スマン」

ス「……へ?何が?」



ジ「……」


90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 01:30:51.82 ID:2i3zbI8I0

黒「……落ち着いて聞いてくれ、マオはもう何処にもいない」

ス「……どういう事?」

黒「……奴は死んだ」

ス「!?」

黒「……スマン」

ス「へ?……それって、やっぱり……」


92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 01:37:11.34 ID:2i3zbI8I0

黒「そうだ……、俺が」
ス「やっぱり僕のせいでマオがーーー!!!」

黒「!?何を言って―」
ス「僕がマオを殺しちゃったんだー!」

黒「!?」

ス「どうしよう、僕、人を殺しちゃったー!うぅぅぁぁあ嗚呼ーん」

黒「おい!落ち着け蘇芳!」

ス「嗚呼ぁぁぁぁ」


95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 01:42:19.87 ID:2i3zbI8I0

黒「落ち着け!」ガシッ
ス「!!!」

黒「お前は誰も殺していない、マオを踏んでしまったのは俺だ!」

ス「……へ?」

黒「だから、……マオを踏み殺してしまったのは俺なんだ」

ス「……何言ってるの?マオは僕が寝返りをうった時に潰しちゃったんだよ……」

黒「……どういうことだ?」
ス「……?」
ジ「……」


96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 01:53:13.78 ID:2i3zbI8I0

黒「蘇芳!」
ス「ヒッ!」

黒「……今朝から今までのことを細かく話せ」
ス「……」


~黒と蘇芳お互いに説明中~


黒(そういうことか……)

ス「……だから、グスッ…やっぱり、ヒック…僕がマオを……ウッ、うぅぅ」

黒「……もう泣くのはよせ」

ス「でも!……僕がマオを殺しちゃったんだ!僕は人殺しだ!」


97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 01:57:35.27 ID:2i3zbI8I0

黒「……もういい」ダキッ
ス「!」

ス「……ぅう…御免なさい、ゴメンナサイ…僕が……マオを…黒の友達を……」

黒「……」



ジ「……」


98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 02:01:15.82 ID:2i3zbI8I0

ジ「……ヘイ」

黒「……」
ス「……うぅ」

ジ「……ヘイ」

黒「……」
ス「……」

ジ「……へ」
黒「黙っていろ」

ジ「……」


99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 02:07:04.08 ID:2i3zbI8I0

ジ「黒」

黒「……黙れと言ったはずだぞ」

ジ「黙らない、……二人とも聞いて」

黒&ス「?」





……
………
…………

黒「……そういうことだったのか」
ス「でも!結局僕がマオを!」

黒「それは違う」


100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 02:13:06.15 ID:2i3zbI8I0

ス「違わないよ!」

ジ「……うん、黒の言うとおり」
ス「?」

ジ「僕のせい……、僕がもっと早く言ってたらこんなことにはならなかった」

ス「……」

黒「……どうしてもっと早く言えなかった?」

ジ「……」

ジ「……」



ジ「……怖かった」


102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 02:32:54.07 ID:2i3zbI8I0

黒&ス「……怖かった?」

ジ「……うん」

ジ「……最初にマオに相談されたとき……嬉しかった」
ジ「どうしてかは分からないけど嬉しかった」
ジ「でもマオがああなって……怖くなった」
ジ「……昔にもこんなことがあった、……ノーベンバーが死んだとき」

黒「……」

ジ「……その時エイプリルはすごく悲しんだ」
ジ「マオが死んだら、きっと二人はエイプリルみたいに悲しむ…」
ジ「……僕のせいだ。……そう考えていたら怖くなった」


103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 02:37:28.84 ID:2i3zbI8I0

黒「おまえ……」
ス「ジュライ……」

ジ「……急に二人のことが怖くなった」ポロポロ



ジ「……ゴメンナサイ」ポロポロ

黒&ス「……」






猫「とうとう素直になりやがったな、ジュライ」


105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 02:46:01.58 ID:2i3zbI8I0

黒スジ「!?」

猫「ふぃー、まったく…この体で土を掘って地上にでるのは苦労したぜ」

黒「マオ?お前死んだはずじゃ!」
 
猫「へ~イ、さすがのお前も今回は慌て過ぎたな」

猫「ま、俺の演技が―」
ス「マオー!」ギュッ

猫「だー!両手で握るな!苦し、くるし……ぃ」


107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 02:52:48.35 ID:2i3zbI8I0

ス「マオー!マオが生きてた!」
猫「ひー、へ、ヘイ!何とかしてくれ」

黒「……下ろしてやれ」

ジ「……なんで?」




猫「ふー、まったく本当に握りつぶされるところだったぜ」

黒「説明しろ、マオ」


109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 03:05:43.37 ID:2i3zbI8I0

ジ「……どうして?死んだはずじゃ?」
ス「そうだよ!どういうこと!」

猫「一つ聞くが、お前ら俺を踏んだ瞬間を見たか?」

ス&ジ「あ……」

猫「……そうだ。蘇芳、お前は朝起きて目が覚めてから俺を見つけた」
ス「……うん」

猫「……ジュライ、蘇芳が俺を潰したかも知れない時にお前は何処にいた?」
ジ「……台所」

猫「黒、お前も俺を踏んだ気になっていただけだ。お前もドアを開けて俺を見つけて自分で踏んだ気になっていただけだ」
黒「……」


110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 03:15:20.58 ID:2i3zbI8I0

猫「まー、お前らはそろいもそろって俺の演技に騙されてたんだよ」

ジ「……でも、どうして?」

猫「ん?」

ジ「……どうしてこんなことをしたの?」

黒酢「……」



猫「……それはなジュライ、お前さんに命を助けられた恩返しだよ」


111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 03:28:06.68 ID:2i3zbI8I0

ジ「……?」

猫「こないだ助けてくれたろ?黒に観測霊を飛ばしてあの変体ロシア野郎から、蘇芳も一緒に」

ジ「あれは―」
猫「最後に助けたのは黒だが、お前がいなかったら黒は助けにこられなかった」

ジ「……でも、あれは自分を……」
猫「それでもさ」

ジ「でも」
ス「そうだよ!あの時だって僕がジュライを助けたかったから助けに行ったんだ!それでジュライも僕のことを助けてくれただろ?」

ジ「……蘇芳」


112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 03:33:36.24 ID:2i3zbI8I0

猫「いやー、でもよかったぜ大成功で。恩返しのしがいがあったな!」

ジ「……これが恩返し?」
ス「そうだよ何言ってんだよ!皆を騙しといて。ジュライは泣いてたんだぞ!」

猫「おいおい、それはだな蘇芳―」
黒「ドールは涙なんか流さない」


115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 03:44:22.69 ID:2i3zbI8I0

ジ「……?」

黒「ドールに感情などない」

猫「…やれやれ」

ス「え?でもこの前ジュライのたんこぶを触ったときに『痛い』って」

黒「ドールも元は人間だ、肉体的苦痛から反射的に涙腺が緩むことはある」
黒「……しかしだ、お前は肉体的苦痛からではなく、精神的な苦痛から涙した」

ジ「……どういうこと?」

猫「それはだな、ジュライ。お前さんはドールじゃなくて人間だってことだよ」

ジ「……?」

猫「」


117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 03:52:32.40 ID:2i3zbI8I0

猫「お前さんにも、感情ってもんがあるんだよ」

ジ「……」
ス「そんなの!当たり前じゃないか、ジュライだって痛い時には『痛い』って―」

猫「じゃあ蘇芳、お前はこいつの口から『悲しいだ』の『嬉しいだ』って言葉は聴いたことがあるかい?」

ス「それは……」

猫「それを表現できるのが人間さ、もちろんお前も人間だ」
黒「……」

ス「……うん」


119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 04:07:36.58 ID:2i3zbI8I0

猫「……ジュライ、お前はさっき涙を流して『怖い』って言ってたな?途中から盗み聞きしてたぜ」

ジ「……うん」

猫「どう感じた?」

ジ「……胸の辺りが苦しくなって、……息苦しくなった」

猫「視界がぼやけて来たら息苦しさが無くなっていったんじゃないか?」

ジ「……うん」

猫「……俺がこうして生きてるのが分かった時どう感じた?」

ジ「……うまく言葉に出来ない」
ジ「でも……ここが暖かくなった」(胸に手をやる)

ス「ジュライ……」
黒「……」


122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 04:26:58.25 ID:2i3zbI8I0

猫「それがなジュライ……、感情なんだよ」
猫「お前は俺が死んだと思い『悲しんでくれた』、俺が死んだことを二人に知られることに『恐怖して涙を流した』」

猫「そしてなジュライ、お前さんは俺の生きてる姿をみて『心を暖かくしてくれた』。……ジュライ、きっと最後のこれは『喜び』だと思うぜ」

ジ「喜び?……嬉しい?」

猫「ああ、そうさ」

猫「ジュライ、もともとお前の中にはそんなものがぎゅーっと詰まってるんだよ。俺はそれをお前に『再確認』させたかっただけだ」

ジ「……再確認?」

猫「ドールになった人間は感情が無くなるって言われてる」
猫「でもな、さっき昔の仲間の話もしていただろ?……せっかく昔のお前の仲間だってお前に感情を再び芽生えさせてくれたんだ」


猫「……それを手放すのはとても惜しくないか?」


123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 04:30:34.86 ID:2i3zbI8I0

ス「……」
黒「……」
猫「……」

ジ「……」

ジ「……」




ジ「…………うん」ポロ


124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 04:39:20.24 ID:2i3zbI8I0

ジ「……今の…気持ちを…うまく……表現できない……」ポロポロ

ジ「……胸が苦しいのに…胸がスッとする……胸が温かくて……」ポロポロ

黒「……」

猫「ジュライ、それはな―」
ス「それはね、ホッとしたんだよ、ジュライ」タッタッタ ギュッ


126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 04:46:27.52 ID:2i3zbI8I0

ジ「……ホッ…とした?」

ス「そう……、安心したんだよ、ジュライは」ギュー

黒「……」
猫「……」

ス「…………」ギュッ
ジ「……蘇芳……暖かい」


127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 05:03:00.34 ID:2i3zbI8I0

ス「……」
ジ「……」

猫「さて、蘇芳は暖かい抱擁でジュライへの借りは返したわけだ……が、俺と蘇芳の他にも借りを返さなきゃいけない相手が一人残ってるな」
猫「……な?黒」

黒「な!」

猫「俺はあの時窓ガラスにへばりつけられていたが、しっかりと見ていたぜ」
猫「お前のピンチの時にジュライが観測霊をフロントガラスに貼ったおかげで命拾いしたのをな」

黒「……馬鹿をいうな、俺が助けに来たからには俺に協力するのが当然のことだ」

猫「ハッ!あのヘンチクリンナ能力で死に掛けたのは事実だろーが」


129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 05:11:12.47 ID:2i3zbI8I0

猫「おーいジュライ、最後に黒からお前にプレゼントがあるぞ」

黒「おい、マオ!」


ジ「……?」
ス「え?黒なにかプレゼント持ってるの?」

猫「ああ、……ジュライ、お前、前に『笑顔はプログラミングされていないって』って言ってたろ?」

ジ「……うん」

猫「今から黒が簡単に出来る笑顔の作り方を教えてやるぞ」
黒「マオ!」


130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 05:16:55.92 ID:2i3zbI8I0

黒「(何をやらせるつもりだマオ!)」
猫「(なにをって、だからお前がジュライに笑顔を教えるのさ)」
黒「(だから!俺はドールを笑顔にさせることなんて出来ん!)」

猫「(いいや出来るさ、黒、お前にならな)」
黒「(だから!)」

猫「(お前は知っているはずだぞ、ドールの笑顔を)」
黒「!?」


132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 05:26:49.94 ID:2i3zbI8I0

(……黒、……仲間…なの?)

(……お前が決めろ、『××』としてここに残るか…それとも)

(……決める?…私が?)


……
………
…………

(……これでいいんだな?)

(……)コク

銀「」クイ


133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 05:36:08.01 ID:2i3zbI8I0

黒「あ…」
猫「おーいジュライ!まずはお前の『あの』笑顔を見せてやれ」

ジ「……うん」

猫「ほれ黒、いつまでも呆けてないでジュライを見ろ」

黒「む……」

猫「それじゃやってくれや、ジュライ」

ジ「……うん」
ジ「」グイッ


134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 05:41:30.73 ID:2i3zbI8I0

ジ「……」

猫(……いつ見てもヒデー笑顔だな)
ス(……ちょっとしたホラーだよ)
黒「…………」

ジ「……どう?」

猫「相変わらずのヒデー面だ」
ス「ちょっと!マオ」


黒「……」スタスタ


136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 05:47:06.48 ID:2i3zbI8I0

ス「あ……」

黒「まったく、そんな表情じゃ余計怪しまれるぞ」
ジ「……笑顔はプログラミングされていない」

黒「プログラミングなんて関係ない」

黒(アイツは、確か……)
黒「……ほら、まずはこれから始めてみろ」

ジ「」クイ

ス「あ、……いいかも」
猫「……」


138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 05:55:55.06 ID:2i3zbI8I0

黒「……(かすかにだが、似ている…アイツに)」

ジ「……どう?」クイ

ス「うん!結構カワイイヨ!イイ!」

ジ「……かわいい?」

ス「うん!」

猫「……」
黒「……これでいいんだな、マオ」
猫「ごくろーさん」

黒「……」
ジ「……」
黒「……ジュライ、エイプリルを殺ったのは俺だ」ボソ


139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 06:02:17.24 ID:2i3zbI8I0

ジ「……分かってる」
黒「…………そうか」

ス(何はなしてるのかな?)
猫「……」

黒「……そうか」スタスタ
ス「あ!どこにいくんだよ!」


ジ「……ヘイ」

黒「?」クル



ジ「」クイ


141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 06:09:36.72 ID:2i3zbI8I0

ジ「……」
黒「……」


黒「……フッ」クル スタスタ

ス「あ!……あいつ」
ジ「……」

ス「ったくもう、マオも何とか言ってやってよ……ってマオ!?」


猫「」スタスタスタスタ


ス「あ……何だよマオの奴もアイツの後をつけていくなんて……」
ジ「……」


142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 06:12:59.00 ID:2i3zbI8I0

猫「一緒に散歩いいか?」スタスタスタスタ
黒「……勝手にしろ」

猫「……」
黒「……」


猫(こいつも再確認できたようだな)


144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 06:27:50.26 ID:2i3zbI8I0

猫(なぁ黒、俺は思うんだよ)

猫(俺たち『あの頃』と似てないか……ってな)

猫(あの嬢ちゃんは『お前』だ、契約者でもねぇくせに契約者ヅラしてた『お前』)
猫(……イザナギの…契約者の『力』によって命を保っている)

猫(…ジュライは『イン』だな)

猫(お前は『黄』みたいな立場になっちまって……、まあ、ホァンみたいに腹は出てないわな)

猫(あの東京エクスプロージョンの時、お前は最後の最後に『イン』に助けられたんだろ?)

猫(…もしかしたらな、今度の件でお前を最後に救ってくれるのは…もしかすると『あの子たち』かもしれないんだぜ?)

猫(あの時の『お前』や『イン』のようにな……)


145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 06:32:36.71 ID:2i3zbI8I0

猫「……なぁ?」

黒「……なんだ?」

猫「…………いや、なんでもないわ」

黒「…………そうか」





猫(…………今夜の夜空はキレイな夜空になるかな)



148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 06:42:36.78 ID:2i3zbI8I0

猫「やっぱ一言言っていい?」

黒「……なんだ?」

猫「……なんで俺のこと埋めようとしたの?」

黒「……」

猫「……」

今度こそ終り


149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 06:43:16.18 ID:SQ1ZlpJDO

黄みたいに黒が死んだら泣く


156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/12/11(金) 10:16:06.94 ID:8l7pPDMcO



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