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ドラッグ オン ドラグーン3 討鬼伝

クッパ「みんなでマリオパーティーしようず」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 20:49:39.55 ID:fhFC0lUl0

クッパ「みんなでマリオパーティーしようずww」

ルイージ「良いねぇー!じゃあ僕はルイージ使おー」

マリオ「イッツミィーマーリオォォゥ!!」

ピーチ「じゃあ私ピーチ使うー」

クッパ「さてワガハイh」

マリオ「お前誰使うの?お前いなくね?」

ルイージ「そういやクッパだけ仲間外れだもんね」

ピーチ「意地悪しか能のないクッパさんチィースww」


6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 20:51:29.97 ID:fhFC0lUl0

クッパ「……じゃあドンキーで」

マリオ「ドンキーwwww」

ルイージ「ドンキー乙www」

ピーチ「毛むくじゃらでむさいドンキーさんチィースwww」

クッパ「」


クッパ「ガッハッハ!!スターはいただいた!!」

ルイージ「はいじゃあそのスターいただきww」

クッパ「ちょっwwwおまっwww」

マリオ「じゃあ俺はコインいただきwww」

クッパ「あっ」

ピーチ「じゃあ私はアイテムもらうわ」

クッパ「」


7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 20:53:48.92 ID:fhFC0lUl0

マリオ「クッパまたドベかよwwwもっと真面目にやれwww」

ルイージ「兄さんそんな事いったら可哀想だよw」

ピーチ「何も出来ない大魔王(笑)クッパさんチィースwww」

クッパ「……」

マリオ「あっミニゲームだ!良し、クッパ集中攻撃なwww」

ルイージ「デュクシwwww」

ピーチ「デュクシwww」

マリオ「デュクシwwwフォッフwww」

クッパ「……」


8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 20:54:25.10 ID:kd4vgTmc0

やめろ


9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 20:54:30.58 ID:4RD37tj00

おいやめろ


10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 20:55:11.93 ID:fhFC0lUl0

クッパ(クソ舐めやがって!次こそは!」

マリオ「あっ!クッパがクッパマス踏んだwww」

ルイージ「自演乙」

ピーチ「みんなに迷惑しか掛けない大魔王さんチィースwww」

クッパ「……あ、お金もらえた!やった!」

マリオ「ちっ……何だよ自分だけひいきしやがって」

ルイージ「自演乙」

ピーチ「あーあ、完全にシラけたな」

クッパ「……!!」

バンッ!!

マリオ「え?ちょっ!」

クッパ「ギャオーーース!!!」


11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 20:57:35.89 ID:fhFC0lUl0

ルイージ「おいおい!たかがゲーm」

クッパ「ギャオーーース!!!」

ピーチ「え?何っ?ぎゃー!」

マリオ「あっピーチが」

ルイージ「兄者!ここは力を合わせて姫を助けるんだ!」

マリオ「イヤッハァァァッ!!」

ルイージ「フォッフwwフォッフww」

クッパ「ギャーー!」

ピーチ「あっ、ありがとう!」

マリオ「いえいえ、礼には及びません」

ルイージ「流石兄さんだね!」

クッパ「グスン」


13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 20:59:37.70 ID:fhFC0lUl0

懐かしい日々。


こうするのも今日できっと最後だろう。


ルイージ「にしても今日は派手にやらかしたね」

マリオ「まあな……記念になるだしな。これぐらいがちょうど良いんじゃない?」

ピーチ「良くないわよ。あとで大臣に叱られちゃうわ」

ルイージ「まあまあ今日ぐらい許してくれるさ」

ピーチ「うん」

マリオ「何はともあれ、今日はみんなありがとうな!わざわざ俺達のために!」


今日は人生の最大の転機だ。


14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:02:20.49 ID:fhFC0lUl0

白熱したパーティーは終わり、外へ出た。


季節は春、桜が風と共に景色を桃色に染め、無数の花びらが春の匂いを運ぶ。
心地よい日差し。
少し冬の寒さを帯びた風が、頬を撫でる。


俺は、隣を歩く女性を見た。


春の風になびく髪。
髪をかきあげる仕草。
どれも幻想的で、美しい。
春が浮き彫りになって動き出したかの様。


この日は俺にとって最高の日になるだろう。


15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:03:58.44 ID:fhFC0lUl0

ふわふわと漂う春の香りも。
暖かい温もりで抱き込んくれる風も。
全てを許す様に笑う太陽も。


全てが素晴らしく、そして美しく見える。


桜の花びらが肩にそっと落ちた。

その花びらを手のひらへ乗せる。


風が吹いた。


花びらが手のひらから離れ、飛んでいく。


偽りのない無限の青が広がる空。

燦々と降り注ぐ春の日差しは優しく暖かく、俺を包みこんでくれる。


16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:05:36.31 ID:YD21UX4P0

いきなりなんだ


17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:05:45.48 ID:fhFC0lUl0

また、風が吹いた。


桜が一斉に舞う。


無数に散った桜は宙を駆け巡り、地面へはらはらと落ちていく。

そこだけ時間がゆっくりと流れる。
ゆっくり、ゆっくりと流れる恍惚な時間。


「ありがとう」


その恍惚な景色から、声が聞こえた。
やがて緩やかに舞い落ちた花びらは風と一緒に旅に出る。
青く澄み渡る空へ。


18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:07:10.08 ID:fhFC0lUl0


「こちらこそ」


俺はそう答えた。

そして、桜並木を歩きだす。


綺麗で美しい、春の様に暖かく優しい心を持った姫と共に。


今日、俺は結婚した。


この隣にいる女性──ピーチと。


19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:08:41.93 ID:fhFC0lUl0

これから、きっと素晴らしい人生が待ってる。
苦しみも、悲しみも、悩みもない素晴らしい人生が。


毎日が愛で満たされ、幸せが心から溢れ、そのとめどない思いが、強い喜びを与えてくれる。


共に歩む生活。
お互いに与え合う愛。
労わり合う心。
優しく包み込む身体。


全て君と育む生活の中にある。


幸せな日々。


これから君と歩む生活。


不幸は、絶対ないだろう。


さあ、行こう。


新しい幸せな日々へ──。


20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:10:12.92 ID:fhFC0lUl0

でも幸せな日々は長くは続かなかった。


あれから9年が過ぎ、栄光を謳歌していた若かりし夢見る若者だった私達は、今では過去の栄光に縋る哀れな大人となった。

夢の出涸らしの様な存在。


希望と幸せ溢れる明るい未来は、夢の枯れた私達を見捨てて、希望を擦り削る現実の未来を与えたんだ……。

幸せでもない。
喜びでもない。
非生産的な生活。


結婚して9年、私達の間には大きな亀裂が入っていた。


21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:11:35.19 ID:fhFC0lUl0

身を切る様な冷たい関係。
対面していると、そこだけ時間が止まる。
動かない感情。
鉄のように重たい口を開けて、出す言葉は、無機質な日常句。



私達はどこを間違ったんだろう。



始めの頃は、凄く暖かくて優しい時間が流れていたのに。
言葉を口にすれば、笑顔が飛び交い、触れ合えば心地よい幸せが心を占める。



それが今では──。


22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:12:38.76 ID:fhFC0lUl0

私はマリオを愛している。
なのに何故こんな事に?


「マリオ……」


不意に、いつかの結婚式での約束を思い出した。


──ごめんよ……いつか……いつか必ず渡すから、それまで待っててくれ。


でも左手の薬指は、未だに何もない。


マリオは忘れてしまったんだろうか?


きっと、私との約束何かどうだっていいんだ。


そうでしょう……?
私の事なんて、もう。


もう生きるのが辛い……死にたいよ。


23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:14:11.36 ID:fhFC0lUl0

俺は、今ヒーローをやめ、何でも屋をしてる。
ヒーローでは食べて行けないからだ。
と言ってもみんなを助ける仕事には変わりない。
俺はこの仕事に誇りを持ってる。


みんなの笑顔が暖かい。


零れ落ちそうなぐらいの喜び。
溢れ出す感謝の念。
それが俺の凍った心を溶かしてくれる。



俺にとっての生き甲斐だ。


でも、家に帰れば。


真冬だ。


24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:15:09.38 ID:fhFC0lUl0

冷え切った空間は、俺の癒された心を再び閉ざす。


交わす言葉は雪の様に虚しく溶け、白く色のない心だけが残る。


雪が積もり、心が押し潰されてしまったんだ。
埋もれる心は次第に、凍ってしまい、感情を生まなくなった。




もう、何を考えているか……分からない。



お互い別室で寝る。

それが、今の俺達の距離。
一緒にいては凍えてしまうから……。


25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:16:28.48 ID:fhFC0lUl0

「いってきます」


いつも通りの朝。


「行ってらっしゃい」


いつも通りの見送り。


表情は一切、ない。


空は青、太陽は赤、草は緑、だが俺達には色がない。

白黒の世界。


こんな無地の様な味気ない生活は辛い。


早く、満足行く生活を。


不安定が心を心配で満たす毎日から、安心が溢れる毎日を。


寒さが残る冬の風を受けながら、今日も、俺は仕事にいく。


26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:17:15.40 ID:fhFC0lUl0

「ガッハハハハ!すまんな!頼む!」

大声で笑う鬼の亀。

「昨日みんなとパーチーをしたらぶっ壊れてしまってな!いやぁ、マリオパーチー最高すぎるだろマジで!」


昔の俺に対するオマージュから出来たゲーム。
今では大ヒットらしく、なんと8作品も出てるとか。

因みにマリオパーチーではなく、パーティーだ。


「だが、何故ワガハイがいつも意地悪役なのだ!ワガハイもゲームに参加したいぞ!」


「はは、楽しそうで良いな。お前は」


27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:19:06.25 ID:fhFC0lUl0

「楽しいぞぉー!毎日がパーチーだ!
ってかお前もそうだろ?あのピーチ姫と結婚出来たのだからな!
ワガハイは悔しい!!」


「あ、ありがとう」


「だがしかし、結婚したとならば仕方あるまい。
手を出すのは野暮だ!男らしくないしな!ガッハハハハ!」


不思議な気分だ。

毎回ピーチを城に連れ去って、悪事を働いていたあのクッパが、ピーチを攫う事をやめ、今や国を担う政治家なのだから驚きだ。

それに昔のクッパと同じとは思えない程、落ち着いていて穏やかでユニークな性格になっていた。

年をとって落ち着いたのか。

でもパーティーで城を破壊すると言う滅茶苦茶な所は相変わらずらしい。


28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:20:30.96 ID:fhFC0lUl0

俺は、時々彼が羨ましくなる。

どこまでも澄み切った心、ふわふわとした自由な感情、明るく、男気の溢れた根性。


彼は空だ。


広く、そして自由気ままに縛られず、どこまでも晴れやか空。


「そうだ!今日みんなでパーチーをしよう!
ピーチとかルイージとか呼んでさ!」


「はぁ?お前、昨日城ぶっ壊した後だろ?」


「ガッハッハ!良いではないか!
それにお前の結婚式以来みんなで会う機会もなかったしな。
久しぶりに集まろう!」


「ちょっ!おまっ──」


「あ?もしもし?ルイージ議員か?
ああ、いやいや。久々にマリオ会ってなぁ──」

止めても無駄の様だ。


29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:21:16.12 ID:fhFC0lUl0

「──ああ、と言うことで今夜な!じゃ!」


「ではマリオ!今日の夜!ピーチを連れて来るのだ。良いな?
もし来なかったら連れ去りに行くからな!ガッハッハ!」


どこまでも自由な男は、俺にそう言った。
俺を空の彼方へ連れ去るが如く、強引に。


「あ、ああ」


そして俺もまた呆気なく飛ばされてしまう。この男の風に。


「今日はもう良いぞ!明日にしてくれ。
どうせ今日も壊れるから」



俺は家へ帰った。


31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:27:55.17 ID:fhFC0lUl0

「あら、早かったのね」

「ああ、色々あってな」


相変わらず心ない会話。



沈黙の時間が流れる。


そう、ここだけ世界からくり抜かれたかの様に止まっている。
重く、苦しい苦痛の重力だけを残して。


そして重力が暗い、底のないこの黒い空間に沈んでいく。

息苦しく、沈黙の圧力に胸を押し潰される感覚。

私はこの黒く、重く、冷たい、関係に沈んで、溺れている。


32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:28:54.97 ID:fhFC0lUl0

いっぱい話していたあの暖かい時に戻りたい。


ゆっくり流れる時の中、いつも暖かくて温もりが溢れたあの頃へ。


いつしか、心が死ぬ前の私達に戻れたなら……。



「あ、あのさ……」


突然、暗く重い沈黙をマリオの言葉が破った。


でも、何故だろう。


言葉を返せない。


いくらでも掛けたい言葉があるのに……。
心が凍り付いて、言葉が出て来ない。


「いや……なんでもない」


34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:31:33.51 ID:fhFC0lUl0

折角の言葉が、消える。
溶けてしまう。
また心が雪に埋れてしまう。

お願い、言葉を……。


「な、なに?言って?」

やっとの思いで胸から出した言葉。

──よかった。


「……今日の夜、クッパの城でみんなと集まる事になった」


──そんな。

──またどこかいくの!?


昔はそんな事を口にしてた。

心が痛かった。
苦しかった。
一人は嫌だ、寂しい。

暗い一人の夜は……。


35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:32:49.66 ID:fhFC0lUl0

でも今はもう感じない。


慣れたのか、或いは心が麻痺したのか。


それに、仕方のない事だから。


「そう」


いつも通りの返答。


そしてまた、いつも通りへ──。


「それで、君も連れて来いと言われた」


──えっ?


36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:34:12.39 ID:fhFC0lUl0

「来てくれるか」


今までにない言葉。


少し、


少しだけ、


「うん」


笑えた気がした。


37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:37:57.31 ID:fhFC0lUl0

「おお!来たか来たか!ガッハッハ!」


クッパ城の中へ案内される。


披露宴でもするのかと言うぐらい盛大に修飾された大広間。

テーブルには豪華なディナーがドカドカと並んでいる。

そして部屋の一面を覆う程の巨大なスクリーン。



ただ、所々破壊された部位があるが、気にしないでおこう。


「凄い……」

ピーチが感嘆の声をあげる。


38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:39:42.59 ID:fhFC0lUl0

「ガッハッハ!当たり前だ!旧友がくると言うのに何もするわけにはいくまい!」


「でも壊れてるけどな」

俺は飽きれながら言う。

「細かい事は気にするな!ガッハッハ!」


「あっ兄さん!」


後ろから声がした。


「ん?おお、ルイージか!久しぶり!」


オールバックの髪型、きっちりとした黒いタキシードに赤い蝶ネクタイ姿のルイージ。


39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:41:23.56 ID:fhFC0lUl0


「兄さん……パーティーの時ぐらいは正装で来なよぉ」


赤い帽子に赤いシャツと青いデニムのツナギ、いつも通りの格好。


「それに比べて、姉さんはいつ見ても綺麗だね」


飾り気のないシンプルな白いドレスに、小綺麗なネックレス。
丁寧に結われた髪。
艶やかな薄化粧。


確かに美しい。


繊細で清らかな美しい華のよう。


40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:42:56.59 ID:fhFC0lUl0

「ありがとうね」


「ガッハッハ!格好などどうでも良いわ!
今日は無礼講だ!」

「君はいつでも無礼講だよ。
ったくもう、いきなり呼び出すんだからー。
大変だったんだよ?マスコミとかさ」

「放っておけそんなもん!
それよりパーチーパーチー!!」


41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:43:45.15 ID:fhFC0lUl0



とても、とても幸せなひと時が流れた。


クッパ「ちょっwwwおまっwwwテレサとかふざけんなww」

ルイージ「はっ!この世は奪ったもん勝ちだよ!コインいただきwwざまあwwww」

ピーチ「あら、クッパマス踏んじゃったわ」

マリオ「うあああっ!!コインがぁぁ!!クッパ!!てめえぇぇ!」

クッパ「ま、待て!それはゲームの中のワガハイに!」

マリオ「うるせえ!ルイージよ!久々にマリオブラザーズ結成だ!」

ルイージ「おk!兄者!」

マリオ「フォフwwwフォフww」

ルイージ「イヤッヒィィィィww」


42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:45:11.89 ID:fhFC0lUl0

クッパ「てめえらぁぁ!ギャオーーース!!」

ピーチ「えっ?何!?キャッ!!」

クッパ「ピーチはいただいた!!」

マリオ「クッソー!汚い手を!」

ルイージ「行くぞ兄者!」


マリオ「フォフwwフォフww」

ルイージ「イヤッヒィィィィww」

クッパ「ギャオーーース!!」


ピーチ「キャーwwwマリオ、ルイージ、助けてーwww」



いつ以来だろう。
こんなに笑ったのは。


43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:45:17.73 ID:n6KB+INB0

マリオ……


44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:46:34.13 ID:NXXal/280

あれ?なんで泣きそうなんだ?


45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:47:57.08 ID:fhFC0lUl0

暖かい、凄く幸せな時間。
まるで春が訪れたみたいに、爽やかで、心地の良い空間。


いっぱいの幸せが咲き、色鮮やかなみんなの笑顔が、凍えて動かなかった心を溶かしてくれる。


このまま時間が止まれば良いのに。


楽しい。

暖かい。

いつまでもこうしていたい。



あなたの暖かい笑顔を見ていたい。

あなたの鮮やかな表情を見ていたい。

あなたの晴れやかな姿を見ていたい。


この今を切り取って、このままずっと過ごしていたい。


46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:50:01.75 ID:fhFC0lUl0

終わらないで。


終わらないで。



どうか終わらないで。



クッパ「さーて、そろそろお開きにするかぁ」

マリオ「前以上に壊れたな……」

クッパ「それは明日マリオくんが直してくれるさ!」

マリオ「マンマミーヤ」

ルイージ「兄さん!頑張れ!」

マリオ「オーキードーキー」

クッパ「じゃあ!これにて解散!!」


47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:52:03.12 ID:fhFC0lUl0



終わってしまった。


私達は帰路に着いた。



来た時と、同じ様に……。


心は巻き戻る。


49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:53:39.79 ID:fhFC0lUl0

「いってきます」


「いってらっしゃい」



その後、何も変わりなかった。


でも期待はしていなかった。


それ程私達の間には距離があるんだ。
果てしなく遠い。
いつでも触れられるはずなのに、遠い。
埋められない距離。
あなたが見えない。


暗く閉ざした道をひたすら走っても、あなたはいない。


この家の思い出。
輝いて見えるその思い出も、いつしか輝きを忘れて、消えてしまった。

煌びやかで美しく光っていたあの夏の様な日々は。

終わった。


51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:55:44.10 ID:fhFC0lUl0

昨日は夢。

素敵な夢。

いつか望んでいた生活を、その夢が覗いていて、私に見せていたんだ。

でも現実は。


私は死んだも同然。


同然なんだ。


今日は。

今日は……。


彼はきっと覚えてない。


あなたの心に私は、いないから。


そう思った時、私の中で何かが壊れた。


52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 21:57:48.31 ID:fhFC0lUl0

派手に壊れた城。
昨日暴れすぎたかな ?


「マンマミーヤ!!」


早速作業に取り掛かる。


「ガッハッハ!すまんなマリオくん!」


「まあ良いさ。俺も暴れたしな」


「うむ!そうだ」


俺は黙々と壁の修理から始める。


「マリオ、ピーチと結婚してもう何年目だったか?」


「あぁ……9年かな?」


作業の手を止めず、俺は答える。


53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:00:10.94 ID:fhFC0lUl0

「……そんなに経つか……お前達が結婚すると聞いた時は驚いたぞ。
まさか配管工と姫が結婚なんてな!」


「確かにな」


「まあしかしよくやるよ……王女としての仕事をこなしながら家事もするとかエリートすぎだろマジで」


結婚の時、ピーチが俺の家に一緒に住みたいと言い出した。
俺は城でも良いと言ったのだが、ピーチは聞かず、仕方なくこうなった。



今思えば……凄いことだ。


「お前……ちゃんと労ってやってるか?嫁さん」


「あ、ああ」


54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:02:22.80 ID:fhFC0lUl0

「そうか!ならいい!
もしピーチを泣かせたりしたら、あの時の約束通り奪いに行くからな!」


そう言えば、結婚式でそんな事いってたっけ。


「分かってるよ」



いつも彼女は、頑張ってると思う。

毎日家事をして、尚且つ王女としての仕事をこなす。

とても大変な事だろう。


俺なんか足元にも及ばない。


55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:04:09.43 ID:fhFC0lUl0

実に聡明で賢く、美しく華奢で繊細な身体、心は慈愛に満ち、常に国民の為を思っている。

透き通る瞳は全てを見通し、凛とした声は全てを癒し、細く華麗な腕は、全てを包み込んでくれる。



俺は。


俺が彼女の相手でよかったのか?


薄汚れたこの俺が、あのような綺麗な華を、摘んでもいいのか。




俺には……。


56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:05:34.20 ID:fhFC0lUl0

労ってるなんて嘘だ。


毎日仕事ばかりで何もしてやれてない。


すまないと、思ってる。


でも仕方ないじゃないか。


仕方のないことなんだ。


俺が頑張らなきゃいけないんだ。


これ以上君に苦労はさせられない。


ごめん、ごめんよ。


不自由な生活を君に与えてしまった俺が悔しい。


57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:07:38.65 ID:fhFC0lUl0




「これで……終わりと」


城の業務は終わり、辺りは綺麗な黄昏時。
私は帰路に着く。


すると、途中ルイージの姿があった。

「あ、姉さん!」


「あら、奇遇ね」


「本当だね。姉さんこれから帰る所?」


「ええ、これから帰ってご飯作らなきゃ」


「そっか!毎日大変だね」


そう、毎日が辛い。


58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:09:34.74 ID:fhFC0lUl0

私の心が孤独で埋まる。
彼はいつもいない。


私の事なんか……。


私は、気付かぬうちに泣いていた。


「ね、姉さん!?」


「ああ、ごめんなさい……少し、へへ」


「上手く……行ってないの?」


「そ、そんな事ない!上手くいってる!絶好調よ!」


「……そう?」



嘘だ。
上手くいってるなんて。


59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:11:21.95 ID:fhFC0lUl0

もう押し潰されそうなぐらい毎日が辛い。
先も見えない、暗く冷たい底なしの闇。
触れる事も、感じる事も出来ない。

私は太陽を失ったんだ。


どうして?


もう取り返しがつかないんだ。


もう消えてしまいたい。


もう消えて──。


61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:13:52.25 ID:fhFC0lUl0

「じゃあ私、帰るね」


「あ、うん。気を付けてね……」


──さようなら。


私はルイージと別れた。


行き着いた先は……。


道の外れにある岬。


辺りの茜色が冬の冷たい風に吹かれてざわめき、それが規則正しいさざ波の音が合わさって、一緒に悲しみの奏でている。


62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:15:58.58 ID:fhFC0lUl0

地平線に溢れる切ない赤からは夢の終わりが滲み、ゆっくり、ゆっくり燃えて、消える。

白い雲も、青い空も、太陽の最後を悲しみ、色を変えている。

全てが寂静で塗り潰され、嘆く様に吹く風は悲しむ景色を揺らす。


寂しく、哀しく、切ないけど、どこか美しくもある。


太陽が生、夜が死なら、黄昏は生命の終わり。


どの生き物にも終わりが訪れる。


平等なんだ。


64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:17:37.98 ID:fhFC0lUl0

この美しくもあり、哀しくもあるこの茜色は。


私もまた消える。


この茜色と共に、沈み、消える。

夢は終わった。


哀しみ歌う景色に見送られ、私も死ぬ。


孤独の赤が溶け込む海へ、身を投げる。

私も、一緒に……。


「さようなら」



66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:20:06.53 ID:fhFC0lUl0



「これで終わりだ」


「おう!助かったぞ!さてこれが報酬だ」


「あいよ」


「そう言えば、お前今日は良かったのか?」


「え?なんでだ?」


「え?なんでだって……まあ良いか。
取り敢えず早く帰ってやりなよ」


「あ、ああ」


良し、これでこの一週間は大丈夫だろう。


早く帰って寝よう。
今日も疲れた。


67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:20:35.38 ID:ccqsN7xW0

この前のマリオRPGの人か?


68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:23:44.82 ID:fhFC0lUl0

>>67
何故分かった!?


「ただいま」


返事が返って来ない。


「いないのか?」


ピーチがこの時間までいないなんて珍しい。


何かあったのか。


──まあ直に帰ってくるだろう。


寝よう。


俺はベットに倒れ込み、深い眠りについた。


69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:25:19.42 ID:fhFC0lUl0

「さようなら……あなた」


「姉さん!!何してるの!?」


「ルイージ……?」


「なんかおかしいと思って後を付けてみたら、こんな……」


「ごめんね、私疲れちゃった」


悲しみが溶け込む海を背に、私はルイージの笑い掛ける。


きっと笑顔壊れてたのだろう。
ルイージの表情は、酷く重たいものだった。


「姉さん……何があったの?言ってくれよ。僕たちは家族じゃないか!」


「いいの、いいのよルイージ。私が悪いの……私が──」


71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:27:13.96 ID:fhFC0lUl0


そう、いつも思ってた。


私がマリオを追い込んでるんだ、と。

私に苦労させまいと。


仕事を頑張ってくれてる。


そんなの分かってた。
分かってたよ。


でも辛かった。


あの人が酷く枯れていく姿を見るのが。
あの人が重く閉ざしていくのが。


あの人の心が凍りついていくのが。


私ではどうしようもなかった。


72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:30:17.37 ID:fhFC0lUl0

いっぱい話したり、労ったり、愛したり、頑張った。
彼の凍えた冷たい心を溶かそうと暖めた。


でもダメだった。


彼の負担に拍車をかけていただけだったんだ。


いつしか私の心も凍りついてた。


会話をやめ、お互い触れ合わず、ただただ機械的に日々をやり過ごした。


そうすれば、お互いに傷つかずに済む。


私達の毎日は重く閉ざした。暗く、孤独の生活。


一緒にいるはずなのに、心は触れ合わず、孤独が支配してる。


73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:31:44.93 ID:fhFC0lUl0


だから未来は消えたんだ。


互いの歩みを止めたから。


私の心が泣いていても、彼は振り向いてくれない。

触れ合いたい。
笑顔が欲しい。
いっぱい話ししたい。

その思いが、


そんな思いが、彼にのし掛かる。


彼の重荷になってしまうんだ。


私が彼の闇の原因なんだ。
彼の心が黒く濁ったのは、私の所為。


「私が消えれば、あの人は救われる。あの人の心はきっと」


74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:33:19.93 ID:fhFC0lUl0

「それは違う!!そんなの兄さんは望んでない!!」


「何が違うの?あの人の中にはもう私はいないのよ!私はただのお荷物よ……」


今日が何の日か覚えてないじゃない。


「じゃあ聞いてみよう!兄さんに!!」


「……いや」


「なんで!?」


そんなこと、何回も聞こうと試した。


75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:34:40.99 ID:fhFC0lUl0

でもその度に、否定されたらどうしよう、と言う考えが頭に浮かんできて、心を強く締め付ける。


怖い。
怖いよ。


もし否定されたら……私は。


本当に壊れてしまう。
聞きたくない。


「じゃあ……試してみよう。兄さんが本当にそう思っているか」


「え?」


「ガッハッハ!話は聴いたぞ!!」


76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:36:46.84 ID:fhFC0lUl0



──あなたの所為で私はこんな目にあうのよ。


──あなた、早く良い暮らしがしたいわ。


──早く何とかしてよ!!このボンクラ!!


──あなたなんて……選ばなきゃ良かったわ、本当。


──さようなら、冴えない配管工さん。


「はっ……!」


夢、か。


嫌な夢を見た。


まだ、ピーチは帰ってないのか。


77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:38:15.05 ID:fhFC0lUl0

流石に遅いな。
何かあったのか……。


探しに行こうか。


ベットから起き上がる。


どこにいるのだろう。

とりあえず城に行ってみようか。


家を出て、城へと続く桜並木を歩く。

桜はまだ蕾だ。
でもどことなく春の暖かみを感じる。


78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:40:10.41 ID:fhFC0lUl0

──もうすぐ春か。


月が出ている。


白く丸い月。
月は、黒い絨毯に浮き彫りになり、光る星々と共に皓々と輝いている。


明るく、淡く、静かに光を放つ。
その光はまるで心を見透かすかの様だ。


ピーチは、俺を恨んでるだろう。


食べていくのがやっとの生活。
不自由な毎日。

時には食えない事もある。


こんな俺をきっと恨んでる。


79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:42:22.32 ID:fhFC0lUl0

だから、あの優しさが怖かったんだ。


そんな不自由な毎日でも、彼女は笑い掛けてくれる。
愛してくれる。
労ってくれる。


そんな優しさが怖かった。


心の中では、恨んでるんだろう。
こんな生活を与えた俺を。


でも、そんな素振りを見せない。


それが余計に恐ろしかった。


だから、俺は応えられなかった。


こんな俺は、君に応える資格はない。
俺は、ダメな夫だ。
君には、勿体無い。


80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:45:14.77 ID:fhFC0lUl0

でも君を手放したくなかった。
だから俺は、何不自由ない様仕事を増やし、頑張った。


いつか、君に釣り会える様に。


すまない。
でももう少しなんだ。

あと少しで君の。


空を見上げる。


昔の彼女を思い出す。


この星々の様に明るく元気で、淡く優しい笑顔は満月の光のよう。


今まで俺が諦めずに来れたのは、彼女がいたからだ。


彼女が俺の暗く寒い道程を照らしてくれたからだ。


だから、待っててくれ。
今日は──。


85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:47:36.15 ID:fhFC0lUl0

>>79
君には→×

俺には→◯


すまんミスったorz


88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:48:52.30 ID:fhFC0lUl0



「ん?あれは?」


暗い道程の奥、キノコ城が見える。

が、何やら様子がおかしい。


「ガッハッハ!!!」


「クッパ議員!何をしているのです!!」


「今のワガハイは議員ではない!大魔王クッパ様だ!ギャオース!」


何が起こってるんだ?

「はっ!兄さん!こんな所にいた……」

ルイージが息急き切ってこちらに駆けてきた。


89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:50:15.07 ID:fhFC0lUl0


「ルイージ?どうした?あれはなんだ?」


「クッパが、姉さんを攫って、城を乗っ取ったんだ」


「なっ!?クッパが?」


どういうつもりだ。


俺も急ぎ、城へいく。


クッパは城の屋上で暴れていた。


俺はクッパに向かって叫ぶ。

「クッパ!おい!お前何してんだ!!」


「マリオ!遅かったではないか。あまりに遅かったのでこの城を支配してしまったぞ!ガッハッハ」


「何を言ってる!ふざけてないで降りてこい!」


90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:52:05.64 ID:fhFC0lUl0

「ふざけてなどおらん!!」


今までにない威圧的な声。


「本気……なのか?」


「貴様、これが目に入らないのか」


クッパが何かを投げた。


「はっ!お前……まさか!?」


投げられたのは縄で縛られているピーチだった!


「お前!!!どういうつもりだ!!」


「どうもこうもない。攫いにきたのだ」


まさかはピーチが攫われていたのか?なんで?どうして?


92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:54:45.63 ID:fhFC0lUl0

「前々から貴様には勿体無いと思っていたのだ。ピーチはやはりワガハイの嫁になるべきなのだ」


「貴様にピーチを幸せにする事は出来んのだ!!」

俺には、勿体無い。

幸せにする事も出来ない。



そうだ、その通りだ。
俺には……遠い存在。


いっその事、このまま諦めてしまえば楽になれるんじゃないか。


今まで充分頑張った。


もう良いんじゃないか?


このままクッパに渡せば、或いは彼女も幸せになるんじゃないか?

君の幸せを願えば──。


「マリオ?来てくれたの?」


93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:56:32.41 ID:fhFC0lUl0

小さくか細い声が、

確かだが聞こえてくる。



何を……考えていたんだ。
俺は。


「私、知ってたよ。あなたが私を重荷に感じているのは」


「私が声を掛ける度に、笑いかける度に、抱き締める度に、あなたは辛そうな顔をしてた」


「ごめんね。負担ばっかり掛けちゃって……本当自分が嫌になる」


違う……。
そんなんじゃない。

違うんだ。


95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:57:46.17 ID:fhFC0lUl0

「でもね、聞けなかったんだ。私をどう思ってるのか、不安で……怖くて」


俺だってそうだ。


「こんなにマリオを傷付けてるのに。私、最低だよね……」


「でも、それでも私は……マリオと居たかった」


「いつまでも一緒に仲良く……暮らしたかった」


「でも……その思いが膨らめば膨らむ程、あなたを傷付けてしまう……」


「こんなワガママな私をどうか……許して」


俺は……。


俺は大変な思い違いを……。


96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 22:59:30.76 ID:fhFC0lUl0

「こんな私、消えた方が良い……本当に……本当にごめんなさい」


「そしてありがとう……!これからあなたはあなたの為に生きて……下さい」


「さようなら」


縄が突然切れた。


「ああ……ああっ……!」


ピーチが地面に落ちていく。


何もかもが止まって見えた。


ただ、ゆらゆら、ゆらゆらと、
ゆっくり落ちていく。


97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 23:01:16.69 ID:fhFC0lUl0


時間が俺だけを置き去りにして、ゆっくり進む。


走馬灯が掛け巡る。
ピーチとの色々な思い出。

明るく輝いていた過去が、俺に語り掛ける。


俺はいつも君に助けられてたんだ。
君に傷付けられるなんて一度もなかった。


俺の中では君はいつも、月の様に優しく光っていた。


死なせない。


俺には君が必要なんだ。


俺は、必死に走った。
全力でピーチの元へ。


98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 23:03:45.72 ID:fhFC0lUl0


絶対に死なせない!


間に合え。

間に合ってくれ。


「まだ、死ぬなぁぁぁ!!」





俺はピーチを何とか抱きかかえた。


華奢な柔らかい身体。
久しぶりに抱いた。


こんなに愛おしいなんて。


99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 23:05:43.26 ID:fhFC0lUl0

「俺が……君を邪魔だなんて思うはずないだろ?」


「俺には君が必要なんだ」



「頼むから消えるなんて……言わないでくれ」


俺はピーチを強く抱き締める。



折れてしまいそうなぐらい繊細な身体が愛しい。


いつの間にか解けた縄から伸びるピーチの手が、頬に触れる。


白くしなやかなに伸びるその指は、まるで雪。

淡く、美しく溶けてしまいそう。

頬に触れたその手は春の日差しの様に優しく、暖かく俺を包み混んでくれる。


100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 23:07:25.75 ID:fhFC0lUl0



「本当?」


桜色に染まった頬から一雫の涙が伝う。

目が涙に溢れ、零れそう。

まるで宝石だ。

綺麗で、輝きを帯びた宝石。


「本当さ」



「嬉しい」


ピーチが笑う。
今までで最高の笑顔。

淡く、切なく、そして静かに笑う。
それは満月の光にも似た優しい皓々と輝く笑顔だった。


101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 23:08:48.68 ID:fhFC0lUl0


「俺は……君に恨まれてると思った。


「えっ?」


「こんな不自由な思いをさせてしまったのは俺の所為だ、てね」


「でも君は、何一つ不満を漏らさず、俺に笑い掛けてくれた……」


「その優しさが怖かったんだ」


「俺は……君に優しくされる資格はなかったから……」


「そんな……そんな事は……」


「分かってるよ……俺が間違えていたんだ。すまない……すまない」


涙が出てきた。
それを拭ってくれるピーチの優しい手。

頬を触れていた手を合わせる。


102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 23:11:43.63 ID:fhFC0lUl0



「ありがとうピーチ」


「そして──」




「おめでとう。今日、結婚記念日だったな。すっかり忘れてた」



俺はポケットからある物を取り出した。



「結婚式で渡せなかったから、今渡すよ」



それは指輪。


いつか渡すと約束した、指輪。


103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 23:13:37.27 ID:fhFC0lUl0


白くしなやかに美しく伸びる左手の薬指。
そこに指輪をゆっくり通す。


その時間は俺達の苦しかった10年より永く、そして幸せなものだった。

永遠であればいい。

そう願う。


やっと約束、守れたよ。



ピーチは左手を月に翳した。


今までの暗い道程を照らした白く美しい月光が、薬指の指輪に反射する。

きらきらと、幻想的に。


「すごく……きれい……ありがとう」


ピーチの眼からは涙が零れた。

絶えず、絶えず涙が流れる。


104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 23:15:41.52 ID:fhFC0lUl0

綺麗な雫は空に流れる流星。


星の雫は俺達の心を暖め、凍えた思いを溶かしていく。


俺達の心の溝が雪融けし、徐々に埋まっていくのを感じる。




「ガッハッハ!!上手くいったようだなルイージ!」


「そうだね!流石にちょっとヒヤヒヤしたけど」


「まあ良いではないか!!」


後ろからクッパとルイージが話しながら来る。


106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 23:17:06.20 ID:fhFC0lUl0


「え?どういうことだ?」


俺が聞くと、二人はとぼけた顔をして首を横に振る。


「後で話すよ!それより兄さん!おいでよ!」


「ガッハッハ!ワガハイとルイージから、二人の結婚記念日への細やかな祝いだ!」


二人は両脇に立ち、扉の方へ腕を伸ばし、城に入る様促した。


俺はピーチを抱えて立ち上がり、城へ入る。


107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 23:18:41.27 ID:fhFC0lUl0


「これは……」


キノコ城の中に入って驚いた。

レッドカーペットがまっすぐ長く、奥の部屋まで伸び、その両端には火が灯った燭台が等間隔で並んでいる。


「さあ、兄さん!奥へ!」


俺はピーチを抱えたまま奥へ進む。


そして奥の扉を開ける。


その直後、盛大な炸裂音が無数に響く。


「マリオさん!ピーチ姫!結婚10周年おめでとう!!」


大きな拍手。

突然、大きな音と、この出来事に俺達は唖然として、お互い顔を見合わせた。


108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 23:20:48.44 ID:fhFC0lUl0

大きなダンスホールには、沢山のキノピオがいた。
円卓が並び、御馳走が置かれている。

いつぞやの披露宴もこんな感じだったか?


「こらマリオ!主役が何をぼっとしてる。早くあの奥のテーブルに座らんか」


クッパが背中をズイズイ押す。


俺、押されるまま二つ椅子が並ぶ奥のテーブルへ。


取り敢えずピーチを椅子に座らせ、その隣に俺も座る。


「えーお集まりの皆さん。どうもクッパです。今日は記念すべきあの二人の10周年!!なので今日は無礼講で行くぞ!ガッハッハ」


わっと盛り上がる会場。


109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/28(水) 23:22:32.26 ID:fhFC0lUl0


もうどういう事かさっぱりな俺達。

ただ、皆が祝ってくれてるのは確かだ。


懐かしい限りだ。
10年前も同じだったな。


「兄さん、ごめんね。いきなりこんな」


「いや、ありがとう。うれしいよ。でもどうなってんだ?あの騒ぎは何だったんだ?」


「いや、実はね……あれ、芝居だったんだ」


「……はぁ?」


俺は、つい間抜けな声をあげてしまった。


「お前を試すためのな、マリオ」


クッパがズカズカと現れ、俺に言った。


112: 1 2011/09/28(水) 23:32:52.23 ID:ixuT1TtU0

規制掛かって掛けなくなったんで、ID変わりました。


「お前がピーチをどう思っているのか知りたかったのだ」


「なっ!そんな事直接……!」


聞けない。
俺もそうだった。


「いくらお互い愛し合っていても必ずすれ違いは生まれるものだ。
思った事が言えず、勘違い、溝が深まっていく。
そして気付かぬ内に大きくなって、どうしようもなくなる。
触れれば壊れてしまう、だが放っておけば心が壊れてしまう。
そんな板挟みの状態では聞けまい」


113: 1 2011/09/28(水) 23:34:51.50 ID:ixuT1TtU0

その通りだ。
いつだって壊れそうな思いの中、毎日を過ごしてた。


自分の価値。
相手の見えぬ本心に揺れながら。


触れぬ様に、壊れぬ様に、のらりくらりと漂う様に薄弱な意思で。


「今日の帰り、姉さんの様子が変だったから後を尾けたら、姉さん、海で……泣いてたんだ」


ルイージはどこか暗い表情で思い返す様に話す。


「兄さんに知らせようとしたんだけど連絡手段がなくて、クッパの所にいるかな、と思って連絡しても、兄さんいなくて……そしたら──」


「ピーチが泣いていると聞いてな、飛び出して向かったぞ!
そしてワガハイが連れ去ったのだ!
兼ねてからの約束通りな!ガッハッハ!」


クッパの笑いに、ルイージは溜め息をつく。


114: 1 2011/09/28(水) 23:36:57.25 ID:ixuT1TtU0


「ピーチの本心を聞いた僕達は、皆の協力を経て、キノコ城で芝居を打って兄さんの本心を聞き出そうとしたんだ」


そういう事だったのか。
でも、ピーチを縛った縄を切るのは、芝居にしても少々危険過ぎな気がする。


「縄も切ったのも芝居か?」


そう聞くと、クッパは狼狽した。


「いや、あれは……」


「クッパを責めないで……私が悪いの……」


それまで黙っていたピーチが口を開いた。


115: 1 2011/09/28(水) 23:39:13.68 ID:ixuT1TtU0

「私が頼んだの……あの時、私は、あなたに助けられなければ死ぬつもりだった」


「なっ!嘘……だろ?」


「本当はその前に、海に飛び降りて死のうとした。
でも二人が止めてくれたの」


なんて事だ。
そこまで俺は彼女を追い詰めていたというのか。

彼女に死を決意させる程、悩ませていたというのか。


俺は……最悪だ。


「どうせなら、しっかり向き合ってからにしろ、死ぬか死なないかはそれからだ。
クッパは私にそう言った」


クッパは苦虫を噛み潰したような顔をしている。


118: 1 2011/09/28(水) 23:41:17.07 ID:ixuT1TtU0

「だからキノコ城の屋上であんな真似を……ごめんなさい」


「でも私は……もう辛かったの。
あなたから否定の言葉なんて聞きたくなかった。
私は怖くて仕方なかった。
だから私は縄を切るよう頼んだ。
否定されれば死ぬ。
死ねばそんな事考えなくて済む。苦しまずに済む。
だから……」


ピーチはそこまで話すと、両手で顔を隠した。


「ごめんなさい……ごめんなさい……。
助けてもらったのに、こんな事……言い出すなんて」


しゃくり泣くピーチ。


120: 1 2011/09/28(水) 23:43:13.53 ID:ixuT1TtU0

俺の勝手なエゴが、彼女をここまで苦しめていた。
俺は、俺の保身のためにピーチを傷付けて生きてきたんだ。


俺は結局……。


「でもね……」


ピーチが顔を上げる。
目と鼻は赤くなり、頬は涙に濡れていた。


「死のうとした手前、かなり身勝手な話だけど、今は生きていて本当に良かったと思うよ!
今までの中で、一番今が幸せだよ!
ありがとう、私を救ってくれて。
あなたが夫で……本当に良かった」


涙でくしゃくしゃになった顔で笑った。


こんな俺を許し、受け入れてくれる。
あれだけ傷付けてきたのに?


121: 1 2011/09/28(水) 23:45:10.30 ID:ixuT1TtU0


「それは……本当か?」


俺は、君の側にいても良いのか?
こんな何もない俺でも。


「うん」


そう言ってまた笑った。
屈託のない満開の笑顔。


「ありがとう」


俺も笑った。

景色が少し滲んだ。


俺は、


また君に救われたよ。


122: 1 2011/09/28(水) 23:47:12.90 ID:ixuT1TtU0

この日は私にとって最高の日になるでしょう。


今日は人生の最大の転機だ。


凍りついた心の断片は、溶けてなくなった。
雪は溶け、潰された想いは雪解け水と共に心に流れ込む。


とても暖かい気持ち。

春が来たんだ。


桜が咲き乱れ、心は仄かな紅色に染める。
春風が暗く重い滞った迷いを何処か連れ去り、胸が軽くなるのを感じた。

どこまでも青く穢れのない心、燦々と輝く太陽の様な想い。


125: 1 2011/09/28(水) 23:49:17.38 ID:ixuT1TtU0



私の心に、春が訪れたんだ。


ありがとう、みんな。


ありがとう、マリオ。



クッパ「ガッハッハ!またスターいただきぃ!」

マリオ「ぐぬぬ」

ルイージ「ふっ甘いよクッパ」

クッパ「ああああっ!てめぇ!毎度毎度汚い手を使いおって!」

ピーチ「あら、クッパマス踏んじゃった……あらコインをくれたわ!ありがとうクッパ!」

クッパ「ぐへへww」


126: 1 2011/09/28(水) 23:51:16.87 ID:ixuT1TtU0

マリオ「おい!!お前何で女には甘いんだよっ!」

クッパ「え?いや、だからこれはゲームの中n」

マリオ「うっせえww!言い訳すんな!俺にも寄越せwww!」

クッパ「ちょっwwおまっwwwテレサはやめr」

ルイージ「じゃあ僕もwww」

クッパ「てめぇらいいかげんにしろっ!!」

ピーチ「へっ?また?ちょっwww!?」

クッパ「ギャオス!!」

マリオ「ちっ!ルイージ!また力を合わせる時が来た様だww」

ルイージ「おk任せろ兄者ww」

マリオ「イヤッハァァwwwフォッフww」

ルイージ「フォッホwwフォッホww」

クッパ「ギャオオ!!」


127: 1 2011/09/28(水) 23:53:58.93 ID:lXAq+7hl0


幸せな時間は続く。

この幸せは永遠に。


マリオ・ルイージ「マンマミーヤ」

クッパ「これに懲りたらもう辞める様に!言い掛かり禁止!」


私達は、これからも共に歩くでしょう。

辛い事、苦しい事、楽しい事、悲しい事、

色々あるでしょう。

でも私はあなたといれば、大丈夫。
これからは、二人で共に歩もう。


128: 1 2011/09/28(水) 23:55:46.71 ID:lXAq+7hl0



「今日も激しかったね」


「まあな」


夜が明け、次第に白む空を横に私達は歩く。


明朝の光を受け、綺麗に輝く指輪。
その手を繋いで。


今まで止まっていた思いが、ゆっくりと動き出す。
ずれていたお互いの心が、ぎこちなく回る。


今はまだ噛み合わない部分もあるけれど、
それでも私達は回り続ける。


130: 1 2011/09/28(水) 23:57:29.70 ID:lXAq+7hl0


ゆっくりと、


ゆっくりと、


夢から抜け落ちて、動かなくなっていた私達の心と時間を取り戻すために。



風が吹いた。

風からは冬の気配は消え、暖かい春の予感を感じさせる。


「もう春ね」


「そうだな」



季節は春。


桜の木は、微かにだが、咲いている。
まるで私達の様に。


132: 1 2011/09/28(水) 23:58:19.34 ID:lXAq+7hl0


けど、私達はきっと取り戻せる。


咲き誇っていた私達の幸せを。


あの時と同じ景色を。


あの時の喜びを。


いつか咲かせるんだ。


私達はまた、歩み始める。





134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/29(木) 00:00:35.98 ID:h952B3UI0

BGMはマリオ64のエンディングだな


138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/29(木) 00:01:31.72 ID:+6yZyZO70

まさかこんな展開になるとは思わなかった 乙!


141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/09/29(木) 00:07:11.47 ID:FdpE8giG0

おつおつ
クッパかっこ良すぎ濡れた


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