ドラッグ オン ドラグーン3 討鬼伝

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

千歳「いつもありがとな」

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 12:59:49.69 ID:oNhZp5CG0

千歳「ほな、行って来ます」

千鶴「行ってらっしゃい、姉さん」

千歳「千鶴も一緒にこればええのに」

千鶴「ううん、姉さんは杉浦さんと楽しんできて」

千歳「綾乃ちゃんも千鶴と会いたがってたよ?」

千鶴「いい、ほら、早く行って。杉浦さん待たせるよ」

千歳「あ、うん……」


3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 13:05:43.82 ID:oNhZp5CG0

いってらっしゃい。
姉さんが出て行ってからもう一度、心の中で呟いた。

姉さんと杉浦さんのデート。
何度回数を重ねても、姉さんはあんなに嬉しそうに出かけていく。
それを邪魔するわけにはいかなかった。

千鶴「……今日は何をしよう」

けれど、そういえば今は家に誰もいないのだった。
姉さんの部屋の掃除はこの前もやったし、箪笥の中を探るのもしょっちゅうやるのは
あまりよくはない。


6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 13:12:58.82 ID:oNhZp5CG0

姉さん、おばあちゃんもいないから出かけてもいいって言ってたな。
現在の服装はジャージ。
いちいち着替えるのは面倒臭いので、この格好のまま行くとしたらコンビニくらい。

買いたいものがあるわけじゃないが、暇潰しに外に出るのも悪くない。
そうと決めれば、早速鍵を持って外に出た。

意外といい天気だ。
これなら姉さんと杉浦さんも上手くいく。

『綾乃ちゃん、ほら見てみぃ、こんなにお外晴れてんで』
『ほんとう……でも千歳、もう少し、寝かせてくれない?』
『えぇ、外行かへんの?』
『バカ、私はあなたとお日様の匂いのした布団の中で』
『あ、綾乃ちゃん……!』

千鶴「……」ダバー


7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 13:18:29.63 ID:oNhZp5CG0

はっ。
いけないいけない。妄想していいのは家と学校までだって姉さんが言っていた。
姉さんはどこでもしてるけど。

頭を振って、改めて近くのコンビニまで歩き出した。
姉さんと杉浦さん、今頃どのあたりだろうか。
というよりどこまで行ったのだろう。

千鶴「……」ダバー

――どうしても二人のことが頭から離れない。
これは家に戻って、それで……。

その時、突然うざい声が聞こえた、気がした。

京子「あーっ、千鶴じゃん!」

千鶴「」イラッ


8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 13:24:35.76 ID:oNhZp5CG0

京子「おーい、千鶴ー!」

千鶴「」イラッ、イライラッ

聞こえていない。
聞こえていない聞こえていない。何も聞こえない。

そうだこれは幻だ。
そうに違いない。やっぱり家へ戻ろう。

京子「千鶴ってばー!」

千鶴「あ”?」

京子「あ、やっと振り向いた!」

歳納なんたらがいやに嬉しそうにあとから走ってきた船見さんに「ね?」と
なにやら言っている。


12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 13:47:51.23 ID:oNhZp5CG0

結衣「急に走り出すなよ京子……」

追いついた船見さんが苦しそうに息をしながら歳納なんたらを軽くにらみつける。
歳納なんたらは「だってー」と突然肩に触れてきた。

京子「千鶴が見えたからさー」

結衣「人違いだったらどうするつもりだったんだよ」

京子「結衣が謝る」

結衣「おい」

千鶴「……」

結衣「っていうか千鶴さん、急にごめんね……」

千鶴「……」コク、

京子「でさ、千鶴。さっきから手が痛いんだけど」


13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 13:49:55.08 ID:oNhZp5CG0

結衣「じゃあその手はなせよ」

千鶴「……」ギロッ

京子「京子たんとのスキンシップ☆」

結衣「お前からの一方的なな」

京子「千鶴も私と触れ合えて嬉しいよね?」

千鶴「死ね」


14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 13:52:34.00 ID:oNhZp5CG0

京子「えっ……」ガビーン

結衣「効果音古いな」

京子「千鶴、そうだったのか……そんなに恥ずかしがり屋だったなんて」

千鶴「違う」クワッ

歳納なんたらの手を払いのけ、じっとり睨みつけてやる。
まったく、どうしてこんなにいい日に歳納なんたらのバカ面をおがまなきゃ
いけないんだ。

結衣「そういえば千鶴さん、何してたの?こっからどこか行く予定?」


15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 13:55:57.96 ID:oNhZp5CG0

京子「コンビニだよね」

千鶴「なんで知ってる」イラッリーン

京子「ジャージだし」

結衣「ジャージでもジョギングとか……はないか」

京子「誇れ私の推理力」

結衣「勝手に一人で誇っとけ」

京子「えー」

結衣「じゃあ私たち、邪魔だろうしそろそろ……」

千鶴「……」コクコクッ

よし、ようやく離れられる。
船見さんはさすがだ。

京子「えー!」

千鶴「……」

結衣「えーってなんだよ」


17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 14:11:41.81 ID:oNhZp5CG0

京子「千鶴、暇なら一緒に遊ぼうよ」

千鶴「無理」

京子「今の千鶴は絶対に暇!断言する!」

否定できないのが悔しい。
けどそこでやっぱりさすがの船見さん。

結衣「千鶴さん嫌がってんだからさ、そんな無理に誘うなって」

京子「うー、でも千鶴と遊んでみたいじゃん?」

結衣「そりゃそうだけどお前……」

京子「そんじゃまた遊ぼうねー」

千鶴「嫌だ」

ほっと息をつく。
船見さんに引っ張られるようにしながら歳納なんたらが手をぶんぶんしてくるが、
無視だ。さて、今度こそ家に。


18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 14:15:37.13 ID:oNhZp5CG0

京子「んじゃあさっき綾乃と千歳っぽい人見かけたから追いかけてみよーぜ!」

千鶴「!?」

結衣「えー、やめとこうよ、めんどくさいし」

京子「いいじゃんいいじゃん、あの二人も誘って遊ぼうよ」

な、なななななな。
歳納なんたらに、姉さんと杉浦さんのデートを邪魔する権利があると思っているのか。
迷った。
正直、かなり迷ったが。

姉さんと杉浦さんのデートには替えられない!

千鶴「船見さん……!」

結衣「え?」

既に歩き始めていた船見さん(と、歳納なんたら)が驚いたように立ち止まった。


20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 14:22:12.71 ID:oNhZp5CG0

結衣「あれ、どうしたの?千鶴さん。京子に何か言い足りないことでもある?」

それはもう。
けど今言いたいことはそれじゃない。

京子「やっぱり遊びたい、じゃない?」

……どうして変なところで鋭いのか、さっぱりわからない。
だから嫌いなんだ、この歳納なんたらは。

結衣「えっ、でも、いいの?」

千鶴「……いい」

京子「さすが千鶴!そんじゃあ早速結衣ん家でゲームやろうぜ!」

結衣「は!?って、千鶴さんを引っ張んな!」

千鶴「……」

あー、苛々する。
けど、これは姉さんのため。
そう、姉さんと杉浦さんの幸せのためだ……。


21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 14:25:17.51 ID:oNhZp5CG0


結衣「千鶴さん、お茶でいい?」

京子「私は抹茶ね」

結衣「お前には聞いてねえ。っていうか抹茶とかないし」

千鶴「なんでもいい」

結衣「わかった、冷たいほうがいいよね」

千鶴「熱いの」

結衣「え、あ、うん……」

京子「さすが千鶴だ」

千鶴「あ”?」

京子「尊敬する、この暑い中熱いお茶飲むなんて」

こんなのに尊敬されてもちっとも嬉しくない。
それにしても。
船見さんの家。姉さんから話は聞いていたけど、本当に一人暮らしらしい。


22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 14:31:59.91 ID:oNhZp5CG0

京子「結衣ん家珍しい?」

千鶴「!」

なんとなくきょろきょろと見回していたら、いつのまにか歳納なんたらが
ずいずいと近付いてきていた。

千鶴「消えろ」

京子「えー、私あかりじゃないし無理」

千鶴「なら喋るな」

京子「会長じゃないしな」

千鶴「消えろ」

京子「二回言った」

何がおかしいのかしらないが、おかしそうに笑う歳納なんたらに、
苛々ゲージはたまっていく一方だ。


32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 16:31:21.78 ID:spFVStQU0

けどこれは姉さんのためだ。
ぐっと堪える。

結衣「おい京子、あんまり千鶴さんを困らせるなよ」

そこに船見さんが戻ってきてくれた。
ちゃんと熱いお茶を淹れてくれているところをみると、船見さんは決して
歳納なんたらの味方ではないはずだ、たぶん。

結衣「はい、千鶴さん」

千鶴「……ありがとう」

結衣「京子は冷たいの、自分で淹れてこいよ」

京子「なんでっ!?」

結衣「ラムレーズン」

京子「えっ」


33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 16:33:41.41 ID:spFVStQU0

突然、すたっと歳納なんたらが立ち上がった。
そのまますごい勢いで台所の方へと走っていく。

千鶴「……」

なんなんだ、と呆然としていると、その次に冷蔵庫だか冷凍庫だかを開ける音と
ともに奇声が聞こえた。
ほんとになんなんだ。

結衣「これでしばらくは京子、千鶴さんに構わなくなると思うから」

千鶴「……はあ」

よくわからないがとりあえず頷いておく。
あれが話しかけてこないだけでもだいぶ助かる。気分的に。


34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 16:37:15.89 ID:spFVStQU0

京子「ラムレーズンラムレーズンッ♪」

うるさいことには変わり無い気がするけど。
歳納は、るんるんとした足取りで台所から戻ってくると、すぐさま船見さんの隣に
腰を下ろしてべったりくっついた。

京子「さすが結衣だよ~もう私結衣に一生ついてく」

結衣「そりゃどうも」

京子「結衣様結衣様仏様!」

結衣「はいはい」

千鶴「……」

一瞬だけ、歳納のスキップと姉さんのスキップが重なったなんて、思ってなかった。
そんなこと、何も思ってなかった。
こんなやつにうちの姉さんを重ねるなんて愚弄……。


35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 16:42:27.10 ID:spFVStQU0

呆然として歳納を見ていると、何を勘違いしたのか歳納が「食べる?」と
ラムレーズンとやらを差し出してきた。

結衣「だから千鶴さんにあんま……っていうか京子が人にラムレーズンわけようと
   するなんて珍しいな。私にもくれないくせに」

京子「失礼な。小さい頃はむしろよくあげてたじゃん」

結衣「そうだっけ」

京子「そ。私があげるのはもっと仲良くなりたいって思った人だけ」


39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 16:54:52.78 ID:spFVStQU0

千鶴「……」ピクッ

突然何を言いやがるんだ歳納なんたらは。
こっちは仲良くなんてなりたくないし、というかもっとの前にそもそも……。
悶々としつつも、歳納のあまりにのほほんとした顔で毒を吐く気が殺がれてしまった。

結衣「じゃあ京子は今はもう私と仲良くなりたいわけじゃないんだ」

京子「えっ」

結衣「それならラムレーズン買っとく必要もないな」

京子「ぐぬ……」

結衣「もう仲良くなる必要ないし?」

京子「ゆ、結衣……様っ!……食べる?」

結衣「よし」


40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 17:02:58.35 ID:spFVStQU0

そして船見さんはどうやら歳納の扱い方が誰よりも優れているらしい。

京子「私のラムレーズン……」

結衣「ほんとは京子のじゃないだろ」パクッ

京子「あぁっ、結衣のバカそんなに食べんな!」

結衣「あー」

京子「なんだその棒読み!」

それにしても。
どうして自分がここにいるのかわからなかったのがますますわからなくなってしまった。
そして歳納なんたらのことも。


43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 17:10:29.90 ID:spFVStQU0

京子「ラムレーズン……」

ラムレーズンとかいうので一喜一憂したり突然変なことを言ったりうざいくらいの
テンション維持して面倒臭くて。
杉浦さんもどうしてこんなやつが好きなのか理解に苦しむ。
姉さんも姉さんだ。どうして。

結衣「うっ……まあその、今のはちょっと悪かった」

京子「……」

結衣「京子?」

京子「引っ掛かったな!」ニヤッ

結衣「……」

船見さんは歳納なんたらを殴ってもいい。
実際、船見さんの拳が固められたのを見たとき、突然歳納が飛び掛ってきた。

京子「ちーづるっ」


44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 17:18:22.78 ID:spFVStQU0

千鶴「!?」

こっち来んなと言いそびれ、飛び掛られたまま身体が後ろに倒れた。
ごんっと頭を打つ。

京子「あ、ごめん」ケロッ

千鶴「……」イラッ

このシチュエーションが姉さんと杉浦さんだったら涎ものだが
そうもいかない。
歳納のうざい顔に見下ろされていると、どうにも苛々が止まらない。

結衣「なにやってんだよ京子……」

呆れたように船見さんが歳納を下ろそうとしてくれたけど、歳納は頑なに
動こうとはしなかった。


46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 17:23:04.43 ID:spFVStQU0

京子「千鶴、口あけて!」

千鶴「……」

は。
言われなくてもあんぐりだ。
突然何言い出すのかと思ったら――何かがむぐりと口の中に押し込まれた。

冷たい。
キンッと頭が冴え渡っていく。

結衣「あ、ラムレーズン」

京子「いらないとは言わせない!今私のラムレーズン食べたんだから、千鶴も
   絶対私と仲良くなることは決定した!」


49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 17:40:07.62 ID:spFVStQU0

千鶴「……」ムグッ

結衣「……強引なやつ」

船見さんはそう言って噴出すと、歳納の首根っこを掴んで解放してくれた。
がばりと起き上がり冷えた口の中に熱いお茶を流し込む。
けど甘さは依然残ったままだった。

京子「こうでもしなきゃ千鶴、恥ずかしがって相手してくれないもん」

いい加減恥ずかしがってるわけじゃないことに気付けよ。
むうっとする。


51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 17:48:42.82 ID:spFVStQU0

むうっとするのに、いつものむかむかする感じというか、嫌な気はしなかったから
よけいにむうっとした。

歳納なんたらはうざい。
でも今ここにいることはあまり不快に感じない。
さっき食べたラムレーズンとやらにへんな薬でも混ぜてあったんじゃないのかなんて思った。
―――――
 ―――――

それから船見さんの家で暇を潰していると、いつのまにか姉さんが帰ってくる
時間になっていた。
断る手立てもないまま船見さんの家で昼食をとり、帰る理由も見付からずに
結局ぐだぐだしてしまっていた。

なんたる不覚だ。

ちらちら時計を気にしていると、船見さんがそれに気付いたのか「帰る?」と
訊ねてきてくれた。


53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 17:53:45.98 ID:spFVStQU0

こくりと頷くと、「そっか」と船見さんは言って、なぜかはりはり漬けを
持たせた。

千鶴「……これは」

結衣「千歳、これ好きだったよね。千鶴さんは?」

千鶴「……好き」

結衣「なら、良かったら持って帰ってよ」

断るのは悪いので、こくりと頷いた。
そこでふと歳納なんたらがいないことに気がついた。随分静かだと思ったら。

千鶴「歳納は……」

結衣「あぁ、京子さっきトイレ行ったっきり出てこない。アイスの食べすぎだろ」

そういえばラムレーズンを食べたあとも何かと船見さんの家の冷蔵庫を漁っては
口にいれてたな。


55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 17:57:32.96 ID:spFVStQU0

結衣「今日はごめんね、突然」

千鶴「……」

首を振る。
歳納なんたらとは会いたくなかったが、姉さんと杉浦さんのデートを邪魔するのは
阻止できたし、家で暇を潰すよりは……楽しかった。

結衣「京子が無理矢理誘ったようなもんなのに……千鶴さん、京子のこと嫌いだと思ってたし」

千鶴「今でも嫌いです」

結衣「あはは、そっか。でも京子、あんな感じだけどほんとはいい奴だから」

千鶴「……」

結衣「千鶴さんと仲良くなりたいって気持ちもたぶんほんとだよ。だからたまには
   相手してやって。私一人じゃあいつの面倒見切れないし」


57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 18:03:29.95 ID:spFVStQU0

一応、小さく頷いておく。
仲良くなるのはごめんだけど、相手をしてやるぐらいなら……まだ、我慢できるから。

結衣「ありがと」

船見さんがほっとしたように笑ったとき、「ふいー」とおかしな声を発しながら
歳納がトイレから出てきた。
それからぎょっと立ち止まる。

京子「千鶴、なにそのでかい袋!」

結衣「千鶴さんと千歳へのお土産。ちなみに中身はお漬物」

京子「なんだ、お漬物……ってかお土産って、千鶴帰っちゃうの?」

千鶴「帰る」

京子「えぇ!?泊まってけば?」

結衣「来て貰っただけでもありがたいって思え」


59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 18:05:46.41 ID:spFVStQU0

京子「えー……じゃあまた一緒に遊ぼうよ、千鶴」

千鶴「……」

京子「で、今度こそ結衣ん家泊まろう!」

結衣「結局うちん家になるのな」

千鶴「……」

むっとしながらも、考えとくと小さな声で答えると、
歳納は少し意外な顔をしてから嬉しそうに笑った。

京子「楽しみにしてる!」

結衣「それじゃ、またね、千鶴さん」


61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 18:09:10.40 ID:spFVStQU0

二人に送り出され、外に出た。
赤い夕焼け。
姉さん、もう帰って来てるかな。そう考えてから、そういえば今日、船見さんの
家に来てからは一度も姉さんと杉浦さんのことを考えていなかったことに気がついた。

千鶴「……」

杉浦さんが歳納なんたらを好きな気持ちは、やっぱり理解しがたいが理解できなくも
ないな。
なんて、そんなことを思ってしまった自分にむっとしつつ、家へと歩き出した。



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 18:13:07.52 ID:spFVStQU0

千鶴「ただいま」

千歳「あ、おかえり千鶴!」

家へ着くともう、姉さんは帰っていて出かけたときとは別の服装で
迎えてくれた。

千鶴「姉さん……」

千歳「こんな時間まで出かけてたんやなあ、家に帰っても誰もいーひんかったから
   心配しちゃったわぁ」

千鶴「……ごめん」

千歳「ううん、ええんやけど。むしろ嬉しいわぁ、千鶴が誰かんとこに遊びに
   行ってたなんて」

千鶴「どうして……」

そういいかけて、姉さんの視線が船見さんに貰ったお土産へと注がれていることに
気が付き、今更隠しても仕方が無いと姉さんに手渡した。

千鶴「船見さんから……」


65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 18:18:07.88 ID:spFVStQU0

千歳「へえ、千鶴、船見さんとこ行ってたん?」

千鶴「……」コクッ

千歳「そうなんやぁ、歳納さんはおった?」

一瞬だけ、姉さんの表情が僅かに歪んだのを見逃さない。
姉さんはいつも、杉浦さんとのデートから帰ってきたとき、こんな顔をする。
それが歳納なんたらへの妬みなのか、杉浦さんに伝わらない気持ちの悲しみなのか、
よくわからないけど。

千鶴「……いた」

千歳「綾乃ちゃん、すごい歳納さんに会いたがってはったから、うちらも
   呼んでくれたらよかったのにー」

千鶴「……ごめん」


68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 18:22:28.77 ID:spFVStQU0

一応、謝るけど。
姉さんたちの邪魔をしちゃいけないと思って。

千鶴「……姉さん、杉浦さんと何かあったの」

なんだかいつもと少し姉さんの様子が違った。
いつもより、すごく辛そう。
姉さんは「なんで?」と不思議そうに首を傾げた。

千鶴「……ごめん、なんでもないならいい」

千歳「……あはは、千鶴にはほんまに、なんも隠し事できひんなあ」

千鶴「姉さん……」

千歳「ほんまはちょっと、歳納さんに妬いてもうて、そんな自分に嫌気がさしてただけや」


73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 18:46:59.74 ID:spFVStQU0

だから大丈夫、と姉さんは言う。
でも、そんなふうには見えなかった。

こういうとき、どうして姉さんは歳納に杉浦さんを譲ろうとするんだとか、
そんなことばかりを思ってしまう。
けれど今日は、姉さんがこんなふうに気持ちを伝える前から諦めてしまう理由が、
わかるような気がして。

千歳「うちは、どうしても歳納さんの代わりにはなれへんのになぁ」

千鶴「……」

ぐっと拳を握る。
苛々してむかむかして、なのにそれを吐き出す術が見付からない。
歳納なんたらのことを何も知らなければ、いつものように何か言うことができたのに。


75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 18:52:39.35 ID:spFVStQU0

歳納のことを悪役にして、自分の中だけでも、姉さんを守ることができたのに。
悔しくて仕方が無い。
行き場の無い気持ちで、次第に泣きそうになってくる。

千歳「……千鶴」

ふいに、姉さんの温かい手が頭に乗せられた。
そのまま、小さい頃よくしてくれたように優しく撫でてくれる。

千歳「千鶴がそんな顔しとると、うちまで悲しくなってくるやろ?」

千鶴「けど、姉さん……」

ずっと姉さんの味方でいたいって思う。
けど、今はもう歳納のことを敵になんてできなくて、味方とか敵とか、よくわからなく
なってきた。

千歳「うちは大丈夫やから」

顔を上げると、姉さんと目があった。
姉さんは穏やかな顔のまま、ふんわり笑った。


77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 18:58:18.02 ID:spFVStQU0

千歳「うちのこと、ちゃんと想とってくれてる子もいるんやから」

千鶴「……!」

千歳「いつもありがとな、千鶴。うちの代わりに泣いてくれて」

姉さんの温かな声と、温かな手。
靴を脱ぎ捨て、姉さんの胸に飛び込んだ。
全身で受け止めてくれる姉さんの体温を感じながら、泣いた。

千歳「千鶴が泣き虫でよかったわぁ」

千鶴「泣き虫じゃ、ない……」

千歳「うちにとっては泣き虫や」

千鶴「……もう」

千歳「ふふっ」

おわり


79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 18:59:49.61 ID:spFVStQU0

池田姉妹が書きたかった
千歳も千鶴も、片思いが似合うと思う。けど幸せになってほしいよ

最後まで見てくださった方ありがとうございました


80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 19:00:27.07 ID:NWXKc4s+0

おつだけどせつないよぉ


86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/12(水) 19:31:06.03 ID:5BhN6C3G0

泣きそうだよおつ


関連記事
スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。